【大会レポート】最年少小学生選手と無冠の帝王が激突!——タイピング日本一を決めるeスポーツ大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025」
提供元: eSports World

▲RTCは2017年から始まり、今年で第6回目の開催となる
総勢9,668名が参加した本大会。予選はウェブ上でタイピング練習が楽しめる「e-typing」を用いて計4回行われ、その中から成績上位者の8名が決勝ステージに選抜される形だ。

▲「e-typing」は誰でもプレーできるタイピング練習ができるウェブサイト。期間内なら何度でも予選に挑戦できるというのもRTCならではのレギュレーションだ(https://www.e-typing.ne.jp)
決勝ステージは例年有観客オフライン開催となっているが、今年は競技選手がよりタイピングに集中しやすい環境ということで無観客開催となった。

▲会場を盛り上げてくれたのは5名の出演者。左から順に実況解説の篠原光さん、隅野貴裕さん、ゲストの貴島明日香さん、シュウペイさん、寺太勇さん
基本的な競技ルールは下記の通り。特筆すべきはRTC独自ルールの「正確性」だろう。どちらかが正確性95%を下回るかどうかで、戦法も試合展開も全く違ったものになる。タイピングスピードだけでは勝てないのがRTCの妙なのだ。

▲トーナメント形式はシングルエリミネーション。正確性によっては速く入力しても負けてしまうことがあるのがRTCの面白いところ。ただ速く入力できればいいという訳ではないのだ
最年少は小学校5年生!
個性あふれる8人の選手たち
決勝に進出したのは下記の8名。ベテラン選手から本大会初出場となる期待の若手選手など、個性あふれる選手がそろった。

▲決勝ステージのトーナメント表

▲ゆたゆた選手:小学5年生でありながら優勝候補の一角。今回がRTC初出場だ

▲める選手:若手期待のかな入力戦士。こちらも初出場

▲まるくん選手:こちらも若手プレーヤー。スピード勝負が得意。RTC初出場となる選手だ

▲Y-i選手:幼い時代から競技タイパーとして活躍したベテラン。3年連続の出場

▲くわな選手:前回大会2位のベテランタイパー。今大会の優勝候補。『VALORANT』では上位ランク“イモータル2”の実力を持つマルチプレーヤー

▲mulelr選手:大会皆勤賞で上位常連のベテランかな入力使い。今大会の優勝候補

▲goe選手:前回大会3位でタイピングソフト「寿司打」の3冠王プレーヤー

▲ゆーくん選手:初出場ながら、第2回予選1位に輝いた期待のルーキー
そんな強豪ひしめくRTC 2025の大会レポートをお届けしよう。
準々決勝:第1試合目から盛り上がりをみせる注目カード
準々決勝となる第1試合から目が離せない対戦カードとなったRTC 2025。特筆すべきは最年少となる小学五年生のゆたゆた選手 vs かな入力の使い手める選手。

▲ゆたゆた選手は予選1位通過の優勝候補。対するめる選手は現役の学生でありながら、かな入力の使い手という稀有なプレーヤーである
試合内容は終始ゆたゆた選手が押す形となった。kpm換算(一分間に打ち込む文字数)で1400以上を叩きだす瞬間もあり、実況の篠原さんも思わず舌を巻くような勢いで駆け抜けていく。安定した高速タイピングによってストレート勝ちを決めたゆたゆた選手。今大会が初出場ではあるものの、優勝候補として盤石な雄姿を会場に見せつけた。

▲恐ろしいスピードで表示された文章を入力していく両選手。入力が早すぎてお題の文章が読めないレベルだ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=1368s)
もうひとつ目が離せない対戦カードは第3試合のくわな選手 vs muller選手。両者ともに優勝候補なため、決勝戦と言われてもおかしくないマッチアップである。

▲ローマ字入力 vs かな入力という入力方式の違いも注目ポイントだ
先制を獲ったのはくわな選手。RTC独自ルールである正確性を突く形で、かな入力使いのmuller選手を手玉に取った形だ。その後もくわな選手は正確性を重視した戦法を貫き、2本目も連取していく。
しかし3ラウンド目ではくわな選手が正確性を崩してしまい、その隙を突いたmuller選手が1本を返す展開に。ここでくわな選手は戦法をシフト。正確性を敢えて捨て、タイピングスピード主体の戦い方に変えていく。

▲4ラウンド目から一変したくわな選手に虚を突かれたのはmuller選手か。正確性を無視したノーガードな戦いに翻弄(ほんろう)され、くわな選手に軍配が上がるシーンが増えてきた(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=4071s)
最終的には4:1でくわな選手が勝利をもぎとったものの、事前予想通りの激しい駆け引きとなった。試合後のインタビューでは「緊張していた割にはお互いに正確性の高い試合が多くて、かなりプレッシャーのかかる内容でした。muller選手が選ぶげんきワード(ワードテーマ)では、かな入力のスピードに歯が立たないと予想していたので、正確性の部分で勝とうという作戦でした」とくわな選手は回答した。
くわな選手の柔軟性と、muller選手への対策が光った試合内容となった。
なお、第2試合のY-i選手 vs まるくん選手は、途中でY-i選手が返すシーンもあったが4:1でまるくん選手の勝利。第4試合のgoe選手 vs ゆーくん選手は、3、4ラウンドともにデッドヒート。僅差でgoe選手が打ち勝ち、最終的には4:0ストレートで終了となった。

▲準々決勝戦後のトーナメント表。上記4名が準決勝戦に駒を進めた
準決勝:三位決定戦までのダイジェスト
準決勝第1試合はゆたゆた選手 vs まるくん選手という初出場同士の対決となった。1500kpmを記録する豪速タイパー同士の戦いは、最終的には4:1でゆたゆた選手が勝利。
第2試合は前回大会2位のくわな選手 vs 前回大会3位のgoe選手が激突。第一試合目とは対照的に、正確性も混ぜ合わせた変則的な戦いが繰り広げられ、4:1でくわな選手が勝利した。
敗者同士で行われた3位決定戦はルーキー vs ベテラン対決。一体どちらに軍配が上がるのか注目されたマッチアップだったが、いざ始まるとgoe選手が圧巻のパフォーマンスを発揮。まさかの4:0で、goe選手のストレート勝利という結果となった。
決勝戦:モンスター小学生と無冠の帝王が躍動
遂にやってきた決勝戦。初出場にて決勝の舞台まで駒を進めたモンスター小学生ゆたゆた選手と、常に優勝候補として奮戦し続けてきた無冠の帝王くわな選手が並び立った。決勝戦はBo9(5本先取)と長丁場な戦いとなるため、より集中力や正確性が求められるのも注目だ。

▲全力を出し切りたいと語るゆたゆた選手

▲今まで超えられなかった決勝戦の壁を越えたいと語るくわな選手
まずは先手を取ったのはゆたゆた選手。シンプルなスピード勝負に持ち込んだことで怒涛の2連取を達成。好調な出だしとなった。

▲若さあふれるスピーディーな入力で無冠の帝王に立ちはだかるゆたゆた選手(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=11285s)
このままゆたゆた選手が勝利をもぎ取るのかと思いきや、3ラウンド目になって潮目が変わる。くわな選手の持ち味である柔軟性が発揮され、正確性重視の試合運びにシフトする。
スピードは相変わらずの速度を誇っていたゆたゆた選手だが、堅実に95%以上をキープしたくわな選手が徐々に返していく展開に。

▲怒濤の追い上げでマッチポイントを迎えたくわな選手。7ラウンド目では今大会最速に近い1569kpmを叩きだすシーンも(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=GyuwBshab5nPq-3C&t=11981)
結果は5:2と一気にギアを上げたくわな選手の逆転勝利となった。

▲3年来の悲願をついに達成したくわな選手。感無量の表情が画面越しからも伝わる
試合終了直後のインタビューでくわな選手は「何も考えられなくて——無我夢中で目の前のワードと向き合っていました」と決勝戦での心情を吐露し「実感が湧いてなくて、不思議な感じです」と自身の優勝に関してもまだ身に沁み切っていない様子だった。興奮冷めやらないとは正にこのことか。身体に溜まり切った熱を放出するかのように、何度も天を仰いでいた。
一方で決勝戦については「緊張しました」と語るゆたゆた選手。初出場のRTCに関しても「楽しめた」と返答し、「正確性が少し低いので、もっと正確性を高くする練習をしたいです」と、さっそく現状の改善点と今後の練習内容についてもふれていた。これには解説の隅野さんも「来年が怖いですね」と満面の笑み。
将来有望なモンスター小学生。負けてなお天晴れな受け答えであった。

くわな選手、ゆたゆた選手のショートインタビューをお届け
最後に、試合を終えた両選手にインタビューを実施したので、その様子をお届けしよう。
準優勝:ゆたゆた選手 ショートインタビュー

▲優勝はできなかったものの、晴れやかな表情のゆたゆた選手
——準優勝おめでとうございます! 今のご気分はいかがですか?
ゆたゆた:うれしいです。
——初出場で準優勝しましたが、普段は何時間ほど練習をしているのでしょうか。
ゆたゆた:あまり意識はしてないですが、いつもは2〜3時間くらいタイピング練習をしてます。土日は多分8時間くらいやっています。
——普段の練習ではどのようなソフトを使っているのでしょうか。
ゆたゆた:タイピングチューブ、ポップタイピング、打鍵トレーナーなどを使っています。
——RTC 2025は素晴らしい結果となりましたが、来年も参加しますか?
ゆたゆた:はい、来年も出たいです
——ゆたゆた選手、ありがとうございました!
優勝 くわな選手 ショートインタビュー

▲優勝トロフィーである黄金のキーボードを掲げるくわな選手
——優勝おめでとうございます。今大会に向けてどのような練習を実践してきましたか?
くわな:大会直前の期間だと、平日は多くても3時間ほど練習していました。休日はなかなか体力も持たないこともあって6時間が限度でした。
——競技タイピングを始めたのは大体何歳の頃からでしょうか?
くわな:小学校2年生の頃から競技としてタイピングをさわり続けているので、20年ほど続けています。
——20年も続けているんですね!大会での優勝経験はRTC2025が初となるのでしょうか。
くわな:学生の頃は年齢別タイピング大会で優勝経験などもあったんですけれど、社会人になってからは今回のRTC 2025が初めての優勝になります。
——くわな選手自身の強みはどのような所にあると思いますか?
くわな:自分の強みは相手を分析して戦い方を変えられることです。普段は『VALORANT』というゲームをプレーしているんですが、そちらの方では相手の弱点を突くようにプレーしているので、そういった思考法をタイピング競技でも応用してます。
——今回RTC優勝を達成しましたが、来年以降の目標などはあったりしますか?
くわな:実は正直迷っていて……。年齢的にもかなり限界に近付いているので、来年以降についてはまだ決めてはいません。だからこそ今回の優勝はうれしくてたまらなかったですね。
——インタビューありがとうございました!
まとめ
これにてRTC 2025は閉幕となった。振り返ってみると今期のRTCは、転換点ともいえる大会だったかもしれない。RCTといってまず思い浮かぶ選手は4連覇を達成したmiri選手、そして2024年度に優勝した三八木選手だろう。
これらの歴代チャンピオンがRTC 2025では不参加となってしまったのだが、だからこそ初出場者だらけの新風吹き荒れるRTCになったともいえる。
また今回は一般向けの観戦者を入れずにスタジオ内で大会を開催した。こういった形式も今までのRTCとは異なっている。よりフォーマルな大会として、番組制作を意識した座組になっているといえよう。
そして途中のエキシビションマッチもしかり、猫麦とろろさんの登場もしかり、より広い層に大会の面白さを伝えたいという制作側の強い想いを感じる。
RTCも時勢の波に合わせて変化・進化していくしかない。そういった意味では今年のRTCはまず間違いなく成功した年なのではないだろうか。こうなってくると来年のRTCにも同様の期待を抱かざるを得ない。どういった変化をもってタイピング競技の裾野を広げ、拡張していくのか。
来年もまた注目の年になりそうだ。
【番外編】裾野を広げるエキシビションマッチ
実は本大会ではゲスト同士がタイピングで戦うエキシビションマッチも開催された。選手たちのすごさやタイピングの面白さを実感するために、司会陣4人が肌を脱いだ形だ。こういった大会で司会陣全員がプレーヤーとして参加するのはなかなか珍しい試みかもしれないが、RTCの裾野を広げる上では重要な試みともいえる。

ちなみに解説の隅野さんは別格の存在なので、このエキシビションマッチではプレーヤーとしては参加せず解説に徹した。

観戦者からの野次にたじたじな様子の篠原さんだったが、どうにか優勝。終始和やかな雰囲気の中、エキシビションマッチは終了した。

試合中に「なぜテレビ局を辞めたのですか?」という野次には動揺を隠せず「それっ、結構クリティカルなやつっ!」と思わず言葉に詰まったシーンも(笑)。
こういった遊び心を持ちつつも、知名度向上にも目を向けているのがRTC 2025のスタイルだ。
実は本大会ではゲスト同士がタイピングで戦うエキシビションマッチも開催された。選手たちのすごさやタイピングの面白さを実感するために、司会陣4人が肌を脱いだ形だ。こういった大会で司会陣全員がプレーヤーとして参加するのはなかなか珍しい試みかもしれないが、RTCの裾野を広げる上では重要な試みともいえる。

▲スペシャルマッチとしてしっかりとトーナメント形式で実施されたエキシビションマッチ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=7811s)
ちなみに解説の隅野さんは別格の存在なので、このエキシビションマッチではプレーヤーとしては参加せず解説に徹した。

▲観戦枠には特別ゲストとしてVTuberの猫麦とろろさんも参加
観戦者からの野次にたじたじな様子の篠原さんだったが、どうにか優勝。終始和やかな雰囲気の中、エキシビションマッチは終了した。

▲決勝戦はタイピング歴のある貴島明日香さんと篠原さんの対決。試合中ヤジが飛ぶという前代未聞の環境に篠原さんもたじたじ。こういった遊び心があるのもエキシビションマッチならでは(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=8852s)
試合中に「なぜテレビ局を辞めたのですか?」という野次には動揺を隠せず「それっ、結構クリティカルなやつっ!」と思わず言葉に詰まったシーンも(笑)。
こういった遊び心を持ちつつも、知名度向上にも目を向けているのがRTC 2025のスタイルだ。
■関連リンク
REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025 アーカイブ:
https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=TzzR-LfyQW9f-2VL
REALFORCE 公式ウェブサイト:
https://www.realforce.co.jp
REALFORCE 公式X:
https://x.com/TOPRE_REALFORCE
撮影:gappo3
編集:いのかわゆう
gappo3 プロフィール

『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。
X:https://x.com/gappo3gappo3

『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。
X:https://x.com/gappo3gappo3
関連記事
-
- 【結果速報 8月17日】「EWC 2025」鉄拳8部門はUlsan選手が大会初の2連覇達成!
- 2025年8月13日(水)〜16日(土)にサウジアラビア・リヤドで開催された「Esports World Cup 2025」(EWC 2025)『鉄拳8』部門が開催され、Ulsan選手が2024年に続き「EWC」2連覇を達成した。Esports World Cup 2025とはサウジアラビア・リヤドで開催される、世界最大のeスポーツイベント。24タイトル、25トーナメントが行われ、賞金総額はeスポーツ史上最高の7000万ドル超(約100憶円)。個人表彰だけでなく、チーム対抗戦として「Club Points」で競い合う要素もある。 Esports World Cup 2025 鉄拳8部門 結果発表 本戦は32人からスタート。ファーストフェーズは4人ずつ8グループに分かれて上位2名が、セカンドフェーズは4人ずつ4グループに分かれて上位2名が、ダブルエリミネーションで勝ち上がっていく。そして、トップ8の決勝トーナメントとなるサードフェーズは、シングルエリミネーションの一発勝負で頂点を目指す。トップ8は、日本のピンヤ、チクリンが勝ち上がっているが、強豪国として有名なパキスタン勢がセカンドフェーズで軒並み脱落。一発勝負のトーナメントはすべて先に5セット取った方が勝利となる過酷な勝負は、ピンヤ、CBMを下したULSANと、チクリン、JeonDDingを下したLowHighの同郷対決に。互いに手の内を知り尽くした5先という長丁場の対決は、まさに一進一退の攻防。ULSANが2ゲームを取るとLowHighも2ゲームを取り返しイーブンに持ち込む。セットカウントも2-2と一歩も譲らない中で、一撃差のタイムアップでULSANが3-2に持ち込むと一気に勢いを増し、そのまま3ゲーム連取の5-2でULSANが勝利した。これでULSANは、「EWC」史上初の2連覇を達成。賞金25万ドルを獲得した。なお、3位決定戦はCBMとJeonDDingの対決。CBMが仁でJeonDDingのエディを3-0で封じ込めると、JeonDDingはアンナで2本取り返す。しかしうまく対応したCBMがさらに2本を奪い、5-2で3位を獲得した。順位所属チーム|選手名1 Freecs / ULSAN 2 DRX|LowHigh 3 Freecs|CBM 4 Team VitalityTeam Vitality 5 DRX|Mulgold = VARREL|ピンヤ = Zero Tenacity|qudans = THY esports|チクリン 配信URL 【配信】DAY4(日本語配信) ■関連リンクstart.gg:https://www.start.gg/tournament/evo-2025/event/tekken-8EVO公式X:https://x.com/EvoEVO公式サイト:https://www.evo.gg
-
- 【現地レポート】高校生eスポーツ日本一を決める祭典が「大阪・関西万博」で開催! プロ顔負けの熱い試合に会場は大盛況——「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2025」
- 全国の高校生によるeスポーツ日本一を決める祭典「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2025」が、8月15日(金)~17日(日)にて開催された。特に1番目の競技タイトルは『VALORANT』、全国ベスト4のチームが一堂に会し、熱いバトルを繰り広げる。▲3日間にわたり、計7種目の競技が実施される。15日(Day1)は、ライアットゲームズの『VALORANT』と『リーグ・オブ・レジェンド』の2タイトル そして本イベントが開催されたのは、なんと「大阪・関西万博2025」の会場内。夢洲駅を抜け、会場内に入ると、出迎えるのは超巨大な大屋根リング。そしてイベントが行われるのは、大屋根リングの外周を少しまわった先にあるホールだ。現地の来場者は自由に会場へ入ることができ、観客席には飛び入り参加の方も非常に多かった。▲大屋根リングは生で見ると圧巻の大きさ! この暑い日差しの中、休憩スペースとしても大活躍だ ▲限定デザインのタオルが先着で無料配布。汗を拭いつつ、応援もできるという一石二鳥のグッズ ▲コカ・コーラのテイスティングも実施。キンキンに冷えたコーラは、火照った体を冷ますのに最適だ ▲大会アンバサダーのアンガールズ・田中卓志(左)。スペシャルサポーターのアルコ&ピース・平子祐希と酒井健太(中・右)が登場。芸人がいることでトークもいっそうと盛り上がる ▲観客の多くは、たまたまこの日万博に来ていた来場者がほとんど。ゲームの詳しいルールまでは知らなくとも、場を盛り上げる実況解説と、高校生たちのが見せる熱い試合展開に、会場からは非常に温かい歓声が上がっていた ▲フィストバンプ(グータッチ)を交わし、自身の席へと向かう選手たち。お互いの健闘を称え合う、いわば試合前の挨拶だ 若さが光るアグレッシブな試合展開 昼過ぎから行われた決勝戦では、ルネサンス「Across」 vs ルネサンス豊田「大阪に行くために」の、日本一を決める最後の戦いとなった。▲「大阪に行くために」(画面右)は、驚きの3センチネル構成だ。サッカーに例えるとフォワードがいない状態だという 「Across」が選択したマップはロータス。古代遺跡をモチーフにした、3つのサイトを持つ比較的広めのマップだ。そんな中で、「大阪に行くために」は近年稀に見る3センチネル構成を選択した。▲守備を得意とするキャラクターばかりで、本来ならば攻撃側は苦手なはずだが、攻撃側スタートの「大阪に行くために」は最序盤からラウンドを連取 4点差をつけられた「Across」だったが、特に攻守が交代すると徐々に反転攻勢をかけはじめる。▲試合中盤、8-8という同点の展開にまで持ち込んだ「Across」 だがここで「大阪に行くために」が先に9:12でマッチポイントを決める。13点を獲得すれば勝利のところ、このままあと1点を取りきれば勝利だ。しかし、対する「Across」もこの崖っぷちの状況の中で見事な逆転劇を見せる。22ラウンド目、23ラウンド目と「Across」はギリギリのところで持ちこたえ、じわじわと追いついていく。波乱の展開となり、会場内は声援が飛び交っている。▲早々にマッチポイントを決めた「大阪に行くために」だったが、それに必至に喰らいつく「Across」。1対4という人数不利をひっくり返す見事なクラッチで、会場を大いに沸かせた(https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=eQ6QJoJULlHGC8b4&t=18227) ▲「大阪に行くために」のメンバーにとっては、非常に苦しい展開。背後から追いつかれ、プレーにも焦りが滲み出る しかし迎えた24ラウンド目、堅い守りで徐々に人数を削り、相手を翻弄する「大阪に行くために」。逃げるようにして遠くのサイトへ移動する「Across」だったが、最後は「大阪に行くために」へ軍配が上がった。▲Aサイト、Bサイトとことごとく止められ、消去法で選んだCサイトだったが、人数差にあらがうことはできなかった(https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=rGi9RHP0rw25GtCF&t=18370) ▲優勝の瞬間、思わず抱き合う選手たち。会場からは温かい拍手が湧き上がった 優勝チーム囲みインタビュー ▲優勝チームのルネサンス豊田(大阪に行くために)のメンバー。左からイクラはいくら、reia7sh(れいあ)、JackReacher(じゃっくりーちゃー)、インスモークサンジ、sunday(さんでー)、ursus(あーさす) ——皆さん、ご優勝おめでとうございます。全員:ありがとうございます!——優勝して、率直な感想をお聞かせください。イクラはいくら:優勝できて、めちゃめちゃうれしいです! 緊張ですごくテンパったりしていたんですが、今回の大会で次に向けての課題を見つけられてよかったです。reia7sh:ちょっと危ないところもあったけど、後半になるにつれて、落ち着いていつも通りにプレーができ、優勝することができました。JackReacher:STAGE:0に懸ける思いは段違いだったので、すごく緊張しましたが、この大舞台で優勝できて良かったです。インスモークサンジ:優勝できてめちゃくちゃうれしいです。練習が報われました。sunday:今年はリザーバーとして試合に出場することはなかったんですが、みんなが2連覇を勝ち取ってくれてうれしいです。ursus:もう率直に、超うれしいです。——この万博内で実際にプレーしてみて、なにか感じたことはありますでしょうか?イクラはいくら:会場がすごくデカくて、より勝とうという思いがありました。JackReacher:この先、生きているうちにこの大阪という地で万博が開催されるかどうかは分からないので、そこに足を踏み入れることができてとてもうれしいです。——今大会では、大阪府からのeスポーツに対する支援があったかと思います。環境面など、この支援について感想をお聞かせください。イクラはいくら:当日の車での送迎だったり、できるだけ体力を使わないようにしてくださったので、体感でいつも通りのパフォーマンスが出せるようになったかなと思います。JackReacher:日本ではまだeスポーツが浸透しているとは言えない中で、大阪府がこのような支援をしてくれてとてもうれしかったです。インスモークサンジ:全体的な支援は物すごく厚かったので、選手目線ですごく助かりました。——このSTAGE:0という晴れ舞台、そして今回の勝利が、皆さんにとってどういったものだったか教えてください。reia7sh:STAGE:0は、同い年とか、自分と歳の近い人が出場できる数少ない大会だと思います。ここまでチームで勝てて良かったと思います。JackReacher:高校生活の中で3回しかなく、1年1年が貴重なので、やっぱり練習をすればするほどうまくなって勝つ確率も上がることが実感できました。sunday:このSTAGE:0は、高校生にとっても一種の青春でもあるし、新しい選手の芽を見つけることができる場所でもあるので、もっとこういった大きな舞台がたくさん開催されてほしいですね。勝利については——正直、1年生から3年生の間で3連覇したかったけど、今回は去年のメンバーとともに2連覇を達成することができてうれしいです。ursus:STAGE:0のために、このメンバーで集まって毎日練習してきて、めっちゃ頑張ってきたので、今日はちゃんと勝ちきれてすごくうれしいです。▲優勝トロフィーを掲げる「大阪に行くために」のメンバーたち ——普段の練習というのは、どういうことをされているのでしょうか?reia7sh:スクリム(練習試合)の相手を外部で募集できるサイトがあるんですけど、そこでよくプロチームなどとスクリムをしています。——決勝戦では3センチネルという尖った構成を使用していましたが、これはどういった意図だったのでしょうか?インスモークサンジ:ほとんどのチームがやらない構成なので対策されづらいし、その上セットアップも多くて刺さりやすいという感じだったので、強かったですね。——後半、少し相手に追いつかれる展開もありました。その中で最後勝ちきれた要因とは何でしょうか?ursus:タイムアウト中にコーチが「絶対勝てるよ」と声を掛けてくれて、だいぶ緊張がやわらぎました。▲焦る選手たちを落ち着けるかの如く、コーチによりタイムアウトが発動。選手たちは明確に、このタイムアウトが勝利の要因だと答えた ——チームメイトやコーチ、ご家族などに感謝を伝えたいと思う方がいれば、少し教えていただきたいと思います。JackReacher:お母さんに感謝したいと思います。お母さん……eスポーツは嫌いなんですけど(一同笑い)JackReacher:ゲームそのものが嫌いなんですけど、それでも自分がプロゲーマーになりたいと言うと、それを信じていろいろな支援をしてくれて、ここまで来れたということがすごくうれしいです。サプライズゲスト登場!ステージに現れたのは、まさかの吉村大阪府知事 この日の夕方、『League of Legends』部門の決勝戦が行われる直前のこと、突如としてステージに登壇したのは、この大阪・関西万博開催の立役者である吉村洋文大阪府知事であった。▲報道陣も直前に知らされた知事の登壇。ステージから降りた後、このあと実施される『LoL』部門の決勝戦を観戦していた アンガールズ田中:大阪府は結構eスポーツにも力を入れていると聞いたんですけども。吉村知事:「eスポーツといえば、大阪」と……呼ばれてませんが! そうなれるくらい力を入れたいと思って、今進めています。アンガールズ田中:(STAGE:0は)ずっと東京で開催していたんですけども、万博でやるということで、こちらでやらせていただいて。凄い盛り上がってるんですよ、朝から。吉村知事:ほんまですか?アンガールズ田中:いやいやいや、めちゃめちゃ朝から何回も鳥肌が! 大阪で言うと「さぶいぼ出てもうて~」吉村知事:さぶいぼね(笑)▲「このSTAGE:0が、できればまた大阪でやってもらえたら……」と、知事自ら誘致活動。試合に出場する高校生たちにエールを送りつつ、大阪府全体でeスポーツを盛り上げていくことを宣言した(https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=g56ISY_Wew0tIkCQ&t=31209) ——— 今回のイベントで興味深かったのは、明らかに観客層が通常のeスポーツイベントとは異なっていた点だ。もちろん観客の中には、ゲームのルールを理解している人も多少いたが、その他大勢はeスポーツの試合を見ることすら初めてだという人も多かった。老若男女、本当に幅広い人々が観戦をしていた。だからこそ、競技シーンならば当たり前の「どちらかのチームを応援する」という現象が、今回はあまりなかった。むしろ「どちらも頑張れ」という、温かい声援と拍手が印象的だった。一昔前の価値観からすると考えられないというか、先人たちの努力もあってここまで社会に受け入れられてきたのだと、特に肌で感じた大会であった。今後、日本の競技シーンやその芽となる学生たちにとって、よりいっそう活躍の舞台が広がっていくことを期待したいと思う。なお関西に住む筆者としては、多くのゲーム系イベントが東京で開催される中、このようなイベントを大阪で開催してくれるのは非常に喜ばしい。「eスポーツといえば大阪」と言われるようになるまで、ぜひこの万博をてこにして頑張っていただきたい。■関連リンクSTAGE:0(ステージゼロ)|全国高校対抗eスポーツ大会 公式サイト:https://stage0.jpSTAGE:0(ステージゼロ) 公式X:https://x.com/stage0_jp配信アーカイブ:https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=T9SHUhK4YB-e8lHq撮影:まいる編集:いのかわゆう【まいるプロフィール】関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
-
- 【結果速報 8月10日】 「LCP 2025 Season Finals」 注目の日本チーム直接対決はSHGに軍配!
- 『リーグ・オブ・レジェンド』のアジア太平洋リーグ「LCP 2025 Season Finals」のグループステージ フェーズ1が8月10日(日)に行われ、日本のFukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)とDetonatioN Focus Me(DFM)の直接対決で、SHGが2-1でDFMを下した。グループステージ フェーズ1は、「Mid Season」の順位に応じて4チームずつ2つのグループに分けられ、上位グループと下位グループの勝敗数によってフェーズ2での有利不利が決まる。SHGとDFMはともに1勝1敗での直接対決で、勝った方がフェーズ2に有利な位置で挑める。1vs1はEvi vs Aria ピック順を決めるための1vs1はSHGのEvi選手とDFMのAria選手の対決。Evi選手はヴァルスでAria選手のイレリアを遠距離から攻め立てるも、Aria選手の攻め+タワーダメージで1キルを獲得。アイテムで強化したAria選手はアルティメットからまとわりつき、見事に勝利した。互いに一歩も譲らない好ゲーム ゲーム1はDFMがブルーサイドを選択。タワーや視界の有利を広げてアタカンを狙うSHGは、近づいてくるDFMを待ち受けて迎撃。ここからゴールド差と視界をさらに広げたSHGがまずは勝利した。ゲーム2はSHGがレッドサイドを選択。DFMはボット・トップともに相打ち覚悟で序盤にキルを奪うと、そのゴールド有利をさらに伸ばして1勝を取り返す。Bo3最後のゲーム3もDFMはブルーサイドを選択。DFMが有利で試合を進め、タワー、ゴールドともにDFM有利で迎えたアタカンファイトで、人数有利を取られたSHGがDFMを追い返しアタカンもリセット。ドラゴンをめぐる集団戦ではEvi選手のエンゲージから勝ち切り、そのままドラゴン&バロンを獲得。育ったMarble選手のカイ=サ、FATE選手のサイラスが止まらず、ゴールド差も逆転すると、じっくりひとつずつタワーを破壊していったSHGが勝利した。LCP 2025 Season Finals グループステージ フェーズ1 SHG vs DFM リザルト ゲーム1 SHG勝利バン&ピック試合結果ゲーム2 DFM勝利バン&ピック試合結果ゲーム3 SHG勝利バン&ピック試合結果最終結果グループステージ フェーズ2は8月15日(金)より この結果を受けてグループステージはフェーズ2に移行。再びグループを組み替えて、プレーオフ進出6チームを目指す。なお、下位2チームは「LCP 2026」への参戦をかけた入れ替え戦を行う。グループステージ フェーズ2は8月15日よりスタートする。© 2025 Riot Games, Inc. Used With Permission■関連SNSLoLEsports:https://lolesports.com/ja-JP/■配信URLTwitch:https://www.twitch.tv/riotgamesjpYouTube:https://www.youtube.com/LoLeSportsJP
-
- 【試遊レポート】知ってる『バトルフィールド』が帰ってきた!——“あの頃”の戦場が美しく、パワーアップして、正統進化してくれた!
- 『バトルフィールド6』が、遂にお披露目を迎えた。香港ではマルチプレーヤーのイベントが開催され、日本からメディアとコンテンツクリエイターが招待。開発者へのQ&Aセッションや、マルチプレーヤーモードを実際にプレーする機会を得た。本稿では、そのなかで数時間プレーした内容とインプレッションをお届けする。結論から述べると「バトルフィールドが帰ってきた」ということだ。『バトルフィールド3』および『バトルフィールド4』の正統続編である印象を受けた。大量のビークルが登場する大規模戦闘から、歩兵戦でばらまかれる大量の医療キットまで、地に足のついた現代戦で丁寧にパッケージされている。リベレーション・ピークで体験する大規模戦闘の醍醐味 今回の試遊では、コンクエスト(リベレーションピークおよびエンパイア・ステート)と分隊デスマッチ(エンパイア・ステート)の3つをプレーすることができた。まず「リベレーションピーク」のコンクエストについて。このマップは、戦車、軽車両、戦闘機、ヘリコプターなどが登場し、広大なフィールドとたくさんのポイントを舞台に大規模戦闘を楽しめる。▲乗り物で一発逆転を狙うのもまた一興、ただし操作は難しい 説明しただけで伝わるだろうが、まさに“バトルフィールド”といった具合で、大量の歩兵とビークルがいっせいに駆け出していく様子など、シリーズの醍醐味を存分に味わうことができる。ひとつあたりの拠点はそれほど大きくなく、これまた本作の醍醐味である建造物の破壊も楽しむことが可能だ。戦車がつっこんでいって建物が半壊し、残された残骸に敵兵たちが必死に隠れているなど、『バトルフィールド』らしい景色が最もよく見られるマップだ。▲同乗する味方があらぬ方向を撃っているのもまた、『バトルフィールド』 今回の試遊では、一時的に自チームがすべての拠点を制圧し、敵チームのスポーン地点を取り囲むという事態に陥った。これもまた『バトルフィールド』だ。しかし気付けば後ろの拠点が徐々に制圧されていき、最終的には競る結果となった。気付いたら敵が抜けていたり、ヘリコプターや戦闘機(をタクシーのように使った敵歩兵)などの活躍で、注目のそれた拠点が一気に奪取されたりと、なんとかチャンスをつかもうとあがく姿もまた『バトルフィールド』だ。▲そこかしこで爆発で起きているのもまた、『バトルフィールド』 エンパイア・ステートが魅せる歩兵戦の真骨頂 もうひとつのマップ「エンパイア・ステート」は、お披露目トレーラーでも象徴的なブルックリンの街中を舞台とした、歩兵のみで展開されるコンクエストだ。▲ブルックリン橋が象徴的なマップ こちらは大量の歩兵が躍動する“ひとりひとりのパワー”がものを言う、『バトルフィールド』が持つもうひとつの側面だ。具体的には、大量の歩兵がまわりでバタバタと倒れていき、除細動器(蘇生するガジェット)を手にした援護兵がバチューバチューと蘇生していく光景がみられる。これもまた『バトルフィールド』だ。▲絶対起こしても意味がない味方を起こそうとしている図 なお、援護兵の除細動器のチャージは『バトルフィールド4』よりもだいぶコンパクトに感じた。感覚としては『バトルフィールド3』に近く、バチュバチュと蘇生可能だ。また、除細動器を使わない蘇生時には、味方の身体を引きずり、安全な場所に退避しながら蘇生できる。より蘇生のチャンスは増えることになるだろう。▲不毛な撃ち合いもまた『バトルフィールド』 分隊デスマッチはカジュアルに撃ち合いが楽しめる 一方の分隊デスマッチは、4人分隊×4チームの16名で戦う小規模かつ近接戦闘が楽しめるモードだ。『バトルフィールド3』のDLC「クロースクォーター」を想像してほしい、さらに本作ではそれが多彩に破壊できるようにもなっている。▲ロケーションの数々は視覚的にも楽しい マップはコンクエストよりもこぢんまりとしているが、高低差など一方的な射線で倒されることもザラ。やはり分隊内でのカバーや蘇生といった連携が求められる。(正直筆者はこのモードが『バトルフィールド』に必要は懐疑的なのだが)フレンドとしっかり連携をとって群れを成す動物のように戦場を駆け抜けたいユーザーにとってはうれしいモードだろう。▲味方を引きずりながら蘇生する様子 やはりこれらが現代戦で行えるというのが楽しい。4足歩行ロボットや敵の位置が分かるグレネードなどは(いまのところ)存在せず、いわば「『バトルフィールド4』の続編」くらいの時代感覚で展開される。また、コンクエストでは64人対戦という人数設定とマップデザインもしっかり一致しているようにも感じた。前述の通り、蘇生しまくれるなどある程度のお祭り感がありつつも、適度に裏をとって逆転のチャンスをつかめる絶妙なあんばいになっている印象だ。復活した兵科システムと洗練されたカスタマイズ機能 そのほか、兵科システムもカムバックした。武器2本持ちや体力回復などを持つ戦闘に特化した突撃兵、車両の破壊や修理などを行う工兵、蘇生や医療キットなどで味方をサポートする援護兵、スナイパーライフルなどを持ち敵の位置の索敵などに特化した斥候兵の4つだ。言うなれば『バトルフィールド4』とだいたい同じだ。兵科による武器縛りもなく、自由に選択することができる。▲援護兵の特殊性能 武器のアタッチメントシステムは、武器ごとに最大のアタッチメントポイントが定められ、アタッチメントごとに振り分けられたポイントを考慮しながら、定められたポイントの範囲内でやりくりする。影響力の大きいアタッチメントはデメリットがあったりポイントが多かったりと、調整されている形だ。▲アタッチメントも豊富に用意されている 射撃場も用意されている。武器ごとのページからアクセスできるが、驚くことにほぼロード画面なしでアクセスできる。武器をカスタムし、すぐ試すことができるのはかなり快適だ。それに加え、全体的にインターフェースの動作も良好。不具合にも遭遇しなかった。正式リリース後にどうなるかは定かではないが、いまのところ安心して良さそうだ。▲射撃場の様子、できることそのものは少ないが、その分ロードはない コミュニティと作る姿勢、は言葉だけじゃない 総じて「僕らの知ってる『バトルフィールド』が正統進化して帰ってきた」というところだ。命の価値がめちゃくちゃ軽かったり、逆に重くなったりと、『バトルフィールド』らしいプレーはそのままに、リッチなグラフィックと破壊表現が追加され、より遊びやすくなった「バトルフィールド新定番」になるポテンシャルを感じた。▲イベントは香港の某所で行われ、豪華なセットも用意されていた また、本作の開発に伴い、「バトルフィールドラボ」と呼ばれるコミュニティ向けのクローズドテストも進行していた。そのほか、今回のマルチプレーヤーモードお披露目で得たフィードバックをもとに、さっそくバランス調整が予告されている。こういった細かなコミュニティとのコミュニケーションによって、よりゲームが快適になると、その姿勢を発売前から見せているというのもポイントが高い。本当に『バトルフィールド』が過去の栄光を取り戻そうという気概を感じる。https://t.co/PUmQAp9C2T— Battlefield Comms (@BattlefieldComm) August 4, 2025 ▲随時公式Xで調整内容が報告されている アジアのメディアやコンテンツクリエイターを招待した大規模なイベントとなった。——— 『バトルフィールド6』は2025年10月11日に、PC/PS5/Xbox Series X|S向けに発売予定だ。8月9日~11日、14日~17日の間にはオープンβテストも行われる。詳しくは公式サイトを確認されたし。 ■関連リンクバトルフィールド6 公式:https://www.ea.com/ja/games/battlefield/battlefield-6Battlefield 公式X:https://x.com/BattlefieldBattlefield コミュニティーチーム 公式X:https://x.com/BattlefieldComm撮影:岡野朔太郎編集:いのかわゆう【岡野朔太郎プロフィール】「AUTOMATON」や「Game*Spark」に寄稿するフリーライター。「狭く深く深淵へ」をモットーにシューティングやアクションゲームを貪り食って生きている。オフラインイベントが大好きで、幼少期からゲームイベントに通っているが、いまだに武蔵野線と京葉線は間違える。X:@sakunationninth