良いゲーミングモニターを探す基準を考えたとき、思い浮かぶことはいくつもある。解像度・湾曲率・画面サイズ・リフレッシュレート・HDRなど、挙げればキリはないが、やはり予算の範囲内で最適なモニターを見つけるのはなかなかに難しい。

 

本稿で紹介する「G272CQP」は、挙げた項目をしっかりと満足するスペックにキープしつつ、コストパフォーマンスに優れているゲーミングモニターだ。「コスパに優れた良いゲーミングモニターはどれ」と問われたときの最適解となるような、とても「ちょうど良い」ものだと感じた。少しオーバーな表現に聞こえるかもしれないが、贔屓目なしに筆者はこのモニターをメインモニターとして迎えようと考えている。

 

 

というのも、筆者は暇さえあれば銃を手に取り敵を探しにいくようなFPSゲーマーであり、『VALORANT』や『レインボーシックス シージ』といったシューティングタイトルをとても長い時間プレイしている。適度な湾曲率、高いリフレッシュレート、高い解像度、ちょうど良いサイズ感はFPSにとても適していると感じたからだ。

普段の作業がとてもキレイな高解像度

まずスペックを見ていこう。サイズは27インチ・解像度はWQHD(2,560×1,440)だ。「G272CQP」は、フルHDの約1.8倍高精細な解像度によって、ブラウジングや表計算ソフト、文書作成ソフトなどでその真価を大きく発揮するように感じた。また、画面を分割して作業をする際など、大きな画面でしっかりと視認することができるので、ゲームだけでなく、仕事や趣味なども捗る。

 

▲画面分割して作業しているイメージ

 

27インチほどになるとフルHD解像度では少し粗が目立つサイズであり、筆者としてはブラウジングの際の文字の粗が目についてしまう。筆者は目が極端に悪いため、文書作成時やブラウジングの際は拡大表示することが多くあるが、そうした場面でも粗はほとんど目立たない。高解像度はやはり正義だ。

FPSに“ちょうど良い”

そして、モニターのリフレッシュレートは170hz(オーバークロック時)、応答速度は1ms、湾曲率は1000Rだ。リフレッシュレートは1秒間に描画する枚数のことで、「G272CQP」は、1秒間に最大170枚の画像が表示されるというわけだ。これにより滑らかな映像を楽しめ、特にFPSのような小さな敵を如何に視認するかが問われるタイトルでは、その真価を発揮しやすい。実際に筆者は普段から160hz以上のモニターでFPSをプレイしているので、もう60hzのような一般的なオフィス用モニターでは違和感を覚えるようになってしまっている。

 

▲背面のスティックで操作する操作画面。動作が軽快でストレスがない

 

また、注目したいのが湾曲率だ。「R」で表される値は、湾曲モニターの曲線を円の一部とした場合、その円の半径のサイズだ。つまり、「G272CQP」の湾曲率1000Rとは、半径1000mm(1m)の円のいち部分を切り取ったものという認識だ。基本的にはその値が大きくなるにつれてその曲線は緩くなっていく。MSIのゲーミングモニターには、1500R・1800Rなどを採用したモデルもある。

 

 

モニターのサイズによって湾曲率の基準は異なってくるもので、筆者自身、以前使用した31.5インチの1500Rモニターと、本モデル(27インチ・1000R)を比較したとき、(モニタサイズのせいもあるが)こちらのほうが湾曲をゆるく感じるなど、カタログスペックだけでは想像がしにくい。実際に店頭などでモニターと向き合ってみることをおすすめしたい。

 

なぜ事細かに湾曲率について説明したのかというと、27インチにおける湾曲率1000Rは、とてもFPSがしやすいというのをお伝えしたいからだ。湾曲率1000Rは、人間の視野とほぼ同じであり、画面中央と画面端が目からほぼ一定のため、とても自然に感じる。明らかに「没入感が高まったな」というよりは、より自然な形でモニター全体を視認できる印象だ。

 

▲視野のイメージ。適度な没入感が得られる

 

湾曲モニターは画面の端と眼の距離が近づくことで、画面の端へ特別な意識を向ける必要が減るといったメリットがあるが、湾曲すること(つまりモニターが曲がっている)とは、本来直線的に描かれていたものが曲がっているということでもある。FPSタイトルでは、27インチ湾曲率1000Rがとても「ちょうど良い」のだ。綺麗な視点移動が求められる『VALORANT』などは特に顕著で、左右に動く敵に対してそのヘッドライン(頭のある横軸の位置)を維持する場面などでは、湾曲が邪魔になることはない。そのうえ、画面の左上にあるミニマップなど、画面端への意識を自然に向けることができる湾曲モニターの恩恵もしっかりと受けられる。

 

実際に、最初に導入したときから、その自然な湾曲率のちょうど良さがフィットし、日課となっている毎日数時間の『VALORANT』をプレイしている中でも、このサイズと湾曲はとても良いと感じた。

高水準で高コスパ

ここまで述べてきたとおり、「G272CQP」は、170hzのリフレッシュレートや1msの応答速度はもちろん、HDRへの対応や、ブレや残像を抑制するアンチモーションブラーなど、ゲーミングモニターとしての高水準を保ちつつ、27インチ・湾曲率1000Rというちょうど良いスペックを持っているモニターといえる。

 

また、「G272CQP」はプレスリリースによると税込価格は43,800円前後であり、このスペックを考えるとお得感がある。付属のスペーサーネジによってVESA規格100×100への対応や、モニターを幅広い角度へ調節できる点など、細かい部分も抜かりない。入力端子には、DisplayPort 1.2aのほか、HDMI1.4bを2つ搭載しているため、コンソールでも遊びやすい。

 

▲角度や高さ調節も比較的自由に行える

 

これからしっかりとゲーミングPCライフを送りたい初心者や、今はフルHDモニターだけど、そろそろ高解像度なモニターに買い替えたいなど、ちょっと良いスペックのモニターが欲しいというユーザーが、そこまで予算はかけずに手に入れられる高水準なゲーミングモニターといえるだろう。

スペック表

製品ページ:https://jp.msi.com/Monitor/G272CQP

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