『OVA アズールレーン Queen’s Orders』が7月に発売されることを記念して、コミカライズ原作者であり、先日ついに最終回の執筆を終えた槌居先生と、OVAでプロデューサーを務める根井 悠輔氏、Yostar Picturesで宣伝を担当している運営MさんにOVAの内容や制作秘話など様々なお話を伺った。

主人公をクイーン・エリザベスとウォースパイトに決めたのは槌居先生

▲『OVAアズールレーン Queen’s Orders』でのクイーン・エリザベスとウォースパイト

 

――槌居先生、『アズールレーン Queen’s Orders』(以下、『Queen’s Orders』)全224話の連載お疲れさまでした。無事に最終回を迎えた気持ちをお聞かせください。

槌居 2018年の10月から連載をスタートして、4年半もの間やらせていただきました。こんなに長く連載をしたのは初めてです。ぼく自身ずっと『アズールレーン』を遊ばせてもらっていく中でどんどんキャラクターが増えていったので、「この子を描きたいな」と思ったら毎月毎月エリザベスと絡ませて出演してもらうという形でやらせていただいていましたね。

 

――そもそも、なぜ槌居先生が『Queen’s Orders』の連載を担当することになったのでしょうか?

槌居 元々は一迅社さんから別の企画で声をかけていただいていたんですけど、ちょっと企画が落ち着いた段階で手が空いていたんです。そうしたら今の担当さんに「実は『アズールレーン』のコミカライズの話があるのですが」とお話をいただけまして。ぼく自身『アズールレーン』には興味があったのでやらせていただくことにしました。

 

 

運営M 以前、主人公をクイーン・エリザベスとウォースパイトにしたい!というのは槌居先生の提案だと伺ったことがありますが、これは本当ですか?

槌居 はい、僕のほうから提案させていただきました。このふたりは『アズールレーン』を遊び始めてから早い段階で入手したこともあり、一番好きなんです。あとは最初に選べる駆逐艦の子たちも好きだったんですが、そちらはホリ先生による『アズールレーン びそくぜんしんっ!』で主人公を務めているので、被らないようにしていました。

 

他にも人気のあるキャラクター、例えばエンタープライズも主人公に選ぼうと思えば選べたとは思うんですが、女王様だけどわがままで子供っぽいエリザベスと、付き従う騎士のウォースパイトを漫画にしてみたいという気持ちがありました。エリザベスは何事にもすごく反応が良さそうで、漫画の主人公として動かしやすそうだと思ったんです。連載の間は、かなりエリザベスのキャラクターに助けられましたね。

 

――執筆の際にはYostarさんと綿密な打ち合わせを行なっていたのでしょうか?

▲クイーン・エリザベスとウォースパイトは悪友のような関係

 

槌居 基本的にこちらでストーリーを考えて、YostarさんにNGなポイントが無いかチェックしてもらう形で進めていました。『アズールレーン』はかなり大量の設定が詰まっている作品なので、ネームの時点で、この子はこういうキャラクターなので、と指摘があった部分は修正しました。

でも、長くやっていくうちにYostarさんのNGポイントの感覚がつかめて、「こういうところはダメかな?」と考えながら描けるようになっていたので、最初にちょっと気を付けていたくらいですね。

 

――長く続けているうちに、先生の中でキャラクターが出来上がって行ったんですね

槌居 そうですね。特にウォースパイトはゲーム内のキャラクターとはちょっと違って、僕好みの苦労人要素が強くなってしまった気がします(笑)。でもそこにはNGが出なかったので、僕の心の中のエリザベスとウォースパイトを動かす形でやらせていただけて感謝しています。

 

▲エリザベスたちの顔芸も『Queen’s Orders』の魅力のひとつだ

 

運営M コミカライズ原作の『Queen’s Orders』はエリザベスやウォースパイトの顔芸が面白いので、アニメにも反映されています。アプリゲームだと表情差分もあまりたくさんは用意できませんし、どうしても表現に制限があるので、槌居先生が新しいエリザベスやウォースパイトの魅力を引き出してくださったと思います。

 

――根井プロデューサーに伺いたいのですが、なぜOVAという形式を選択したのでしょうか

根井 まず、Yostarの代表である李(衡達)に『アズールレーン』は可能なら毎年何かしらの形で映像を出していきたいという想いがあるんです。最初はTVシリーズ、そして『びそくぜんしんっ!』で15分のショートアニメを送り出した流れがある中で、別のアプローチとして昨今珍しいOVAという形でファンの皆さんに色々と還元させていただくことにしました。うちも古き良きアニメオタクが多い会社なので(笑)、ある種チャレンジングではあります。

 

あと、コミカライズ原作が短編漫画なのでこれを15分や30分のアニメに膨らませるのは難しかったため、アニメに向いている話を抜粋して膨らませ、OVA2本の形で進めました。最近のアニメはコアファンが付いていて、ある程度収益が見込めるタイトルは劇場版を制作して、その後はBlu-rayを販売する流れがあります。うちは漢気一本OVAみたいな感じですね(笑)。

 

――槌居先生は、最初にアニメ化の話を伺った際にどう思われましたか?

▲前編ではロイヤル陣営中心のストーリーが語られる

 

槌居 アニメ化されるとは思っていなかったのでかなり驚きました。アニメ化作業の中でプロットやストーリーの段階での相談を受けたり、Blu-rayのジャケットやおまけ漫画を描いたりと協力させていただいています。あとは作品の監修もやらせていただきましたね。

 

――かなりガッツリと関わられていますね。原作を抜粋する際に、どのような点を重視されたのでしょうか?

槌居 まず、できる限りたくさんのキャラクターを出したいと考えました。そこで前編にはメイド隊や騎士隊といったロイヤル陣営中心のストーリーで構成し、後編は他の陣営のKAN-SENが沢山出てくる構図にしています。

 

――キャラクター数がかなり多いようですが、何人くらい登場するのでしょうか?

▲登場するキャラクターは80人以上

 

根井 声が付いているキャラクターは前後編合わせて60人ほどでしょうか。声が付いていないキャラを含めると80人ほどになります。とんでもない数になりました(笑)。ちなみにオフニャに関しては、その場にいた方に「やってください」とお願いして声を当てていただきました(笑)。

 

運営M 表記は「オフニャのみなさん」になっているんですが、堀江由衣さんや能登麻美子さんなど、豪華な方に演じていただいています(笑)。せっかくだから堀江さんや能登さんの「にゃ」が聞きたいなと(笑)。

 

――しかし、60人の声優さんの収録となるとかなり大変です。アフレコ現場はどのような様子だったのでしょうか?

槌居 アフレコには自分もリモートで立ち会わせていただきました。3日に分けて行われたんですが、音響スタッフの方も「多いね~」とおっしゃっていました。

運営M コロナ対策もありブースには最大3人しか入れなかったので、日数をかけて収録させていただきました。長丁場な現場で槌居先生にもご負担をかけてしまいました。槌居先生改めてご対応いただきありがとうございます。

 

――槌居先生は3日間ずっと立ち会われたんですか?

槌居 リモートでずっと耳で演技を聴かせていただいていました。声優さんが演技されているところは初めて見たので、やはりプロの方はすごいなと。あんまり声優さんには詳しくないんですけど、それでも聞いたことがある名前の方が多くて、貴重な体験をさせていただきました。

アフレコの際にはアニメの絵も流れていて、「こういう風に演じてください」というディレクションの声も聞こえていました。ウォースパイトの収録の時は非常に気になったので、思わず、手を止めて聞いてしまいました(笑)。

 

根井 うちのディレクターの中で本作におけるウォースパイトの声が高いのか低いのか定まっていなくて、どっちなんだろうと悩んだんですよ。ゲームと違ったコミカルな表情が多いので。そのとき先生に「こっちの気がします」と言っていただいたおかげで『Queen’s Orders』のウォースパイトの声が決まったんです(笑)。

 

――ウォースパイトへの愛が凄いですね(笑)。

▲槌居先生が描くウォースパイト像に当てはまる演技に期待!

槌居 ウォースパイトに関しては色々とご迷惑をおかけしました(笑)。でもウォースパイトが大好きなので!

 

――OVAのウォースパイトにはかなり期待できそうですね(笑)。ところで話は変わりますが、当初は5月発売の予定でしたが、7月に延期となりました。なぜでしょうか。

根井 昨今のアニメ現場は制作スケジュールがひっ迫しているため、このまま5月に発売した場合、せっかくOVAを買っていただくお客様に対して、満足できるクオリティに達しない可能性がありました。待たせてしまうお客さまには申し訳ないのですが、ちゃんとしたものをお届けさせていただくために延期という決断をさせていただきました。ユーザーさんが求めるアニメのクオリティもどんどん高くなっていますし、OVAという形で購入していただいたファンの方に答える必要もあります。出していただいたお金に見合うものを出していかなければいけないという想いはあります。

 

――OVAだと予約数という形でファンの反響を知ることが出来ると思います。どのような状況でしょうか?

根井 予約数はかなり好調です。『アズールレーン』が積み上げてきたコンテンツとしての強さ、そして槌居先生が作り上げて下さった『Queen’s Orders』のクオリティの高さが、ファンに響いているのだと思います。

 

――もし、OVA化が成功と判断された場合、新たな展開を期待してもいいのでしょうか?

根井 『アズールレーン』についてはPVなり何らかの物語がある物を、これからも何らかの形で出していきたいという想いがあります。『Queen’s Orders』も、もしかしたらまたアニメ化があるかもしれません(笑)。

槌居 そのときはまた参加させてください(笑)。

 

――それでは最後に、『アズールレーン』そして『Queen’s Orders』のファンへ向けてメッセージをお願いします。

運営M 『アズールレーン』は私にとっても様々な景色を魅せてくれた特別なタイトルなので、こうしてYostar Picturesにてアニメ化ができて非常に嬉しいです。さらに今回、ちょこっとですが宣伝のお手伝いもさせて頂いたりして感無量です(笑)。
アニメに関して一ファンの意見になってしまうのですが槌居先生の描かれる心があったかくなる物語がそのままアニメになって可愛らしく動いております。ぜひ、本作をたくさんの方に見ていただけると嬉しいです。
全くの余談ですが、槌居先生の描かれるコミカライズ原作の12話で、私の推し艦であるエルドリッジが登場するので皆さん、ぜひコミカライズの方もご覧ください!

 

槌居 アニメを拝見したのですが、スタッフの方々が『Queen’s Orders』の雰囲気を上手く出してくれていてすごく嬉しかったです。ぼくが想像した以上に素晴らしい作品になっていると思います。大勢の声優さんが声を当てた大勢のキャラクターが動いているのはものすごくかわいくて魅力的だったので、そこを楽しみにしていただけると嬉しいです。

 

根井 『アズールレーン』は色気が強い印象があるかもしれませんが、『Queen’s Orders』は槌居先生のお力で、見ていて心が安らぐほっこりする作品に仕上がっています。もちろん多少はエッチな部分はありますが(笑)、一日働いて疲れたけれど、今日はこれを見て癒されようかなといった感じでストレス軽減になるようないい作品になったと思います。

OVA情報

OVA アズールレーン Queen’s Orders
価格:9900円[税込]
収録話数・時間:前編後編収録・約48分
発売・販売元:YOSTAR

特設サイト:https://www.azurlane-ovaqo.jp/blu-ray

(C) Manjuu Co.,Ltd., Yongshi Co.,Ltd.& Yostar, Inc./槌居, 一迅社/Yostar Pictures, Inc.

 

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