湾曲モニターの使い勝手はどうなのか? この問いは、多くのゲーマーが持っているものではないだろうか。かくいう筆者もそのひとりであり、量販店やPCショップの店頭で見たことはあったものの、ガッツリと使ったことはなかった。というより、どのような利点があるのかを想像できなかった。

 

今回MSIより、170hzの高リフレッシュレートに対応する、31.5インチの湾曲ゲーミングモニター「G32C4 E2」をお借りして、実際に初めての湾曲モニターを10日間ほど体験してみたので、その模様をお届けしたい。

 

「デカい」×「没入感」

まず、ゲーミングモニターのなかでも31.5インチディスプレイと、709.4 x 248.7 x 509.4(mm)というサイズ感は、比較的大きく感じる。どちらかというとテレビに近い存在感だ。つまり「テレビゲームらしい」ゲーム、なるべく大きな画面で遊びたいゲームに適しているというわけだ。

 

 

例えば、『アンチャーテッド』シリーズや『Marvel’s Spider-Man』といった、映画のようなプレイングが楽しめるアクションゲームや、クルマで駆ける喜びを味わう『Forza』シリーズ、世界中の空を旅する『Microsoft Flight Simulator』などの、乗り物を操るタイトルに適しているといえる。

 

ではそれらのタイトルを湾曲モニターで遊ぶとどのような効果があるのか。『Forza Horizon 5』を遊んでみたところ、これは確かに「没入感」が得られると感じた。モニターの両端に対する意識の向け方が、平面モニターと違うのだ。平面モニターと向き合って座っているとき、画面の中央と両端では、目との距離が異なるという、当たり前の事実をすっかり忘れていた。

 

▲『Forza Horizon 5』を大きな画面で遊ぶのは楽しい

 

具体的には、平面モニターでは画面の両端へ“意識”を向けることで視認していたが、これが湾曲することで自然な形で視界に存在するのだ。178°の広い視野角を持つ美しいディスプレイと、最も見やすいとされている湾曲率1,500Rもポイントだ。

中央のややうえあたり(道の先)を注視することの多いレースゲームにおいて、画面の両端に映る他のクルマや景色、スピードメーターといったインターフェースなどへ特別に注意を払わなくても視界に入ってくるのが大きなメリットだ。

 

▲一人称視点やボンネット視点にしてみると更に没入感はアップする

 

DisplayPort 1.2aのほかにも、コンソールゲームを多く遊びたいユーザーでも、HDMI1.4bが2つついているため、セレクターなどを介さずとも、2台は接続することができる点もポイントのひとつだ。なお、スピーカーは内蔵されていないがヘッドフォン出力端子を備えている。

 

余談であるが、筆者はサブスクリプション時代でもBlu-rayを何枚も持っているほどの映画オタクだ。この湾曲モニターで映画を見ると、どことなく「映画館」っぽい雰囲気を覚える。実際に多くの映画館では凹型の湾曲スクリーンを採用しており(投影などの技術的な理由が多いのだが)、湾曲モニターで見る映画は、平面がモニターとは一味違った迫力があった。同じような映画オタクの方は、一度店頭などでYouTubeの予告編を見るだけでも想像できると思うので試してみて欲しい。

 

 

なお、「G32C4 E2」は各種機能も充実している。暗いシーンでも視認性を上げるナイトビジョン、長時間の使用において目の疲労を軽減するアンチフリッカー、ブルーライトカット機能など盛りだくさんであり、これらは右下の背面にあるスティックボタンで操作できる。

 

 

このメニュー画面もレスポンスが良く、モードの切り替えや、細かい操作を繰り返す色味の調節なども快適に行える。

 

向き不向きはある

一方で、近年流行りを見せる『VALORANT』や『レインボーシックス シージ』といったFPSタイトルでは24インチ前後が最適とされており、実際の公式大会でも、そのくらいのサイズ感のモニターが採用されていることが多い。筆者も競技的な意識を高くもってこれらのタイトルをプレイしているが、湾曲モニターでは迫力はあるものの、綺麗な視点の横移動など、繊細なエイムが求められるタイトルにはおすすめしにくい。

 

 

だが、カジュアルに遊びたいシューティングゲームではこの迫力が大きく作用する。『Apex Legends』や『Battlefield 2042』はフレンドとワイワイ遊びたいタイトルには、大きな画面と湾曲の相性は、非常に良い。

 

 

「G32C4 E2」は最大170hz(オーバークロック設定)のリフレッシュレートに対応しているというのも、大きなポイントだ。リフレッシュレートとは、1秒間に何枚の画像が表示されているかを示すもので、一般的には60hz(=60枚)で描画されることが多い。

リフレッシュレートがあがることで、ゲーム内では敵の動きが見やすくなるといった利点があり、一度高いリフレッシュレートに慣れると、もはや後戻りはできない。応答速度も1msであり、激しい動きのタイトルでも描画のもたつきなどは感じにくくなっている。

 

 

また、これは意外な発見だったが、「G32C4 E2」はeスポーツの観戦にとても向いていると感じた。お借りしている期間は、『レインボーシックス シージ』の国際大会「Six Berlin Major 2022」が開催されており、特に気に留めずに見ていたのだが、選手の綺麗な振り向きや、ゲーム内でキャラクターが走っているときの没入感などがプラスされていて新鮮に感じた。また、このような大会の画面には選手のHPやガジェットの残り数、ラウンドスコアといった情報がこれでもかと詰め込まれているが、前述の通り、画面両端の情報も見やすい。大会や配信を見る用途にも向いている。

 

▲「Six Berlin Major 2022」

 

どんなユーザーに最適か

ここまで述べてきたが、「G32C4 E2」はレースゲームやカジュアルなシューティングゲームなどを中心にプレイするゲーマーや、eスポーツタイトルの大会やストリーマーの配信、映画やドラマといった映像を見る時間が多いユーザーに強くおすすめしたい。これらは特に湾曲モニターの恩恵を受けやすく、日常に溶け込みきったゲーマーの体験に、新鮮な没入感をプラスしてくれる。また、価格も39,800円前後からと、ゲーミングモニターとしてはリーズナブルな部類だ。

 

▲『モンスターハンターライズ サンブレイク』などのアクションゲームにもピッタリだ

 

没入感ある湾曲フルHDディスプレイを採用した、高リフレッシュレートに対応する30インチ以上のゲーミングモニターは実はそこまで市場に数はない。20インチ半ばでは物足りない、もう一回り大きなサイズ感が良いというユーザーや、高解像度は必要ないけど、高リフレッシュレートとサイズは譲れないというユーザーにとっては、有力な選択肢になるだろう。

G32C4 E2 スペック表

 

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