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Paz選手:LoLってメレー(近接)とレンジ(遠隔)で2つのタイプのチャンピオンに分かれるんですけど、ジェイスはそのどちらにもなれるじゃないですか。なので、プレイの幅が一番広いチャンピオンだと個人的には思っていて、触ってて一番楽しいです。 ——なるほど、すごく納得しました。Raina選手は好きなチャンピオンにパンテオンを挙げてましたが、競技シーンでは夏のプレイオフになって初めて見せたピックでしたね。やっぱりパンテオンの強い所が好きなんですか? Raina選手::強いという点もそうなんですが、パンテオンは僕がLoLを始めてトップレーンをやっている時から触っていて、評価が上がってきたからというよりはリメイクされる前からパンテオンというチャンピオン自体が好きでしたね。 ——リメイク前からパンテオンは一部の層に人気のあるチャンピオンでしたよね(笑)自己紹介頂きありがとうございます。では改めまして、LJL サマーのプレイオフをV3が初めて制覇し、Worldsへの出場を決めた今の気持ちを聞かせてください。 Raina選手::これPazさんからにしますか? Paz選手:Rainaさんでいいんじゃない? Raina選手::あ、じゃあ先に僕から。もちろん、優勝することを目標にしていたんですけど、なんか、優勝した実感が湧かなかったです。夢のような感じでした。「あ、俺たちでいいのかな。俺でいいのかな。」という感覚に近かったですね、優勝した時は。 ——なるほど。5戦目が終わったタイミングでカメラがステージの方に向けられて、かなり感極まっている様子のRaina選手が映っていたのが印象的だったんですが、あれは嬉しくてっていう気持ちが強く表れてましたか? Raina選手::そうですね... 嬉しくて自然と、気づいたら涙が出てました。あれ負けてても涙出てたと思うんですけど(笑)ほんとに、「優勝できたんだ」っていう嬉し涙でした。 ——見てる側としてもグッとくるものがあるシーンでした。やっぱり達成感は強かったですか。 Raina選手::ありましたね。もう、最初1勝2敗まで行った時は「もうだめなのかなあ...」と思ったんですけど、そこから逆転して優勝できたのでその分嬉しさがかなり違いました。負けてからの勝ちだったので。 ——コーチからの勝ちイベントが出たってインタビューでおっしゃってましたけど。 Raina選手::そうですね!お守りもらった時は、「これでもしかしたら流れ変わるのかな。」と思ったらほんとに変わったので、HW4NGコーチはよくここで、すごいタイミングで渡してきたなと思いました(笑) ——まさに勝ちイベントですね。あのお守りはチームの選手全員に配られているものなんですか? Raina選手::そうなんですよ。お守りはチーム全員に配られているもので、実は、僕は最近持っていくの忘れることが多かったんです。多分、忘れてるってことに気づいて渡してくれていました。 ——なるほど(笑)Paz選手はいかがでしたか。 Paz選手:僕は試合後のインタビューでも話したんですが、今回は勝てるなって元々思っていて、特に5試合目はバンピックの段階でこれは勝てると感じたので、すごい嬉しい!というよりはホッとしたという気持ちが大きかったですかね。今年はチームとしても個人としても頑張ったなと思ったシーズンだったので、報われてよかったなという安心感がすごく出てきた感じがしました。 ——本当におめでとうございます。バンピックの段階で勝てると感じたのはどういった所からでしょうか。 Paz選手:まず、DFMはダイブが難しい構成だけど、僕たちは簡単にダイブできるピックが取れていたのと、相手のキャリーであるジンはタワーを殴るのが苦手なチャンピオンだったのでスワップをしようという話になって、「あ、これはいけるな」って感じましたね。 ——当日の放送でも5戦目のバンピックはキャスター陣、コメント共にざわついていました。さきほど、今年はチームとしても個人としても頑張ったとおっしゃっていました。個人的に、今シーズンV3 Esportsは圧倒的な強さを見せていたと思います。新体制でチームがスタートして、春はシーズン、プレイオフ共に3位という戦績でした。振り返ってみて今年の夏はどんなシーズンでしたか。 Paz選手:そうですね... あんまり良くない表現かもしれないですけど、去年のシーズンって正直、Worldsに行くのが難しいかなって思ってプレーしてたシーズンだったんです。「DFMには勝てないんじゃないか」って。でも今年は「勝てるな!」って気持ちを持ってプレーできたんです。逆に、勝てるからこそ、Worldsへの道が見えているからこそ、精神的なプレッシャーは大きかったと思います。自分が下手にやれないというか... そういう意味では辛かったシーズンでした。 ——2019年のDFMは圧倒的でしたね。CGAのパフォーマンスも素晴らしいものでした。 Paz選手:圧倒的だったのももちろんなんですが、自分たちが上手じゃない面がたくさんあって、他のチームと比べて実力が足りてないから「勝てないな」って思っちゃってたんですよね。今年は、それがあまり感じられなかったので。 ——今年は新しい選手が3人加入して新体制で臨んでいる中でも、自分たちの成長を実感できた1年だったんですか? Paz選手:春はコミュニケーションの面で難しいことが大きかったです。日本語でのコミュニケーションが本当に難しくて、夏はかなりそれも改善されてきたので、いけるかなという気持ちも大きくなりました。 ——パフォーマンスの面というよりはコミュニケーションの面で課題があって、それが夏で修正できたということですね。では、新しく加入した側の選手としてRaina選手は今年の国内シーズンはどんなシーズンでしたか? Raina選手::今年は、いままで経験したことがない課題がたくさんあって、「こんなことも起こるのか」みたいな感じで苦労した1年だったと思います。僕だけではなくてみんなが中々大変で(笑) でも、その困難を乗り越えていくたびに、チームとしてまとまっていって、結果、夏につながったのかなと。僕自身も、このメンバーだったら優勝を狙えるなと思ってプレーしていて、「こんな優勝できるチャンス今後ないかもしれない、ラストチャンスだ。」と思って、特に夏は「頑張ろう。」という気持ちが強かったです。そんな中で本当に優勝できたので、素直に嬉しいです。 ——やっぱり嬉しい気持ちは大きいですか。 Raina選手::大きいですね、本当に。自分は、プロに入るきっかけがDFMへの憧れだったので、そのDFMに決勝で戦って... しかも勝てたので、本当に嬉しさは大きかったです。 ——今まで経験したことない困難がたくさんあったとさきほどおっしゃっていましたが、具体的にはどんな困難があったんですか? Raina選手::なんていうんですかね、個人個人の性格の部分でぶつかることが結構あったんです。ちょっともめ事が多かったって印象でした。そこが本当に苦労しました。やっぱり、そこは選手として活動していく中で一番ストレスがかかる部分だと思っています。でも、プレッシャーはあまり感じることなくプレー出来てました。去年、『Sengoku Gaming』にいたときに、PoohManDuコーチとBlank選手が入ってきたときはすごくプレッシャーを感じたんですけど、『V3 Esports』にきてからはそういったプレッシャーは感じることがなかったですね。 ——お互いのぶつかり合いを通してより仲を深めたという感じだったんですね。お二人から見て他の3選手(Bugi選手、Ace選手、Archer選手)の印象はどんな感じですか? Raina選手::僕は元々知らなかったんですけど、Bugi選手は昔派手なことをやっていたと聞いて、「どういう選手かな」と思っていました。チームに加入する前はイメージが難しかったんですけど、実際に一緒にプレーしてみると「やんちゃで幼い選手」という印象でしたね。なんか中学生くらいの選手を見ている感じです(笑) Archer選手は自分の相方なんですけど極度の負けず嫌いで、負けん気が強いんだなというのが伝わってきました。 Aceは唯一V3に入る前から交流がある選手だったので、チームに入ってからも絡みやすかったです。僕が放送している時とかも顔出しにきてくれていたりしたこともあって、打ち解けるのも早かったと思います。 ——なるほど。じゃあ、Raina選手から見てPaz選手はどんな存在ですか(笑) Raina選手::これずっと言ってなかったんですけど...(笑)Pazさんもかなり憧れの存在だったんです。 Paz選手:あ、そうなんだ(笑) Raina選手::そうなんです、ほんと恥ずかしくて言えなかったんですけど(笑)今でも「さん」付けしているのはそれがあるんですよ。 Paz選手:あぁ...(納得) Raina選手::呼び捨てで呼べる存在じゃないと思っているので。同い年なんですよ、Pazさんと僕は。同い年なんですけど、僕がプロになりたいと思っている時から、Pazさんはプロで活躍していて、憧れていたDFMにも所属していましたし優勝経験もあるので...。”尊敬”がでかいですね、本当に。 ——ありがとうございます(笑) Paz選手:(笑) Raina選手::今まで言ったことなかったんですけどね... ——では、逆にPaz選手からみて、まずRaina選手はどんな印象ですか? Paz選手:そうですね。かなり興味をそそられる選手でした。やっぱり、LJLって日本人のサポートがすごく少ないので。正直、『Sengoku Gaming』にいるときはどんな選手かわからなかったんですよね。でも、KRランクもかなり頑張って回しているってのは聞いていて。一緒にプレーしてみると凄く努力家だなということがわかりました。あと、自分のこだわりがあるっていうのが凄くいいなって思います。自分のこだわりやプレースタイルがある選手が、僕は日本の中で上手い選手だなって思っていて。日本の上手い選手ってみんな自分の中に勝ちパターンみたいなやつがあるんですよ、キャリーの仕方みたいな。なので、日本の中だとトップレベルの選手になったんだなぁと、最近試合を見返していて思いました。 ——おぉー! こうおっしゃられてますけどどうですか(笑) Raina選手::いや...、ありがとうございます(笑) 一同:(笑) Paz選手:ただ、その…最初に入ったときは正直ちょっと「んん~?」って感じだったんですけど(笑)あれ?みたいな(笑) Raina選手::はっはっは(笑) Paz選手:でも、一緒にいっぱいやっていくうちに、こうしてほしいという要望を受け入れて、どんどん行動に移してくれる人だったので、すごくやりやすかったです。 ——正直な感想をありがとうございます。少し話が脱線してしまいましたが、今年新しく加入したBugi選手とArcher選手の印象はどうですか? Paz選手:Rainaと同じですね。あと、二人とも似ていると思います。負けず嫌いだし、我も強いところとか。 ——なるほど。試合内のコールや指示出しは誰が中心となっていますか?個人的にはPaz選手が行っているのかなという印象があります。 Paz選手:うーん。僕とBugiがチーム全体をどう動かすみたいな話を比較的多くしているかもしれないですね。ただ各個人、自分は何ができるのかを各々報告するので、みんなよく喋るチームだと思います。 ——それはプレーからも凄く伝わってくる気がします。誰でも集団戦の起点になれるしサポートにもなれるという印象があります。それが他のチームと比較して、ヘラルドやドラゴン前などで起こる少数戦の上手さに繫がってるのかなと。 Paz選手:それもあります。あと、僕たちはフィードバックするときにも戦いのフィードバックが多いので、その中で「このチャンピオンはこうやって動かすと強い」というパターンを各々が意識できているのが大きいと思います。 ——戦闘面でのフィードバックが多いというのは大きな特徴ですね。フィードバックの流れでコーチ陣について伺いたいのですが、プレイオフを見てHW4NGコーチとSonコーチは凄く対照的だなと思いました。ハウス内の雰囲気はどうですか? Paz選手:そうですね。HW4NGコーチはお父さん、Sonさんは1個上のやんちゃなお兄ちゃんみたいな... 面倒見はすごくいいんですけど、悪ノリするところは悪ノリしたり、感情的になったりする感じで、二人とも面白いですね。 Raina選手::LJLの時にインタビューで語ったんですけど、HW4NGコーチは「優しさの塊」みたいな感じなんですよね。SonコーチはPazさんが言っているみたいに、結構感情的になったりすることもありますし、ノリは選手に近いかなと思いますね。HW4NGコーチが選手に近いというよりかは、上の立場のコーチとして居るという感じですね。 ——試合が終わった後、真っ先にSonコーチがステージにあがってきていましたね。二人のコーチで上手く役割分担できているという感じが伝わってきました。では、プレイオフの戦術面について詳しくお伺いしたいと思います。特にDFM戦に対して、このチャンピオンはヤバい、このプレイヤーには気を付けようなど、チーム内ではどんな認識がありましたか? Paz選手:まず、気を付けていた選手はやっぱりYutapon選手です。今のLoLって結構ADCかミッドがキャリーするゲームなんですが、Ceros選手はあまりキャリーするタイプのチャンピオンが得意じゃないイメージがあって、セミファイナルの試合を見た時もADCがキャリーすることに重点を置いている動きが多かったので、決勝はYutapon選手を凄く警戒していました。 ——Yutapon選手といえば、プレイオフでは特にセナ、ケイトリンが印象的でした。そのあたりの対策や優先度などはどのような感じでしたか? Paz選手:それらのチャンピオンはそんなに問題ないと思っていました。チャンピオンだけで話をするなら、サポートのGaeng選手のレオナがプレイオフ通して勝率が高かったので、それが怖いなと思っていました。ファイナルの途中では、レオナも問題だけどニーコも同じくらい問題だなということになったので、そこで柔軟にバンピックを変えていけたのが大きかったんじゃないかなと思います。 ——最終的にはバンしていって、アジールを取らせたうえでゾーイを当てる形に落ち着いていましたね。Raina選手は意識している選手やチャンピオンはいましたか? Raina選手::やっぱり、僕の対面でもあるGaeng選手がイニシエートした時が、DFMにとっての勝ちパターンの1つだったので、正直バン枠は割きたくなかったんですが、ちょっと勝率100%は手に負えないので、もうバンするしかないなという形になりましたね。 Raina選手::DFMのイメージとしては、レネクトンなどを取ったらレベル3でトップダイブ。こんな感じに、勝ちのパターンが結構決まっていて、中盤以降のミッドでイニシエートして戦闘を起こしキャッチするのも同じような例です。こういう相手の勝ちパターンの行動には気を付けていましたね。特に、ミッドでにらみ合いをするときは、サイドレーンに出ているDFMのチャンピオンが消えた瞬間に「これはミッドきてるから下がろう」と声をかけて、引き気味にプレイしていましたね。 ——ローテーション後にArcher選手とミッドでファームしている時も凄く丁寧にリスクを避けてファームしているなという印象は確かにあります。 Raina選手::徹底して相手に隙を見せないようにプレイしていました。 ——なるほど。そのあたりはDFMがどういう動きをしてくるのかを、プレイオフに向けて徹底して研究していったという感じなんですね。DFM戦ではレネクトンを優先してバンしているという気がしました。DFM戦のドラフトでは、レネクトンに対してどのような意識を持っていたんですか? Paz選手:純粋にメタチャンピオンでめちゃくちゃ強いというのと、僕たちがレネクトンをピック出来なさそうならバンしようという話になっていました。DFMはレネクトンの優先度をかなり高くしていたのもあります。レネクトンって明確なカウンターがあまりいないチャンピオンなので、かなり面倒くさいというのはチームでも話していて、使えるならピック、使われそうならバンしようと意識していました。 ——トップレーンのピックと言えば、PazR選手はシーズン中、カミール、エイトロックスなどのレーン戦からどんどん有利を作っていくチャンピオンをピックしていましたが、プレイオフではレネクトン、サイオンを優先的にピックしていました。このあたりのピックのシフトにはどのような意図があったんですか? Paz選手:初めてサイオンを使ったのは、ボリベアトップがメタだった時なんですが、「このチャンピオン強くね?」と感じていました。スワップ戦術を取り入れようという時に、改めて触ってみたら好感触で、使ってみたら強いからやろうかなみたいな感じでした(笑) ——意外と触られていないだけで実は強いってチャンピオンもいますよね。 Paz選手:でもEUとかでメタにはなっていたので使ってみたら、使われる理由もわからんでもないなという感じでした。 ——具体的にサイオンを使い始めたのはシーズン中ですか、プレイオフの前からですか? Paz選手:シーズン中にスクリムで1回使ったくらいで、その後はプレイオフの前にちょくちょく触っていたくらいです。そんなにプレイはしていないんですけど、難しい操作が求められるチャンピオンではないですし、昔メタだった時もあったので、その時の経験が活きたのかなと思います。 ——DFM戦ではサイオンのウルトによるエンゲージ、DFM陣の分断が印象的でした。ああいったイニシエートの判断はPaz選手がコールしているんですか? Paz選手:そうですね。リリアのような一緒に入れるチャンピオンを使っている時はBugiも合わせてコールしてくれます。自分でいけるなって思ったときは勝手に突っ込んでます。 ——勝手に突っ込んでるんですか(笑) Paz選手:サイオンって一応ウルトが音でわかりますし(笑)いくってなったらチームもわりと合わせやすいタイプのチャンピオンなので。 ——たしかに、ボリベアやレネクトンと比べたら合わせやすいですね。 Paz選手:そうそう、かなり合わせやすいチャンピオンだと思います。イニシエートから一人でCCチェインも出来ますし、サイオンって上手く入ったら合わせる側も簡単なチャンピオンなので、あまり深くは考えていませんでした。 ——なるほど。先ほど言っていました「リリア」というチャンピオン。実装されてから海外の競技シーンのメタに上がってきている中で、V3は積極的にリリアを取り入れてチームを構成していました。リリアに対する優先度はV3の中でも高かったんですか? Paz選手:僕たちは、強いと思ったチャンピオンは自分達の中で弱いと感じるまで使い続けています。使いたいチャンピオンに関しても、サイオンの時みたいにこいつ強いじゃん!ってなれば使うという感じですね。 ——シーズン中ではリーシン、ニダリー、グレイブス、カジックスなどのジャングラーを採用していましたが、プレイオフでは徹底してリリアを使っていました。取れるなら必ず使おうという意識だったんですか? Paz選手:相手が取らなければといった感じですね。ただ、リリアに対しても出すカードはあったので、凄い優先度が高いというわけではなかったんです。実際、2ndピックフェーズで取ってる試合もあったので。 Raina選手::空いてるから取るに近いですかね。 Paz選手:そうそう。相手が取らないなら頂きますという感じで。それ以上に優先するチャンピオンがいればもちろんそっちを優先しますし、今回ではレオナやパンテオンの方が優先度は高かったですね。 ——後はArcher選手のアッシュなどですか。 Raina選手::そうですね。そのあたりの優先度は高かったですね。あと、DFMはほぼリリアを取らないだろうという読みがありました。 ——なるほど。Steal選手はどちらかというと対面ジャングラーのファームを潰すためのピックをするのが強力なイメージがあります。 Raina選手::そんな感じですね。こっちも別にニダリー当てられても困らないし、相手からしてみても、リリアが来たらニダリー当てればいいという感じで。相手はニダリーを先にピックして、こっちはリリア、逆にこちらがリリアピックしたら相手もニダリーを合わせる。お互い好きなチャンピオンを取れてたのかなとは思っています。 ——予定調和のようなところがあったということですね。 Raina選手::そうですね。 ——なるほど。ジャングラーのBugi選手のピックについてもう1点質問なのですが、イブリンは実際に運用を考えていたピックなんですか?どうしてもソロランク向けのチャンピオンというイメージがあります。 Raina選手::結構、話には出ていました。基本、リリアが空いていたのでタイミングはなかったですが、もちろんイブリンも出せる段階までは仕上げていました。元々、Bugiが得意チャンピオンってのもあると思います。バフされる前から「強い、強ーい。」って本人は推していたので。 ——スクリムなどでも練習していますか? Raina選手::もちろん練習もしましたし、いつでも出せる準備はできていました。 ——なるほど。ありがとうございます。では、色んな方が気になっているであろうスワップ戦術についてお伺いさせて下さい。具体的に戦略として取り入れようと考えたのはいつ頃からだったんですか? Paz選手:最初は、Challengers Korea(韓国の2部リーグ)のチームが積極的にやっていて、朝起きたら「これやってみない?」みたいなことを言われました。 Raina選手:(笑) Paz選手:僕は最初、僕たちはチーム経験が豊富な選手が少ないので、微妙なんじゃないかと思っていたんですけどね。 ——スワップ戦術はゲームとしての理解度もかなり求められる戦術ですよね。 Paz選手:それもありますし、レーンのスワップを相手も合わせてきた時にどうするか、自分たちもちゃんと対応しないといけないので、大丈夫かなと思いました。でもやってみたら意外と上手くいったので、いいじゃん!という感じでやるようになりましたね。 Paz選手:最初はEUのチームがスワップ戦術を使っていて、その時は対して関心もなかったんですけど、韓国のチームが取り入れていたのを見て、なら僕たちもやってみようという話になりました。NAとEUはトップレーンやミッドレーンのメタがかなり違うので、参考にできる部分は少なかったんですが、中国と韓国のリーグは凄く参考にしていて、そのリーグで使われるなら、やってみようと。 ——キャスター陣の中でも『V3 Esports』は世界のトレンドやメタをより早く、積極的に取り入れていくチームだと評価していました。これに対して何か心がけていることはありますか? Paz選手:スワップ戦術に関してはコーチが持ってきてくれたものだったんですが、チャンピオンに関してはランクで「このチャンピオン強かったよ」と報告すると「じゃあやってみるか」という流れになって試してみたりします。もちろん、メタの最先端だろうと使わない場合もあるんですけど、そこは個人の自由だと思っています。 ——プレイオフのSG戦、初戦にスワップ戦術を出してきて、そこから一度も見せることなく最終戦まで戦っていました。それは、ここぞという時に出す戦術として意識していたのでしょうか。それとも、バンピックの中ではスワップを念頭に入れつつも、結果使うことはなかったといった感じでしたか? Paz選手:出来そうならやろうかという感じですかね。スワップ戦術って無理してやるようなものではないですし、相手からしたらバンピックが凄く難しくなるというのが大きいと思います。 Paz選手:例えば、ファイナルの1試合目のサイオンはスワップしませんでしたし、5戦目はスワップしました。相手は、常にスワップされるかもしれないと考えた上で、バンピックを組まなければいけませんし、レベル1の動きも変わってきます。そういう点でも、毎回スワップするよりは、スワップする、しないを挟んでいった方が相手にプレッシャーを与えられるのではと思います。 ——相手に選択肢を与えて対応をより難しくさせるということですね。ファイナルの最終戦では、スワップできると思ってアフェリオスを取ったとArcher選手がインタビューにて話していました。その時は、チーム内からこれはスワップでいけるという雰囲気だったんですか? Paz選手:もちろん、普通にレーン戦をしていてもよかったので、任せるよーといった雰囲気で話をしていました。それで、じゃあスワップしようかという形に落ち着いたので、魅せることになりましたね。 Raina選手::そうですね。相手のADCであるジンが見えて、これだったらスワップも刺さりそうだなという話になって、どうする、どうするという感じで相談しつつ、4体目のチャンピオンをピックする時に決めたという流れでした。 ——なるほど。ありがとうございます。個人的にも気になっていた部分だったので、非常に面白かったです。次は、少し逸れた話になるのですが、Raina選手が今Reddit(海外の掲示板)で話題なことってご存じでしょうか?RainaとBugiは本物の選手だ!と盛り上がっているスレッドがあるくらいなんです。 Raina選手::ええっ(笑)そんなのあるんだ(笑) ——英語のスラングでlegit(マジ、本物)といった意味の言葉が使われるくらいです。これらの例のように、今年1年を通じて周りはRaina選手の評価がどんどん上がってきているのですが、ご自身は成長を自覚している部分などありますか?Paz選手も先ほど、Raina選手の評価について語られていましたね。 Raina選手::そうですね... 去年よりは絶対に上手くなったと思います。でも、そんな本物みたいな評価は...(笑)最近、ちょっと自分が過大評価されすぎだなとは思いますね。そんなに俺凄いやつじゃないのに、みたいな。例えば自分は、V3のこのポジションが僕じゃなくても、このメンバーなら優勝は出来た、と思っているくらいなので。むしろ僕は評価されない方が嬉しいので(笑)「誰こいつ?」みたいな感じから、「おおっ!こいつこんなプレー出来るんだ」みたいな事ができる方が気持ちいいので。正直、そんな評価されてほしくないです(笑) ——LJLのキャスター陣の方もRaina選手の評価は凄く高いですよね。 Raina選手::ちょっとプレッシャーにはなりますけど、やっぱり言われる分は嬉しいです。でもちょっと褒め過ぎという感じはあります(笑) ——なるほど(笑)1年間のシーズンを通して、具体的に成長したと感じられる部分はどんな所ですか? Raina選手::まず、レーニングの質は上手くなったと思います。考え方も変わりました。あとは、全体を通してキャッチされる回数は減ったかなと思います。今でもキャッチされることは多いかなと思いますが、気を付けられるところは意識できるようになったと思います。 ——1人の観戦者としての目線でも、言われてみればそういった印象はあったと思います。 Raina選手::やっぱりそういう印象あったんですね(笑)「あ、まずい。視界がない」と思って焦ってリスクのある場所に行ってしまったりすることが多かったのですが、今はそこを我慢できるようになってきたかなと思ってます。今でもたまに行っちゃうんですけど。 ——余裕をもってプレイ出来るようになったということですね。シーズン中のRaina選手と言えば、スレッシュやタム・ケンチといった味方を守るのが得意なチャンピオンが印象的でした。プレイオフに入ってからはノーチラス、セト、パンテオン、レオナといった自らが仕掛けていくようなチャンピオンを中心に使っていましたが、この変化についてどうお考えですか? Raina選手::スレッシュに関しては、シーズン中にアフェリオスがOPチャンピオンで僕たちはアフェリオスを使用する機会が多かったので、アフェリオス・スレッシュと2体セットで取っていたからというイメージがあります。その時スレッシュは、安定したピックという評価でとりあえずピックしておけばいいという感じに近かったと思います。 Raina選手::プレースタイルや使うチャンピオンが変わったというよりかは、その時のチームやメタに合わせてピックが変わってきているんだと思います。セトに関しては実装された当初全くサポートとして使われていませんでしたが、だんだんサポートでも使われるようになって、評価も高くなっていったころから触り始めて、気が付いたら得意チャンピオンになっていたという感じですね。 ——サポートセトといえばキーストーンの変化が印象に残っています。 Raina選手::最初はオムニストーンでその時から触っていたんですけど、気づいたらフェイズラッシュでメタになって、サポート以外でもジャングルやミッドで使われるようになったので、チャンピオンとしてだけじゃなくフレックスピックとしても強いという評価になりました。自身の得意チャンピオンにもなったので、評価が上がって使う機会も増えて嬉しかったなと思います。 ——Raina選手のサポートセトはSHG戦のドラゴン前で起こったファイトのパフォーマンスが話題でしたね。Alienware Best Play Awardsにもランクインしていました。 Raina選手::受賞した時のコメントでも話したんですが、もしこういった賞を取れるとするならセトだろうと思っていました。 サポートで受賞するならセトくらいしかビックプレイみたいなこと出来ないじゃないですか(笑)それで、セト使って取れたので、あの時は嬉しかったです。上手く入れたなって。実は、あのプレーの前に1度ミスをしてしまっていて、そこを修正したうえであのプレーが決まったので、より気持ちよかったです。 ——セトはRaina選手の中でもしっくりくるチャンピオンになったという感じですか。 Raina選手::そうですね!今では自分に合ってるなって思います。最初は、難しいなこのチャンピオンって思っていたんです。初めて競技シーンで使ったのが、春のプレイオフ、AXIZとCGA戦だったんですよ。CGA戦の時にレベル1でBoom(爆発)して(笑)もう使いたくない...ってなっちゃって。なっちゃったんですけど、少し使われ始めたなという所からメタに上がったというのもあって、そこから凄く練習しました。 ——まさに努力家ですね!続いてPaz選手にお伺いします。2018年の春に行われたRift Rivals以降、約2年ぶりとなる国際大会になるのですが、何か感じている部分などありますか。 Paz選手:そうですね... 僕が経験した今までのプレイインシステムと変わって、色んなチームと戦える機会が増えたので、そこがすごく楽しみですね。あとは、変に気負いせずにプレー出来たらいいなと思います。 ——なるほど(笑)凄くPaz選手らしいコメントですね。対照的にRaina選手は非常に緊張しそうなイメージがあるのですがどうですか? Paz選手:(笑) Raina選手::めちゃくちゃ緊張してますね、絶対。 ——頑張ってください。Raina選手と似たような質問になるのですが、昨年までと比較して自身がキャリーするというよりはチームを支えるようなピックが増えたというデータがあるのですが、それはさきほどRaina選手がおっしゃっていたようにメタの変化が大きいですか? Paz選手:それもあると思います。あと、今のメタってジャングルが勝ってる方がすごい有利になる環境なんです。特に、タンク系のジャングラーが消えて、ダメージジャングラーvsダメージジャングラーのマッチアップが多い環境になりました。正直、レーンを潰すというよりも、自分のジャングラーを育てて、相手のジャングラーを潰した方が、ゲームがすごく楽になるので、それに関しては全レーンが凄く意識してるんじゃないかなと思います。 ——なるほど。国際戦を戦っていく中で、Worldsに出てくるトップレーナーは強い印象があると思います。その中で意識している選手やチームはありますか? Paz選手:上のチームだと有名な選手がいるんですが、そこらの選手は上に行ってから初めて言えるようになるのかなって思っています。今はまだ、という感じですね。上に上がったらやっぱり『DAMWON Gaming』のNuguri選手や日本にいた『Gen.G』のRascal選手は、対面したいというか(笑)どんな感じなのかなって見てみたいと思いますね。 ——今年のWorldsはプレイインからかなり豪華なメンバーが揃っているという印象があります。そういったチームと対戦できるというのは純粋に楽しみですか? Paz選手:そうですね、どんなものなのかなというのは結構気になりますね。スクリムであれば、もしかしたら戦えるかもしれないですけど、真剣な試合が戦えるって機会ってなかなかないじゃないですか。それは、かなり楽しみです。 ——その中で自分たちが勝ち切るというビジョンはありますか? Paz選手:いやぁまだ、わからないですね(笑)メタもまたWorldsで変わっていくと思うので、その中で練習とスクリムをしていって見えてくるものかなと思います。 ——Raina選手は意識しているチームや選手はいますか? Raina選手::プレイインから参戦しているチームだと『PSG Talon』が一番意識しているに近いチームですかね。スクリムも何度もやらせて頂きましたし、その時にもかなり強くてやられてしまったりしました。 その中でもサポートのKaiwing選手は参考にもしていたので、もし当たったら勝ちたい、勝ち切りたいなと思います! ——強気なコメントをありがとうございます! Raina選手::(笑) よくスクリムでもやられていたので、国際戦ではやり返すつもりで。やっぱり本番で勝った方が勝ちなので頑張りたいなと思っています。 ——お二人のWorldsへの意気込みをお聞かせください! Raina選手::僕はプロになってから初めての国際戦なので、どこまでできるかわからないですけど、自分の全力を持って他の国の代表の人たちと戦って、LJLもこれだけ成長しているんだぞと見せつけたいなと思っています! Paz選手:そうですね、勝ち負けの結果に問わず、『V3 Esports』らしいプレーといいますか、積極的にこちらからアクションを仕掛けていける試合ができたらなと思います。それができていれば、勝っても負けても自分的には結果が受け入れられるかなと思います。 ——自分たちの力が国際戦の場で通用するかというのを確かめに行く!といった感じですね。最後に、ここまで、これからも応援してくださるファンの皆さんに一言お願いします。 Paz選手:まず、今までV3というチームや僕個人を応援してくださったファンの皆様には凄く感謝しています。今回優勝したことで、『V3 Esports』というチームやメンバーに興味を持ってくださった人に、これからも応援しようと思えるプレーがWorldsで出来たらいいなと思うので、応援よろしくお願いします。 Raina選手::ファンの皆さん、いつも応援して頂きありがとうございます。世界で戦うのは不安でもあるんですが、Pazさんと同じく自分らしさを見せていければいいなと思うので、これからも応援していただけると嬉しいです。 ——長時間のインタビューにお付き合い頂きありがとうございました!日本からお二人と『V3 Esports』の健闘を心よりお祈りしています!