昨年大成功で幕を閉じた「クロスライン—ボクらは違いと旅をする—」の第二弾が、2023年9月2日(土)〜3日(日)、栃木県「モビリティリゾートもてぎ」で開催された。その名も「クロスライン—ボクらは違いと旅をする—SEASON2」(以下、クロスライン2)。
株式会社ePARAが、トヨタ・モビリティ基金の「Make a Move PROJECT」での採択を受けて実施する実証実験だ。
シーズン2となる「クロスライン2」は、「障害の有無に関係なく、誰もがレーサーになれる社会を目指し、より多くの人にモータースポーツの魅力を知ってもらう」という目的で実施され、今回は大きく分けてふたつのプロジェクトが同時進行した。
ひとつは市販の四輪車両に改造を施した車両で勝敗を争うスーパー耐久(S耐)と併走するバーチャルレースを実施する「クロスラインレース」。
もうひとつは筑波技術大学と連携して、視覚障害者および車椅子ユーザーが実証協力を実施する「クロスラインミニツアー」だ。
今回は、リアルプロレーサーも参戦した「クロスラインレース」の様子と、実際に「クロスラインレース」に参加した選手の声をお届けしよう。
「クロスラインレース」の使用タイトルは『iRacing』で、使用するコースは「モビリティリゾートもてぎ」のロードコース。そして会場は栃木県「モビリティリゾートもてぎ」のロードコースの目の前にあるVIPルーム。
つまりリアルの会場で、リアルのS耐と同じ時間に、同じ気温・天気を設定するという、限りなくリアルに近づけたレースなのだ。もちろんタイヤ交換や給油などのピットストップもゲーム内で行う。
90分間走り続け、コースを何周走れるかを競う。


そんな「クロスラインレース」に出場するチームは4チーム(選手名の順番は実際にコースを走る順番)。
■チーム「リアルレーサーズ」
リアルレースで活躍するプロ選手3名(岩澤優吾、塩津佑介、塚本ナナミ)
■チーム「KDDI」
ePARAのファン代表の3名(伊藤悟、成嶌和樹、湯野康隆)
■チーム「テクノツール」
肢体不自由な車椅子ユーザーを中心に構成された3名(長屋宏和、石水可夢偉、干場慎也)で構成されたチーム。なかには元F3ドライバー(長屋宏和)や、eスポーツ選手権2023 U-18の部で準優勝の実力を持つ選手(石水可夢偉)も出場
■Racing Fortia
バリアフリーeモータースポーツチーム。視覚障害を持ついちほまれ選手、サルコイドーシス当事者のabckai選手、発達障害でありながらeスポーツ選手権2023 一般の部で優勝経験がある石水優夢選手で構成されている
なんといってもリアルプロレーサーがeモータースポーツでどのようなポテンシャルを見せてくれるのか——。また障害当事者のシムレーサーがどれだけリアルプロレーサーに立ち向かえるのかが見どころ。

KDDIの思わぬスピンから開幕した「クロスラインレース」本戦。前半は終始Racing Fortiaがリード。そのトップをピッタリとマークしているのがリアルレーサーズだ。少し後れを取ってテクノツール、KDDIが後を追いかける展開に。


ピットストップを経て、第二走者へと続くも依然Racing Fortiaが先頭をリード。テクノツール、リアルレーサーズ、KDDIと続き、リアルレーサーズは順位を落とす。実は選手交代時のログイン設定でトラブルがあり、2分ほど後れを取ってしまったのが原因だった。こういったエラーはeモータースポーツならではともいえる。

2回目のヒットストップを経て、レースはいよいよ終盤へ。順位こそ変わらないものの、序盤のスピンで後れを取っていたKDDIの湯野康隆選手が、1周2分17秒台と、第三走者の中で最も早いペースの走りを見せる。


レース結果は以下の通り。()内はベストラップ
1位:Racing Fortia(2分15秒26)
2位:テクノツール(2分16秒18周)
3位:リアルレーサーズ(2分15秒10)
4位:KDDI(2分17秒87)
トラブルにより3位の結果になったリアルレーサーズだが、ベストラップを見るとRacing Fortiaを抜いて1位をマーク。なお、ベストラップを獲得した選手は第一走者の岩澤優吾選手。eモータースポーツでもリアルプロレーサーのポテンシャルの高さを感じる結果となった。
最後に「クロスライン」に参加した選手に突撃インタビューを実施。リアルレースとシミュレーションレースとの違いやeモータースポーツの可能性についておうかがいした。

——まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
岩澤優吾選手(以下、岩澤):レースの前に2周だけ走らせてもらったんですけど、レーシングシミュレーターにはレーシングシミュレーターの難しさはあるなと感じました。今回eモータースポーツ選手の石水選手と一緒に走って、とても学びになったレースでした。
——実車との違いや難しさはありましたか?
岩澤:一番大きな違いはGを感じないことですね。僕の場合、実車ではハンドルだけでなく全身で車の動きや滑りやすさを感じてレースをしているんですが、レーシングシミュレーターだと全身で感じることはできず、ハンドルだけでタイヤのグリップ感を感じ取らなければならない部分が難しかったです。
——なるほど。それでもベストラップを出すほどの腕前でしたよね。今回20分くらい走ったと思いますが、どのようにしてその難しさを攻略していきましたか?
岩澤:石水選手の後ろにつかせてもらって、ライン取りとかブレーキポイントを参考にさせてもらいました。
——今回、さまざまな障害がある方と同じレースで走ったことで、eモータースポーツに対して可能性は感じましたか。
岩澤:実車ではハンディキャップがあっても、eモータースポーツならばハンディキャップを感じずに挑戦できると感じました。誰もがチャレンジできるのがeモータースポーツの魅力だと思いますね。
——ありがとうございました!

——まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
塩津佑介選手(以下、塩津):このようなイベントは初めてだったんですけど、(運転補助装置を使った)ハンドドライブの方と一緒にレースして「これこそバリアフリー」だという体験ができて、とてもいい2日間を過ごせました。
先ほど、実際にハンドドライブで運転させてもらったのですが、肩の筋肉がめちゃめちゃ必要で「これでコースを20分間運転し続けるなんてすごいな」とも感じました。
このような体験ができたのも良かったですし、同じレギュレーションで戦うことができたのも楽しかったですね。
——実際のレースとの違いを教えてください。
塩津:レーシングシミュレーターはGを再現することができません。普段、僕らも練習にレーシングシミュレーターを取り入れていますが、Gではなくステアリングのインフォメーション(路面の振動)や、モニターで車が滑ったとか滑っていないとかを判断する力を向上させています。
そうすることで、実車でもそういった情報を敏感に察知することができるようになるので、これからもトレーニングでどんどん取り入れていきたいと思っています。
——さまざまなeスポーツの競技がある中、リアルレースとeモータースポーツはより親和性が高いと感じています。実際のリアルプロレーサーから見てどのように感じますか。
塩津:実際にeモータースポーツの世界からリアルなレーシングドライバーも誕生していますし、逆にレーシングドライバーの立場から、eモータースポーツの競技に参加することも増えてくると思います。今後、もっとeモータースポーツの分野は伸びてくるんじゃないかなと感じます。
——最後にファンに向けてひとことお願いします!
塩津:いつも応援ありがとうございます。
今回のレースや動画を通じて僕を知ってくれた方もいらっしゃると思いますが、僕はSUPER GTとか、スーパー耐久などにも出場しているので、そちらの応援も
応援よろしくお願いします!
——ありがとうございました!

——試合おつかれさまでした。ファンチームという異色なチームで参戦されていましたが、なぜファンチームとしてレースに参加することになったのでしょうか。
伊藤悟選手(以下、伊藤):KDDIでは、ブレインテックという脳科学を活用した研究開発をしています。僕らはそのブレインテックを通じて、本当はリアルレーサーになりたいんだけど、さまざまな理由でそこまで踏み込めないといった人々に挑戦できるきっかけを作りたいと思っています。
ePARAさんの「障害のある方でも平等にチャンスがある」というコンセプトに通じるものを感じて、今回ファンチームとして参加させていただきました。
——今回、レースに参加してみていかがでしたか。
伊藤:皆さんうますぎるっていうのが率直な感想です(笑)。
「あのレベルに行くには、どれだけがんばらなければならないんだ!」っていうeモータースポーツの面白さを体験することができたのはうれしかったです。
——eモータースポーツはeスポーツの中でもリアルとの親和性は高いと感じています。伊藤さんはどのように感じていますか?
伊藤:まさにその通りだと思っています。「バーチャルでプレイしている人をリアルに」というコンセプトで「脳トレ」を始めた時も、どのジャンルで始めるかというのを考えました。
例えば「ストリートファイター」シリーズが強くても、実際の格闘技が強いとは限らないじゃないですか。さまざまなeスポーツのジャンルがある中で、一番リアルに近いと感じたのがeモータースポーツでした。ハンドル、アクセル、ブレーキという操作法はバーチャルもリアルも同じですしね。
ゆくゆくは社会全体の注目度や関心が高まって、eモータースポーツを通じて「より多くの人に可能性を見てもらえるような場」になっていけたらなと感じています。
——ありがとうございました!

——まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
干場慎也選手(以下、干場):いやぁ、長屋選手と石川可夢偉選手の意思を引き継いで、最後「ウイニングクラッシュ」ができたので誉れだなと思いました(笑)。
——今回のように、レーシングシミュレーターを使ってeモータースポーツ選手やリアルプロレーサーと同じ土俵で戦うことはあったのでしょうか。
干場:初めての経験でした。車の運転もしたことがない上に、プロ選手と一緒に戦うという前人未踏の場所に立ったので最初の方は顔面蒼白でした(笑)。
ただほかのチームメイトと一緒だということもあり、走って行くうちに「サーキットまわれる!」といった自信がついてきました。
——さらに今回は本物のレース会場を目の前にしてのレース体験でしたね。
干場:チームメンバーが走っている間、上のモニターで本戦の様子を見たり、窓からレースの状況を見たりしていたのでですが、やはり実車ならではの迫力がありました。
「自分たちもその場にいて同じ競技をしている」という気持ちになれたのは胸熱でした!
——ちなみに予選を経て、本戦に向けた作戦はあったのでしょうか。
干場:実はいい作戦と悪い作戦のふたつがありました。
悪い作戦からいうと「ギリギリまでほかのふたりにがんばってもらう」っていう作戦(笑)。いい作戦は「うまい人たちの技術をマネして走ってみる」という作戦です。
例えばカーブをする時、一度縁石に乗っていたのでそういった部分を参考にしていました。うまくできていたのかはわかりませんが、自分の中ではアップデートできたんじゃないかと感じています。
——今回特殊なコントローラを使っていましたね。
干場:外部補助スイッチとジョイスティックでプレイできるFlex Controllerというコントローラーを使っていました。自分の特性に合ったデバイスの使い方ができるので、さまざまな人にゲームを楽しんでもらえるコントローラーです。

——このようなリアルスポーツとeスポーツの融合というものに可能性は感じられましたか?
干場:自分に合ったデバイスを使うことで、こういった場に参加して渡り合うことができるのは、eスポーツならではの魅力だと感じています。
僕らのような障害がある人が参加できるという意味では、リアルスポーツとeスポーツの融合というのは、とても意味のあることだと感じています。
——最後に今後の展望をお聞かせください。
干場:テクノツールは「入口をサポートする」というのをコンセプトに日々活動しています。eスポーツを遊びたいと思っているユーザーさんに対して、引き続き支援をしていけたらと思っています。
eスポーツに踏み込んだ先の可能性をどんどん作っていきたいですね。
——ありがとうございました!

——優勝おめでとうございます。まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
いちほまれ選手(以下、いちほまれ):チームメンバーが作ってくれたリードをゴールまで保つことができてうれしかったです。

——先日の予選を経て、本日の本戦でしたが、何か作戦を考えていましたか?
いちほまれ:予選はヒットストップに関するルールがなかったので、燃料をたくさん積んで給油やタイヤ交換をなしで走者を交代するとい作戦で挑んでいました。本戦ではピットストップは2分間という縛りがあったので、その内容に沿って作戦を変更したのがうまくいきましたね。
——今回はリアルプロレーサーの選手を含めたさまざまな人が参加していましたね。
いちほまれ:皆さん速くてびっくりしました。後ろから近づいてくるのも感じていたので、ちょっと焦りました(笑)。
チームの無線で後ろとの差も教えてもらっていたので、自分のペースを崩さぬよう注意して走っていました。

——なるほど。さらに実際のコースを目の前にしての会場でしたが、会場の雰囲気はいかがでしたか。
いちほまれ:S耐がスタートする時間とほぼ同じタイミングでレースがスタートしたのは感動しました。実際に走っている車の情報をゲーム上で表示するという実験もされているので、今後はよりリアルと同期したレースが楽しめるんじゃないかなと思います。
今後も「クロスラインレース」を通じて、障害の有無に関係なく、多くの選手がeモータースポーツの魅力を感じてもらえるとうれしいです。
——ありがとうございました!
こうしてぶじに幕を閉じた「クロスラインレース」。障害の有無はもちろん、バーチャルとリアルのプロが同じ土俵で戦えるというのはeモータースポーツならではの魅力なのではないだろうか。
競技に真剣に向き合い、一心に楽しむ選手たちを見ることは、何よりも価値ある瞬間だと感じた。

eスポーツというと、FPSや格闘といったジャンルの競技シーンが注目されたがちだが、より垣根を越えたeモータースポーツという世界を、この記事を通じて知ってもらえたら幸いだ。
■関連リンク
ePARA:
https://epara.jp/
【障害者×eスポーツ】eスポーツを通じてモータースポーツを楽しむプロジェクト「クロスライン—ボクらは違いと旅をする—」体験レポート:
https://esports-world.jp/report/23865
株式会社ePARAが、トヨタ・モビリティ基金の「Make a Move PROJECT」での採択を受けて実施する実証実験だ。
シーズン2となる「クロスライン2」は、「障害の有無に関係なく、誰もがレーサーになれる社会を目指し、より多くの人にモータースポーツの魅力を知ってもらう」という目的で実施され、今回は大きく分けてふたつのプロジェクトが同時進行した。
ひとつは市販の四輪車両に改造を施した車両で勝敗を争うスーパー耐久(S耐)と併走するバーチャルレースを実施する「クロスラインレース」。
もうひとつは筑波技術大学と連携して、視覚障害者および車椅子ユーザーが実証協力を実施する「クロスラインミニツアー」だ。
今回は、リアルプロレーサーも参戦した「クロスラインレース」の様子と、実際に「クロスラインレース」に参加した選手の声をお届けしよう。
リアルプロレーサーも出場!個性あふれる出場チーム
「クロスラインレース」の使用タイトルは『iRacing』で、使用するコースは「モビリティリゾートもてぎ」のロードコース。そして会場は栃木県「モビリティリゾートもてぎ」のロードコースの目の前にあるVIPルーム。
つまりリアルの会場で、リアルのS耐と同じ時間に、同じ気温・天気を設定するという、限りなくリアルに近づけたレースなのだ。もちろんタイヤ交換や給油などのピットストップもゲーム内で行う。
90分間走り続け、コースを何周走れるかを競う。

▲極限までリアルレースに近づけた設定で競技が行われた「クロスラインレース」。レース時間は90分、各チーム走者は3名で、最低でも20分間以上走行を行わなければならないのがルールとなっている

▲実況はレースアナウンサーのシャーリー半田氏(写真左)。解説はYogibo Racing 芳賀美里氏を起用(写真中央)。まさに本物さながらの白熱した進行が繰り広げられていた。ePARA ユナイテッドの牧野美保氏(写真右)もピットレポーターとして会場を盛り上げる!
そんな「クロスラインレース」に出場するチームは4チーム(選手名の順番は実際にコースを走る順番)。
■チーム「リアルレーサーズ」
リアルレースで活躍するプロ選手3名(岩澤優吾、塩津佑介、塚本ナナミ)
■チーム「KDDI」
ePARAのファン代表の3名(伊藤悟、成嶌和樹、湯野康隆)
■チーム「テクノツール」
肢体不自由な車椅子ユーザーを中心に構成された3名(長屋宏和、石水可夢偉、干場慎也)で構成されたチーム。なかには元F3ドライバー(長屋宏和)や、eスポーツ選手権2023 U-18の部で準優勝の実力を持つ選手(石水可夢偉)も出場
■Racing Fortia
バリアフリーeモータースポーツチーム。視覚障害を持ついちほまれ選手、サルコイドーシス当事者のabckai選手、発達障害でありながらeスポーツ選手権2023 一般の部で優勝経験がある石水優夢選手で構成されている
なんといってもリアルプロレーサーがeモータースポーツでどのようなポテンシャルを見せてくれるのか——。また障害当事者のシムレーサーがどれだけリアルプロレーサーに立ち向かえるのかが見どころ。

▲リアルレーサーズの3名はレーシングスーツを着用しての参戦。この時点でオーラが違う!(写真左から塚本ナナミ氏、岩澤優吾氏、塩津佑介氏)
白熱した戦いを制したのはどのチームだ!
KDDIの思わぬスピンから開幕した「クロスラインレース」本戦。前半は終始Racing Fortiaがリード。そのトップをピッタリとマークしているのがリアルレーサーズだ。少し後れを取ってテクノツール、KDDIが後を追いかける展開に。

▲リアルレーサーとシムレーサーが同じ土俵で戦えるのもeモータースポーツの魅力!

▲これもゲーム? いやいやこちらは同時進行で開催されているリアルのS耐。「クロスラインレース」の会場にもリアルなエンジン音が鳴り響く!
ピットストップを経て、第二走者へと続くも依然Racing Fortiaが先頭をリード。テクノツール、リアルレーサーズ、KDDIと続き、リアルレーサーズは順位を落とす。実は選手交代時のログイン設定でトラブルがあり、2分ほど後れを取ってしまったのが原因だった。こういったエラーはeモータースポーツならではともいえる。

▲『iRacing』は初めてプレイしたという岩澤優吾選手。Racing Fortiaの石水優夢選手を完全にとらえ抜きどころをうかがっている。初めてとは思えないプレイを見せつける
2回目のヒットストップを経て、レースはいよいよ終盤へ。順位こそ変わらないものの、序盤のスピンで後れを取っていたKDDIの湯野康隆選手が、1周2分17秒台と、第三走者の中で最も早いペースの走りを見せる。

▲テクノツールの干場慎也選手。車椅子専用のデバイスで見事な走りを見せた。最後の最後で豪快なスピンをするも「ウイニングラップ」ならぬ「ウイニングクラッシュ」として会場を沸かせた

▲出場選手の中で最年長のいちほまれ選手。選手紹介ムービーでは秘密基地のような自室が紹介され、会場がざわついた場面も
レース結果は以下の通り。()内はベストラップ
1位:Racing Fortia(2分15秒26)
2位:テクノツール(2分16秒18周)
3位:リアルレーサーズ(2分15秒10)
4位:KDDI(2分17秒87)
トラブルにより3位の結果になったリアルレーサーズだが、ベストラップを見るとRacing Fortiaを抜いて1位をマーク。なお、ベストラップを獲得した選手は第一走者の岩澤優吾選手。eモータースポーツでもリアルプロレーサーのポテンシャルの高さを感じる結果となった。
「クロスラインレース」に参加した選手にインタビュー
最後に「クロスライン」に参加した選手に突撃インタビューを実施。リアルレースとシミュレーションレースとの違いやeモータースポーツの可能性についておうかがいした。
リアルレーサーズ:岩澤優吾選手、塩津佑介選手

▲岩澤優吾選手
——まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
岩澤優吾選手(以下、岩澤):レースの前に2周だけ走らせてもらったんですけど、レーシングシミュレーターにはレーシングシミュレーターの難しさはあるなと感じました。今回eモータースポーツ選手の石水選手と一緒に走って、とても学びになったレースでした。
——実車との違いや難しさはありましたか?
岩澤:一番大きな違いはGを感じないことですね。僕の場合、実車ではハンドルだけでなく全身で車の動きや滑りやすさを感じてレースをしているんですが、レーシングシミュレーターだと全身で感じることはできず、ハンドルだけでタイヤのグリップ感を感じ取らなければならない部分が難しかったです。
——なるほど。それでもベストラップを出すほどの腕前でしたよね。今回20分くらい走ったと思いますが、どのようにしてその難しさを攻略していきましたか?
岩澤:石水選手の後ろにつかせてもらって、ライン取りとかブレーキポイントを参考にさせてもらいました。
——今回、さまざまな障害がある方と同じレースで走ったことで、eモータースポーツに対して可能性は感じましたか。
岩澤:実車ではハンディキャップがあっても、eモータースポーツならばハンディキャップを感じずに挑戦できると感じました。誰もがチャレンジできるのがeモータースポーツの魅力だと思いますね。
——ありがとうございました!

▲塩津佑介選手
——まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
塩津佑介選手(以下、塩津):このようなイベントは初めてだったんですけど、(運転補助装置を使った)ハンドドライブの方と一緒にレースして「これこそバリアフリー」だという体験ができて、とてもいい2日間を過ごせました。
先ほど、実際にハンドドライブで運転させてもらったのですが、肩の筋肉がめちゃめちゃ必要で「これでコースを20分間運転し続けるなんてすごいな」とも感じました。
このような体験ができたのも良かったですし、同じレギュレーションで戦うことができたのも楽しかったですね。
——実際のレースとの違いを教えてください。
塩津:レーシングシミュレーターはGを再現することができません。普段、僕らも練習にレーシングシミュレーターを取り入れていますが、Gではなくステアリングのインフォメーション(路面の振動)や、モニターで車が滑ったとか滑っていないとかを判断する力を向上させています。
そうすることで、実車でもそういった情報を敏感に察知することができるようになるので、これからもトレーニングでどんどん取り入れていきたいと思っています。
——さまざまなeスポーツの競技がある中、リアルレースとeモータースポーツはより親和性が高いと感じています。実際のリアルプロレーサーから見てどのように感じますか。
塩津:実際にeモータースポーツの世界からリアルなレーシングドライバーも誕生していますし、逆にレーシングドライバーの立場から、eモータースポーツの競技に参加することも増えてくると思います。今後、もっとeモータースポーツの分野は伸びてくるんじゃないかなと感じます。
——最後にファンに向けてひとことお願いします!
塩津:いつも応援ありがとうございます。
今回のレースや動画を通じて僕を知ってくれた方もいらっしゃると思いますが、僕はSUPER GTとか、スーパー耐久などにも出場しているので、そちらの応援も
応援よろしくお願いします!
——ありがとうございました!
KDDI:伊藤悟選手

▲写真左から、成嶌和樹選手、伊藤悟選手、湯野康隆選手
——試合おつかれさまでした。ファンチームという異色なチームで参戦されていましたが、なぜファンチームとしてレースに参加することになったのでしょうか。
伊藤悟選手(以下、伊藤):KDDIでは、ブレインテックという脳科学を活用した研究開発をしています。僕らはそのブレインテックを通じて、本当はリアルレーサーになりたいんだけど、さまざまな理由でそこまで踏み込めないといった人々に挑戦できるきっかけを作りたいと思っています。
ePARAさんの「障害のある方でも平等にチャンスがある」というコンセプトに通じるものを感じて、今回ファンチームとして参加させていただきました。
ブレインテックとは
ここでいう「ブレインテック」というのは、リアルレーサーとシムレーサーの認知能力の違いを分析し、トレーニングに応用するといった取り組みを示している。いわゆる「脳トレ」のようなアプリで、シムレーサーがリアルレーサーとしても活躍できるような橋渡しをになっているのだ。
「脳トレ」による実証実験の結果、実際にタイムが縮むことが実証され、今後「脳トレ」のアプリが商用化されるところまで研究が進んでいるとのこと。
ここでいう「ブレインテック」というのは、リアルレーサーとシムレーサーの認知能力の違いを分析し、トレーニングに応用するといった取り組みを示している。いわゆる「脳トレ」のようなアプリで、シムレーサーがリアルレーサーとしても活躍できるような橋渡しをになっているのだ。
「脳トレ」による実証実験の結果、実際にタイムが縮むことが実証され、今後「脳トレ」のアプリが商用化されるところまで研究が進んでいるとのこと。
——今回、レースに参加してみていかがでしたか。
伊藤:皆さんうますぎるっていうのが率直な感想です(笑)。
「あのレベルに行くには、どれだけがんばらなければならないんだ!」っていうeモータースポーツの面白さを体験することができたのはうれしかったです。
——eモータースポーツはeスポーツの中でもリアルとの親和性は高いと感じています。伊藤さんはどのように感じていますか?
伊藤:まさにその通りだと思っています。「バーチャルでプレイしている人をリアルに」というコンセプトで「脳トレ」を始めた時も、どのジャンルで始めるかというのを考えました。
例えば「ストリートファイター」シリーズが強くても、実際の格闘技が強いとは限らないじゃないですか。さまざまなeスポーツのジャンルがある中で、一番リアルに近いと感じたのがeモータースポーツでした。ハンドル、アクセル、ブレーキという操作法はバーチャルもリアルも同じですしね。
ゆくゆくは社会全体の注目度や関心が高まって、eモータースポーツを通じて「より多くの人に可能性を見てもらえるような場」になっていけたらなと感じています。
——ありがとうございました!
テクノツール:干場慎也選手

▲テクノツール株式会社 広報部 干場慎也氏
——まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
干場慎也選手(以下、干場):いやぁ、長屋選手と石川可夢偉選手の意思を引き継いで、最後「ウイニングクラッシュ」ができたので誉れだなと思いました(笑)。
——今回のように、レーシングシミュレーターを使ってeモータースポーツ選手やリアルプロレーサーと同じ土俵で戦うことはあったのでしょうか。
干場:初めての経験でした。車の運転もしたことがない上に、プロ選手と一緒に戦うという前人未踏の場所に立ったので最初の方は顔面蒼白でした(笑)。
ただほかのチームメイトと一緒だということもあり、走って行くうちに「サーキットまわれる!」といった自信がついてきました。
——さらに今回は本物のレース会場を目の前にしてのレース体験でしたね。
干場:チームメンバーが走っている間、上のモニターで本戦の様子を見たり、窓からレースの状況を見たりしていたのでですが、やはり実車ならではの迫力がありました。
「自分たちもその場にいて同じ競技をしている」という気持ちになれたのは胸熱でした!
——ちなみに予選を経て、本戦に向けた作戦はあったのでしょうか。
干場:実はいい作戦と悪い作戦のふたつがありました。
悪い作戦からいうと「ギリギリまでほかのふたりにがんばってもらう」っていう作戦(笑)。いい作戦は「うまい人たちの技術をマネして走ってみる」という作戦です。
例えばカーブをする時、一度縁石に乗っていたのでそういった部分を参考にしていました。うまくできていたのかはわかりませんが、自分の中ではアップデートできたんじゃないかと感じています。
——今回特殊なコントローラを使っていましたね。
干場:外部補助スイッチとジョイスティックでプレイできるFlex Controllerというコントローラーを使っていました。自分の特性に合ったデバイスの使い方ができるので、さまざまな人にゲームを楽しんでもらえるコントローラーです。

▲テクノツール株式会社監修のもと、HORIが設計・開発をしたFlex Controller。周囲には各ボタンに対応した3.5mmジャックがあり、さまざまな形状のスティックやボタンを接続することができる
——このようなリアルスポーツとeスポーツの融合というものに可能性は感じられましたか?
干場:自分に合ったデバイスを使うことで、こういった場に参加して渡り合うことができるのは、eスポーツならではの魅力だと感じています。
僕らのような障害がある人が参加できるという意味では、リアルスポーツとeスポーツの融合というのは、とても意味のあることだと感じています。
——最後に今後の展望をお聞かせください。
干場:テクノツールは「入口をサポートする」というのをコンセプトに日々活動しています。eスポーツを遊びたいと思っているユーザーさんに対して、引き続き支援をしていけたらと思っています。
eスポーツに踏み込んだ先の可能性をどんどん作っていきたいですね。
——ありがとうございました!
Racing Fortia:いちほまれ選手

▲いちほまれ選手
——優勝おめでとうございます。まずはレースを終えた率直な感想をお聞かせください。
いちほまれ選手(以下、いちほまれ):チームメンバーが作ってくれたリードをゴールまで保つことができてうれしかったです。

▲メンバーであり第一走者でもある石水優夢選手。リアルプロレーサーの圧を感じながらも、トップをリードし続けた
——先日の予選を経て、本日の本戦でしたが、何か作戦を考えていましたか?
いちほまれ:予選はヒットストップに関するルールがなかったので、燃料をたくさん積んで給油やタイヤ交換をなしで走者を交代するとい作戦で挑んでいました。本戦ではピットストップは2分間という縛りがあったので、その内容に沿って作戦を変更したのがうまくいきましたね。
——今回はリアルプロレーサーの選手を含めたさまざまな人が参加していましたね。
いちほまれ:皆さん速くてびっくりしました。後ろから近づいてくるのも感じていたので、ちょっと焦りました(笑)。
チームの無線で後ろとの差も教えてもらっていたので、自分のペースを崩さぬよう注意して走っていました。

▲今回オンラインで参加した第二走者のabckai選手。トップをリードし続ける中、いちほまれ選手に「ファステストラップ(1周の最高記録)狙っちゃいなよ!」と無線で鼓舞していたようだ
——なるほど。さらに実際のコースを目の前にしての会場でしたが、会場の雰囲気はいかがでしたか。
いちほまれ:S耐がスタートする時間とほぼ同じタイミングでレースがスタートしたのは感動しました。実際に走っている車の情報をゲーム上で表示するという実験もされているので、今後はよりリアルと同期したレースが楽しめるんじゃないかなと思います。
今後も「クロスラインレース」を通じて、障害の有無に関係なく、多くの選手がeモータースポーツの魅力を感じてもらえるとうれしいです。
——ありがとうございました!
———
こうしてぶじに幕を閉じた「クロスラインレース」。障害の有無はもちろん、バーチャルとリアルのプロが同じ土俵で戦えるというのはeモータースポーツならではの魅力なのではないだろうか。
競技に真剣に向き合い、一心に楽しむ選手たちを見ることは、何よりも価値ある瞬間だと感じた。

▲現場レポーターを務めた希央(きお)さんの存在も忘れてはならない(写真右)。「放送席〜放送席〜」とアナウンスとともに現場の声を届ける姿は、よりレースの臨場感を高めてくれた
eスポーツというと、FPSや格闘といったジャンルの競技シーンが注目されたがちだが、より垣根を越えたeモータースポーツという世界を、この記事を通じて知ってもらえたら幸いだ。
■関連リンク
ePARA:
https://epara.jp/
【障害者×eスポーツ】eスポーツを通じてモータースポーツを楽しむプロジェクト「クロスライン—ボクらは違いと旅をする—」体験レポート:
https://esports-world.jp/report/23865
【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】
ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。
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- 【現地レポート】主人公は一般プレーヤー!——1,000人以上が参加したストリーマーSHAKA主催「LEGENDUS 頂」から見る新しいeスポーツの形
- 2025年6月28日(土)〜29日(日)に東京体育館にて、人気格闘ゲーム『ストリートファイター6』のeスポーツ大会「Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER 6 頂」が開催された。ストリーマーであるSHAKA主催の本大会は、「俺がやりたいことをすべてやる」をコンセプトに始動したイベントの一環で、1日目のオープントーナメントでは一般プレーヤー1,024名が会場に集結した。▲1日目のオープニングではSHAKA(写真中央)本人のあいさつからイベントがスタート。多くのファンがステージに釘付けだ 今回は、そんな「Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER 6 頂」の会場レポートをお届けしよう。キャラ愛に満ちた独自ルールがファンを魅了! 本大会の魅力は、なんといってもプロが参加できない大会であること。そして1日目の予選を勝ち抜いた選手は2日目にストリーマーとタッグを組んで優勝を目指すという点だ。つまり、予選では自分の実力がしっかりと試せる機会になっていて、2日目には憧れのストリーマーとチームを組んで戦えるというeスポーツ大会とストリーマーイベントが融合した画期的なシステムになっているのだ。また2日目の本戦に進むルールも独特で、本戦に進出できるのは『ストリートファイター6』の使用キャラクター24体のうちの16体のみ。各キャラクターを使用しているプレーヤーごとの1位が進出できるという仕組みだ。2日目の本戦では、そのキャラクターの代表となっているストリーマーとタッグを組むことになるため、使用キャラクターが同じプレーヤー同士で応援できる、いわばキャラ愛に満ちた観戦が楽しめるのも本イベントの魅力のひとつといえる。▲2階の観戦席は推しキャラ別自由席も。使用キャラが同じプレーヤー同士が集まることでより結束した応援が楽しめる マリーザの推しキャラ別自由席には、持参した横断幕を用意しているファンも。話を聞くと、「同じマリーザ使いの迷惑にならないよう、事前に横断幕を使っていいのかスタッフに確認した」とのこと。そして自分もプレーヤーではあるものの、より実力のあるマリーザ使いに参加してもらいたいということから今回は観戦者として参加したと語っていた。こういったところにもファン同士の結束が感じられる。▲赤いシルエットはマリーザの強力な必殺技「グラディウス」のシルエット。シンプルながらキャラ愛が込められいる横断幕だ プロ選手やインフルエンサーによる会場限定イベントも大盛況 大会とは別に会場を盛り上げていたのが、プロ選手やインフルエンサーによるイベントだ。各選手が登壇するコンテンツブースでは対戦会やトークショーなど、さまざまな催しが実施されていた。▲ZETA DIVISION所属のひぐち選手は、使用キャラであるガイルのコミュニティ「ガイル村」のコンテンツブースに出演。村長らしいトークショーを繰り広げていた ▲撮影会は長蛇の列。最終組の撮影を終えたひぐち選手と、ゲーム実況グループ「三人称」のドンピシャさんをパチリ またCrazy Raccoon所属 立川選手の「立川バレエ教室」は、コーチングをメインとしたコンテンツブース。立川選手ならではの座学が学べるということもあり、時折拍手や歓声が巻き起こっていた。▲ひとつひとつ丁寧に答えていく立川選手。まるで講習会のような人だかりで、時間がたつごとに人が増えていたのが印象的だ ユニークな魅力で注目を集めたのが、女性ゲーミングチームGS GAMING所属で、ふ〜ど選手の妻である倉持由香さんの似顔絵コーナー。訪れたファンの似顔絵を即興で仕上げていくコンテンツは、男性のみならず女性ファンからの人気も集め、イベントを盛り上げた。▲倉持さんはプロゲーマーのちょっと変わった日常を描く「格ゲーマー日常まんが」がSNSで話題に ▲優しいタッチのイラストで似顔絵を描いてもらえる貴重な機会が楽しめる メインコンテンツの大会だけでなく、ファンとして訪れた観戦者も楽しめるコンテンツが充実していたのも本イベントの魅力のひとつといえる。また、会場にはストリーマーをはじめとするインフルエンサーも多数来場。ふらっとその辺を歩いていたり、高台のブースでファンとの交流をしていたりと、eスポーツ大会とインフルエンサーイベントの融合が初日から楽しめるのもうれしいポイントだ。▲ストリーマーでありファッションモデルでもあるスタンミがレッドブルボーイに!? ▲『VALORANT』の元プロ選手でもあるLaz氏。格闘ゲームのイベントにもかかわらず、サインを求めるファンは後を引かない ▲REJECTを卒業し、個人勢ゲームストリーマー兼俳優として活動しているまざー3もファン対応に引っ張りだこ ▲ZETA DIVISION所属のファン太氏。ストリーマー黎明期からニコニコ生放送で声まね配信者として活動しているストリーマーだ。普段は覆面をしているので素顔が見られるのはレア!? ▲強豪プレーヤーがひしめくなか、デュシェンヌ型筋ジストロフィーという難病で、顎で操作するコントローラー通称「チンコン」で『スト6』をプレーするJeniさんの姿も ▲マノンのコスプレをしているのは、の平日はOLのコスプレーヤーのVEGAさん。神々しさすら感じるクオリティーは圧巻だ レバーはもはや絶滅危惧種!?気になる参加者に突撃取材 元ゲーマーである筆者にとって一般参加者のデバイスも気になるところ。特に「格ゲーはレバーアケコンが至高!」といった時代を歩んできたいにしえのゲーマーにとって、令和のゲーマーはどんなデバイスで参加しているのかは非常に興味深かった。しっかりと調査をしているわけではないので正確な数値ではないのだが、レバーを使用しているプレーヤーは非常に少なかった。現在『ストリートファイター6』において主流となっているのはレバーレスコントローラーとゲームパッド。特に多くのプロ選手が使用しているレバーレスコントローラーは一般プレーヤーにも浸透していた。ボタン配列にルールはない! 独自配列が光るレバーレスユーザー なにやら独特な配置をしているレバーレスを持っている彼。ボタン配列もさることながらキー配列もなかなかの独特。一般的に攻撃ボタンは左から順に弱、中、強と配列されているのだが、彼はその配列がバラバラ。例えば小キックはボタンの右端側に配列するなど、自分が入力しやすいボタン配列にカスタマイズしているのだとか。▲独自の回答を導き出したボタン配列。初見では脳がバグりそうな個性あふれるレバーレスだ レバーボールが空洞? 超軽量のアケコンユーザー 一般的なアケコンユーザーも一定数参加していたが、なかでも個性的なアケコンを持っていたプレーヤーに話を聞いてみた。ボタンは素早い入力に特化したプロ選手も愛用しているPUNK WORKSHOP製で、レバーボールは中空構造の軽量レバートップを採用。このレバーボールはイタリアを拠点とするアーケードコントローラーメーカーENTH Creationsが販売しているもので、国内でも一部のサイトでしか購入できないレアもの。軽量化されていることで素早い入力が可能になっている。▲形状も一般的な球体ではないのだが、これは球体のモデルが人気で売り切れていたため、代わりにこのバレットタイプを購入したのこと 絶滅危惧種になりつつあるレバーユーザーにも新たな選択肢があるのはうれしいポイントだ筐体は100円!? 持ち運びに特化した最軽量キーボード 最後に話をうかがったのはなんとも奇妙な形のキーボードプレーヤーだ。100均のプラケースが筐体という手作り感満載だがケースを開けると、一部のキーだけが配列されたオリジナルのキーボードがお目見え。とにかく持ち運びを重視したというこのキーボードは、フタをすればちょっとした防水になるし、ケーブルも収納できるというすぐれもの。▲キーを制御しているのはワンボードマイコンの「Raspberry Pi」。まさに職人ともいえるキーボードだ オフライン大会はこういった普段見ることができないプレーヤーのデバイスに出会えるのも醍醐味のひとつ。会場には野良試合ができるブースもあり、参加者だけでなく観戦者も気軽にコミュニケーションが取れる環境になっていた。▲対戦を楽しんでいる女子ふたり。話を聞くと大会には参加していないけど野良試合のブースにやってきたのだとか まとめ eスポーツの大会といえば、プロ選手が輝く競技シーンが主流だったが、近年はストリーマー主催のイベントが注目を集めている。「LEGENDUS 頂」はその最たる例で、一般プレーヤーが主役の大会ながら、観戦ファンや推し活勢など多様な来場者が集い、独自の熱狂を生み出している。このイベントの成功は、ストリーマーの影響力とコミュニティの力が融合した、新たなeスポーツ文化の形を示したことにほかならない。今後もこのような集客力の高いストリーマーやインフルエンサーが主軸となるイベントが増えていくのではないだろうか。▲近くのプールで泳いできた帰りにこのイベントがあることを知り、当日券で入ってきたという親子。eスポーツのイベントがこういった形でふらりと立ち寄れるのも時代の変化を感じる そんな熱狂と興奮が渦巻く「LEGENDUS 頂」をはじめとする、ストリーマー主催のイベントに飛び込んでみてはいかがだろうか。プレーヤーとして、観客として、あるいは推しを応援する一員として、この盛り上がりを担うのは今しかない!Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER 6 頂 公式:https://www.redbull.com/jp-ja/events/legendus-street-fighter-6-itadakiLEGENDUS 公式X:https://x.com/legendus_shaka撮影:いのかわゆう編集:いのかわゆう【井ノ川結希(いのかわゆう)プロフィール】ゲーム好きが高じて19歳でゲーム系の出版社に就職。その後、フリーランスでライター、編集、ディレクターなど多岐にわたり活動している。最近はまっているゲームは『VALORANT』。X:@sdora_tweet
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- 【大会レポート】eスポーツチームREJECTが『リーグ・オブ・レジェンド』の国内リーグ「LJL 2025 IGNITE」で優勝!——国内3大会3連覇の快挙!
- eスポーツチームREJECTが、5月21日(水)〜6月22日(日)の期間に開催された『リーグ・オブ・レジェンド』の国内リーグ「LJL 2025 IGNITE」にて優勝。1月〜3月に開催された「LJL FORGE」、3月〜5月に開催された「LJL STORM」に続きストレートでの勝利を収めた。League of Legends Japan League(LJL)とは年間通して開催される国内リーグで、2025年はFORGE(1月〜3月)、STORM(3月〜5月)、IGNITE(5月〜6月)の3つのスプリットに分けて開催。上位6チームが「LJL FINALS TOURNAMENT」に進出し、優勝チームが国際大会「League of Legends Championship Pacific(LCP)」の昇格・降格トーナメントへの出場権を獲得する。https://taiyoro.gg/ja/ljl2025 <以下、ニュースリリースより>圧巻のストレート勝利で3連覇達成、LCP出場権を懸けた「LJL FINALS TOURNAMENT」へ挑む 株式会社REJECT(代表取締役:甲山翔也、以下「REJECT」)が運営するプロeスポーツチーム「REJECT」のLeague of Legends(以下「LoL」)部門が、公式大会『LJL 2025 IGNITE』にて優勝を果たしましたことをお知らせいたします。 決勝戦の対戦カードは、メインステージを5勝1敗で首位通過し、「DFM Academy」を破って勝ち上がったBCTと、3位通過から「VARREL YOUTH」「QT DIG∞」を連破して決勝に駒を進めたREJECTの顔合わせ。両チームはRound3ですでに一度対戦しており、REJECTにとっては雪辱をかけた一戦となりました。 両チームは決勝戦にふさわしい一進一退の攻防を展開する中、REJECTは要所を取り切る冷静な立ち回りで勝利を重ねていきました。特に第3試合では、ゴールドビハインドの状況下でSamver選手がアルティメットによるバロンスティールを決め、そこから一気に流れを引き寄せて逆転勝利。ネクサスを破壊し、セットカウント3-0でのストレート勝利となりました。 これにより、REJECTは「LJL 2025 FORGE」「LJL 2025 STORM」に続いて「LJL 2025 IGNITE」も制覇し、2025年シーズン国内3大会をすべてストレート勝ちで制する圧巻のパフォーマンスで3連覇を達成。獲得チャンピオンシップポイントも総合1位となり、次なる舞台「LJL FINALS TOURNAMENT」への進出を決定づけました。 REJECTはアジア太平洋地域の新リーグ「League of Legends Championship Pacific(LCP)」への出場権獲得を目指し、次に控える「LJL FINALS TOURNAMENT」(7月末~8月末開催)に挑みます。 今後ともREJECTならびにLeague of Legends部門へのご声援をよろしくお願いいたします。【League of Legends部門 ロスター】 ■ Kinatu(@Luna_kinatu)|Top ■ Forest(@LoL_F0REST)|Jungle ■ Recap(@Recaplol1)|Mid ■ Samver(@iseungyong61)|ADC ■ Raina(@rainadazo)|Support ■ VicaL(@vical0911)|Head Coach ■ TaNa(@TaNalol_)|Sub Coach【配信情報】 ■Youtube:https://www.youtube.com/@official_LJL ■Twitch:https://www.twitch.tv/leagueoflegendsjpLJLについて 2025年に行われるLoL Esportsエコシステムの変革により、LCPが新設されました。この変更に伴い、LJLはアジア太平洋地域のLoL Esportsの次の世代を担う選手の発掘・育成を行い、LCPへの挑戦を行う日本代表のチームを輩出する国内リーグとして本年1月より新たなスタートを切っています。【各トーナメントと開催スケジュール】 「LJL FORGE」(1月中旬~3月上旬) 「LJL STORM」(3月中旬~5月上旬) 「LJL IGNITE」(5月中旬~6月中旬) 「LJL FINALS TOURNAMENT」(7月末~8月末) ※LJL 2025 優勝チームは LCP 昇格・降格トーナメントへの出場権を獲得します。eスポーツチーム REJECTについて REJECTは2018年に発足した、株式会社REJECTが運営するプロeスポーツチームです。世界的に人気のゲームタイトル部門を多数展開する日本有数のeスポーツチームであり、ESPORTS WORLD CUP FOUNDATION CLUB PARTNER PROGRAM 2025のパートナーチームにも選出。累計賞金獲得額は国内1位を記録し、特にモバイルシューティングジャンルにおいては日本トップの実績を誇ります。 『PUBG MOBILE』部門では12度の世界大会を経て、2024年に日本チーム初の世界一を獲得。『Apex Legends』部門では「ALGS 2024」にてAPAC NORTH地域初の世界一を達成するなど、国際大会でも確かな成果を残しています。 Web:https://reject.jp/ X:https://x.com/RC_REJECT Instagram:https://www.instagram.com/rc_reject/ YouTube:https://www.youtube.com/c/REJECTesports株式会社REJECTについて 株式会社REJECTは、“EMPOWER GAMING LIFE ゲーマーをもっと豊かに”をミッションに掲げ、プロeスポーツチーム「REJECT」の運営を中心に、eスポーツを軸とした多角的な事業を展開しています。競技シーンでの成果追求に加え、ゲーミングギアの開発・販売、ストリーマー・VTuberのマネジメント、コンテンツ・イベントプロデュース、スポンサープロモーションなどを通じて、プレーヤーとファンの体験価値を高め、豊かなゲーミングライフの実現を目指しています。 会社名:株式会社REJECT(リジェクト) 設立:2018年12月 代表者:代表取締役 甲山翔也 所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目4-10 虎ノ門35森ビル 5階 公式サイト:https://reject.co.jp/ オンラインストア:https://brand.reject.jp/
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- 【結果速報 6月29日】 「Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER 6 頂」 はチームマノンが優勝! あくたがわ選手が「EVO 2025」参戦サポートを獲得
- 2025年6月28日(土)〜29日(日)、東京体育館にて、「Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER 6 頂」が開催された。「LEGENDUS」はストリーマーのSHAKAが主催するさまざまなゲームを用いた対戦イベント。その中でも『ストリートファイター6』(スト6)は特に人気で、「師弟杯」など何度も大会が行われてきた。今大会は『スト6』で初めて一般プレーヤーが参加できるイベントで、それぞれ1体ずつキャラを固定して戦う。DAY 1は一般参加者によるダブルエリミネーショントーナメントの順位により、異なるキャラクターを操る16名がDAY 2の決勝に進出できる。ただし、通過できるのは1位プレーヤーのみ。重複していない12名は決定し、残る4枠分は17位以下の選手の中で各キャラの最上位のプレーヤーがトーナメントを行い勝ち取るという方式だ。その結果、キャラが重複して空いている4枠をかけてその他のキャラ最上位プレーヤーによるトーナメントが行われ、決勝を戦う16名=16キャラが確定。抽選により対戦カードも決定した。DAY 1最終結果&DAY 2進出選手(キャラ)DAY 2は、決勝進出者のキャラを担当するストリーマーとタッグを組み、ダブルエリミネーションで対決。一般参加者同士、ストリーマー同士がBo3(2ゲーム先取)で戦い、1-1の場合は一般参加者同士でBo1に勝ったチームが勝利となる。グランドファイナル:チームマノン vs チームダルシム グランドファイナルは、ウイナーズを勝ち抜いた「チームマノン」と、ルーザーズから勝ち上がった「チームダルシム」。同じカードはウイナーズブラケット ラウンド2で「チームマノン」が一度勝利している組み合わせだ。あくたがわ vs harumyの試合は、先の試合の教訓を生かして、harumy選手がドライブラッシュで攻めていく姿勢を見せ、1ゲームを奪うが、差し返しからの投げでメダルを積み重ねていくあくたがわ選手のマノンが一枚上手で、2-1で勝利する。しかし、ストリーマー同士のSHAKA vs ありけん戦では、ありけん選手のトリッキーな空中技やワープからの攻めにSHAKA選手が一歩及ばず、1本取り返す。1-1で迎えたあくたがわ vs harumyの2戦目は、会場の応援も最高潮。互いに持てる力を出し切り、あくたがわ選手が勝利した。これにより、副賞としてあくたがわ選手とSHAKA選手は「EVO 2025」への出場権&渡航サポートが受けられる。 配信アーカイブ DAY 1 - メイン配信 DAY 2 - メイン配信 DAY 2 - ルーザーズ配信 Red Bull LEGENDUS STREET FIGHTER 6 頂https://www.redbull.com/jp-ja/events/legendus-street-fighter-6-itadaki
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- 【結果速報 6月27日】翔、ふ〜どが1位通過!——「TOPANGA CHAMPIONSHIP 6(トパチャン6)」オフライン決勝進出選手決定!
- 株式会社CELLORBが運営する『ストリートファイター6』のリーグ大会「TOPANGA CHAMPIONSHIP 6(トパチャン6)」のオンライン本戦 アドバンスドステージが6月19日(木)から開催中。TOPANGA CHAMPIONSHIPとは人気格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズを主軸に2011年から続く日本を代表するeスポーツ大会。長期リーグ形式でトップ選手が競い、オンライン予選とオフライン決勝を組み合わせたハイレベルな戦いが魅力だ。2025年の第6回は5月~7月開催、賞金総額300万円以上で、株式会社CELLORBが運営している。https://topanga.co.jp/topanga_championship6/ 現在はオランオン本戦のアドバンスドステージが開催中。直近に開催されたビギニングステージを勝ち上がった各ブロック上位3名と、4位同士で行われる決定戦の勝者1名の7名が、オフライン決勝を賭けて熾烈(しれつ)な戦いを繰り広げている。アドバンスドステージは、総当たり戦(9名×2ブロック)が行われ、成績上位がラフォーレミュージアム原宿で行われるオフライン決勝へと進出できるという流れだ。6月27日(金)でアドバンスドステージの全日程が終了。オフライン決勝進出の選手が決定した。成績表 ■WHITE DIVISION順位選手名WINLOSEPOINT1 ZETA DIVISION|翔 7 1 14 2 IBUSHIGIN|鶏めし 6 2 3 3 ZETA DIVISION|ヤマグチ 5 3 3 4 あくたがわ 4 4 2 5 ZETA DIVISION|ももち 4 4 1 6 ZETA DIVISION|ひかる 3 5 -1 7 A.M.G / SS熊本|こばやん 3 5 -2 8 名古屋NTPOJA|Seiya 2 6 -8 9 RIDDLE ORDER|Jr. 2 6 -12 ■BLACK DIVISION 順位選手名WINLOSEPOINT1 REJECT|ふ〜ど 5 3 4 2 Red Bull / CR|ボンちゃん 5 3 2 3 FAV gaming|もけ 5 3 2 4 SBI e-Sports|ひびき 4 4 2 5 Saishunkan Sol 熊本|cosa 4 4 1 6 G8S / RB / PWS|ガチくん 4 4 0 7 FAV gaming|りゅうきち 3 5 -1 8 G8S / Hit Box|カワノ 3 5 -4 9 ZETA DIVISION|ひぐち 3 5 -6 ■EXTRA ROUNDあくたがわ vs SBI e-Sports|ひびき(2:7)オフライン決勝進出選手(所属チーム|選手名) ■WHITE DIVISIONからの進出選手ZETA DIVISION|翔IBUSHIGIN|鶏めしZETA DIVISION|ヤマグチ■BLACK DIVISIONからの進出選手REJECT|ふ〜どRed Bull / CR|ボンちゃんFAV gaming|もけ■EXTRA ROUNDからの進出選手SBI e-Sports|ひびき配信アーカイブ ADVANCED STAGE|DAY1(WHITE DIVISION Round1)https://www.youtube.com/live/i8Wv2JSkIlw?si=rq3ME5hALaHjnHyAADVANCED STAGE|DAY2(BLACK DIVISION Round1)https://www.youtube.com/live/uaaKN0OL_48?si=Rm4kB-HF85lIzsYdADVANCED STAGE|DAY3(WHITE DIVISION Round2)https://www.youtube.com/live/bVVkAWtxi08?si=4pj7LYQiUGmLpPMGADVANCED STAGE|DAY4(BLACK DIVISION Round2)https://www.youtube.com/live/3VPcV6Do1E0?si=v3E40PblSsM7LQE8ADVANCED STAGE|DAY5(WHITE DIVISION FinalRound)https://www.youtube.com/live/N9F0xaF4OBc?si=kxo06k0NnDgaG-9RADVANCED STAGE|DAY6(BLACK DIVISION FinalRound)https://www.youtube.com/live/70K1-AHqJeo?si=hbE1v4ukfWggLvulADVANCED STAGE|DAY7(EXTRA ROUND)https://www.youtube.com/live/kLpJLakiHjw?si=b8K7QClHkk2prF1mオフライン決勝観戦チケット情報 ◤ 第6期TOPANGA CHAMPIONSHIP オフライン決勝 ◢オフラインならではの熱気と緊張感。静寂の中で交錯する駆け引き、勝利の瞬間に響く歓声――――そのすべてを、体感せよ。日程:2025年7月11日(金)〜7月13日(日)会場:ラフォーレミュージアム原宿… pic.twitter.com/7YZ0CzpJzQ— TOPANGA (@topangajapan) May 30, 2025 ■関連リンクTOPANGA CHAMPIONSHIP 6 公式サイト:https://topanga.co.jp/topanga_championship6/TOPANGA 公式X:https://x.com/topangajapan©CELLORB ©CAPCOM