FPSやMOBAといったeスポーツタイトルをプレイする際に揃えておきたいのがゲーミングデバイス。ゲーミングPCに始まり、マウス、マウスパッド、ヘッドセット、キーボード、モニター……など、いずれも性能面でプレイヤーのゲームプレイをサポートしてくれる頼もしい存在だ。
今回紹介する「MPG ARTYMIS 323CQR」は、ゲームプレイ時の没入感を最大限に高めつつ、eスポーツタイトル向け性能も両立させたゲーミングモニター。実機画像やゲームタイトルのスクリーンショットを交えつつ、気になる特徴などを紹介していこう。
eスポーツ向け性能を併せ持つゲーミングモニター
今回レビューするゲーミングモニターは、MSI製のMPG ARTYMIS 323CQR。
映像出力用にDisplayPort(DP)とHDMI端子、USB Type-C(DP Alt mode)を備え、2,560×1,440の高解像度(WQHD)に対応。PCモニター向けに定められたVESA DisplayHDR 400の規格も満たしており、優れたコントラスト表現を得意としている。液晶サイズは31.5インチ、本体サイズが701.4mm(幅)×317.7mm(奥)×473.4mm(高さ)、重量は約9kgだ。
▲MPG ARTYMIS 323CQRの前面イメージ。比較対象は560mlのペットボトル。
設置イメージおよび本体サイズ等をご覧の通り、31インチを超えるゲーミングモニターはインパクト抜群。筆者のPCデスク(1200mm×600mm)に置いてみたところ、1台だけでも十分過ぎるほどの存在感をもたらしてくれた。ゆえにもう1台のモニターをサブディスプレイとして運用する場合は、それなりに大きいデスクを用意すると良いだろう。
また、本製品は液晶パネルの両端が内側にカーブした湾曲モニターなので、左右のどちらかに角度をつけて置くよりも、正面を向けた状態で設置するのがおすすめだ。
▲MPG ARTYMIS 323CQRの背面イメージ。モニター設定を調節するNAVIキー、電源ボタン等が配置されている(写真左下あたり)
モニター背面には電源ボタンをはじめ、各種ショートカットを割り当てられるGボタン、本体設定を変更するためのNAVIキーも搭載済み。液晶パネルを支えるスタンド部分は上下の角度(-5°~20°)と高さ(0mm~100mm)を調節できるので、プレイ環境に合わせてポジショニングを変えられるのも嬉しいポイント。合わせて付属のマウスバンジーとヘッドセットハンガーも利用すれば、デスク上の作業環境がより綺麗にまとまるはずだ。
▲MPG ARTYMIS 323CQRのポート部分。映像出力用の端子と並び、各種USB端子やヘッドフォン端子が隣接している
さらに、MPG ARTYMIS 323CQRは合計4つのUSB端子をポート部分に搭載。各デバイスを中継するためのUSBハブとして利用するも良し、Type-C用ケーブルを用意してスマートフォンの急速充電に使うも良し……と、様々なシチュエーションに対応可能な拡張性に優れている。加えて、モニターに接続したデバイスを2台のPC間で使用できるKMVスイッチのおかげで、「ビジネス用とゲーミング用でPCを使い分けている」といった場合でも問題なく対応可能だ。
1,000Rの湾曲率で人間と同じ視野を実現
続いてはMPG ARTYMIS 323CQRのスペックや性能面について見てみよう。本製品は、1000Rの湾曲率を誇る。液晶パネルが弧を描くように内側へ曲がることで、人間と変わりない視野を実現している……というわけだ。
「液晶パネルが曲がっただけで何か違いはあるの?」と侮るなかれ、MPG ARTYMIS 323CQRは一般的なフルHDモニターよりも液晶パネルとプレイヤーの距離が自然と近づくため、画面端に映った情報も視線を動かさずにチェック可能。視界を覆うように広がる画面のおかげで、ゲームプレイや動画の視聴時も没入感を最大限に高めてくれる。
また、1秒間に画面を書き換える回数を表すリフレッシュレートは165Hz、並びに応答速度も1msをマーク。滑らかな映像描写が求められるeスポーツタイトルを遊ぶ際も、MPG ARTYMIS 323CQRは十分な性能を備えている。モニター側で自動的に輝度を保つAuto Brightness Controlも日常的に役立つ便利な機能だ。
▲MPG ARTYMIS 323CQRの製品スペック一例(引用:https://jp.msi.com/Monitor/MPG-ARTYMIS-323CQR/Specification)
そのほか、対応済みPCとの組み合わせで映像の乱れ(ティアリング)やカクつきを抑えるFreeSync Premium、黒フレームを挿入して残像感を低減するアンチモーションブラー、プレイヤーの目を守るためのブルーライトカット……といった各種アシスト機能もまんべんなく実装済み。映像が暗くて視界が保てないシーンをプレイする場合は、ナイトビジョンモードを起動すると格段に遊びやすくなるだろう。
▲Gaming OSDの設定イメージ。モニターとPC本体を接続することでスムーズに設定を切り替えられる
モニター設定は背面のNAVIキーから切り替えられるほか、USBアップストリームポートを備えたMPG ARTYMIS 323CQRならば、付属のUSBケーブルでPCと接続し、専用アプリケーション「Gaming OSD」を使って設定プリセットを保存することもできる。こちらはモニターの輝度、コントラスト、ゲーミングモードの変更といった内部設定に加え、モニター本体部の「MYSTIC LIGHT」(LEDライト)の発光パターンも変更可能だ。
バトロワゲームを勝ち抜くカギは、優れた視認性にあり!
最後は実際のゲームプレイ画面を交えつつ、MPG ARTYMIS 323CQRの魅力をお伝えしたい。今回は基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム『Apex Legends』(Apex)をレビュープレイに採用。本作は3人1組で戦うFPSであり、立体的なフィールドを奔走しながら多数の敵プレイヤーと渡り合うことになる。言わずもがな、臨機応変な立ち回りが求められる展開のスピーディーなタイトルだ。
MPG ARTYMIS 323CQRを使うメリットは、早くもフィールド降下時から実感できた。WQHD解像度の高精細による視認性の高さ、そして湾曲率1000Rの湾曲によって実現した高い没入感により、チーム全体で降下する際に「周囲の敵を素早く察知する」、「敵がいない安全な場所を誰よりも早く見つける」といった作業が格段に行いやすくなった。
戦闘中も同様、画面端の死角からやって来る敵プレイヤーの銃撃に対応しやすくなるなど、視認性の向上に伴って乱戦時の立ち回りもずいぶん改善することができた。もちろんプレイヤー自身の腕前が大前提ではあるが、全60人の頂点を狙うApexにおいて、MPG ARTYMIS 323CQRの真価は大いに役立つと言って良いだろう。
▲『Apex Legends』のゲーム画面。多数のプレイヤーが入り乱れるバトロワゲームにおいて、視認性は特に重要
フルHD解像度よりも1.8倍の作業領域を誇るWQHD解像度なら、ゲームプレイや動画鑑賞のみならず、ビジネスシーン、動画編集やイラスト制作といったクリエイティブな作業でも問題なく運用できる。冒頭で述べた通り、設置には相応のスペースを要するものの、高解像度がもたらす映像美と没入感を同時に味わいたいなら、本製品はもってこいの1台となるはずだ。大画面でド迫力のゲーミングライフを送ってみたい方も、ぜひMPG ARTYMIS 323CQRをチョイスしてみてはいかがだろうか。
MPG ARTYMIS 323CQR スペック表
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- ようやくこのときがやってきた! 次世代と呼ぶことも憚られるほど発売から月日が経った次世代ハードの PlayStation 5 や Xbox Series X|S が、店頭を中心にネットショップでも購入できるようになってきた。 もちろん、Nintendo Switch も『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』などの注目タイトルが目白押しだ。2022年末から2023年夏ごろまでは、家庭用ゲーム機の存在感が特に強いように感じる。 そこで今回ご紹介するのが、MSIのゲーミングモニター「G323CV」だ。引き締まった黒色が得意なVAパネルを採用した本モデルは、31.5インチというやや大きめなサイズ感と、湾曲率1,500Rのゆるやかな没入感が特徴的な、コストパフォーマンスに優れたモデルである(想定価格は26,200円)。 まずはその外観をチェック! G323CVはコストパフォーマンスに優れたエントリーグレードであるものの、外観はかなりレベルが高いように感じる。というのも、ディスプレイの中心から縁に向かうにつれて薄くなっていくようなデザインであり、ベゼル(モニターの縁)も細い。台座となる足回りもスマートで、デスクに置いても邪魔にならない。設置した際の印象はスタイリッシュに尽きる。 そのうえ、チルト(上下の方向調節)とスイベル(横方向への調節)に対応している点はポイントが高い。特に、スイベルに対応することで、足の位置をそのままにモニターの左右の角度を調節できるため、置く場所が狭いユーザーでも安心だ。 FPSプレイヤーはモニターの足とマウスやキーボードなどのデバイスが干渉することを避けるため、わざとズラした置き方をすることも多く、そういったユーザーにも嬉しい仕様だ。 縦方向の高さ調節やピボット(モニターの回転)には対応していないものの、付属のスペーサーネジを取り付けることでVESA(100)規格のモニターアームに対応しているので、必要に応じて導入することも可能である。 なお、組み立ても簡単だ。足と柱を手回しネジで組み合わせ、ディスプレイへはめ込むだけとなっている。 美しいVAパネルと、様々な用途で発揮される没入感 ゲーミングモニターの多くは、シューター向けに最適な24インチ前後のモデルと、40インチ前後のハイエンドモニター(テレビ)の両極端になっている印象があるが、このモデルはその中間を突いてくれている。 実際にディスプレイを見ていくと、31.5インチというサイズ感は、小さすぎず大きすぎないため、デスクに置くにもちょうど良い。また、黒色の発色に強いVAパネルを搭載することで、特にグラフィックが美しいゲームを遊ぶ際にその真価を発揮してくれる。 引き締まった黒色は、ゲームの世界にあるものをしっかり表現してくれるので、ジメジメとした雰囲気の『DARK SOULS』シリーズなど、暗い場所の多いゲームにもピッタリだ。また、暗所の視認性を上げるナイトビジョンにも対応している。 また、映画やドラマなどの鑑賞にも向いている。というのもG323CVは湾曲率1,500Rのパネルを採用しており、31.5インチではゆるやかな没入感を得ることができる。 湾曲がキツいと没入感は増すものの、どうしても違和感が出てしまうため、モニターから少し離れてゲームをしたり動画鑑賞をしたりするぶんには、このゆるさが心地よい。 筆者は試用期間中にPS5でワーナーゲームの『ホグワーツ・レガシー』をプレイしてみたが、大画面でホグワーツ城の上空を箒で飛び回るのは極上の体験であった。そのほかにも、特にレースゲームやフライトシミュレーションといった、スピードを感じるゲームにおいて、その没入感はひとしおだ。 映画館のスクリーンのような湾曲具合は自然とモニターと向き合う姿勢を作ってくれるので、映画・ドラマなどの鑑賞にはもってこいである。また、ゲーム実況やeスポーツの観戦で、ゲームを「観る」という文化も根付いてきたが、意外なことにFPSタイトルでのeスポーツ観戦時は、湾曲の恩恵を受けやすい。 プレイヤーの歩いているときのスピード感が増幅されるような感覚があり、没入感と相まって今までにない印象を受けた。「湾曲ゲーミングモニターによるeスポーツ鑑賞」を体験してみて欲しい。 ▲Six Invitational 2023より ゲーマーをサポートする機能も充実 なお、G323CVはリフレッシュレート75Hzのパネルを採用している。PCなどに接続すれば、標準的なモニターよりも少し高いフレームレートで遊ぶことができるというわけだ。応答速度も1msと、動きの速いシューティングタイトルなどを遊んでも、実用上で遅延を感じることは全くなかった。 また、同期機能として対応するグラフィックボードと組み合わせることで「AMD FreeSync」も利用でき、カクつきを軽減してくれる。 そのほか、チラつきを抑制するアンチフリッカーと、ブルーライトカット機能も搭載しているので、長時間ゲームしがちなユーザーにもピッタリだ。 やっぱり手軽な家庭用ゲーム機 近年、PCゲーム市場が凄まじい盛り上がりを見せてはいるものの、ゲーミングPCは安価なものでも10万円を超え、おおよそ20万円前後のモデルが台頭している。一方の家庭用ゲーム機は、約6万円(Xbox Series Sは4万円弱)でハイエンドなAAAタイトルを遊ぶことができるとあって、その価格差は言うまでもない。 冒頭でも述べたとおり、2022年の年末~2023年の年始頃から次世代ハードの入手性が高まってきた。もちろん、Nintendo Switch や PS4、Xbox One といった既存のゲームハードで遊んでいるプレイヤーも含め、G323CVであれば大きな画面と美しいグラフィックを楽しむことができる恩恵は十分に受けることができる。 「ハリー・ポッター」のホグワーツ城を中心としたオープンワールドRPG『ホグワーツ・レガシー』もそうだが、狩りゲーとして人気を博しているエレクトロニック・アーツ(開発はコーエーテクモゲームズ)の『WILD HEARTS』など、ここ数ヶ月は家庭用ゲーム機でも遊べるタイトルが豊作である。 年内にはスクウェア・エニックスから待望の『FINAL FANTASY XVI』や、任天堂からはシリーズ最新作『ピクミン4』といった大作も発売が予定されている今、快適な環境で家庭用ゲーム機を遊び倒したいユーザーにおすすめしたいゲーミングモニターだ。 ■G323CV製品ページ https://jp.msi.com/Monitor/G323CV
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- “ちょうど良い”モニターを探しているならコレ!eスポーツからソロゲーまで、多様なニーズに合ったゲーミングモニター「G2412」レビュー
- ゲーミングモニターを選ぶうえで重視するポイントは人それぞれだろう。リフレッシュレートやパネルの種類、発色の良さや解像度、サイズ感、入力端子の数等々、モニターというデバイスはなかなかに奥深い。だが一方で、重視すべきポイントのひとつひとつに詳しくなるには、少々ハードルが高い。 そんなあなたにオススメしたいのが、MSIのゲーミングモニター「G2412」だ。リフレッシュレートは最大170Hz(オーバークロック時)で応答速度1msと、競技的なゲームタイトルに最適なだけでなく、フルHDのIPSパネルによる発色の良い映像を楽しむことができる。つまるところ、さまざまな用途にバランス良く当てはまるというわけだ。 実際に筆者が10日間ほどメインモニターとして「G2412」を使い込んだインプレッションをお伝えする。 高いリフレッシュレートでシューターを有利に 「G2412」には、昨今爆発的な盛り上がりを見せているシューティングゲームにおいて大切な要素をふんだんに盛り込んでいる。まずはディスプレイのリフレッシュレートだ。 1秒間にモニターが表示できる画像の枚数を示すリフレッシュレートは、その数値が高ければ高いほど映像が滑らかになり視認性が上がる。つまり、一般的なモニターの60Hzと、「G2412」の170Hzでは、数倍“ヌルヌル”と見えるというわけだ。 シューティングで敵のキャラクターが一瞬だけ身体を見せたとしよう。もしそれが1秒間だけ視認できたとして、60Hzのモニターでは60回の画像を使ってその敵キャラクターを表示するが、「G2412」では170回表示するというと、その違いの大きさがおわかりいただけると思う。純粋に敵の動きをより細かく表示することが可能なのだ。 ゲーミングモニターのリフレッシュレートは、一般的に60Hz・144Hz・165Hz・240Hzという区切りで市場に出回っている。同価格帯のゲーミングモニターのなかでも、わずかではあるが170Hzというアドバンテージがあるのも嬉しいポイントだ。 また、「G2412」のディスプレイサイズである23.8インチは、プロプレイヤーにも好まれるようなサイズ感であることも付け加えたい。モニターと向き合ったときに視界に画面全体を捉えることができるサイズとされているからだ。そのほか、応答速度も1msととても高速であり、遅延などを感じることはほぼないと言って良い。シューティングを真剣にプレイしようかと考えているユーザーにはピッタリだ。 なお、「G2412」は現在では生産を終了している「Optix G241」の後継モデルという位置づけだ。前モデルの144Hzから170Hzと大幅にパワーアップしているほか、最大表示色とDCI-P3のカバー率が少々落ちているものの、コントラスト比が上がることでメリハリのある映像を楽しむことができる。 コンソールハードで遊びたいユーザーにもピッタリ 述べたとおり、「G2412」PCのシューティングゲームに最適であるが、次世代コンソールハードと接続することでフルHD・120Hzの表示にも対応していることから、PCを持っていない、PCとコンソールを併用したいユーザーにもピッタリである。 “次世代”とは言いつつ、PlayStation 5もXbox Series X/Sも2020年11月の発売から2年以上が経過している。半導体不足等で入手しにくい状況が続いていたが、2023年に入ってからはチラホラ店頭でも見かけるようになってきていて、ネットショップでも再入荷から完売までの時間が長くなっているように感じる。 コストパフォーマンスという面でコンソールハードの優位性は圧倒的に高く、PC版では数十万クラスのスペックが必要なAAAタイトルも、6万円程度で快適に遊べるというのは魅力的であろう。 「G2412」はそんな次世代コンソールの最大リフレッシュレートである120Hzに対応しているため、シューティングゲームのプレイに最適。HDMI入力も2基搭載しているため、複数のハードを接続できるのもひとつポイントだ。 また、発色が良いIPSパネルを採用しているため、AAAタイトルなどの美麗なグラフィックを余すことなく楽しむことができるほか、視野角が178度ととても広いため、座った状態や寝転んだ状態などでも楽しむことができる。 ゲーマーをサポートする機能もしっかり満載 もちろん、ゲーミングモニターとしての機能もしっかりと備わっている。暗いシーンの視認性を上げる「ナイトビジョン」や、黒フレームを挿入することで残像感を抑制する「アンチモーションブラー」などを搭載している。対応のグラフィックボードと組み合わせるとティアリング(ゲーム画面の小さなズレ)やカクつきを抑える「FreeSync Premium」を利用することもできる。 また、目に優しい「ブルーライトカット」や、フリッカー(チラつき)を抑制する「アンチフリッカー」もサポートしている。 画面設定のプリセットとして、FPS・レーシング・RTS・RPGの4つも用意されているので、お好みに合わせて画面の雰囲気を変えることも可能だ。 お好みで27インチの大きなサイズも 「G2412」は23.8インチだが、同等のスペックを有した27インチのモデル「G2722」も存在する。こちらも視野角が広く発色の美しいフルHDのIPSパネルを採用し、最大リフレッシュレートが170Hz、アンチモーションブラーなどのサポート機能もしっかり備わっている。 ▲左「G2412」(23.8インチ)・右「G2722」(27インチ) なお、23.8インチと27インチは結構な差がある。23.8インチであれば、本稿でも述べたが、デスクに置いて向き合ったときに画面全体をしっかり把握することができる。一方の27インチではシンプルにサイズが大きいため、迫力のある映像を楽しむことができる。シューターでは画面端の情報が得にくくなるものの、遠くの敵などを視認しやすい。特に『Apex Legends』のようなバトロワでは、遠くにいる敵をしっかりと見ることができるように感じた。 ▲部屋を暗くすると、IPSパネルの発色の良さが際立つ。左「G2412」(23.8インチ)・右「G2722」(27インチ) プレイスタイルや、デスクの環境に合わせて自分にあったものを選んで欲しい。「G2722」は以前レビューしているので、重複する内容もあるが、合わせて確認して欲しい。 https://e-elements.jp/portal/news/17336/ 述べてきた通り「G2412」は、競技性の高いシューティングからソロで遊びたいAAAタイトルまで、多くの用途をカバーしてくれる。特にシューティングでは、高いリフレッシュレートと応答速度、ナイトビジョンなどのサポート機能が活躍し「ゲーミングモニター」としての優位性を感じることができるだろう。また、美麗なIPSパネルを搭載することで映像鑑賞や一人で遊べるAAAタイトルなどをしっかり楽しむこともできる。 eスポーツタイトルをがっつり遊びたいというユーザーを中心に、さまざまな用途をカバーしてくれる、ゲーマーにとって頼もしい相棒となってくれるだろう。 ■MSI G2412 商品ページ https://jp.msi.com/Monitor/G2412 ■MSI G2722 商品ページ https://jp.msi.com/Monitor/G2722