モニターを凝視して一瞬の判断を下すeスポーツプレイヤーにとって、高性能なPCモニターは言わば”神器”と言っても過言ではない。ゲーミングPCやゲーミングマウスと並び、PCモニターも快適なPCゲームライフを満喫する上でチェックしておくべき代物なのだ。
とりわけゲームプレイに特化した「ゲーミングモニター」のスペックは高い場合が多く、高リフレッシュレート(詳しくは後ほど)、画面のチラつき&カクつき軽減、プレイシーンに応じた映像モードなど、様々な機能をデフォルトで搭載している。また、通常モデルよりも巨大な液晶を備えたワイドモニターなので、一度に見える範囲が大幅に広がるのも嬉しいメリットだ。
今回ご紹介する「Optix MAG301RF」は、ゲーミング向け性能とウルトラワイドモニターの特性を兼ね備えたユニークな製品。実機画像やゲームタイトルのスクリーンショットを交えつつ、気になる特徴などを紹介していこう。
広視野角&高リフレッシュレートを両立させたウルトラワイドモニター
今回レビューするゲーミングモニターは、MSI製のOptix MAG301RF。HDMI端子とDisplayPortを有しており、2,560×1,080の映像出力に対応する液晶モニターだ。液晶サイズは29.5インチ、本体全体サイズは709.4mm(幅)×234mm(奥行き)×269.2mm(高さ)、重量は7.25kgとなっている。
気になるサイズ感は設置イメージ(画像)をご覧いただきたい。Optix MAG301RFはウルトラワイドモニターということもあり、デスク上における存在感は中々のもの。一般的なモニターの縦横比は16:9だが、ウルトラワイドモニターは21:9と横幅がグッと広くなる。イメージとしては、24インチサイズの16:9モニターの左右が伸びたようなイメージだ。
▲Optix MAG301RFの前面イメージ。比較対象としてペットボトル(560ml)を置いてある
ただし本製品はウルトラワイドモニターの中でも省スペース設計となっているので、一般的なPCデスクなら設置場所で困ることはそうそうないと思われる。参考までに、筆者のPCデスクの天板サイズは1200mm(幅)×600mm(奥行き)。中央にOptix MAG301RFを置いた状態でも、マウスやマイク、外部スピーカー類の設置スペースを確保するいことができた。
ゆえに本製品は、「ウルトラワイドモニターが欲しいけど、大きすぎると置き場所に困る……」というユーザーにとってはベストな入門機と言えるだろう。
▲Optix MAG301RFの背面イメージ。本体下部にNAVIキー、その上部にアイコニックなドラゴンエンブレムが刻まれている
そして最大の特徴は、ウルトラワイドモニターだからこそ実現した「視界の広さ」。例えば本製品を用いてFPSタイトルをプレイすると、一般的な16:9のモニターでは映らない部分まで視界が広がる。
また、リフレッシュレート(1秒間に画面を書き換える回数)も200Hzをマーク。展開の早いスピーディーなゲームタイトルをプレイする場合、リフレッシュレート(1秒間に画面を書き換える回数)も200Hzと1ms(GTG)の応答速度でスムーズにプレイできる。特に”視野の広さ”はeスポーツタイトルをプレイする上で大事なポイント。
視野の広さがそのまま情報量の密度に繋がる……というワケだ。
快適なゲームプレイを演出する各種アシスト機能
Optix MAG301RFは広視野角と高リフレッシュレートに加え、画面のチラつきを無くすアンチフッリッカー機能も搭載済み(電源を入れると自動的に適用)。
さらに「ナイトビジョン」モードをONにすれば、映像が暗くなりがちな夜間戦闘などのシーンでも一定の視界を保ってプレイ可能だ。
画面設定を一括で行うための専用アプリケーション「Gaming OSD」も実装されているので、モニター本体とPCをUSBケーブルで繋いでPC上から設定を気軽に変更できる。
▲Optix MAG301RFの製品スペック一例(引用:https://jp.msi.com/Monitor/Optix-MAG301RF/Specification)
もちろん専用アプリケーションを使わずとも、基本設定のカスタマイズは問題なく行うことができる。その願いを叶えてくれるのが、本体裏に取り付けられたNAVIキー。モニター前面から背面へ腕を回し込み、スティックを上下左右に動かして描画モードや省電力設定といった項目をサクサクと切り替えることが可能だ。
▲モニター背面のNAVIキーは、直感的な設定変更を可能にする操作ツールだ
広々とした液晶がゲームプレイ&マルチタスクに役立つ
ここからは実際のプレイ画面を交えつつ、Optix MAG301RFの使用感をお伝えしていこう。今回レビューに選んだゲームタイトルは、3人1組チームで全20チーム(計60人)の頂点を目指す『Apex Legends』。フィールドを動き回って敵プレイヤーを倒すバトルロイヤルゲームだが、全体を通してウルトラワイドモニターのメリットがいかんなく発揮された。
というのも、視界が普段使いのモニターと比べて広くなったおかげもあり、フィールド内の敵プレイヤーを効率よく索敵できるようになったのだ。加えて「死角を未然に防ぐ」、「複数チームが入り乱れる混戦時の状況把握」といった面でも役立つことが判明。チャンピオン達成の道のりにおいて有用であると感じた。
▲『Apex Legends』のゲーム画面。ウルトラワイドモニターならではの広い視界が状況把握に役立つ
続いてはオープンワールドRPG『サイバーパンク2077』をプレイしてみた。こちらはeスポーツタイトルではないものの、Optix MAG301RFの描画力を図るのにピッタリな作品。特にウルトラワイドモニターは美麗な3Dグラフィックと相性バッチリだ。
ゲーム内時間を夜間に調整して夜景を見上げるでも、ナイトシティの幻惑的な輝きをパノラマ写真へ収めることが叶った。ほかにもウルトラワイドモニターに対応済みのゲームタイトルなら、ダイナミックなパノラマシーンを十分に堪能できるだろう。
▲『サイバーパンク2077』のゲーム画面。フォトモードで幻想的なパノラマ撮影に挑むのも大いにアリ
ウルトラワイドモニターの利便性が活かせるのは、何もPCゲームだけではない。広々とした作業領域をフル活用し、異なるアプリケーションを複数立ち上げることだってできる。
作業領域の広さは、言わば一つの画面に秘められたポテンシャル。状況にもよるが、「Youtubeで動画をながら見しつつ、Discordでフレンドと通話。その途中でゲームの攻略メモをテキストやExcelで書き起こす」……なんて芸当も不可能ではないはずだ。
▲アプリケーションを3つ開いた状態でも、余裕を持って作業に専念できる
通常のPCモニター以上に広い視界を備えたウルトラワイドモニターは、競技性の強いeスポーツタイトルを本格的に遊ぶなら考慮して損のない一品。その点、今回ご紹介したOptix MAG301RFは、省スペース設計と標準以上のeスポーツ向けスペックを備えており、ウルトラワイドモニターの入門モデルとしてピッタリな一台と言えるだろう。興味の湧いた方は、ぜひOptix MAG301RFを相棒としてチョイスしてみてはいかがだろうか。
※今回レビューに使用した製品は、MSI様からご提供いただいています。
Optix MAG301RFレビュー
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- 量子ドット技術を採用した発色の良さと、170Hzの高リフレッシュレートを両立した高コスパWQHD/27インチゲーミングモニター「MSI G274QPF-QD」レビュー
- ゲーミングモニターを選択するうえで、取捨選択を迫られる場面は少なくない。高いリフレッシュレートを求めると発色が犠牲になったり、発色が良い高リフレッシュレートを求めると高価であったりと、理想的なモニターを見つけるのは案外難しい。 そんな欲張りなユーザーにおすすめしたいのが、量子ドット技術を採用することで美しい発色を実現して170Hzと高いリフレッシュレートに対応し、さらにコストパフォーマンスまでバッチリな27インチのWQHDゲーミングモニターの「G274QPF-QD」だ。そのハイスタンダードなスペックは、エントリーモデルでは物足りないユーザーや、ハイエンドモデルほどの金額は予算的に厳しいというユーザーにうってつけのモニターとなっている。 まず印象深いのが“質感の高さ” まず組み立てながら感じたことは“質感の高さ”だ。コスパの良いモニターとなると外装から安っぽさをどうしても感じてしまうことも少なくない。しかし「G274QPF-QD」は全体にマット仕上げを施すことで、高級感のある印象になっている。細いフレームや背面もシンプルかつスタイリッシュなデザインであり、MSIのロゴもシックで控えめだ。 本モデルは、上位グレードの「Optix MAG274QRF-QD」に対する廉価版というポジションだそう。しかし見た目からは廉価版であることを感じさせない装いである。 また、スタンドとネックは手回しネジで簡単に取り付けることができる(ディスプレイ部分とスタンドはドライバーで2本のネジを留める必要がある)。ネック部分にはケーブルを通す穴も設けられているので、ごちゃつきがちなモニター周りもすっきりとまとめることが可能だ。 VESA(75)にも対応しているので、モニターアームなどにつなげて自由に動かすのも良いだろう。 圧倒的な取り回しの良さ ディスプレイと向き合うなかで大切な機能のひとつである角度調節も、かなりしっかりと対応している。高さ調節は0~130mmで対応しているため、スタンドギリギリのかなり下に下げることができる。モニターの背面へのアクセスも良く、マルチディスプレイ環境では他のモニターと高さを合わせやすい。 チルト(上下方向の角度調節)も-5°~20°で対応。モニターとしっかり向き合う用途で使う場合には、視線とモニターの向きをそろえることで疲労軽減にもつながる。なにより、集中して作業やゲームをしたいときに嬉しい機能だ。 また、スイベル(横方向の角度調節)に対応していることは、FPSなどマウス・キーボードを使ってゲームをするユーザーにはとてもありがたい。というのも、FPSゲーマーはディスプレイと目の距離がとても近い場合が多い(これが目に悪い可能性も否定できないので推奨はできない)。そんなときに効いてくるのが、スタンドとディスプレイの角度の兼ね合いなのだ。 ▲スタンド部分をななめにし、キーボードと沿わせるイメージ スイベルに対応することで、スタンド部分を斜めにしつつ、ディスプレイはユーザー側を向いているという構図を作ることができる。これにより左手で入力するキーボードを自然な形で設置できるので、本モデルはコンパクトなスタンド部分のデザインも相まってとても助かる。 ピボット機能もあり 「G274QPF-QD」はピボット機能(画面回転)にも-90°~90°の間で対応している。これは画面を縦にして使用できるという機能だ。メインモニターの横にサブモニターとして縦置きするも良し、縦に2枚並べて巨大なスクリーンにして使うも良い。 後者の使い方は、画面に常に固定したウィンドウを表示するような用途ではとても便利である。証券会社などのオフィスでは縦画面を駆使して多くのモニターを使っていることも多い。 筆者は普段、メインモニターは横、その両脇にサブモニターをそれぞれ縦置きにして使っている。ゲーマーとしては横方向でメインモニターは外せないが、サブモニターであれば縦で も不便ない。ゲームをしながら見たい情報を置いたり、SpotifyやNetflixを流いたりと、ちょうど良い使い方だ。 そのままで美しい発色の良さ そして、なんといっても「G274QPF-QD」の最大の特徴は量子ドットの搭載で、色純度の高い発色を実現している点だ。量子ドットとは、光の3原色であるRGB(赤・緑・青)を高いレベルで再現可能な技術であり、特定の色に強弱があった従来のLEDに比べてRGB全ての発色が良いことが特徴だ。つまるところ、発色の良い美しい映像を楽しむことができる。 これだけ発色が良いと、ゲームなども当然美しい映像で楽しむことができる。色の感じ方は人それぞれだが、筆者はいつも新しいモニターを触るときは好みの色に調節することが多いが、本モデルではそれを必要としないほど、自然で美しい発色であるような印象を受けた。Display HDR 400にも対応しているので、対応しているゲームタイトルやコンテンツでは自由に調節して楽しむことができる。 スペック的な話をすると、約10億7,300万色の表示色に対応している。色域もsRGBカバー率:99%ととても広いため、クリエイティブ用途でも十分通用するだろう。 OSDではさまざまな設定も可能で自分好みの色味に調節できるほか、ゲームジャンルごとのプリセットなども用意されている。 eスポーツタイトルに嬉しい170Hzリフレッシュレート オーバークロック時には最大170Hzのリフレッシュレートに対応している点も、RAPID IPSパネルを採用した「G274QPF-QD」の強みのひとつだ。リフレッシュレートとは、簡単に説明すると1秒間に描画される画像の枚数を示す数値であり、その値が大きければ大きいほどなめらかな映像を楽しめる。FPSなどのタイトルでは敵の動きがより精細に表示されるため、しっかりと視認することができ、強さに直結するといっても過言ではない。 ゲーミングモニターとして流通しているものの多くが144Hzであることを考えると、170Hzに対応する本モデルは他のモニターに比べてひとつアドバンテージを持っていると言える。なお、DisplayPort接続時は最大170Hz、HDMI接続時は最大144Hzとなっている。 また、DisplayPort Alt Modeに対応したUSB Type-C端子も搭載されている。ノートPCやスマートフォンの映像を手軽に出力することもできる。最大15Wの給電にも対応しているので、マウスやキーボード、スマートフォンの充電などにも活用できそうだ。 もちろんゲーマーに嬉しい機能も豊富に対応している。動きの速いゲームでは必須である残像感を打ち消すアンチモーションブラーや、暗い場所の視認性を上げるナイトビジョンはもちろん、対応するグラフィックボードではG-SYNC Compatibleによって画面のズレやかくつきを防いでくれる。アンチフリッカーとブルーライトカットも搭載しているので、長時間モニターと向き合っていることの多いゲーマーやクリエイターも助かる。 ここまで述べてきた通り、「G274QPF-QD」は発色の良いディスプレイとFPSで圧倒的なアドバンテージを持つ170Hzに対応した、高水準なゲーミングモニターと言える。また、WQHD(2,560 × 1,440)はやはりフルHDと比べて多くの情報を表示できるので、クリエイティブ作業やビジネス用途でもとても心強い。 ▲サムネイルの表示を「大」にしてもこれだけのファイルを表示させることができる 冒頭でも述べたが、本モデルは「Optix MAG274QRF-QD」の廉価版という位置づけであり、PCからディスプレイの調節ができる機能を省いた以外はほぼスペック的に変わりはない。62,800円(価格ドットコム)である「Optix MAG274QRF-QD」に対して、「G274QPF-QD」は55,000円と、その価格差は馬鹿にならない。高コスパで高水準なゲーミングモニターが欲しいなら、選択肢のひとつとして有力な一台である。