FPSやMOBAといったeスポーツタイトルをプレイする際に揃えておきたいのがゲーミングデバイス。ゲーミングPCに始まり、マウス、マウスパッド、ヘッドセット、キーボード、モニター……など、いずれも性能面でプレイヤーのゲームプレイをサポートしてくれる頼もしい存在だ。
今回紹介する「Optix MPG321QRF-QD」は、量子ドット搭載/WQHD対応の大型ゲーミングモニター。実機画像やゲームタイトルのスクリーンショットを交えつつ、気になる特徴などを紹介していこう。
鮮やかな発色を得意とする量子ドット搭載ゲーミングモニター
今回レビューするゲーミングモニターは、MSI製のOptix MPG321QRF-QD。メインの映像出力用にDisplayPortとHDMI端子を搭載。2,560×1,440の解像度(WQHD)に対応しているほか、VESA DisplayHDR 600(PCモニターの表現力を現す規格)も満たしており、自然でリアルな表現に優れているのが特徴だ。液晶サイズは32インチ、本体サイズが727.1mm(幅)×251.8mm(奥)×482.2mm(高さ)、重量は約10.2kgとなっている。
▲Optix MPG321QRF-QDの前面イメージ。比較対象は560mlのペットボトル。
実際の設置イメージは画像の通り。筆者が所有しているPCデスク(1200mm×600mm)に置いてみたところ、天板の約半分以上を占めるサイズ感に驚かされた。とは言え、天板の中央部に設置しておけば周辺機器(キーボードやマウス等)も問題なく配置可能。そのため、「マルチディスプレイ環境を作りたい!」という場合を除いて設置面で戸惑うことは少ないはずだ。
▲Optix MPG321QRF-QDの背面イメージ。モニター設定を調節するNAVIキーが下部に配置されている
モニター背面にはMSIのモニターではお馴染みの、象徴的なドラゴンエンブレム、および本体設定を調整可能なNAVIキーが配置済み。液晶パネルを支えるスタンド部分はチルト(角度)・スベイル(左右の首振り)を調節でき、上下の高さ調節(0~100mm)も手軽に行うことができるので、大型ワイドモニターながらも、ユーザー側で自由にポジションを変えられるのは嬉しいポイントと言えよう。なお、本製品はVESA100規格を満たしているため、モニターアーム等も付属のスペーサーネジで容易に取り付けられる。
▲Optix MPG321QRF-QD付属のスペーサーネジ。モニター背面に取り付けて使用する
加えて本製品はKVMスイッチ機能により、最大2台のPC間でモニターに接続済みのデバイスを簡単に共有できる。「仕事はノートPCだけど、ゲームはデスクトップPCで遊んでいる」というユーザーを含め、用途に応じてPCを使い分けたい場合でも、ケーブルを差し替える手間いらずで使用OK。また、ポート部分のUSB端子(計3個)はハブ機能もありキーボードやマウスの接続に便利だ。
▲Optix MPG321QRF-QDのポート部分。映像入力用の端子とUSB端子が並んでいる
▲Optix MPG321QRF-QDの側面。USB端子(2ポート)とヘッドホン端子が隣接
さらに本体部は各種ポートに加え、音声入力用のマイクも搭載済み。この本体マイクはノイズキャンセリング機能のおかげで、PC用マイクを接続せずとも雑音(キーボードの打鍵音/マウスのクリック音)を抑えてボイスチャットが楽しめる。以上の点を踏まえ、本製品は総じてPCモニターに欲しい機能が一通り揃っているように見受けられた。
▲KVMスイッチ機能を使って2台のPCおよび周辺機器をモニターへ接続した様子。
▲MSIのシンボリックなドラゴンエンブレム。NAVIキーと同様にピンクゴールド調の作り
ゲーミングパフォーマンスと美しい発色を両立
Optix MPG321QRF-QDの詳細なスペックは下記の通り。最大の特徴としては、広色域(色域のカバー力)とDisplayHDR 600による表現力の高さが挙げられる。メリハリたっぷりな明暗の描画はなおのこと、鮮やかな発色もお手の物で、この辺りは液晶パネルに採用された量子ドット技術の賜物と言えるだろう。
▲Optix MPG321QRF-QDの製品スペック一例(引用:https://jp.msi.com/Monitor/OPTIX-MPG321QRF-QD)
もちろん、eスポーツ向け性能もおろそかにすることなく両立している。具体的な数値として、リフレッシュレート(1秒間に画面を書き換える回数)は165Hz、応答速度は本製品のRAPID IPSパネルを生かした1ms(GTG)を記録。eスポーツタイトルはそのゲーム性ゆえにスピーディーな映像描写が求められるが、Optix MPG321QRF-QDならばプレイフィールを損なうことなく遊び尽くせる。
安定したグラフィック描画を実現するため、残像感・ボヤけを軽減する「アンチモーションブラー」、映像のカクつき・ティアリングを抑える「G-SYNC Compatible」といったアシスト機能も備わっている。ほかには、暗所を見やすく調整する「ナイトビジョン」に、モニターの設置環境に合わせて光量を自動的に調節する「Auto Brightness Control」などなど、どれもPCを利用する際に役立つものばかり。
さらにユーティリティを高めたいなら、PC側でモニター設定を保存できる専用アプリケーション「GamingOSD」もあらかじめインストールしておくと良いだろう。
バトロワゲームで視界の広さをフル活用
最後は実際のゲームプレイ画面を交えつつ、Optix MPG321QRF-QDの魅力をお伝えしたい。今回チョイスしたのは、基本プレイ無料の『Apex Legends』(Apex)。3人1組のトリオで挑むバトルロワイヤルゲームで、「計20チーム(60人)の頂点を目指して戦う」というシステム上、かなりの確率で乱戦が巻き起こるゲームタイトルである。
本製品が備えるeスポーツ向け性能はなおのこと、32インチを誇る液晶パネルは通常のPCモニター以上に視界を広く保つことができ、『Apex』のようなバトロワゲームにおいて大いに真価を発揮する。画面端からこちらへ銃口を向ける敵プレイヤーの存在を筆頭に、視点を動かさずとも多くの情報を画面に収められるのは、Optix MPG321QRF-QDが持つ大きなメリットと言える。上述のRAPID IPSパネルのおかげで残像感を気にせずプレイできるのも嬉しいポイントだ。
▲『Apex Legends』のゲーム画面。視界の広さは混沌とした戦場に希望をもたらす
今回ご紹介したOptix MPG321QRF-QDは、ゲーミングパフォーマンスと美しい発色を両立させた大画面ゲーミングモニター。「大画面で迫力あるゲームプレイを楽しみたい!」、「視界を広く保った状態で有利にプレイしたい」といった方にオススメだ。これから新しいPCモニターを導入しようと考えている方は、ぜひOptix MPG321QRF-QDをチョイスしてみてはいかがだろうか。
Optix MPG321QRF-QD スペック

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- ようやくこのときがやってきた! 次世代と呼ぶことも憚られるほど発売から月日が経った次世代ハードの PlayStation 5 や Xbox Series X|S が、店頭を中心にネットショップでも購入できるようになってきた。 もちろん、Nintendo Switch も『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』などの注目タイトルが目白押しだ。2022年末から2023年夏ごろまでは、家庭用ゲーム機の存在感が特に強いように感じる。 そこで今回ご紹介するのが、MSIのゲーミングモニター「G323CV」だ。引き締まった黒色が得意なVAパネルを採用した本モデルは、31.5インチというやや大きめなサイズ感と、湾曲率1,500Rのゆるやかな没入感が特徴的な、コストパフォーマンスに優れたモデルである(想定価格は26,200円)。 まずはその外観をチェック! G323CVはコストパフォーマンスに優れたエントリーグレードであるものの、外観はかなりレベルが高いように感じる。というのも、ディスプレイの中心から縁に向かうにつれて薄くなっていくようなデザインであり、ベゼル(モニターの縁)も細い。台座となる足回りもスマートで、デスクに置いても邪魔にならない。設置した際の印象はスタイリッシュに尽きる。 そのうえ、チルト(上下の方向調節)とスイベル(横方向への調節)に対応している点はポイントが高い。特に、スイベルに対応することで、足の位置をそのままにモニターの左右の角度を調節できるため、置く場所が狭いユーザーでも安心だ。 FPSプレイヤーはモニターの足とマウスやキーボードなどのデバイスが干渉することを避けるため、わざとズラした置き方をすることも多く、そういったユーザーにも嬉しい仕様だ。 縦方向の高さ調節やピボット(モニターの回転)には対応していないものの、付属のスペーサーネジを取り付けることでVESA(100)規格のモニターアームに対応しているので、必要に応じて導入することも可能である。 なお、組み立ても簡単だ。足と柱を手回しネジで組み合わせ、ディスプレイへはめ込むだけとなっている。 美しいVAパネルと、様々な用途で発揮される没入感 ゲーミングモニターの多くは、シューター向けに最適な24インチ前後のモデルと、40インチ前後のハイエンドモニター(テレビ)の両極端になっている印象があるが、このモデルはその中間を突いてくれている。 実際にディスプレイを見ていくと、31.5インチというサイズ感は、小さすぎず大きすぎないため、デスクに置くにもちょうど良い。また、黒色の発色に強いVAパネルを搭載することで、特にグラフィックが美しいゲームを遊ぶ際にその真価を発揮してくれる。 引き締まった黒色は、ゲームの世界にあるものをしっかり表現してくれるので、ジメジメとした雰囲気の『DARK SOULS』シリーズなど、暗い場所の多いゲームにもピッタリだ。また、暗所の視認性を上げるナイトビジョンにも対応している。 また、映画やドラマなどの鑑賞にも向いている。というのもG323CVは湾曲率1,500Rのパネルを採用しており、31.5インチではゆるやかな没入感を得ることができる。 湾曲がキツいと没入感は増すものの、どうしても違和感が出てしまうため、モニターから少し離れてゲームをしたり動画鑑賞をしたりするぶんには、このゆるさが心地よい。 筆者は試用期間中にPS5でワーナーゲームの『ホグワーツ・レガシー』をプレイしてみたが、大画面でホグワーツ城の上空を箒で飛び回るのは極上の体験であった。そのほかにも、特にレースゲームやフライトシミュレーションといった、スピードを感じるゲームにおいて、その没入感はひとしおだ。 映画館のスクリーンのような湾曲具合は自然とモニターと向き合う姿勢を作ってくれるので、映画・ドラマなどの鑑賞にはもってこいである。また、ゲーム実況やeスポーツの観戦で、ゲームを「観る」という文化も根付いてきたが、意外なことにFPSタイトルでのeスポーツ観戦時は、湾曲の恩恵を受けやすい。 プレイヤーの歩いているときのスピード感が増幅されるような感覚があり、没入感と相まって今までにない印象を受けた。「湾曲ゲーミングモニターによるeスポーツ鑑賞」を体験してみて欲しい。 ▲Six Invitational 2023より ゲーマーをサポートする機能も充実 なお、G323CVはリフレッシュレート75Hzのパネルを採用している。PCなどに接続すれば、標準的なモニターよりも少し高いフレームレートで遊ぶことができるというわけだ。応答速度も1msと、動きの速いシューティングタイトルなどを遊んでも、実用上で遅延を感じることは全くなかった。 また、同期機能として対応するグラフィックボードと組み合わせることで「AMD FreeSync」も利用でき、カクつきを軽減してくれる。 そのほか、チラつきを抑制するアンチフリッカーと、ブルーライトカット機能も搭載しているので、長時間ゲームしがちなユーザーにもピッタリだ。 やっぱり手軽な家庭用ゲーム機 近年、PCゲーム市場が凄まじい盛り上がりを見せてはいるものの、ゲーミングPCは安価なものでも10万円を超え、おおよそ20万円前後のモデルが台頭している。一方の家庭用ゲーム機は、約6万円(Xbox Series Sは4万円弱)でハイエンドなAAAタイトルを遊ぶことができるとあって、その価格差は言うまでもない。 冒頭でも述べたとおり、2022年の年末~2023年の年始頃から次世代ハードの入手性が高まってきた。もちろん、Nintendo Switch や PS4、Xbox One といった既存のゲームハードで遊んでいるプレイヤーも含め、G323CVであれば大きな画面と美しいグラフィックを楽しむことができる恩恵は十分に受けることができる。 「ハリー・ポッター」のホグワーツ城を中心としたオープンワールドRPG『ホグワーツ・レガシー』もそうだが、狩りゲーとして人気を博しているエレクトロニック・アーツ(開発はコーエーテクモゲームズ)の『WILD HEARTS』など、ここ数ヶ月は家庭用ゲーム機でも遊べるタイトルが豊作である。 年内にはスクウェア・エニックスから待望の『FINAL FANTASY XVI』や、任天堂からはシリーズ最新作『ピクミン4』といった大作も発売が予定されている今、快適な環境で家庭用ゲーム機を遊び倒したいユーザーにおすすめしたいゲーミングモニターだ。 ■G323CV製品ページ https://jp.msi.com/Monitor/G323CV
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- “ちょうど良い”モニターを探しているならコレ!eスポーツからソロゲーまで、多様なニーズに合ったゲーミングモニター「G2412」レビュー
- ゲーミングモニターを選ぶうえで重視するポイントは人それぞれだろう。リフレッシュレートやパネルの種類、発色の良さや解像度、サイズ感、入力端子の数等々、モニターというデバイスはなかなかに奥深い。だが一方で、重視すべきポイントのひとつひとつに詳しくなるには、少々ハードルが高い。 そんなあなたにオススメしたいのが、MSIのゲーミングモニター「G2412」だ。リフレッシュレートは最大170Hz(オーバークロック時)で応答速度1msと、競技的なゲームタイトルに最適なだけでなく、フルHDのIPSパネルによる発色の良い映像を楽しむことができる。つまるところ、さまざまな用途にバランス良く当てはまるというわけだ。 実際に筆者が10日間ほどメインモニターとして「G2412」を使い込んだインプレッションをお伝えする。 高いリフレッシュレートでシューターを有利に 「G2412」には、昨今爆発的な盛り上がりを見せているシューティングゲームにおいて大切な要素をふんだんに盛り込んでいる。まずはディスプレイのリフレッシュレートだ。 1秒間にモニターが表示できる画像の枚数を示すリフレッシュレートは、その数値が高ければ高いほど映像が滑らかになり視認性が上がる。つまり、一般的なモニターの60Hzと、「G2412」の170Hzでは、数倍“ヌルヌル”と見えるというわけだ。 シューティングで敵のキャラクターが一瞬だけ身体を見せたとしよう。もしそれが1秒間だけ視認できたとして、60Hzのモニターでは60回の画像を使ってその敵キャラクターを表示するが、「G2412」では170回表示するというと、その違いの大きさがおわかりいただけると思う。純粋に敵の動きをより細かく表示することが可能なのだ。 ゲーミングモニターのリフレッシュレートは、一般的に60Hz・144Hz・165Hz・240Hzという区切りで市場に出回っている。同価格帯のゲーミングモニターのなかでも、わずかではあるが170Hzというアドバンテージがあるのも嬉しいポイントだ。 また、「G2412」のディスプレイサイズである23.8インチは、プロプレイヤーにも好まれるようなサイズ感であることも付け加えたい。モニターと向き合ったときに視界に画面全体を捉えることができるサイズとされているからだ。そのほか、応答速度も1msととても高速であり、遅延などを感じることはほぼないと言って良い。シューティングを真剣にプレイしようかと考えているユーザーにはピッタリだ。 なお、「G2412」は現在では生産を終了している「Optix G241」の後継モデルという位置づけだ。前モデルの144Hzから170Hzと大幅にパワーアップしているほか、最大表示色とDCI-P3のカバー率が少々落ちているものの、コントラスト比が上がることでメリハリのある映像を楽しむことができる。 コンソールハードで遊びたいユーザーにもピッタリ 述べたとおり、「G2412」PCのシューティングゲームに最適であるが、次世代コンソールハードと接続することでフルHD・120Hzの表示にも対応していることから、PCを持っていない、PCとコンソールを併用したいユーザーにもピッタリである。 “次世代”とは言いつつ、PlayStation 5もXbox Series X/Sも2020年11月の発売から2年以上が経過している。半導体不足等で入手しにくい状況が続いていたが、2023年に入ってからはチラホラ店頭でも見かけるようになってきていて、ネットショップでも再入荷から完売までの時間が長くなっているように感じる。 コストパフォーマンスという面でコンソールハードの優位性は圧倒的に高く、PC版では数十万クラスのスペックが必要なAAAタイトルも、6万円程度で快適に遊べるというのは魅力的であろう。 「G2412」はそんな次世代コンソールの最大リフレッシュレートである120Hzに対応しているため、シューティングゲームのプレイに最適。HDMI入力も2基搭載しているため、複数のハードを接続できるのもひとつポイントだ。 また、発色が良いIPSパネルを採用しているため、AAAタイトルなどの美麗なグラフィックを余すことなく楽しむことができるほか、視野角が178度ととても広いため、座った状態や寝転んだ状態などでも楽しむことができる。 ゲーマーをサポートする機能もしっかり満載 もちろん、ゲーミングモニターとしての機能もしっかりと備わっている。暗いシーンの視認性を上げる「ナイトビジョン」や、黒フレームを挿入することで残像感を抑制する「アンチモーションブラー」などを搭載している。対応のグラフィックボードと組み合わせるとティアリング(ゲーム画面の小さなズレ)やカクつきを抑える「FreeSync Premium」を利用することもできる。 また、目に優しい「ブルーライトカット」や、フリッカー(チラつき)を抑制する「アンチフリッカー」もサポートしている。 画面設定のプリセットとして、FPS・レーシング・RTS・RPGの4つも用意されているので、お好みに合わせて画面の雰囲気を変えることも可能だ。 お好みで27インチの大きなサイズも 「G2412」は23.8インチだが、同等のスペックを有した27インチのモデル「G2722」も存在する。こちらも視野角が広く発色の美しいフルHDのIPSパネルを採用し、最大リフレッシュレートが170Hz、アンチモーションブラーなどのサポート機能もしっかり備わっている。 ▲左「G2412」(23.8インチ)・右「G2722」(27インチ) なお、23.8インチと27インチは結構な差がある。23.8インチであれば、本稿でも述べたが、デスクに置いて向き合ったときに画面全体をしっかり把握することができる。一方の27インチではシンプルにサイズが大きいため、迫力のある映像を楽しむことができる。シューターでは画面端の情報が得にくくなるものの、遠くの敵などを視認しやすい。特に『Apex Legends』のようなバトロワでは、遠くにいる敵をしっかりと見ることができるように感じた。 ▲部屋を暗くすると、IPSパネルの発色の良さが際立つ。左「G2412」(23.8インチ)・右「G2722」(27インチ) プレイスタイルや、デスクの環境に合わせて自分にあったものを選んで欲しい。「G2722」は以前レビューしているので、重複する内容もあるが、合わせて確認して欲しい。 https://e-elements.jp/portal/news/17336/ 述べてきた通り「G2412」は、競技性の高いシューティングからソロで遊びたいAAAタイトルまで、多くの用途をカバーしてくれる。特にシューティングでは、高いリフレッシュレートと応答速度、ナイトビジョンなどのサポート機能が活躍し「ゲーミングモニター」としての優位性を感じることができるだろう。また、美麗なIPSパネルを搭載することで映像鑑賞や一人で遊べるAAAタイトルなどをしっかり楽しむこともできる。 eスポーツタイトルをがっつり遊びたいというユーザーを中心に、さまざまな用途をカバーしてくれる、ゲーマーにとって頼もしい相棒となってくれるだろう。 ■MSI G2412 商品ページ https://jp.msi.com/Monitor/G2412 ■MSI G2722 商品ページ https://jp.msi.com/Monitor/G2722