2023年6月3(土)〜4日(日)の両日に『VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan 2023(ChallengersJP) Split2-Playoff Finals」が開催されました。ChallengersJP Split1から始まった大会にいよいよ決着が付きます。

大会の詳しい内容についてはレポート記事を参照して貰うとして、今回はこの大会をイオンモールでパブリックビューイングを開催するということで、そちらの方に行ってみました。

※なお掲載されている写真はイオンモールのルールに基づき、一部画像処理を施してあります

ふらっと立ち寄って観戦できる!
イオンモールならではのパブリックビューイング


イオンモールでChallengersJPのパブリックビューイングが開催されるのは、イオンモール名取、イオンレイクタウンKaze、イオンモール豊川、イオンモール福岡の4箇所です。大会開催日の前日から全国的に台風の影響があり、6月3日は大会自体の開始が3時間遅れることとなり、それに合わせてパブリックビューイングの開始も遅れて始まることとなりました。また、イオンモール豊川は台風2号の影響により中止となり、6月4日のみの開催となっています。

▲イオンレイクタウンKazeの光の広場には多くの『VALORANT』ファンが集まっていました

▲イオンモールにChallengersJPの看板があるのはわかっていながらも驚き!

今回取材に訪れたのはイオンレイクタウンKazeです。越谷レイクタウン駅に隣接し、「kaze」「mori」「アウトレット」の3つの施設からなるイオンレイクタウンは、国内最大級のショッピングモールとなっています。パブリックビューイングが行われるのはイオンレイクタウンKazeの光の広場です。3階ぶち抜きの開放感のある場所で、さまざまなイベントが開催されています。

イオンモールで行われるイベントの中には、eスポーツ関連のイベントもすでに行われています。全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKIでは、『ぷよぷよeスポーツ』の地方予選の会場として使用されています。『ストリートファイターV』では、「ルーキーズキャラバン」や「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2022 ファン交流キャラバン」でも会場として使用されています。

したがって、ある程度親和性が高い会場であるとは思いますが、今回のタイトルは『VALORANT』。イオンモールに訪れる客層とちょっと離れる上、知名度や敷居の高さも心配されます。また、『ぷよぷよeスポーツ』や『ストリートファイターV』のイベントは参加型であったのに対して、今回は完全に観戦となるので、より注目度が下がってしまうのではないかという懸念もあるわけです。

ということで、恐る恐る会場に赴きましたが、そんなことは杞憂だったことがすぐにわかります。用意された席のほとんどは埋まっており、立ち見も出るほど。2階、3階の吹き抜けから観戦する人もおり、人気のイベントになったといえるのではないでしょうか。観戦している人たちもさまざまな人がおり、明らかな『VALORANT』ガチ勢から、買い物ついでに立ち寄った人までおり、ショッピングモールで開催したイベントらしさがうかがえます。

▲光の広場は吹き抜けになっており、2階、3階からイベントを見ている人もいました


▲パブリックビューイングの現地実況としてeスポーツキャスターの谷藤博美さんが、初日のみの参加でしたがスペシャルゲストとしてストリーマーのトナカイト氏が訪れていました

ChallengersJPのTシャツを着込んだファンは、もちろんこのイベントのためにイオンレイクタウンKazeに訪れており、高校生のカップルは「イオンレイクタウンKazeに遊びに来たら、イベントをやっていたので、ちょっと観ている」とのこと。無料で配布されていたスティックバルーンほしさに近づいてくる子どももいました。Crest Gamingを運営するヒューマンアカデミーの生徒たちも来ています。立ち寄った人の多くはどちらかが『VALORANT』を知っており、連れにどんなゲームかを説明している光景も見かけられました。

▲「今回のパブリックビューイングのためにイオンレイクタウンKazeにやってきました」と言うあーつさん(写真右)とうにさん(写真左)。『VALORANT』はプレイヤーとしても楽しんでおり、競技シーンも良く観ているとのこと。Crazy RaccoonとFENNELのファンで、Mastersも観に行く予定です

▲ヒューマンアカデミーの生徒で競技シーンに携わっている方々も来場していました。右から原田さん、瀧上さん、田島さん、平野さん

秀逸だったのは、おそらく高校生の息子とその母親だと思われる二人連れの会話。息子が「『VALORANT』の大会やっている」と言うと、母親が「これってこの前日本チームが負けたってやつ?」と聞き返します。息子がこれは日本の大会で、この前のは海外の大会と説明していました。息子のゲームに興味を持つどころか、日本チームが敗退していることも知っているなんて、お母さん、素晴らし過ぎます!

『VALORANT』の競技シーンが思った以上の家庭に入り込んでいるとちょっと驚きました。まあ、この親子が家庭内でしっかりコミュニケーション取れているというのが大前提ですが。こういう会話が成り立つのも、イオンモールという、老若男女が訪れる場であるというのが大きいのかも知れません。

▲会場で配布されていたスティックバルーンとクリアファイル。イオンレイクタウンKazeに遊びに来ていた親子連れの子どもたちはバルーンほしさに会場に集まっていました

▲オープニングと2・3試合目の終了後に行われたじゃんけん大会も行われていました

▲じゃんけん大会の賞品。これに協賛スポンサーでもあるプリングルスの詰め合わせの4賞品を用意

▲こちらは2日目の様子。前日よりも集まった観戦者の数はちょっと減りましたが、たいへん盛り上がりました

最後に、今回のイオンモールでのパブリックビューイングの開催について、イオンモールのCX創造本部営業統括部販売促進部部長の竹田氏に話を聞いてきました。

eスポーツを通して地域交流を促進する


——ChallengersJP Playoff Finalsのパブリックビューイングを開催する経緯を教えてください。

竹田:当社では、モールは地域の交流の場と位置づけ、お客さまが来店をきっかけに新たな発見や地域の魅力を再認識できる機会を提供できる場となるよう、イベントを通じてお客さまにさまざまな体験を提供しています。今回も、その取り組みの一環として、RAGEの方々とお話しを進めていく中で開催に至りました。

——eスポーツのパブリックビューイングは今回が初めてとのことですが、これまでにeスポーツ以外のパブリックビューイングの開催はあったのでしょうか。

竹田:過去には、サッカーや野球、ラグビーなどの国際大会のほか、地元のバスケットボールチームやサッカーチームの試合など、多数のパブリックビューイングを開催させていただきました。

特に国際大会、国の代表が出場する大会は、パブリックビューイングに来ていただくお客さまが同じチームを応援するので一体感があり、お客さま同士の交流も生まれているように感じています。

——これまでさまざまなタイトルでeスポーツイベントを行っていますが、今回の『VALORANT』はそれらと比べて手応えはいかがでしょうか。

竹田:今回は、これまで以上に多くのお客さまにご参加いただくことができました。

10〜20代が中心の『VALORANT』のファン層だけでなく、ファミリー層にeスポーツの魅力を知っていただけるいい機会になったのではないかと思っています。また、『VALORANT』のファンである若年層には「イオンモールに来ると楽しい!」ということが改めてお伝えできたと思っています。

——eスポーツをイオンモールとしてはどうとらえていますでしょうか。

竹田:eスポーツはエンターテインメントのひとつとして、プレイする人も観客も一体感を持てるものだと思います。なので、より多くの人に知ってもらい、体験する機会を提供していきたいですね。

——今後のeスポーツに関する展開はありますでしょうか。

竹田:eスポーツに関してはいろいろな取り組みを考えています。eスポーツは地方自治体なども注目しており、既に当社でも地域と連携した取り組みを開始しています。イオンモールは全国に展開しているので、全国大会の予選を行ったり、大きな大会のパブリックビューイングもできているのだと考えています。

今後もお客さまを笑顔にできるものは何か検討し、それにeスポーツがあてはまっていくのであれば、今後もさまざまな展開をしていきたいと思います。

——ありがとうございました。

———

イオンモールのような大型ショッピングモールでは、大型連休や年末年始など、来場者が多く見込める日には、イベントをよく行っています。登壇するのはお笑い芸人であったり、歌手であったり、さまざまです。いずれにせよ、来場したお客さんに買い物以外の楽しみを提供する場であるわけです。

その場にeスポーツが選択肢に入っているのは大変誇らしく、うれしいことです。今回は4店舗での開催でしたが、大きなeスポーツイベントが開催されにくい地方都市での開催も期待したいところです。全国に展開するイオンモールであれば、それは可能でしょう。

それどころか、イオンモール以外の街の商店街や地場のショッピングモールもパブリックビューイングが開催することもできるわけです。ChallengersJP Playoffのような大会が、ワールドカップやWBCのように、全国的で盛り上がるは間違いなし。そして、それらが継続されるように、近くでイベントがあったらファンは通ってほしいところです。


【岡安学 プロフィール】
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)

Twitter:@digiyas

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