MSIのゲーミングモニター「G2722」は、現代のゲーミングモニターにおけるスタンダードモデルという印象を受ける。IPSパネルを採用した170Hz(OC時)の27インチサイズという、ゲーミングモニターに求められる標準的なスペックを持ち、「ナイトビジョン」や「アンチモーションブラー」など、ゲームライフを支援する機能もふんだんに盛り込まれている。

本稿では、「G2722」を実際にメインモニターとして使ってみたインプレッションをお伝えする。

 

視野角が広く、美しいIPSパネル

まず、本モデルの大きな特徴は、IPSパネルを採用した170Hz(OC時)の27インチのディスプレイだ。ディスプレイパネルには、IPSのほか、VAやTNといったさまざまなものが存在する。

 

その中でもIPSパネルは発色が良く、映し出されるものが持つ本来の色をしっかりと再現してくれるという利点がある。「G2722」も、sRGBカバー率は99.32%と、広い色域を持つ。

 

例えば、HD-2Dと呼ばれる2Dゲームのようなビジュアルで3D表現を実現した、スクウェア・エニックスのRPG『トライアングルストラテジー』や、大流行を見せたフロム・ソフトウェアの『エルデンリング』などは、アーティスティックな美しいグラフィックが魅力のひとつだ。

 

また、猫になってネオンサインが煌めくサイバーパンク風な街を冒険する『Stray』や、インターネット中毒の女性配信者の“ピ”(いわゆる彼氏)として登録者数をスケールしていく『NEEDY GIRL OVERDOSE』など、近年はAAAタイトルだけでなく、インディーゲームでも、工夫をこらしたグラフィックを持つゲームがたくさん存在する。それらが持つ真の色をしっかりと映し出してくれるのが「G2722」である。

 

また、視野角が178度と広いことも、IPSパネルを採用した「G2722」が持つ利点のひとつだ。これはモニターの正面からだけでなく、横側の角度から見てもモニターをしっかりと視認できるということ。どんなときに役に立つかというと、まずひとつがマルチモニター環境だ。マルチモニターにすると、当然ながら少し斜め横から見る機会が多くなるが、そうした際でもしっかりと視認できる。

また、「G2722」はベゼル(モニターの縁)が細いため、モニターを横並びにしてもその境目が目立ちにくく、マウスカーソルの移動などもスムーズに行うことができる。

 

そのほか、テレビのような使い方としても有用だ。ChromecastやAmazon Fire TVといったストリーミングデバイスなどを使うことで、大きな画面でYouTubeやNetflixなどでコンテンツを楽しむといった用途にも向いている。視野角も広いため、寝そべりながら部屋のいろんな場所から見ることができる。HDMI入力も2つあるため、家庭用ゲーム機と併用できるのも嬉しい。

シューティングゲームでも有利な応答速度とリフレッシュレート

一般的なIPSパネルの弱点は、応答速度の遅さにあると言われているが、「G2722」は応答速度1msという高スペックパネルを採用しているので心配は必要ない。0.1秒の駆け引きが重要な競技性の高いタイトルでの使用も心配いらないだろう。

 

そして、170Hz(OC時)の高いリフレッシュレートもひとつの大きなポイントだ。1秒間にモニターが表示できる枚数を示すリフレッシュレートは、高ければ高いほど映像が滑らかになり視認性が上がるため、オブジェクトの細かな動きをしっかりと視認することができ、特にシューティングゲームでその真価を発揮する。

 

▲『VALORANT』のような繊細は撃ち合いが発生するタイトルではフレームレートの差を感じやすい

 

筆者は特に『VALORANT』や『レインボーシックス シージ』といった競技性が高いと言われるシューターを好んでプレイすることが多いが、27インチの大きなディスプレイと高いリフレッシュレートはプレイがしやすい。

また、ちょうどこのモニターを試用している期間に『オーバーウォッチ2』がリリースされたが、アニメ調のビジュアルが特徴的な作品だけあって、美麗なグラフィックを大きなIPSパネルでプレイするのは見応えがある。

 

▲『オーバーウォッチ2』も美しく表現されている

 

ひとつだけ注意したいのが、高さ調節に対応していないという点だ。シューターでは視点の高さにこだわる場合は、VESAマウント用スペーサーを使ってモニターアームなどで運用してみよう。

 

▲スタンド根元のカバーを外し、VESAマウント用スペーサーを取り付けることができる

盛りだくさんのゲーミング機能

その他にも、ゲーミング機能として、暗いシーンや明るすぎるシーンの視認性を上げる「ナイトビジョン」や、黒フレームを挿入して残像感を抑制する「アンチモーションブラー」などをサポート。ゲームにおけるさまざまなシチュエーションで、その体験を高めてくれるというわけだ。

 

また、同期機能として「FreeSync Premium」を搭載し、対応のグラフィックボードと組み合わせて使用することで、ティアリング(ゲーム画面の小さなズレ)やカクつきを抑えることができる。

 

また、目に優しい機能として「ブルーライトカット」、フリッカー(チラつき)を抑制する「アンチフリッカー」を搭載している。長時間ゲームをするゲーマーにとっては嬉しい機能であることは間違いない。

さまざまな用途に適したポテンシャルを持つ一台

まとめると、広い色域を持つ美しいIPSパネルを搭載することで、コンソールを含めさまざまなゲームをプレイするゲーマーや、高いリフレッシュレートと素早い応答速度で“勝ち”にこだわる競技性の高いプレイヤーなど、多くのユーザーにフィットする一台と言える。

 

少しだけデメリットを述べると、解像度がフルHDという点と、高さ調節ができないという点だ。これらが気になる玄人ユーザーは、付属のスペーサーを使ってモニターアームで解決するほか、マルチモニター運用をすることで利便性を優先するなどの工夫の余地がある。もちろん、述べてきた通り、ゲーミングモニターとしての機能はしっかりと備えているので、それらを最大限活かした、各々にとって最適な使い方を模索してほしい。

MSI G2722 商品ページ

https://jp.msi.com/Monitor/G2722

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