去る8月8日と9日の2日間に渡ってPC版『GUNDAM EVOLUTION』のクローズドベータテスト(以下CBT)が実施された。本記事では、CBTで体験した内容をレポートしていくとしよう。なお、以下の内容はあくまでベータテストでの内容であり、製品版では変更される可能性があることをあらかじめご了承いただきたい。
▲オープニングデモのワンシーン。ガンダムの振り向き射撃は、エルメスのビットを撃ち落としたあの時のポーズに似ている
このゲームは『機動戦士ガンダム』シリーズに登場するモビルスーツを操って戦う、6対6のチーム戦FPSだ。
今回のベータテストで使用可能なモビルスーツは、さまざまな『ガンダム』に登場する機体の中から、かなりマニアックなセレクトで選ばれた12種類。
『機動戦士ガンダム』からはガンダムとガンタンク、ジムとザクIIという4種。
『機動戦士Zガンダム』からはメタスとアッシマー(どちらも可変MA)。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』からはサザビー。
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』からはジムスナイパーII。
『∀ガンダム』からは∀ガンダム。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』からはドムトルーパー。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』からはガンダム・バルバトス。
そして『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』からはペイルライダー。
各シリーズの主役級モビルスーツではなく、いぶし銀的なセレクトになっているところから、このゲームは一味違うと感じさせてくれた。
チーム内で使用するMSの重複は許されない
ただし、これら12機のモビルスーツは、誰もが自由に選べるというわけではない。なんと、自分を含めて6人いるチームの中で、使うモビルスーツの重複は許されないという縛りがある。
その代わり、味方も敵も連邦やジオンといった所属「軍」という考え方はなく、どちらか6人が「アースノイド」。敵対する6人が「スペースノイド」というチーム分けになる。
▲モビルスーツ選択画面。∀ガンダムとドムトルーパー、メタスとジムスナイパーIIのアイコンはグレーアウトし、中央に黄色い「レ」点が描かれている。これは、仲間の誰かがすでに選択済みという証拠
これら12機のモビルスーツは、それぞれ装備している武器が異なるばかりか、HP量や連続ステップ可能回数など、かなり性能差が付けられている。コストのような概念がないこのゲームにおいては、ガンタンクも∀ガンダムも等価値という考え方だ。
▲ペイルライダーの性能。難易度は2で、得意レンジ(距離)は中距離。HP量は1000で、ステップ性能(連続ステップ可能数)が2というのは平均的な性能。メイン兵器はブルパップ・マシンガンで、中距離から堅実にダメージを与えるのが役割
そうなると「だったら、自分は強い(と思う)ガンダムを選びたい」などと考えるのが当然だろうが、なぜ重複選択を許さなかったかといえば、それはこのゲームが6対6のチーム戦だからだ。
勝敗を決めるルールは3種類。ルールごとに戦略は変化する
正式リリース時には任意に選べるようになっているかもしれないが、CBT時点では「カジュアルマッチ」という自動マッチングしか選べなかったため、マップごとに変化する3種類のルールもランダムで選出されていた。ルールの種類は「ポイントキャプチャー」「ドミネーション」「デストラクション」の3つ。
ポイントキャプチャー
試合開始時、スペースノイドとアースノイドのどちらかが攻撃側で、もう片方が防衛側となる。1試合を終えた後は攻守が交代し、2ラウンドの合計点数で勝敗が決まる。
攻撃側はマップ上に示されている拠点へ接近し、エリア内に滞在している時間に応じて制圧ゲージが増えていく。ゲージが最大になると制圧が完了するが、防衛側は拠点内にいる敵機を破壊するのがベストな対応だが、防衛側がエリア内にいる間は「争奪中」扱いとなり、制圧ゲージが増えないというルール。
▲敵軍の目標エリア内に留まり、制圧をしているところ。中央上部にある水色のゲージがいっぱいになるまで留まることができれば制圧が完了する
ドミネーション
ルールとしては「ポイントキャプチャー」に近い拠点の制圧が目的だが、こちらは攻守に関係なく、両チームが同じ拠点を奪い合うルール。一定時間が経過すると第二、第三の拠点が制圧可能になり、制限時間内に多くの拠点を制圧したチームの勝ち。
拠点を制圧されないのは当然のことだが、第二、第三の拠点が制圧可能になると相手が防衛する拠点も増えるため、戦力が分散し、攻めやすくなる。しかし、これはまた自軍も戦力が分散しやすいというリスクの裏返しでもある。
デストラクション
デストラクションは「ポイントキャプチャー」と同じく、攻撃側と防衛側に分かれて2ラウンドの戦いを行う。攻撃側は2つある目標地点に接近し、破壊兵器を設置。設置された破壊兵器は設置と同様に目標地点の近くへ行き、破壊兵器の起動を阻止できるというもの。
攻撃側は目標地点に破壊兵器を設置したあと、防衛側のモビルスーツが破壊兵器へ近寄らないようにするのがポイントとなる。
▲攻撃側で、破壊兵器を敵軍の目標へ設置したところ。敵モビルスーツに解除されないように護衛するか、それとも隠れていて、破壊兵器を解除しに来た敵を背後から撃つかは、敵の行動次第
▲防衛側で、敵に設置された破壊兵器を解除しているところ。目標に密着して、画面中央にある「A」アイコンの周りにある水色ゲージが一周するまで待たないといけないので、解除作業中を狙われたら非常に危険だ
基本はFPSだが、勝敗を左右するのは戦略と戦術の両方
このゲームは、エースパイロットが10機連続で敵モビルスーツを撃破したとしても、拠点を制圧できなかったり、目標を破壊されてしまったりすると敗北となる。勝者はあくまで、ルール上の勝利条件を満たしたチームとなるからだ。
仮に自機が中破しても、周りにいる仲間が修理してくれれば再び動けるようになるし、大破した場合でも、数秒の待機時間を経てすぐに自軍の拠点へリスポーンするし、その際にモビルスーツを変更してもいい。このゲームにおいて撃破されたことはあくまで「一時的に前線から退く」だけで、大きなペナルティではない。
自機が撃破されたとしても相打ちで敵にダメージを与えたり、仲間が到着するまでのあいだ、少しでも制圧が遅くなるように時間稼ぎをしたりという作戦もあり得る。撃破数や敵への与ダメージ量が勝敗とは直接的には関係しないルールを採用したことで、エイムの腕前よりも、戦略や戦術といった作戦の比重が高いゲームになっている。
▲仲間が敵をひきつけているところに、少し離れたところから射撃。これも立派な作戦だ
作戦を遂行するために活かす、極端な12種類のモビルスーツ
今回のベータテストで登場した12機のモビルスーツは、どれも極端な性能を持っている。「どのモビルスーツが強いか」を議論するのではなく、どのモビルスーツをどんな用途で運用し、どのモビルスーツがどんなサポートを行うかの作戦こそが、勝敗の鍵を握る。ここではモビルスーツ選択画面の左から順に、それぞれの注目ポイントを説明しよう。
▲ガンタンクも、性能を上手く活かすことで強力なモビルスーツとして運用できる
ペイルライダー
「ハンド・グレネード」「EMPグレネード」という、まとまっている複数の敵を同時に攻撃できる武器を持っている。また、味方のHPを回復させる「リペアポッド」を設置できるので、味方が複数固まっている場所のサポートに向いている。
ガンダム
基本兵器はお馴染みのビーム・ライフル。しかし、それ以外の武器は、ファンならニヤリとさせられてしまうもの揃い。
TV版の第1話で、アムロの言葉でのみ登場した「スーパー・ナパーム」は、投げた後一定時間で爆発する爆弾。「ハイパー・ハンマー」は、劇中ではゴッグに受け止められてしまったガンダムハンマーの強化版。ゲーム内では敵に当てればガード不可のスタン効果で、床や壁に当たっても周囲に攻撃判定が発生するという、強力な近接武器。
不安な防御面は、ガンダム・シールドを構えて接近できるので、強引な攻め込みが期待できる。
▲原点にして頂点とも言うべき、初代ガンダム。兵装は「わかってる感」満載のマニア装備が中心
ザクII
基本兵器はザク・マシンガンだが、注目すべきはスモーク・ディスチャージャー。『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』第6話で使われた煙幕をモチーフにしたと思われるが、煙幕の展開中は何と無敵。ブーストゲージも回復するという高性能ぶり。敵を撃墜しなくても、撃墜「されにくい」性能は、制圧任務に向いている。
ガンダム・バルバトス
全12機いるモビルスーツの中で、唯一射撃兵器を装備していない、バリバリの近接タイプ。メイン兵器のメイス(薙ぎ払い)で敵を殴るとノックバックさせられるほか、メイス(叩きつけ)は敵の近くに振り下ろすだけでダメージを与え、スタンさせる効果がある。
特筆すべきはブーストジャンプ。前方に大きくジャンプしつつ敵を攻撃する技だが、技のクールダウン中に敵を撃破すると、クールダウンが一気に終了。敵弾を喰らわずに接近さえできれば、前線をかき乱す暴れん坊となる。
▲本作の中ではもっとも新しい作品から1機だけ登場することになった、ガンダム・バルバトス。射撃兵装なしの近接のみという漢らしさ
サザビー
ビーム・ショット・ライフルはショートレンジの近距離用。ただし、リーチの短さを補うのが索敵性能。前方にいる敵を探し出してくれるため、見つけた敵の位置をボイスチャットなどで仲間に伝えられれば有利になる。また、ファンネルは一定時間、自動で敵を攻撃してくるため、これも索敵の一種として使える。
▲自動車撃してくれるファンネルに加え、敵を探し出す索敵性能まで備えたサザビー。ただし、飛び道具の射程は短い
メタス
『機動戦士Zガンダム』劇中で百式のハイパー・メガ・ランチャーへエネルギーを供給したように、本作内では仲間のモビルスーツとエネルギーケーブルを接続。接続した仲間の攻撃力や防御力を一定時間UPさせるというバフをかけられる。それに加えて、少しでもHPが減ったモビルスーツがいたら、そのHPを回復させる「リペアケーブル」という技も備えているなど、チームのサポート役として1機はいてほしい存在。
当然のことながら攻撃性能は低く、HPも低いが、メタスはモビルアーマー形態へ変形する機能を備えている。このためリスポーンしてから前線へ復帰するまでのスピードが早いほか、離れた拠点へ駆けつけるのも得意。チーム内に上手いメタスがいるかどうかが、勝敗の鍵を握るような印象。
余談だが、モビルアーマー形態で飛行中のみ、TPS視点になる。
ジム・スナイパーII
遠距離射撃が得意な機体。スコープを覗いて、遠く離れた敵モビルスーツも狙い撃てる。自分のほか味方も利用できるジャンプ・ブースターというジャンプ台を設置し、空中からセンサー・バイザーを起動。この技を発動中は空中でのホバリング中が延長されるほか、空中でスコープを覗き込み、離れた敵を狙えるようになる。こちらは空中にいるため、敵から狙われづらいのが有利に働く。
中破した仲間を、少し離れた場所から修理してあげられるリカバリーガンも、地味に嬉しい技だ。
▲全12MS中、唯一スコープで遠距離を狙えるモビルスーツ。狙っている間に自分が狙われないよう、空中から狙い撃つのが強い
アッシマー
メタスと同じ可変モビルアーマーなので、メタスと同様の運用もできる。しかしメタスとの違いは、メタスが仲間のモビルスーツをサポートする技を備えているのに対して、アッシマーは敵を倒すための攻撃性能が秀でている。
大型ビーム・ライフルによる射撃はもちろんのこと、特筆すべきはパンチ。シンプルな名前だが、TV版『機動戦士Zガンダム』第14話「アムロ再び」で、百式に左ストレートを食らわせたアッシマーの活躍に注目した技だと思われる。パンチの技モーション中、正面からの射撃はすべて無効化するばかりか、触れた敵すべてにダメージとノックバック。クリーンヒットした相手はスタン効果も加わる。
メタスの後方支援では満足できない、ブラン・ブルタークばかりの暴れん坊プレイヤーにお勧め。
ドムトルーパー
HPもやや高く、初心者向けの機体。スクリーニングニンバスで正面からの射撃を無効化しつつ突進し、敵にガード不可のダメージを与える強引な突進攻撃を備える。これで敵陣に踏み込み、感知式吸着地雷を設置するのもドムトルーパーの役割。
スクリーニングニンバス発動時には、近くにいる味方の防御力と移動能力が一定時間向上。さらに、アーマーガンを使うと仲間にアーマーを付与できるなど、サポート機としての役割も持っている。
▲知名度が高い「黒い三連星」のドムではなく、「マチルダさんが眼帯をつけたような」ヒルダ・ハーケン(もとザフトの赤服)搭乗機のほう
∀ガンダム
∀ガンダムの特徴は、敵に向かって突進していき、敵に接触すると巴投げをするという「投げ技」を持っていること。投げた相手は大ダメージに加えてスタン効果を与えるため非常に強い技ではあるが、ガンダム・バルバトス以外すべてのモビルスーツが射撃武器を持っているこのゲームで、投げを狙えるチャンスは少ない。だが、それだけに使いたくなる技の筆頭だ。
もうひとつの特徴は、ナノスキンという自己再生能力。作中では、∀ガンダムの装甲はナノマシンの集合体であり、自己再生能力を持つという設定が反映されたもの。
ガンタンク
主兵装は両腕に装着しているボップ・ミサイルと、両肩に装備しているキャノン砲。ボップ・ミサイルは攻撃力は低いものの、なんと自動照準で複数の敵に向けて弾をばら撒く。微力ながら敵には着実にダメージを与えられるので最後の止めにも使えるし、食らった側はどこから撃たれたのかがわからず、とりあえず物陰に隠れるという行動を取るだろう。そこを仲間が狙いに行くなど、連携攻撃をしやすい。
キャノン砲は遠くまで届く範囲攻撃なので、チラリとでも敵が見えたら雑に射撃しておくといい。いつの間にか撃墜数が増えているはずだ。
マニアに嬉しい技は「コア・ファイター射出」。TV版21話「激闘は憎しみ深く」で、ガンタンクのパイロットであるリュウ・ホセイがガンタンクからコア・ファイターを分離させ、ガンダムを狙っていたマゼラトップへ体当たりしたエピソードが元ネタと思われる。
ジム
HPが低い上に連続ステップができず、ビーム・スプレーガンの射程も短いジムは、モビルスーツ同士の戦闘では不利になる。しかし、設置後に敵を自動追尾する地雷のホーミングマインや、起爆タイミングを調整できる起爆型爆弾といった設置型武器に秀でている。また、中破している仲間を中間距離から修理できるリペアグレネードなど、仲間をサポートする機能も備えている。
FPSのファンはもちろん、ガンダムファンがFPSデビューするのにも適した作品
本作の操作は一般的なPC用FPSと共通しており、マウスで視点変更とエイムを行い、キーボードのWASDで移動、ジャンプはスペースキーで行うため、PCのFPSゲーマーはすんなり遊べるはず。
一方でFPSは未経験のプレイヤーからすると敷居が高いジャンルのゲームだ。だが『ガンダム』好きなら、自分の推しのモビルスーツを使って活躍したいと思うはず。
一人ひとりの実力ではなく、モビルスーツごとの性能を活かしたトータルな試合運びができれば、大番狂わせもあり得る。それがこの『GUNDAM EVOLUTION』の特徴だ。
▲立体的なマップを利用し、敵の死角から射撃。反撃されたら前後ではなく、左右に避ける。これがFPS初歩の初歩だ
©︎創通・サンライズ
©創通・サンライズ・MBS
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- 『モンハンワイルズ』公認モニター「MPG 321URX QD-OLED」レビュー…4K対応の31.5インチQD-OLEDで体験する、進化した狩猟生活
- 提供:エムエスアイコンピュータージャパン 全世界で累計販売本数1億本を突破する人気ハンティングアクション「モンスターハンター」のシリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』が、2025年2月28日(金)にいよいよ発売を迎えようとしている。本作はアクションゲームとしての進化のみならず、ドラマチックなストーリー展開とゲームプレイがシームレスにつながる、途切れることのない没入感を体験できる。 そんな本作を最大限楽しむため、PCやゲーム機を新調したユーザーも多いと察するが、まずはモニターを刷新してみるのはいかがだろうか。今回は、美しく描かれた『モンスターハンターワイルズ』の世界へより没入するために、その魅力を引き出してくれる同作の公認画質の認証を受けたMSIのゲーミングモニター「MPG 321URX QD-OLED」を紹介する。 ◆アクション、ストーリー、世界観など全てがパワーアップした『モンスターハンターワイルズ』 まず、『モンスターハンターワイルズ』について軽く触れておこう。本作は『モンスターハンター』シリーズの最新作であり、PlayStation®5 / Xbox Series X|S / Steam® でプレイ可能だ。 飢えた肉食モンスターが群れて争う過酷な「荒廃期」と、「異常気象」を経て迎える豊かな生命が溢れる「豊穣期」という二面性を持った広大なフィールドでは、生物たちがまるでそれぞれの意思を持っているように行動する。採掘では鉱石のかけらがパラパラと落ちたり、モンスターの骸が時間を経て骨塚に変化したりと、その表現はマシンスペックの向上に伴い大きく進化した。 メインモンスターとなる「アルシュベルド」や、オープンベータテストでたくさん狩猟されたであろう「ドシャグマ」など、個性豊かな新規モンスターはもちろん、久々の登場となるイャンクックやゲリョス、ババコンガといった懐かしいモンスターたちも復活する。新たな表現で彼らのどんな生態が描かれるのか、楽しみにしたいところだ。 また、シームレスに紡がれ、まるで海外ドラマのようにやめどきを失うストーリーやその世界観にも注目だ。 本稿で紹介するMPG 321URX QD-OLEDは、そんな『モンスターハンターワイルズ』を最大限楽しめる公認画質の認証を受けている。詳しくみていこう。 ※イメージです。 ◆31.5インチ4Kで美しくも厳しい世界をあますことなく MPG 321URX QD-OLEDの大きな特徴は、量子ドットと有機ELを組み合わせた最新世代の31.5インチ4KQD-OLEDパネルだ。色純度の高い鮮明な画像やディテール、より鮮明なテキストを表示する量子ドットと、色の切り替えが超高速で残像を感じない有機ELが融合し、次世代の映像美を楽しむことができる。とりわけ黒色の美しさが特徴的だ。コントラスト比も高いので、暗部の色の違いもしっかり見て取れる。有機ELは色の切り替えが高速であるため、アクションゲームという側面からみても有益だろう 実際に目にすると明らかに“美麗”という言葉が相応しく、色彩豊かでメリハリのある『モンスターハンターワイルズ』のデザインにピッタリだ。発色が良く色域も広いため、水や溶岩といった流動的な映像や、自然光や霧などの細かいエフェクトなども綺麗に感じ取ることができる。 ※イメージです。 また、解像度は4K UHD(3,840 × 2,160)に対応する。4Kで高いグラフィック設定にするにはそれ相応のスペックが要求されるが(推奨スペックはオープンベータテストから変更される予定であり、詳しい内容は今後の発表を待たれたい)、その分画面の情報量が増えたかのような感覚で、より世界を楽しめる。そのほか、PCでの使用時は表示できるコンテンツの数が多くなるなど、ゲーム以外でもメリットがある(※) そのほか、モニターがどれほど鮮明に見えるかを評価する指標「ClearMR」では、最高ランクの13000を取得している(2025年1月時点)。グラフィックの透明感すら感じるほどで、他モニターと比べ、画質が水々しく潤いを感じるほどに立体感を覚える。とりわけオトモアイルーやハンターの装備品など、細かなディテールが立体感をもってハッキリと表現されているというわけだ。 ※「モンスターハンターワイルズ」のパフォーマンスや動作環境ついて、詳しくは公式サイトをご覧ください。 https://www.monsterhunter.com/wilds/ja-jp/product/ ※イメージです。 さらにDisplayHDR True Black 400にも対応。HDRとは明暗のダイナミックレンジを拡大し、より鮮明な映像を表現する技術であり『モンスターハンターワイルズ』もこれに対応している。発色がより強くなるも違和感のない範囲内でより美しい映像を実現しているので、映画やゲームなど対応コンテンツをより美しく楽しめるだろう。 ◆応答速度0.03ms(GTG)に対応、ヌルヌルのアクション体験を 240Hzの高リフレッシュレートにも対応する。リフレッシュレートとは簡単に述べると、1秒間にどれほどの枚数の画像を描画し、如何になめらかな映像になるかというものだが、一般的なモニターが60Hzなのに対してMPG 321URX QD-OLEDは240Hzと非常に高い。よりヌルヌルのハンティングアクションを楽しめるというわけだ。また、応答速度もGTGで0.03msと非常に高速。遅延など一切感じることなくプレイできる。アクションに限らず、さまざまなジャンルのゲームでその性能は活きてくるだろう。 ◆カスタム可能なソフトウェア「Gaming Intelligence」で楽々設定 MPG 321URX QD-OLEDの画面の色の傾向としては、全体的に赤みが強く、青についてもやや緑色なトーンで、全体的には暖かみのある発色だ。彩度やコントラストも高く、発色の良いモニターではあるが、ユーザーによっては好みがあるかもしれない。そこで役に立つのがモニターの輝度やコントラストなどを変更する機能だ。 また、アンチフリッカー、ナイトビジョン、AIビジョン、PIP/PBP、Adaptive-Syncといった機能も搭載する。 一般的にこの機能は背面のボタンから呼び出すOSD(オンスクリーンディスプレイ)から設定することができ、MPG 321URX QD-OLEDも例に漏れず設定可能だ。しかし、もうひとつのオプションとしてソフトウェア「Gaming Intelligence」でPC上から直接設定をすることができる。機能のオンオフや画面設定を快適にできるだけでなく、マクロキーの設定やボタン割り当てなどの便利機能にも対応するため、忘れずにインストールしておきたい。 ◆「MSI OLED Care 2.0」で有機ELの懸念を払拭! 有機ELモニターの最大の懸念点である焼き付きについても、MSIは「MSI OLED Care 2.0」という総合的なメンテナンス機能で解決している。焼き付きは、静止画が長時間同じ位置に表示されることで発生する問題で、一度発生すると修復が困難だ。そうなる前にさまざまな対策を講じようというもの。 例えば、画面のピクセルを定期的に微細に移動させ、同じ位置での表示を避ける「ピクセルシフト(移動速度は低速・標準・高速から選択可能)」や、「短時間」(4時間ごと)と「長時間」(16時間ごと)の2種類のリフレッシュ機能である「パネルプロテクト」(モニターがスタンバイ状態になった際に自動実行され、約20分かけてパネルの状態を最適化する)。画面上の静止画を検出し、自動的に輝度を下げる静止画検出といった多彩な機能を搭載している。 また、有機ELのもう一つの課題である発熱に関しても、熱伝導率の高いグラフェンフィルムと専用設計のヒートシンクを採用し、ファンレス設計で対応している。ほんのりあたたかさを感じるが、長時間使用しても熱くならない。さらに、国内3年保証にも対応する。万が一のことがあった際にも安心だ。 ◆高性能だけでなく高機能、USB充電やハブ、盛りだくさんの便利機能 MPG 321URX QD-OLEDの型番に含まれるMPGとは、MSIのゲーミングモニターにおけるハイエンドモデルであることを示し、高い性能と豪華な機能を持ち合わせている。 ここまで述べてきた機能だけでなく、例えばUSB Type-CでDP Alt mode、USB PD(90W)にも対応する。映像入力も簡単なうえ、充電までできてしまう。USBハブ機能も搭載するので、ゲーミングデバイスやコントローラーをつなぐのにもピッタリだ。また、複数のPCで同じデバイスを共有できる機能「KVMスイッチ」にも対応する。ゲーミングPCでガッツリ『モンスターハンターワイルズ』を楽しみつつ、仕事用には別のPCで…というユーザーにも便利だろう。 また、組み立てにも気を遣われている。足周りは手回しネジをしめるだけで固定可能なうえ、ディスプレイ部と首もワンタッチで装着可能だ。ドライバーも用意する必要はない。なお、付属のスペーサーネジでVESA100にも対応する。モニターアームでの運用も可能だ。 ここまで述べてきた通り。MPG 321URX QD-OLEDは、量子ドットと有機ELを組み合わせた美麗なディスプレイと、高いゲーム性能を持ったモニターである。美しくも過酷な世界を描く『モンスターハンター』シリーズの進化と、シームレスに紡がれるストーリーと狩猟体験をあますことなく楽しむなら、有力な選択肢になるだろう。 2月7日(金)から実施を予定している第二回オープンベータテストや、2月28日(金)の狩猟解禁に向けて、新たなモニターを検討しているハンター諸君には、是非選択肢のひとつとして欲しい。MPG 321URX QD-OLEDの価格は217,800円前後で、MSIオンラインショップをはじめ、ECサイトなどで発売中だ。 モンスターハンターワイルズ:公式サイト https://www.monsterhunter.com/wilds/ja-jp/ MPG 321URX QD-OLED:公式サイト https://jp.msi.com/Monitor/MPG-321URX-QD-OLED ©CAPCOM
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- MSIの27インチ湾曲ゲーミングモニター「MPG 275CQRXF」レビュー! ゲームに最適な240Hz駆動とビジネス機能を兼ね備えた万能モデル
- 提供:エムエスアイコンピュータージャパン ゲーミングモニター選びで悩むポイントの一つが画面サイズだ。大きすぎると視野角が広くなりすぎて競技に不利になり、小さすぎると没入感が失われる。MSIの新製品「MPG 275CQRXF」は27インチという扱いやすいサイズながら、高性能と実用的な機能を両立した注目モデルである。結論から言えば、高性能なゲーミング性能を求めるワンランクうえのモデルを求めるゲーマーや、ビジネスでの活用も考えているユーザーにおすすめの一台だ。 ◆WQHDパネルがもたらす没入感と視認性の向上 「MPG 275CQRXF」の特徴は、27インチWQHD(2,560×1,440)解像度の湾曲VAパネルを採用している点だ。フルHD(1,920×1,080)と4K(3,840×2,160)の中間に位置するWQHDは、デスクトップでの作業効率を高めながら、ゲームでも十分な描画性能を発揮できる絶妙な解像度と言える。 実際にFPSゲームをプレイすると、その恩恵は顕著だ。27インチの画面サイズは敵の視認性を損なわず、かつWQHDの高精細さにより、より正確な照準合わせが可能になる。画面の端まで鮮明な描写により、広い視野での状況把握も容易になった。さらに、PS5やXbox Series X|Sなどの現行ゲーム機でも1,440p/120Hz出力に対応しており、コンソールゲーマーにとっても魅力的な選択肢となっている。 湾曲パネルの採用も、本機の大きな特徴の一つだ。適度な曲率により、画面の端までの視線移動が自然で、長時間のゲームプレイでも目の疲れを軽減できる。また、よりリアルな没入感を得られることで、レースゲームやアクションRPGなどの臨場感も大きく向上する。FPSをはじめとするeスポーツの観戦でも没入感が増すのでオススメしたい。 ◆240Hz駆動で競技シーンにも対応 本機は240Hzの高リフレッシュレートと0.5msの応答速度を実現。これは競技シーンでも十分通用するスペックだ。高速で動く対象を追跡する際も、滑らかな動きで違和感なくプレイできる。RAPID VAパネルの高速応答性能により、残像感も抑えられている。 実際に『VALORANT』や『Apex Legends』などの人気FPSタイトルをプレイしてみたが、240Hzならではの滑らかな描写により、エイム時の追従性が格段に向上。また、動きの速い敵プレイヤーの動きも鮮明に捉えられ、より正確な照準合わせが可能になった。 ◆ビジネスユースも視野に入れた充実の機能群 「MPG 275CQRXF」の特筆すべき点は、ゲーミング性能だけでなく、ビジネスでの使用も考慮した機能を搭載している点だ。98Wの給電に対応したUSB Type-Cポートは、スマートフォンのみならずものによってはノートPCの充電まで可能で、配線もすっきりとまとめられる。さらにKVM機能により、ノートPCとデスクトップPCの切り替えもスムーズだ。ゲーム用と仕事用でPCを使い分けているユーザーにとっては嬉しい機能だろう。 ユーティリティソフト「Gaming Intelligence」では各種設定をPC上から操作することが可能。設定管理も秀逸で、あらかじめプロファイルを設定しておけば、ゲームの種類に応じて最適な表示設定を自動で調整してくれる。 また、画面分割機能やPIP/PBP機能により、作業効率を大きく向上させることができる。 モニター本体の操作性も優れており、ジョイスティック式の操作ボタンにより、直感的な操作が可能。OSDメニューのレスポンスも良好で、ストレスなく各種設定の変更が行える。 アンチフリッカーやブルーライトカット機能により、長時間の作業でも目の疲れを軽減。ゲームプレイはもちろん、ビジネスシーンでの長時間利用も快適だ。また、スタンドは高さ調整、スイベル、チルト調整に対応しており、最適な視聴位置に調整可能。VESAマウントにも対応しているため、モニターアームへの載せ替えも可能だ。 ◆画質と色再現性も充実 VAパネルの特徴である高コントラストにより、深みのある黒表現と鮮やかな色彩を実現。また、HDR対応により、対応コンテンツではより豊かな色彩表現も楽しめる。工場出荷時の色調整も良好で、特に調整せずとも自然な色味で使用できる点も好印象だ。 ―――――― ここまで述べてきた通り、「MPG 275CQRXF」は、ハイエンドなゲーミング性能とビジネス機能を両立したバランスの取れたモニターだ。27インチWQHDという扱いやすいサイズながら、240Hzの高リフレッシュレート、湾曲ディスプレイ、USB-C給電、KVM機能など、必要十分な機能が詰め込まれている。 価格はやや高めだが、その分の価値は十分にある。大画面でゲームを楽しみたいユーザー、競技性の高いFPSを楽しみたいユーザー、そしてゲーミングとビジネスの両立を求めるユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。27インチクラスのゲーミングモニターとして、まさに「ちょうど良い」アップグレード先と言える一台だ。 MPG 275CQRXF製品ページ https://jp.msi.com/Monitor/MPG-275CQRXF