【現地レポート】GON「プロチームはこの試合参考にした方がいい」——学生eスポーツ大会「Red Bull Campas Cluch 2023」は選手推しの女性ファンも集まり大成功!
提供元: eSports World
Red Bull Campas Cluchは18歳以上の学生であれば誰でも参加できる大会で、高校生大会のSTAGE:0や全国高校eスポーツ選手権のように同一校でチームを組まなければならない縛りもありません。それだけに参加しやすい大会といえます。
日本大会決勝で優勝するとトルコ・イスタンブールで開催される世界大会への出場権が与えられます。世界大会は約50カ国で予選を勝ち抜いたチームが参加し、優勝チームには2万ユーロ(約300万円)の賞金が贈られます。また、日本大会は9月にオンライン予選を行っており、そこで勝ち抜いた4チームが今回の決勝大会に進出しています。また、この4チームには11月に開催される「Red Bull Home Ground」に招待。さらに優勝チームはチーム全員分の交通費をRed Bullが負担するという大盤振る舞いな大会なのです。

▲会場はRED° TOKYO TOWER

▲入口のカーテンからRed Bull Campas Cluchをアピールしていました
優勝はGYUDON EATING
大会はNo Idea、おさかなAimers、Fortnite、GYUDON EATINGの4チームが出場しましたが、昨年も優勝したGYUDON EATINGが、準決勝でおさかなAimersを倒し、決勝ではNo Ideaを撃破して連覇を成し遂げました。

▲優勝したGYUDON EATINGと実況の河野海樹キャスターとFENNELのGON(ごん)選手とCLZ(くるず)選手
来場した観戦者は参加者の同級生らしい人が多くかなり若い印象。また、CLZ選手やGON選手の人気で集まった感もあり、もともと高かった女性比率が、よりいっそう高くなっていました。学生大会ながらプロシーンと同様の展開もしており、PumaとRed Bull Campas CluchのコラボTシャツを販売する物販コーナーやオリジナルノンアルコールカクテルが楽しめるRed Bull Bar、Aimingチャレンジブースなども用意しておりました。

▲GYUDON EATINGのたくろー選手のファンも来場。たくろー選手はゲーム配信もしており、人気の高い選手です

▲物販コーナー。オフィシャルコラボTシャツ以外にもFENNELのマフラータオルや100円ライターなども販売しておりました

▲Red Bullが主催なのでRed Bullを配布するRed Bullガールもいました

▲Red Bull Barで頼めるノンアルコールカクテル。ドリンク名が『VALORANT』にちなんでおり、これは「レッドブルフローレス」

▲試合開始前やインターバルでもDJが会場を盛り上げていました

▲Aimingチャレンジ。会場だけでなくオンラインでも参加でき、成績上位者はなんとイスタンブールへご招待
CLZ選手、GON選手インタビュー
Red Bull Campas CluchはRed Bullが主催ですが、ディレクションパートナーとしてプロeスポーツチームのFENNELが運営を担当しています。FENNELは学生eスポーツコミュニティ「Univers」を運営しており、そこでもRed Bullとパートナーシップを組んでおり、Universが主催した「VALORANT Univers Competitive 2023 Summer Season」の優勝チームが今大会の決勝大会への出場権が得られるようになっていました。
というように、今大会とFENNELの関わりは強く、解説としてFENNEL所属のプロゲーマーであるCLZ選手とGON選手が解説陣として参加しています。両選手とも解説が初めてとのことで、学生以上に初々しい感じが漂っています。

▲左から河野 海樹キャスター、CLZ選手、GON選手
せっかくなので、CLZ選手とGON選手に今回の大会の印象と同じRed Bullが主催するRed Bull Home Groundについて、そして来季の活動について話を聞いてきました。
——今『VALORANT』はオフシーズンに入っていると思うのですが、そこで「Red Bull Home Ground」の開催となりました。意気込みと現状について教えてください。
GON選手:全力を出し切りたいというのはもちろんなんですけど、予選にはなかったふたつのマップがHome Groundで新たに追加されるのは難しいところですね。練習期間がほぼ1カ月しかないので——。ただ、こういった機会は本当に貴重な体験となるので、甘えたこといってないで全力で取り組んで、少しでもいい姿を見せられるようにがんばりたいです。
CLZ選手:今回はオフシーズンで海外のチームと戦えるチャンスなので、自分たちの実力が通用するんだぞというところを日本の応援してくれる人たちに見せられたらいいなと思っています。
単純にオフシーズンに大きな大会を開いてくれるっていうのは気持ちとしてめちゃくちゃありがたいですね。中にはオフシーズンは休みたいと思う選手もいるかも知れませんけど、培ってきたものが失われてしまう恐怖もあるので、ある程度継続したいと思っている方なんです。
なので、こういう大会が開かれるのはすごくうれしいですね。
——オフシーズンと言えば、ロースターの変更などこれからもいろいろあると思うのですが、そういったことを踏まえて、チームの現在の状況はいかがでしょうか。
GON選手:全員、最強!(笑)。
個々の考えていることがすごく具体的なところがいいと思います。練習中は理想を求めていくことは大事だと思いますけど、実際試合になると現実味がない、実行に移せないような夢物語のようなことを提案されても、結局無理なので、現実的かつ具体的なものがいいですね。コールひとつひとつにそれを感じます。
CLZ選手:GON選手が加入して、すごくコールができる選手なので、すごく貴重な存在だと思います。いいメンバーがそろっていると思います。
——来季の抱負はどうでしょうか。
GON選手:1マップも落としません!
メンバーだけ見たら本当に日本トップクラスなんですよ。あとは自分たちのがんばりで。がんばるだけで優勝を狙えるというのはすごいことで、自信を持てるいいメンバーだと思っています。個人的にはメンバーの中を取り持つようにしていきたいですね。
CLZ選手:チームのロールが変わったので、結構ガラッと戦績とかも変わる可能性はあるんですけど、前のチームや戦績のことは気にせず、今の自分たちがやれることを最大限にやって、そこでいい結果が残せたらいいなって思います。今日みたいなイベントに呼んでいただいたのは本当に感謝しています。(解説などを)今後も挑戦していきたいですね。
——さて、大会が終わっての振り返りですが、学生たちの試合はいかがでしたか
GON選手:めちゃくちゃ面白かったです。こういう解説って立場で『VALORANT』の試合を観るのは初めてだったんですよ。新たな発見がいろいろとありました。観たものを言語化するっていうのは、理解する力が必要なんですよね。そこはキャスターさんへのリスペクトが高まった上に、『VALORANT』の理解が深まった感じがしました。
CLZ選手:我々はプロシーンで活動しているので、だからこそレベルの高い動きとか理解できるんですけど、その高いレベルの動きをやっていて感動しました。
——気になるチームや選手はいましたか?
GON選手:決勝で負けてしまいましたが、No Ideaは、めちゃくちゃうまかった。アセントでAヘブン下に隠れるっていうプレイを選んだシーンがあったんですけど、狙ってやったのかたまたまなのか凄く気になりました。配信でも話したんですけど狙ってやったならとんでもないぐらいうまいって思いましたね。
で、終わったあと楽屋で聞いて見たらちゃんと狙ってやったと。本当にNo Ideaは今後に期待しかないです。めちゃくちゃ強い。Tier2のプロチームに匹敵するくらいうまい。

▲決勝戦1マップ目のワンシーン。アタッカーサイドのGYUDON EATINGは、Bの守りが手厚く感じたのか、Aサイトへと攻めるポイントを変える。そこでリテイク判断をせずAヘブン下で隠れ続けるといった作戦をとったのがNo IdeaのcL0wNsya選手。相手が安心しきっているのを見計らってAサイト内になだれ込んできたGYUDON EATINGを一網打尽にしていく。落としてしまったラウンドではあるものの、奇抜な作戦にCLZ選手、GON選手も感心していたラウンドだ(https://www.twitch.tv/videos/1944680453?t=5h53m29s)
『VALORANT』ではミクロマクロって表現を良くするんですけど、マクロが広い範囲での作戦、ミクロが狭い範囲でのフィジカルの撃ち合いって感じですかね。ミクロ面がうまくなったら本当にTier2レベルの強さですよ。
CLZ選手:まあ、全員うまかったんですけど。No Ideaのrio選手とcL0wNsya選手のふたりがIGLっぽいことをしていて、それ自体のレベルが凄く高くて感動したよね。
GON選手:感動した。
CLZ選手:あれをどこで身につけたのか。誰に教えて貰ったのかな。
GON選手:コーチいるのかな?
CLZ選手:聞いていないからわからないけど、気になるよね。
GON選手:それくらいの戦術の高さだった。驚きました。
——なるほど。そんなNo Ideaに勝ったGYUDON EATINGの方はいかがでしょうか
GON選手:個人のスキルが高いので、ひとりひとり自信を持つだけで十分です。GYUDON EATINGは構成が独特なので、自信を持って作って行ければ大丈夫かなと思います。
CLZ選手:奇抜な武器を使用しており、対策しづらさがあるので、それを継続していけば、世界でも十分通用すると思います。ここから変にうまくなろうとしようとするよりは、トラップの配置だったりジャッジだったり、自分たちの良さを出していった方が良さそうですね。
——強い武器は対策も進んでいますが、レア武器はなかなかそのためだけに練習に時間を当てるのは難しいですよね。
CLZ選手:対策は……。
CLZ選手・GON選手:ないよね。
——最後にオフシーズンに入って、チーム構成やメンバー構成などいろいろ大変なことになっていますが、当事者としてどんな感じにみていますか
CLZ選手:そうですね。僕自身はチームのメンバーが頻繁に入れ替わること自体にかなり否定的で、そもそもオフシーズンが長すぎるためにそう言った動きが出てしまうのかなと思います。オフシーズンがそれほど長くなければ、次の大会への用意の時間が短く、入れ替えする余裕もなくなりますので。
GON選手:いやもうちょっとふざけんなよって感じですよね。ウソです(笑)。
ゲームでご飯が食べられるだけで本当に感謝しかない。
CLZ選手:まあ、何がウソかはみんなわかっているので(笑)。
——ありがとうございます。
———
今回ゲスト解説で参加したGON選手も実はRed Bull Campas Cluch出身。まだプロチームと直結したエコシステムが構築できているわけではないが、プロへの登竜門としてその存在が確立しつつあると言える。観戦する側も将来のスター選手の発掘ができる場となるだろう。ともかく、世界大会でGYUDON EATINGが活躍することを期待します。
Red Bull Campus Clutch 日本決勝 アーカイブ:
https://www.twitch.tv/videos/1944680453
撮影:岡安学
編集:いのかわゆう
【岡安学 プロフィール】
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)
Twitter:@digiyas

Twitter:@digiyas
関連記事
-
- 【結果速報 8月18日】「ポケモンワールドチャンピオンシップ 2025」ポケモンユナイト部門はPERU UNITEが初優勝! ZETA DIVISIONは惜しくも2位に
- 日本時間の2025年8月16日(土)〜18日(月)にアメリカ・アナハイムで開催された「ポケモンワールドチャンピオンシップス 2025」(PWCS 2025)『ポケモンユナイト』部門にて、ラテンアメリカのPERU UNITEが日本のZETA DIVISIONを下して優勝した。ポケモンワールドチャンピオンシップス 2025とは毎年開催されている『ポケットモンスター』の各種ゲームやカードゲーム等の世界大会。出場資格は、各地の大会で上位に入賞するか、ゲーム内のチャンピオンシップポイントに応じて招待される。2025年はアメリカ・アナハイムにて3日間かけて行われる。 ポケモンワールドチャンピオンシップス 2025 ポケモンユナイト部門 結果発表 『ポケモンユナイト』部門のプレーオフは、16チームによるシングルエリミネーション。準々決勝まではBo3(2ゲーム先取)、準決勝以降はBo5(3ゲーム先取)となる。そんな今大会を勝ち上がりグランドファイナルでぶつかったのは、PERU UNITEとZETA DIVISION。ともに大会での優勝経験はないが、何度か対戦経験もあるチーム同士だ。第1試合は下ゴールを先に奪ったZETAがポイントでリード。残り1分でのレックウザをめぐる集団戦はPERUがレックウザを倒したもののZETAが集団戦を勝ち切り、大量ゴールでZETAが勝利する。第2試合は、PERU側が苦しめられたリーフィアを取り上げ、移動技のないポケモンを囲い込めるイワパレスをピック。序盤に強いPERUに対し、後半で育つリザードンなどの活躍でZETAも食い下がるが、勝利には手が届かない。第3試合、PERUはリーフィア、ハピナスなどを取り上げた上で、遠距離から大ダメージを出せるインテレオンをピック。この構成がうまくハマり、PERUが優勝に王手をかける。運命の第4試合、ZETAのピック順が先となり、猛威をふるったリーフィアなどをピックするが、PERUは再びイワパレスをピック。ZETAは少数戦では善戦するものの、あと一撃というところでイワパレスを倒し切れずゴールもなかなか決められない。そして、残り2分からのレックウザ前の集団戦、相手の懐に飛び込んだZETAのガブリエスが落とされると、PERUはフロントから順に落としていき集団戦に勝利。見事な試合運びでPERUが3-1で優勝を決めた。順位所属チーム|選手名1 PERU UNITE 2 ZETA DIVISION 3 Luminosity Gaming 4 Santos Laguna 5 Team Ex = CakeKaLok = Aegis Flames = Nouns Esports なお、日本のREJECT、QT DIG、INSOMNIAはいずれも9位タイに終わった。試合結果 第1試合 ZETA勝利(513 - 275)バン&ピック第2試合 PERU勝利(477 - 106)バン&ピック第3試合 PERU勝利(324 - 87)バン&ピック第4試合 PERU勝利(467 - 192)バン&ピック配信URL 【配信】DAY4(日本語配信) ■関連リンクポケモンワールドチャンピオンシップス2025(英語):https://worlds.pokemon.com/en-us/
-
- 【結果速報 8月17日】「EWC 2025」鉄拳8部門はUlsan選手が大会初の2連覇達成!
- 2025年8月13日(水)〜16日(土)にサウジアラビア・リヤドで開催された「Esports World Cup 2025」(EWC 2025)『鉄拳8』部門が開催され、Ulsan選手が2024年に続き「EWC」2連覇を達成した。Esports World Cup 2025とはサウジアラビア・リヤドで開催される、世界最大のeスポーツイベント。24タイトル、25トーナメントが行われ、賞金総額はeスポーツ史上最高の7000万ドル超(約100憶円)。個人表彰だけでなく、チーム対抗戦として「Club Points」で競い合う要素もある。 Esports World Cup 2025 鉄拳8部門 結果発表 本戦は32人からスタート。ファーストフェーズは4人ずつ8グループに分かれて上位2名が、セカンドフェーズは4人ずつ4グループに分かれて上位2名が、ダブルエリミネーションで勝ち上がっていく。そして、トップ8の決勝トーナメントとなるサードフェーズは、シングルエリミネーションの一発勝負で頂点を目指す。トップ8は、日本のピンヤ、チクリンが勝ち上がっているが、強豪国として有名なパキスタン勢がセカンドフェーズで軒並み脱落。一発勝負のトーナメントはすべて先に5セット取った方が勝利となる過酷な勝負は、ピンヤ、CBMを下したULSANと、チクリン、JeonDDingを下したLowHighの同郷対決に。互いに手の内を知り尽くした5先という長丁場の対決は、まさに一進一退の攻防。ULSANが2ゲームを取るとLowHighも2ゲームを取り返しイーブンに持ち込む。セットカウントも2-2と一歩も譲らない中で、一撃差のタイムアップでULSANが3-2に持ち込むと一気に勢いを増し、そのまま3ゲーム連取の5-2でULSANが勝利した。これでULSANは、「EWC」史上初の2連覇を達成。賞金25万ドルを獲得した。なお、3位決定戦はCBMとJeonDDingの対決。CBMが仁でJeonDDingのエディを3-0で封じ込めると、JeonDDingはアンナで2本取り返す。しかしうまく対応したCBMがさらに2本を奪い、5-2で3位を獲得した。順位所属チーム|選手名1 Freecs / ULSAN 2 DRX|LowHigh 3 Freecs|CBM 4 Team VitalityTeam Vitality 5 DRX|Mulgold = VARREL|ピンヤ = Zero Tenacity|qudans = THY esports|チクリン 配信URL 【配信】DAY4(日本語配信) ■関連リンクstart.gg:https://www.start.gg/tournament/evo-2025/event/tekken-8EVO公式X:https://x.com/EvoEVO公式サイト:https://www.evo.gg
-
- 【現地レポート】高校生eスポーツ日本一を決める祭典が「大阪・関西万博」で開催! プロ顔負けの熱い試合に会場は大盛況——「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2025」
- 全国の高校生によるeスポーツ日本一を決める祭典「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2025」が、8月15日(金)~17日(日)にて開催された。特に1番目の競技タイトルは『VALORANT』、全国ベスト4のチームが一堂に会し、熱いバトルを繰り広げる。▲3日間にわたり、計7種目の競技が実施される。15日(Day1)は、ライアットゲームズの『VALORANT』と『リーグ・オブ・レジェンド』の2タイトル そして本イベントが開催されたのは、なんと「大阪・関西万博2025」の会場内。夢洲駅を抜け、会場内に入ると、出迎えるのは超巨大な大屋根リング。そしてイベントが行われるのは、大屋根リングの外周を少しまわった先にあるホールだ。現地の来場者は自由に会場へ入ることができ、観客席には飛び入り参加の方も非常に多かった。▲大屋根リングは生で見ると圧巻の大きさ! この暑い日差しの中、休憩スペースとしても大活躍だ ▲限定デザインのタオルが先着で無料配布。汗を拭いつつ、応援もできるという一石二鳥のグッズ ▲コカ・コーラのテイスティングも実施。キンキンに冷えたコーラは、火照った体を冷ますのに最適だ ▲大会アンバサダーのアンガールズ・田中卓志(左)。スペシャルサポーターのアルコ&ピース・平子祐希と酒井健太(中・右)が登場。芸人がいることでトークもいっそうと盛り上がる ▲観客の多くは、たまたまこの日万博に来ていた来場者がほとんど。ゲームの詳しいルールまでは知らなくとも、場を盛り上げる実況解説と、高校生たちのが見せる熱い試合展開に、会場からは非常に温かい歓声が上がっていた ▲フィストバンプ(グータッチ)を交わし、自身の席へと向かう選手たち。お互いの健闘を称え合う、いわば試合前の挨拶だ 若さが光るアグレッシブな試合展開 昼過ぎから行われた決勝戦では、ルネサンス「Across」 vs ルネサンス豊田「大阪に行くために」の、日本一を決める最後の戦いとなった。▲「大阪に行くために」(画面右)は、驚きの3センチネル構成だ。サッカーに例えるとフォワードがいない状態だという 「Across」が選択したマップはロータス。古代遺跡をモチーフにした、3つのサイトを持つ比較的広めのマップだ。そんな中で、「大阪に行くために」は近年稀に見る3センチネル構成を選択した。▲守備を得意とするキャラクターばかりで、本来ならば攻撃側は苦手なはずだが、攻撃側スタートの「大阪に行くために」は最序盤からラウンドを連取 4点差をつけられた「Across」だったが、特に攻守が交代すると徐々に反転攻勢をかけはじめる。▲試合中盤、8-8という同点の展開にまで持ち込んだ「Across」 だがここで「大阪に行くために」が先に9:12でマッチポイントを決める。13点を獲得すれば勝利のところ、このままあと1点を取りきれば勝利だ。しかし、対する「Across」もこの崖っぷちの状況の中で見事な逆転劇を見せる。22ラウンド目、23ラウンド目と「Across」はギリギリのところで持ちこたえ、じわじわと追いついていく。波乱の展開となり、会場内は声援が飛び交っている。▲早々にマッチポイントを決めた「大阪に行くために」だったが、それに必至に喰らいつく「Across」。1対4という人数不利をひっくり返す見事なクラッチで、会場を大いに沸かせた(https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=eQ6QJoJULlHGC8b4&t=18227) ▲「大阪に行くために」のメンバーにとっては、非常に苦しい展開。背後から追いつかれ、プレーにも焦りが滲み出る しかし迎えた24ラウンド目、堅い守りで徐々に人数を削り、相手を翻弄する「大阪に行くために」。逃げるようにして遠くのサイトへ移動する「Across」だったが、最後は「大阪に行くために」へ軍配が上がった。▲Aサイト、Bサイトとことごとく止められ、消去法で選んだCサイトだったが、人数差にあらがうことはできなかった(https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=rGi9RHP0rw25GtCF&t=18370) ▲優勝の瞬間、思わず抱き合う選手たち。会場からは温かい拍手が湧き上がった 優勝チーム囲みインタビュー ▲優勝チームのルネサンス豊田(大阪に行くために)のメンバー。左からイクラはいくら、reia7sh(れいあ)、JackReacher(じゃっくりーちゃー)、インスモークサンジ、sunday(さんでー)、ursus(あーさす) ——皆さん、ご優勝おめでとうございます。全員:ありがとうございます!——優勝して、率直な感想をお聞かせください。イクラはいくら:優勝できて、めちゃめちゃうれしいです! 緊張ですごくテンパったりしていたんですが、今回の大会で次に向けての課題を見つけられてよかったです。reia7sh:ちょっと危ないところもあったけど、後半になるにつれて、落ち着いていつも通りにプレーができ、優勝することができました。JackReacher:STAGE:0に懸ける思いは段違いだったので、すごく緊張しましたが、この大舞台で優勝できて良かったです。インスモークサンジ:優勝できてめちゃくちゃうれしいです。練習が報われました。sunday:今年はリザーバーとして試合に出場することはなかったんですが、みんなが2連覇を勝ち取ってくれてうれしいです。ursus:もう率直に、超うれしいです。——この万博内で実際にプレーしてみて、なにか感じたことはありますでしょうか?イクラはいくら:会場がすごくデカくて、より勝とうという思いがありました。JackReacher:この先、生きているうちにこの大阪という地で万博が開催されるかどうかは分からないので、そこに足を踏み入れることができてとてもうれしいです。——今大会では、大阪府からのeスポーツに対する支援があったかと思います。環境面など、この支援について感想をお聞かせください。イクラはいくら:当日の車での送迎だったり、できるだけ体力を使わないようにしてくださったので、体感でいつも通りのパフォーマンスが出せるようになったかなと思います。JackReacher:日本ではまだeスポーツが浸透しているとは言えない中で、大阪府がこのような支援をしてくれてとてもうれしかったです。インスモークサンジ:全体的な支援は物すごく厚かったので、選手目線ですごく助かりました。——このSTAGE:0という晴れ舞台、そして今回の勝利が、皆さんにとってどういったものだったか教えてください。reia7sh:STAGE:0は、同い年とか、自分と歳の近い人が出場できる数少ない大会だと思います。ここまでチームで勝てて良かったと思います。JackReacher:高校生活の中で3回しかなく、1年1年が貴重なので、やっぱり練習をすればするほどうまくなって勝つ確率も上がることが実感できました。sunday:このSTAGE:0は、高校生にとっても一種の青春でもあるし、新しい選手の芽を見つけることができる場所でもあるので、もっとこういった大きな舞台がたくさん開催されてほしいですね。勝利については——正直、1年生から3年生の間で3連覇したかったけど、今回は去年のメンバーとともに2連覇を達成することができてうれしいです。ursus:STAGE:0のために、このメンバーで集まって毎日練習してきて、めっちゃ頑張ってきたので、今日はちゃんと勝ちきれてすごくうれしいです。▲優勝トロフィーを掲げる「大阪に行くために」のメンバーたち ——普段の練習というのは、どういうことをされているのでしょうか?reia7sh:スクリム(練習試合)の相手を外部で募集できるサイトがあるんですけど、そこでよくプロチームなどとスクリムをしています。——決勝戦では3センチネルという尖った構成を使用していましたが、これはどういった意図だったのでしょうか?インスモークサンジ:ほとんどのチームがやらない構成なので対策されづらいし、その上セットアップも多くて刺さりやすいという感じだったので、強かったですね。——後半、少し相手に追いつかれる展開もありました。その中で最後勝ちきれた要因とは何でしょうか?ursus:タイムアウト中にコーチが「絶対勝てるよ」と声を掛けてくれて、だいぶ緊張がやわらぎました。▲焦る選手たちを落ち着けるかの如く、コーチによりタイムアウトが発動。選手たちは明確に、このタイムアウトが勝利の要因だと答えた ——チームメイトやコーチ、ご家族などに感謝を伝えたいと思う方がいれば、少し教えていただきたいと思います。JackReacher:お母さんに感謝したいと思います。お母さん……eスポーツは嫌いなんですけど(一同笑い)JackReacher:ゲームそのものが嫌いなんですけど、それでも自分がプロゲーマーになりたいと言うと、それを信じていろいろな支援をしてくれて、ここまで来れたということがすごくうれしいです。サプライズゲスト登場!ステージに現れたのは、まさかの吉村大阪府知事 この日の夕方、『League of Legends』部門の決勝戦が行われる直前のこと、突如としてステージに登壇したのは、この大阪・関西万博開催の立役者である吉村洋文大阪府知事であった。▲報道陣も直前に知らされた知事の登壇。ステージから降りた後、このあと実施される『LoL』部門の決勝戦を観戦していた アンガールズ田中:大阪府は結構eスポーツにも力を入れていると聞いたんですけども。吉村知事:「eスポーツといえば、大阪」と……呼ばれてませんが! そうなれるくらい力を入れたいと思って、今進めています。アンガールズ田中:(STAGE:0は)ずっと東京で開催していたんですけども、万博でやるということで、こちらでやらせていただいて。凄い盛り上がってるんですよ、朝から。吉村知事:ほんまですか?アンガールズ田中:いやいやいや、めちゃめちゃ朝から何回も鳥肌が! 大阪で言うと「さぶいぼ出てもうて~」吉村知事:さぶいぼね(笑)▲「このSTAGE:0が、できればまた大阪でやってもらえたら……」と、知事自ら誘致活動。試合に出場する高校生たちにエールを送りつつ、大阪府全体でeスポーツを盛り上げていくことを宣言した(https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=g56ISY_Wew0tIkCQ&t=31209) ——— 今回のイベントで興味深かったのは、明らかに観客層が通常のeスポーツイベントとは異なっていた点だ。もちろん観客の中には、ゲームのルールを理解している人も多少いたが、その他大勢はeスポーツの試合を見ることすら初めてだという人も多かった。老若男女、本当に幅広い人々が観戦をしていた。だからこそ、競技シーンならば当たり前の「どちらかのチームを応援する」という現象が、今回はあまりなかった。むしろ「どちらも頑張れ」という、温かい声援と拍手が印象的だった。一昔前の価値観からすると考えられないというか、先人たちの努力もあってここまで社会に受け入れられてきたのだと、特に肌で感じた大会であった。今後、日本の競技シーンやその芽となる学生たちにとって、よりいっそう活躍の舞台が広がっていくことを期待したいと思う。なお関西に住む筆者としては、多くのゲーム系イベントが東京で開催される中、このようなイベントを大阪で開催してくれるのは非常に喜ばしい。「eスポーツといえば大阪」と言われるようになるまで、ぜひこの万博をてこにして頑張っていただきたい。■関連リンクSTAGE:0(ステージゼロ)|全国高校対抗eスポーツ大会 公式サイト:https://stage0.jpSTAGE:0(ステージゼロ) 公式X:https://x.com/stage0_jp配信アーカイブ:https://www.youtube.com/live/q09sCT_Pf1M?si=T9SHUhK4YB-e8lHq撮影:まいる編集:いのかわゆう【まいるプロフィール】関西を拠点にする男性コスプレーヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。X:@mlunias(Photo by Subaru.F.)
-
- 【結果速報 8月10日】 「LCP 2025 Season Finals」 注目の日本チーム直接対決はSHGに軍配!
- 『リーグ・オブ・レジェンド』のアジア太平洋リーグ「LCP 2025 Season Finals」のグループステージ フェーズ1が8月10日(日)に行われ、日本のFukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)とDetonatioN Focus Me(DFM)の直接対決で、SHGが2-1でDFMを下した。グループステージ フェーズ1は、「Mid Season」の順位に応じて4チームずつ2つのグループに分けられ、上位グループと下位グループの勝敗数によってフェーズ2での有利不利が決まる。SHGとDFMはともに1勝1敗での直接対決で、勝った方がフェーズ2に有利な位置で挑める。1vs1はEvi vs Aria ピック順を決めるための1vs1はSHGのEvi選手とDFMのAria選手の対決。Evi選手はヴァルスでAria選手のイレリアを遠距離から攻め立てるも、Aria選手の攻め+タワーダメージで1キルを獲得。アイテムで強化したAria選手はアルティメットからまとわりつき、見事に勝利した。互いに一歩も譲らない好ゲーム ゲーム1はDFMがブルーサイドを選択。タワーや視界の有利を広げてアタカンを狙うSHGは、近づいてくるDFMを待ち受けて迎撃。ここからゴールド差と視界をさらに広げたSHGがまずは勝利した。ゲーム2はSHGがレッドサイドを選択。DFMはボット・トップともに相打ち覚悟で序盤にキルを奪うと、そのゴールド有利をさらに伸ばして1勝を取り返す。Bo3最後のゲーム3もDFMはブルーサイドを選択。DFMが有利で試合を進め、タワー、ゴールドともにDFM有利で迎えたアタカンファイトで、人数有利を取られたSHGがDFMを追い返しアタカンもリセット。ドラゴンをめぐる集団戦ではEvi選手のエンゲージから勝ち切り、そのままドラゴン&バロンを獲得。育ったMarble選手のカイ=サ、FATE選手のサイラスが止まらず、ゴールド差も逆転すると、じっくりひとつずつタワーを破壊していったSHGが勝利した。LCP 2025 Season Finals グループステージ フェーズ1 SHG vs DFM リザルト ゲーム1 SHG勝利バン&ピック試合結果ゲーム2 DFM勝利バン&ピック試合結果ゲーム3 SHG勝利バン&ピック試合結果最終結果グループステージ フェーズ2は8月15日(金)より この結果を受けてグループステージはフェーズ2に移行。再びグループを組み替えて、プレーオフ進出6チームを目指す。なお、下位2チームは「LCP 2026」への参戦をかけた入れ替え戦を行う。グループステージ フェーズ2は8月15日よりスタートする。© 2025 Riot Games, Inc. Used With Permission■関連SNSLoLEsports:https://lolesports.com/ja-JP/■配信URLTwitch:https://www.twitch.tv/riotgamesjpYouTube:https://www.youtube.com/LoLeSportsJP