2024年11月15日(金)〜16日(土)にかけて、東京ビッグサイトにて「アミューズメント エキスポ 2024」が開催されている。


本イベントは、いわゆるゲームセンターに置かれる筐体やゲームの展示&商談会として毎年開催されているもの。来場者もゲームセンター関係者が多く、商談の場にもなっている。一部にアーケードゲームの熱心なプレーヤーもいるのは、会場内では基本無料でプレーできるためだ(クレーンゲームなどは除く)。

そのため、本来eスポーツ専門メディアの「eSports World」との関係性は薄いが、eスポーツに連なる対戦形式のゲームが生まれたのはアーケードゲームからと言っても納得できるだろう。1990年台の『ストリートファイターII』から始まる対戦格闘ゲーム人気を思い起こされる方も多いと思う。

しかし、現在のゲームセンターはクレーンゲームやプリントシール機、メダルゲーム、そして音楽ゲームや子ども向けの体感ゲームがメイン。その中でも、なにか少しでもeスポーツの香ばしさがするものはないか……と、ビジネスデーに潜入してみた次第だ。

かくいう筆者もアーケードにどっぷり浸かった世代で、『ストII』(まだ同キャラ対戦ができなかった初代)ブーム時にゲーセンに入り浸り、中学校対抗戦のようなヒリヒリした対戦を楽しんでいた。当時は『ストII'』『餓狼伝説SPECIAL』『龍虎の拳2』『KOF95』『バーチャファイター2』といったゲームが立て続けにリリースされ、遊べない間は『ソニックウィングス』や『クイズ殿様の野望』などでいかに1コインで時間を伸ばせるかを競っていたものだ。

まさか、入口で延々と『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の音楽を流しながらも格ゲーマーは見向きもしなかったUFOキャッチャーや、突如店頭に現れた『プリント倶楽部』などが、のちのゲームセンターの花形となるとは夢にも思わなかったわけだが……。

とはいえ、いまや私自身も家族と一緒に、休日にはクレーンゲームやメダルゲームを楽しんでもいる。そんな古き良きゲーセン文化を知るひとりとして、かなり無理やりeスポーツ的な視点からの最新アーケードゲーム事情をご紹介したい。


バンダイナムコ


「鉄拳」シリーズなどのビデオゲームでお馴染みのバンダイナムコブース。アーケード初登場となるファン待望の『アイドルマスター TOURS』の大行列とともに注目されていたのが、さまざまなeスポーツイベントでも採用されている『太鼓の達人』だ。


主にeスポーツとしてプレイされているのはNintendo Switch版の小型の専用コントローラーだが、やはり本物の太鼓の演奏感に近いアーケード筐体の方が叩きがいがあるというもの。

今回は、その筐体の太鼓の素材が、従来のベニヤから新素材のMDFパッド・リムへと変更されており、その違いを体感できるかどうかのアンケートが実際されていた。


従来の太鼓の鼓面はベニヤ版で、経年劣化や季節による打感の違いは避けられなかったという。しかしMDFは強度をより高めながらも、これまでと同様の打感を再現している。実際に叩いてみたが、たしかにほとんど違いはわからなかった。答えはぜひ、実際に叩いて確かめてみてほしい。

ちなみに、『太鼓の達人』自体は国内のアミューズメント施設等での導入や運用はわずかながらも右肩上がりで成長しているとのこと。今後は海外市場も視野に入れており、中国や北米で展開する予定だという。今年7月には「太鼓の達人 ドンだー!世界一決定戦2024」もアーケード版で開催されているが、海外展開によりユーザーが増えれば、世界規模の大会も実現されるかもしれない。


タイトー


タイトーといえば『スペースインベーダー』の生みの親であり、『バブルボブル』や『エレベーターアクション』などの名作を持つアーケードがメインのメーカー。現在はその発展形として、オンラインクレーンゲームやさまざまな体感ゲームも開発しているが、特に施設運営を得意としており、自社のゲームセンターも多数存在する。

そんなブースの中で興味をそそられたのが、「EXBAR TOKYO+」という日本初の「ARダーツ」を体感できるブース。ダーツの的の周囲にさまざまな映像を投影し、多彩な演出を楽しめる。「ARダーツ」自体の展開はこれからだが、名前のとおりクラフトビールなどを楽しめるこの「EXBAR TOKYO+」は新宿駅にあり、タイトーが提案する新しい遊び場として出店した1号店でもある。


また、体感ゲームとして同社の『スペースインベーダー』のIPを生かした的当てゲーム『スペースインベーダーストライク』は、子どもから大人まで体を動かしながら楽しめそう。こちらは神奈川県海老名市でタイトーが運営する「BOOTVERSE(ブートバース)」というスポーツエンターテインメント施設で稼働中。これ以外に、レーザーサバゲーの『スペースガンフィールド』やニンジャアクションを楽しめる『ニンジャウォリアーズ エクストリームステージ』などなど、さまざまなアトラクションが時間制で楽しめる(平日120分 一般2500円/学生2000円/小学生1500円、延長30分 900円など)。


大人数でわいわい遊べるアミューズメント施設ではあるもののそこはゲーム。意外と攻略しがいのありそうなシステムでもあり、eスポーツ選手なら高得点も狙えるのでは? ぜひレジャーとしても息抜きとしても楽しんでみてほしい。


カプコン


カプコンブースでは、カプコン直営のアミューズメント施設で運営しているタイトルなどを展示。全国の直営店のうち吉祥寺、石川県白山市、静岡県浜松市の3店舗で展開している「CAPCOM e-SPORTS CLUB」で実施している『ストリートファイター6』の対戦会を実施している。

©︎CAPCOM

『スト6』には「タイプアーケード」もあるが、この取り組みはアーケード版ではなく家庭用ゲーム機を用いて実施されており、気軽にeスポーツ格闘ゲームに触れてもらうことを目的としている。そのため、画面もPC用のモニターであり、イスも“ゲーセンイス”ではなくAKRacingのゲーミングチェアを使っていたあたり、不思議に思われた方も多いのではないだろうか。

『ストII』のヒットから対戦格闘ゲームの先駆者として、シューティングゲームやベルトスクロールアクションゲームなども手がけてきたカプコンだが、現在はアーケードゲーム自体の開発はほとんどなく、「タイプアーケード」も筐体も含めて手がけているのはタイトーだ。カプコンとして直営のゲームセンターを運営してはいるが、eスポーツとしてのメインはオンライン対戦メインの家庭用にシフトしており、その流れは止まることはないだろう。

ただ、そんな中でも、初公開の『鬼武者VR Shadow Team』のように、さまざまな新しい体験や経験を、自社施設を中心に実施している。現在は全国で3店舗のみの「CAPCOM e-SPORTS CLUB」だが、コロナ禍も収まり店舗で遊べる環境が戻っていた今後は、より多くの人が気軽に『スト6』などにふれる場所も増えていくかもしれない。

©︎CAPCOM

セガ フェイブ


アーケード筐体やゲームの先駆者として知られるセガ フェイブブースでは、最新型の「UFO CHATCHER10」「UFO CATCHER TRIPLE TWIN Compact」やプリクラ『GIMMI』「&TEAM」から、体感型アトラクション「パウ・パトロール チェイスといっしょ」、『頭文字 D THE ARCADE』など、大人から子どもまで楽しめるさまざまなアーケード筐体が展示されている。


胸熱だったのは、そんなセガの黎明期からのアーケード筐体が展示されていた「セガAMヒストリー」という一画だ。セガの名前の由来にもなったジュークボックスの『SEGA 1000』の実機や、UFOキャッチャーよりもはるか昔に開発された、ゲーセンやホテルのゲームコーナーには必ず置いてあった元祖クレーンゲームの『スキルディガ』、初代『UFOキャッチャー』に、『甲虫王者ムシキング』『プリント倶楽部2』『デイトナUSA DX』といった懐かしのアーケードゲームたちが並んでいる。

©︎SEGA

©︎SEGA

©︎SEGA

©︎SEGA

セガとしての直営店はなくなってしまったものの、アーケード筐体の文化を大切にしているところに、私たちが好きだったセガはもちろん健在だと嬉しくなる。アーケード筐体の年表なども展示されており、当時を知る人ならこのブースにいるだけでいくらでも酒が進んでしまうだろう。

ちなみに、対戦要素のあるゲームとしては、『頭文字D THE ARCADE』の交流戦などの対戦会が金・土と展開されており、2対2で誰でも気軽にレースを楽しめる操作性と本作ならではの戦い方に会場も大注目。実況・解説もあり、さながらeスポーツ大会のようだった。

©しげの秀一/講談社
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exA-Arcadia(エクサ・アルカディア)


最近のアーケードゲームの中で、ひときわ異彩を放っていたのが「エクサ・アルカディア」のブースだ。昔ながらのアーケードゲーム筐体が並び、レバー+ボタン操作の対戦格闘ゲーム、シューティングゲーム、アクションゲームなどが展示されていた。


一見古き良きアーケードレトロゲームが並んでいるようにも見えるが、そのほとんどが続編やリメイクなどの現役の作品。筐体にアーケード基盤という当時と同じ方式ながら、ひとつの筐体で複数ゲームの切り替えられる。もちろん対面での対戦リンクなども可能だ。

今年は、2024年に稼働予定の最新ベルトスクロールアクション『ジツ・スクワッド×キャッ党忍伝てやんでえ』や開発中の『ジャムジャムゼリー エクサレント』もプレイアブルとなっていた。

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いまどきのゲームセンターで1回100円で元を取るために、筐体・ゲーム基盤などを合わせて約100万円ほどのコストと償却期間を考えると、この手のアーケード筐体が厳しいところは否めない。

しかし、ゲーセンでしか味わえない、変に人が見ていたり、カッコつけてしまいたくなったりする独特の雰囲気の心地よさは確かにある。過度に画質を追求せず、あえてドットの大きなゲームを作るなど、ゲーム開発メーカーも“わかっている”ところが多いのが「エクサ・アルカディア」の特徴とも言える。

大きなゲームセンターなら置いてあることも多いので、ぜひ見かけたらレトロでノスタルジックな新作アーケードゲームを遊んでみてほしい。


まだ間に合う! 11月16日(土)開催予定のeスポーツ関連イベント


最後に、16日(土)に行われるeスポーツ関連イベントをいくつかご紹介しよう。なお、チケットは当日でも購入できるが、会場での販売はなく、ローチケから購入する必要がある。

アーリーチケット(販売終了)
9:00から入場可能:3,000円(税込)

スタンダードチケット
10:00から入場可能:2,000円(税込)

レイトチケット
13:00から入場可能:1,000円(税込)

※小学生以下無料。(アーリーチケットをお持ちの方が同伴している場合のみ9:00から入場可能。それ以外は10:00から入場可能)
※いずれも滞在時間に制限はなし
※会場での当日券の販売はなし
https://amusementexpo.jp/tickets

セガ フェイブブース
12:00〜16:30 頭文字 D THE ARCADE「走り屋TEAM グランプリ」

予選を勝ち抜いたチーム同士による決勝戦。YouTubeでの配信も実施予定。

https://initiald.sega.jp/inidac/event/saikyo2nd/htgp

カプコンブース
12:15〜13:00 STREET FIGHTER 6 カプコンスタッフと対戦!
14:30〜15:15 プロe-Sportsプレイヤー ACQUA選手に挑戦!
16:00〜16:45 STREET FIGHTER 6 カプコンスタッフと対戦!

試遊で特製ステッカーがもらえるほか、対戦に勝つとプレゼントも。

https://www.capcom.co.jp/amusement/game/event/8663/

タイトーブース
11:30~/14:00~/16:30~(予定) ストリートファイター6 タイプアーケード エキシビションマッチ

『ストリートファイター6 タイプアーケード』にて、ガチくん(Good 8 Squad)と桃井ルナ(G-STAR Gaming)と対戦できるチャンス。対戦プレイで「ICカードステッカー」とレバーレスコントローラーなどが当たる抽選券もゲットできる。

https://www.taito.co.jp/AM-EXPO


アミューズメント エキスポ 2024:https://amusementexpo.jp/

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