2022年5月10日(火)より開幕した『リーグ・オブ・レジェンド』の国際大会「MSI 2022」において、中国代表のRoyal Never Give Up(RNG)が、最初の3日間に行ったすべての試合で、ゲームログに報告される遅延と実際の遅延に不一致があることが判明した。

そのため、RNGが対戦した前半の3試合すべてが再試合となる。


公平性を期すためのレイテンシーツールのトラブル


「MSI 2022」では、新型コロナウイルスの爆発的感染に直面している中国チームが、韓国への渡航が不可能となったため、中国からのリモート参加が許可されていた。

ただし、競技の公平性を保つため、ネットワークレイテンシーツールを使用することで、大会中は中国チームだけでなく、韓国・釜山に集まっているすべてのチームのPingを、可能な限り35msというやや遅延がある状態にしていた。

このツールは「MSI 2020」でのLPL vs LCKの対決の際にも、オンラインでの中国ー韓国間のPingを維持するために使用された実績がある。また、本戦だけでなくチームごとの練習やスクリム(練習試合)でもこのPingの状態で実施されていた。

RNGとの全試合を仕切り直し


RNGが所属するグループBでは、RNGが戦う3チーム×2回の6試合すべてをやり直すことになる。

なお、やり直しの試合は、グループステージが終了する予定の5月15日までに行われる。


遅延問題が判明したのは、5月11日にプレーヤーからの遅延を疑問視するフィードバックを受けて調査をスタート。Chronobreak(試合中になんらかのやり直さざるを得ない問題があった際に、以前の時間帯まで戻す機能)とネットコードなどで広範なテストを実施し、ログなどを調べた。翌12日には、ネットワークツールの計算にエラーが発生し、狙っている遅延とプレーヤーが感じる遅延の間に不一致が生じていることがわかった。

「なぜ事前のテストで判明できなかったのか」という問いに対して、「試合前と試合中に広範なテストを実施し、ツールとプレイテストではPingに重大な差異がないことを確認していた」とライアットゲームズは語っている。

この件に関して多くの『LoL』関係者から賛否の声が上がっているが、一般的なスポーツ競技としては再戦するケースは決して多くない。こういった事態に陥った際にどのように勝敗を決するか、不測の事態に備えてスポーティングレギュレーションを事前に定めておく必要性が浮き彫りにされたとも言える。

また、チームや選手にとっては再戦のチャンスが与えられたという見方もあれば、まったく同じ時間を再度戦わなければならない負担を不安視する見方もあり、立場によって賛否も分かれている。


ただし、今回の件は、渡航できないRNGが特別扱いされたために起きたことでも、RNGが何らかの不正を行った結果でもないことは明らかだ。

ライアットゲームズのグローバルヘッドを務めるアレックス・フランソワは今回の件について、「プレーヤー、チーム、ファンに謝罪します。トーナメントの競争力を維持するために、プレーヤーと協力してプレー環境を監視していきます」とコメントしている。


LoL Esportsプレスリリース
https://www.lolesportsmedia.com/A-Message-from-Alex-Francois-Global-Head-of-Competitive-Operations-Rio


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