【大会レポート】日本のeスポーツシーンが変わった!——『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2023 Masters Tokyo」は🇪🇺FNATICが優勝!
提供元: eSports World

決勝戦は先述した🇺🇸EGとの再戦。🇺🇸EGも21日(水)までは無敗で駒を進めていたが、🇪🇺FNCに敗北しローワーブラケットへ。そこで🇸🇬Paper Rextに勝利したのち、再び🇺🇸EGへと再戦という形になったのだ。
お互いの対策がぶつかり合う決勝戦
お互いがお互いの対策を持って再戦することとなったグランドファイナルでは終始🇪🇺FNCが有利な戦いを見せつける。1マップ目のロータスでは13:8、2マップ目のスプリットでは13:11と接戦ではあったものの、ピックマップであるスプリットを落としてしまい、あとがない🇺🇸EG。
3マップ目は🇪🇺FNCがピックしたバインドということもあり、非常に苦しい戦いが求められる形に——。特にバインドというマップは、今回「Masters Tokyo」において🇺🇸EGがずっとバン(選択拒否)*していたマップということもあり、さらなる苦戦が強いられると予想されていた。
*決勝戦まではお互いが戦いたくないマップをひとつ、ないしふたつバンすることができた。しかし決勝戦ではアッパーブラケット(無敗で勝ち進んだ側)に有利な条件として、🇪🇺FNCがふたつのマップをバンできる権利があり、一方でローワーブラケット(敗者復活戦)から勝ち進んできた🇺🇸EGにはバンする権利が与えられなかった
🇺🇸EGとしては今大会においてバインドは捨てマップとして扱っていたというのを想像するのはたやすいことだが、そんな🇺🇸EGがバインドで見せたエージェント構成は会場を大いに沸かせた。

▲チェンバーにレイナといった想像も付かないエージェント構成を見せた。思わず解説のyukishiroさんも「いやいや、チェンバーにレイナ?」と驚きの声を隠しきれない(https://www.youtube.com/live/M5ZXpHnxGmI?feature=share&t=15928)
奇策が刺さったのか3マップ目のバインドでは14:12とOT(オーバータイム)までもつれ込む試合になったものの、惜しくも🇺🇸EGは敗退という結果となった。試合後バインドをピックされたことに対し、potter(ぽったー)コーチやBoostio(ぶーすてぃお)選手は「やばいことやってみようぜ」という気持ちで挑んだとも話していた。
試合外で感じたふたつのチームの特色
今回の世界大会は日本の幕張メッセで開催されたということもあり、気軽に現地取材をすることができたのは日本メディアとしてはうれしいポイントだった。試合内容よりも試合中の選手の表情やパフォーマンスが見えるのもオフライン観戦ならではなのではないだろうか。🇪🇺FNCはとにかくBoaster(ぼーすたー)選手のファンサービスが会場を盛り上げていた。

▲試合中でも後ろを振り返りファンに向けてアピールをするBoaster選手。そのたびに会場は盛り上がり、観客の声援を力に変えていた(撮影:Yoshida*HARRY*Takanori)
Boaster選手のファンサービスで日本のファンはくぎ付けとなり、まるで🇪🇺FNCのホームのような一体感が生まれていたのも事実だ。環境をがらりと変える力を持つBoaster選手のファンサービスは、ほかのチームメートにも大きなパワーになったことは言うまでもない。

▲試合前に指の運動をしているBoaster選手

▲カメラを向けられたのを感じたのか、笑顔を見せてくれるBoaster選手。こういったファンサービスができる選手はなかなかいない

▲もちろんBoaster選手だけではない。ファンサービスを大切にしているのはほかの🇪🇺FNCメンバーも同じだ(撮影:Yoshida*HARRY*Takanori)
一方で🇺🇸EGのチームを見て感じたのは、とにかくpotterコーチが選手に寄り添っているという点だ。「自分たちはほかのチームが必要としていない寄せ集めのメンバーだった」とpotterコーチ。今回のMasters Tokyoにかける思いは人一倍あったのではないだろうか。

▲試合前に円陣を組む🇺🇸EG。円陣を組んでいる時間が非常に長く、potterコーチは各選手ひとりひとりに話しかけているようにも感じた。Demon1(でーもんわん)選手の背中をさするシーンが印象的だった

▲選手がセッティングしている間も常に話しかけていたpotterコーチ。時間ギリギリまでステージ上に残り、選手を気にかけていた

▲時には母のような存在を見せたpotterコーチは多くのチームやファンが注目をしていたに違いない

▲potterコーチに向けたファンボードを掲げるファン。彼女の魅力は選手と同じようにファンの心を引きつけていた
日本のeスポーツシーンを大きく変えたMasters Tokyo
『VALORANT』の競技シーンをまだよく知らないという読者のためにも、改めて競技シーンについておさらいしていこう。『VALORANT』には年間を通して世界王者を決める「VALORANT Champions Tour」という公式大会があり、その中でいくつか大きな試合が開催される。
「Masters Tokyo」もその中のひとつで、今回開催された「Masters Tokyo」は各地域で開催されていたリーグで勝ち抜いた12チームが戦う世界大会だ。
では、なぜそんな国際大会が日本で開催されているのに、日本のチームが出場していないのかというと、日本代表として出場していたZETA DIVISIONやDetonatioN FocusMeは、直前リーグで成績が振るわず「Masters Tokyo」へと進出できなかったからなのだ。

▲ピラミッドの最下層が各地域のリーグ戦を意味する。日本代表は中央のVCT Pacificに所属しリーグ戦を行っていた。ピラミッド中層が今回開催された「Masters Tokyo」と、敗者復活戦でChampionsを狙うLCQ。そして最上層が年間王者を決めるChampionsとなっている
Mastersが日本で開催されることが決まったのは、昨年12月に開催された年末イベントRiot Games ONE。イベントの最後に突如発表され、会場が大いに沸いたのは記憶に新しい。

▲号外が配られるほどの大イベント。キャスター陣やファンが涙するシーンも見られた
そんな日本開催が決まったのは、昨年の「Masters Reykjavík」でZETA DIVISIONが世界3位という歴史的快挙を成し遂げたことにほかならない。

▲当初の歴史的快挙はeSportsworldでも取り上げていた。毎日のようなZETAの快挙に、配信の視聴者数はうなぎのぼりに。試合は深夜に放送されていたのにも関わらず40万人以上というとんでもない数をもたらした
当時の合同カンファレンスに参加していた日本メディアはeSports worldのみ。海外のメディアが英語で質問している中、不安な気持ちを抑えながらも質問していたのを今でも思い出す。そんなZETA DIVISIONの歴史的快挙で、あれよあれよと『VALORANT』の競技シーンは日本でも注目されるようになり、日本ではeスポーツタイトルの中でも群を抜いた盛り上がりを見せている。
「あのMastersが日本でも見られるのか!」ということで期待が高まっていたが、日本代表出場ならずという結果に……。「日本代表が出場しないなら、今回のMasters Tokyoって盛り上がらないんじゃないかな」そんな不安がよぎった人も少なからずいたのではないかもしれないが、そんな考えは杞憂にすぎなかった。

▲会場を埋め尽くすファン・ファン・ファン!

▲試合が終われば席を立ちステージに集まる観客たち
席に座ってステージには近づかないようにというルールではあったが、もう彼らの熱狂は止められない。むしろこれが本来あるべき姿なのではないかと錯覚してしまうほど、会場の熱量はピークに達していた。その熱狂は日本では決して感じることができなかった新しいeスポーツシーンともいえる。

▲応援しているのは日本代表だけではない。日本のファンは海外チームにも目を向けていた

▲こんなシーンが日本で見られるなんて誰が想像しただろうか。席を立ちステージ前に集まるファンを見た筆者は、日本におけるeスポーツシーンに大きな変化を感じた
eSports Worldというメディアが開設されて3年が経ち、eスポーツシーンに疎かった筆者も、取材を通じて多くのeスポーツシーンを見て来た。もちろん昨年開催された、さいたまスーパーアリーナでのオフライン大会も大きな盛り上がりを見せていたが、国際大会となるとここまで雰囲気が変わるものなんだというのを目の当たりにしたMasters Tokyoだった。

▲応援ボードで思い思いのメッセージを書き思いを伝えるもよし(撮影:Yoshida*HARRY*Takanori)

▲自前のファングッズで応援するもよし(撮影:Yoshida*HARRY*Takanori)

▲観戦の合間に楽しめる体験ブースもあったりと、至れり尽くせりなMasters Tokyo
成人ならばお酒も楽しめるなんて、まさに夢のようなライブがそこにあった。もうひとつ欲をいえば日本代表が出場してほしかった。ただただそれに尽きる。再びこのような世界大会が日本で開催されるのはいつになるのか——。近い未来かもしれないし、遠い未来かもしれないが、次回はぜひこの熱狂の中、日本のチームを応援していきたい。
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【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
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