2023年10月3日(火)〜4日(水)にかけて、名古屋と大阪で『VALORANT』のオフシーズンイベント「Hype Up Tour Japan」の予選が開催された。

“体感型”を銘打ったこのイベントでは、主に日本の競技シーンで活躍した選手が「西」と「東」でチームを結成。11月11日(土)に行われる渋谷での決勝戦に向け、総勢20名の選手たちが戦い合った。


■スケジュール
10月2日(月):予選①(名古屋パルコ東館8F NAGOYA CLUB QUATTRO)
10月3日(火):予選②(プラザ梅田10F UMEDA CLUB QUATTRO)
11月11日(土):決勝、三位決定戦(渋谷エリア)

今回は、3日(火)に行われた大阪予選をレポートする。先に行っておくが、このイベントは想像以上にアツい

会場はなんとライブハウス


Hype Up Tour Japanは、今年行われた『VALORANT』の国内リーグ「VALORANT Challengers Japan Split2」で見事優勝を果たしたSCARZ(SZ)を運営する株式会社XENOZ(ゼノス)、そしてファッションビルのPARCOを全国で展開する株式会社パルコが共同で開催する。

イベントの会場は、プラザ梅田の10階にある「UMEDA CLUB QUATTRO」。大阪・梅田の地下街から上がってもう目の前にあるビルの中だ。

▲開場のおよそ30分前には、既に入場を待つ人がちらほら

▲整理番号順に建物内の階段で列をつくる。筆者は少し遅い期間に購入したので、150番台だった

開場の時間(17時)になると、チケットに書かれた整理番号の順で会場に案内されていく。入場にはドリンク代600円が現金で必要だった。受付にチケットを提示。ドリンクチケットと応援フラッグを受け取り、いざ会場内へ。

▲ステージ入口付近では、するがモンキー、yue、takejが出迎える(左から)

▲筆者は「ハイプアップ レッドブル ウォッカ」を交換した。これ以外にも、レッドブルを含むさまざまなドリンク注文することができた

▲入場時に全員がもらえる応援フラッグ。受付でどちらかのチームの色を選ぶ形

入口付近には、メッセージを書くスペースが用意されている。さっそく、受け取ったフラッグにメッセージを書き込む人が多くいた。たくさんの色のペンがあって、非常に迷う。美的センスと選手への愛が試されるだろう。肌感では、Absolute JUPITER(現ZETA DIVISION)に所属していた選手や、Crazy Raccoonに所属する選手のファンが多くいた印象だ。中には、司会のOooDaやyueに向けたメッセージもあった。

▲メッセージを書くスペースで熱心にメッセージを書き込んでいるファンのふたり

▲Reita選手へのメッセージだったようだ

開演前の待ち時間も楽しめる物販&展示ブース


会場には、物販ブースが設けられていた。ここではHype Upの公式グッズや、SCARZのグッズが販売されていた。ここでは、キャッシュレス決済に対応。さまざまなグッズを手にして、イベントを満喫することができる。開演前の一時間程度、レッドブルウォッカを片手に散策してみることにした。

Hype Up Tour Japanオフィシャルグッズは、Tシャツ、ステッカー、ラバーキーホルダーの3種類。一番人気はTシャツ。出演者が身につけているものと同じなのだそう。

▲Hype Upの公式グッズ。筆者はラバーキーホルダーを購入した

SCARZの公式物販では、VALORANT部門のさまざまなグッズを購入することができる。アパレルやタオルなど、SCARZファンならたまらない逸品が多数。

▲物販ブースは盛況だった

▲一番人気だという、SCARZ所属選手のアクリルスタンド。土台部分には各選手のサインも印刷されている

物販ブースの奥には、出場選手の写真が掲載された横断幕が掲示されていた。自身の推し選手と共に写真撮影ができるフォトスポットだ。実際、選手の応援ボードやグッズと共に撮影するファンが数多くいた。

▲手作りのボードと共に写真撮影

▲(左から)Medusa・makiba・neth選手のステッカーと共に

実際に話を聞いてみると、多くの人が自分の好きな選手目当てで来場しているようだった。体感ではほぼ9割超。加えて、大阪や兵庫など、関西圏に住む人が多くを占めており、生活圏のすぐ近くでこのようなイベントが実施されていることも、来場するモチベーションとなっているようだった。だが中には目当ての選手を見に、わざわざ名古屋や関東から遠征をしている人もいるようだ。

文字通り白熱する試合で熱狂はピークに!


18時の開演、OooDa氏の熱い掛け声とともに、選手が入場する。国内外で活躍したレジェンド、あるいは、自分の”推し”の登場で、会場からは大きな歓声が上がる。

▲司会のOooDa氏と入場する選手たち

■この日の対戦チーム
WEST RED TEAM:Reita(リーダー)、Art、Medusa、Minty、neth
WEST PINK TEAM:takej(リーダー)、CLZ、makiba、Misaya、Xdll

RED TEAMは、会場向かって左側。PINK TEAMは右側だ。VIP指定席の人は、最前列・2列目という絶好のロケーション。一方のスタンディング席は、VIP指定席の後ろ側にはなるのだが、それでも十分に選手の表情は見える。会場の後方でも、選手たちの会話が聞こえるほどだ。

▲会場はほぼ満員。後方までみっちりと人で埋まっていた

▲neth選手のボード

試合開始前の軽いインタビューでも、すでに両チームはバチバチだ。「若さ的には勝てるんじゃないかと」とPINK TEAMのリーダー・takej選手。一方「体重重いんじゃない?」と煽り返すのは、RED TEAMのリーダー・Reita選手だ。旧Absolute JUPITER時代から続く掛け合いに、会場からは笑いが巻き起こる。

こうして「年齢」「体重」という構図が完成したところで始まっていくのは、第1マップ「バインド」だ。

▲初戦から早くも、白熱した戦いが繰り広げられる

ドリームチームとは思えないほどの、ハイレベルな戦いが繰り広げられる。選手たちの凄まじいプレイに、会場からは歓声が上がっていた。

▲最初のラウンドは取られたものの、そこから巻き返しをかけるRED TEAM

初戦に勝利したのはRED TEAM。PINK TEAMを圧倒し、スコアは13:6だった。デュエリストを選んだneth、Minty、Medusa選手の活躍が目立つほか、統率の取れた動きはArt・Reita選手のコールが大きいだろう。

▲試合が終わると、勝利したチームのカラーでライトアップがされる。こういった細かな演出もエモい

ライブハウスならではの臨場感!


試合で注目すべきは、選手同士の掛け合いだろう。会場が小さく、選手と観客席の距離が非常に近いため、ダイレクトに選手の声が耳に入るのだ。RED TEAMのMedusa選手は、キルをしたり、ラウンドを獲得するたびにPINK TEAMを煽る。特に、同じCrazy Raccoon所属のmakiba選手を特に狙い撃ちにしていた。

▲終始、相手(特にmakiba選手)を煽るMedusa選手

負けていられないPINK TEAMも、2試合目の最初のラウンドを獲得すると、立ち上がって手を降る。特にmakiba選手はMedusa選手の元へと駆け寄って、先程のお返しにと煽り返した。このプレーには、会場からも笑い声と歓声が。(なお、ヘッドセットの再装着に時間がかかり、次のラウンドの開始に大きく出遅れていたのはご愛嬌だ)

▲2試合目の最初のラウンドを獲得し、大喜びのPINK TEAM

2試合目の「ヘイヴン」では、PINK TEAMが8:13のスコアで勝利した。この試合ではXdll選手が大きく活躍。他の選手が多くとも17キルなのに対し、なんと26キルを獲得し、圧倒的なフィジカルの強さを見せた。

3試合目ではうってかわって、両チーム共に真剣な様子だった。この試合を落とすと負けが決まってしまう。先程の雰囲気がまるでウソだったかのように、選手たちは煽りなし、甘えなしで、本気で試合に臨んでいた。

▲実況席も熱を帯びる

両チームとも煽りがぱったりとなくなり、ガチンコ勝負がはじまる。選手たちの華麗で大胆なプレーに、観客は思わず息を呑んだ。

▲喜びのあまりフィストバンプ

3試合目のロータスは、13:9でRED TEAMが勝利。マップカウント2-1で、RED TEAMが決勝へと駒を進めることとなった。印象に残るのはmakiba選手だろうか、エキシビションマッチとは思えないほどの悔しそうな表情を浮かべていた。

試合が終わってもまだ楽しめる!
オフイベならではのファンサービス



大盛況の中、イベントは——まだ終わらない。選手へのインタビューが終わり、配信も終了した後、行われたのは観客へのプレゼント企画だ。手に入るのは、各チームの選手のサインが書かれたTシャツだ。抽選はチケットに書かれた座席番号・整理券番号から抽選が行われ、計10枚のサインTシャツが10人の選手それぞれから手渡される。

▲当選者は選手とツーショット

▲筆者の隣にいた方が見事当選!「手が震えた」と喜んでいた

抽選番号がOooDa氏によって読み上げられ、一喜一憂する観客たち。ツーショット写真とサインTシャツという豪華なサプライズに、当選した人たちは皆大喜びだ。

抽選会が終わったあと、ステージの外ではなんと選手がお出迎え。Xdll選手、CLZ選手、misaya選手がファンとの交流を行いたいと登場し、僅かな時間ながらも、即席の写真撮影会がはじまった。

▲(左から)CLZ選手、Xdll選手

▲misaya選手

10分程度という短い時間だったが、ファンにとって、このイベントを締めくくるには十分だっただろう。写真かサインかのどちらかを選ぶ形で、中には当選したサインTシャツに追加のサインを貰う人もいた。

観客席へインタビュー


2試合目終了後、takej選手の目の前の席に座る観客の方に話をうかがったのでその様子もお届けしよう。


——何がきっかけでVALORANTのイベントへ行くようになったのでしょうか。
「VALORANTを好きになったきっかけは、ストリーマーの方のウォッチパーティーを見てからです」

——そこから選手に?
「そうです」

——VIP席はどうですか?
「声が聞こえてくるくらい選手と近くて、めちゃめちゃ楽しいです)

——このようなイベントはよく行かれるんでしょうか。
「よく行きます。この前のRAGE VALORANT 2023にも行きました」

——このような大阪や名古屋でイベントが開催されることについてどう思いますか?
「家が愛知なので、ぜひ名古屋でもイベントを開催してほしいですね。名古屋ではあまりないので」

——ちなみに昨日の名古屋予選は行きましたか。
「昨日は推しがいなかったのと、仕事もあったので行ってないです(笑)」

さらに会場では、たまたま来場していたやすお(OFF)氏にも話をうかがった。


——今日はスーツですが仕事帰りですか?
やすお(OFF):今日は仕事が終わって、いや、終わらせて来ました。

——どの選手が目当てですか?
やすお(OFF):Absolute JUPITERやZETA DIVISIONの元メンバーのtakej選手、Reita選手、makiba選手ですとか。あと注目しているのはArt選手です。

——今日はVIP席かスタンディング席、どちらで観戦されますか。
やすお(OFF):スタンディング席です。平日ということもあって、直前まで仕事がどうなるかわからなかったので、スタンディング席を取るしかなかったですね。

——ありがとうございます、楽しんでください!

———

ほかにも多くの方にインタビューを敢行し、快くお応えいただくことができた。(ありがとうございます!)

——今年はオフラインがキーワードになる。そんな言葉を裏付けるかのように、大盛況のまま予選は幕を閉じた。選手と観客が生み出す熱気は、最近のVALORANTの競技シーン人気を物語るには十分だろう。

本イベントで感じたのは、女性ファンが非常に多いことだ。体感では全体の7~8割。話を聞いてみると、自身でプレイをするバリバリのプレイヤーもいれば、配信やイベントを観るだけの、いわゆる観る専の方も多くいた。


ゲームを自分でプレイしない、このようなライトな層でもHype Up Tour Japanは、ふらっと立ち寄って気軽に楽しめるいいイベントだったと言えるだろう。実際、多くの観客が特定の選手を目当てにして来場していた。小規模な箱で選手との距離がとても近く、同じ推し選手をきっかけにファン同士の交流も広がる。気軽に“推し活”ができる、そんなイベントだったという印象だ。

次は渋谷エリア。東京で行われる決勝戦と三位決定戦では、西と東の全チーム、総勢20名が一堂に会する。このホットなイベントは11月11日(土)開催予定だ。YouTubeなどでも配信がなされるため、遠方のため現地へ行けない人でも楽しむことができる。

推しの選手をひと目見たい方、あるいは、関東住みで渋谷が近所の方は、この11月のファイナルへとふらっと足を運んでみてはいかがだろうか。

撮影:まいる
編集:いのかわゆう

【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレイヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。Twitter:@mlunias(Photo by Subaru.F.)

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