国際オリンピック委員会(IOC)は、2027年に開催予定だった「Olympic Esports Games」の開催を見送る方針をホームページにて発表した。

IOCは、2024年にサウジアラビアオリンピック・パラリンピック委員会(SOPC)とのパートナーシップを発表しており、「Olympic Esports Games」の構想についても協議を重ねてきたが、双方で協力を終了することで合意したという。

サウジアラビアは、賞金総額60億円の世界最大のeスポーツ大会「Esports World Cup」(EWC)を開催するなど、近年eスポーツに力を入れており、MOBA、FPS、カードゲーム、格闘ゲームといった人気のeスポーツタイトルを積極的に採用し、世界中のプロプレーヤーが2カ月にわたって熱い戦いを繰り広げた。

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一方で、IOCは過去にeスポーツに関してもオリンピック憲章に則った競技の選定を行うとしており、バトルゲームやシューティングゲームなどの暴力的な表現があるゲームは採用しないと明言していた。準備大会として2023年に開催された「オリンピックeスポーツウィーク」でも、バーチャルテコンドー、野球、射撃(対戦要素のないもの)などを採用している。ただし、これらは人気タイトルやプレーヤーの多いタイトルではなかったこともあり、その実現性と競技としての魅力、プレーヤーの参加意欲に関しては疑問の声も上がっていた。

IOCは発表の中で、サウジアラビア以外のパートナーシップモデルを探すとしているが、サウジアラビアとの関係解消の理由は明らかにされていない。一部では「EWC」の継続と拡大、選定タイトルのゲーム性や暴力性、さらにeスポーツへの投資によりサウジアラビア国内の宗教や差別の問題から目をそらさせる「スポーツウォッシング」の側面があることなどが関係しているという声もある。

IOCとしてはeスポーツについて長期的な取り組みができることを望んでおり、可能な限り早期に大会を実現したいとも述べている。さまざまな課題がある中、次にどのようなアプローチが取られるのか、IOCの動向に注目が集まっている。

IOC Olympic Esports Series:https://www.olympics.com/ja/esports/olympic-esports-series/
IOCの発表:https://www.olympics.com/ioc/news/ioc-statement-on-the-olympic-esports-games
Saudi Olympic & Paralympic Committee:https://olympic.sa/

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