去る8月8日と9日の2日間に渡ってPC版『GUNDAM EVOLUTION』のクローズドベータテスト(以下CBT)が実施された。本記事では、CBTで体験した内容をレポートしていくとしよう。なお、以下の内容はあくまでベータテストでの内容であり、製品版では変更される可能性があることをあらかじめご了承いただきたい。
▲オープニングデモのワンシーン。ガンダムの振り向き射撃は、エルメスのビットを撃ち落としたあの時のポーズに似ている
このゲームは『機動戦士ガンダム』シリーズに登場するモビルスーツを操って戦う、6対6のチーム戦FPSだ。
今回のベータテストで使用可能なモビルスーツは、さまざまな『ガンダム』に登場する機体の中から、かなりマニアックなセレクトで選ばれた12種類。
『機動戦士ガンダム』からはガンダムとガンタンク、ジムとザクIIという4種。
『機動戦士Zガンダム』からはメタスとアッシマー(どちらも可変MA)。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』からはサザビー。
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』からはジムスナイパーII。
『∀ガンダム』からは∀ガンダム。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』からはドムトルーパー。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』からはガンダム・バルバトス。
そして『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』からはペイルライダー。
各シリーズの主役級モビルスーツではなく、いぶし銀的なセレクトになっているところから、このゲームは一味違うと感じさせてくれた。
チーム内で使用するMSの重複は許されない
ただし、これら12機のモビルスーツは、誰もが自由に選べるというわけではない。なんと、自分を含めて6人いるチームの中で、使うモビルスーツの重複は許されないという縛りがある。
その代わり、味方も敵も連邦やジオンといった所属「軍」という考え方はなく、どちらか6人が「アースノイド」。敵対する6人が「スペースノイド」というチーム分けになる。
▲モビルスーツ選択画面。∀ガンダムとドムトルーパー、メタスとジムスナイパーIIのアイコンはグレーアウトし、中央に黄色い「レ」点が描かれている。これは、仲間の誰かがすでに選択済みという証拠
これら12機のモビルスーツは、それぞれ装備している武器が異なるばかりか、HP量や連続ステップ可能回数など、かなり性能差が付けられている。コストのような概念がないこのゲームにおいては、ガンタンクも∀ガンダムも等価値という考え方だ。
▲ペイルライダーの性能。難易度は2で、得意レンジ(距離)は中距離。HP量は1000で、ステップ性能(連続ステップ可能数)が2というのは平均的な性能。メイン兵器はブルパップ・マシンガンで、中距離から堅実にダメージを与えるのが役割
そうなると「だったら、自分は強い(と思う)ガンダムを選びたい」などと考えるのが当然だろうが、なぜ重複選択を許さなかったかといえば、それはこのゲームが6対6のチーム戦だからだ。
勝敗を決めるルールは3種類。ルールごとに戦略は変化する
正式リリース時には任意に選べるようになっているかもしれないが、CBT時点では「カジュアルマッチ」という自動マッチングしか選べなかったため、マップごとに変化する3種類のルールもランダムで選出されていた。ルールの種類は「ポイントキャプチャー」「ドミネーション」「デストラクション」の3つ。
ポイントキャプチャー
試合開始時、スペースノイドとアースノイドのどちらかが攻撃側で、もう片方が防衛側となる。1試合を終えた後は攻守が交代し、2ラウンドの合計点数で勝敗が決まる。
攻撃側はマップ上に示されている拠点へ接近し、エリア内に滞在している時間に応じて制圧ゲージが増えていく。ゲージが最大になると制圧が完了するが、防衛側は拠点内にいる敵機を破壊するのがベストな対応だが、防衛側がエリア内にいる間は「争奪中」扱いとなり、制圧ゲージが増えないというルール。
▲敵軍の目標エリア内に留まり、制圧をしているところ。中央上部にある水色のゲージがいっぱいになるまで留まることができれば制圧が完了する
ドミネーション
ルールとしては「ポイントキャプチャー」に近い拠点の制圧が目的だが、こちらは攻守に関係なく、両チームが同じ拠点を奪い合うルール。一定時間が経過すると第二、第三の拠点が制圧可能になり、制限時間内に多くの拠点を制圧したチームの勝ち。
拠点を制圧されないのは当然のことだが、第二、第三の拠点が制圧可能になると相手が防衛する拠点も増えるため、戦力が分散し、攻めやすくなる。しかし、これはまた自軍も戦力が分散しやすいというリスクの裏返しでもある。
デストラクション
デストラクションは「ポイントキャプチャー」と同じく、攻撃側と防衛側に分かれて2ラウンドの戦いを行う。攻撃側は2つある目標地点に接近し、破壊兵器を設置。設置された破壊兵器は設置と同様に目標地点の近くへ行き、破壊兵器の起動を阻止できるというもの。
攻撃側は目標地点に破壊兵器を設置したあと、防衛側のモビルスーツが破壊兵器へ近寄らないようにするのがポイントとなる。
▲攻撃側で、破壊兵器を敵軍の目標へ設置したところ。敵モビルスーツに解除されないように護衛するか、それとも隠れていて、破壊兵器を解除しに来た敵を背後から撃つかは、敵の行動次第
▲防衛側で、敵に設置された破壊兵器を解除しているところ。目標に密着して、画面中央にある「A」アイコンの周りにある水色ゲージが一周するまで待たないといけないので、解除作業中を狙われたら非常に危険だ
基本はFPSだが、勝敗を左右するのは戦略と戦術の両方
このゲームは、エースパイロットが10機連続で敵モビルスーツを撃破したとしても、拠点を制圧できなかったり、目標を破壊されてしまったりすると敗北となる。勝者はあくまで、ルール上の勝利条件を満たしたチームとなるからだ。
仮に自機が中破しても、周りにいる仲間が修理してくれれば再び動けるようになるし、大破した場合でも、数秒の待機時間を経てすぐに自軍の拠点へリスポーンするし、その際にモビルスーツを変更してもいい。このゲームにおいて撃破されたことはあくまで「一時的に前線から退く」だけで、大きなペナルティではない。
自機が撃破されたとしても相打ちで敵にダメージを与えたり、仲間が到着するまでのあいだ、少しでも制圧が遅くなるように時間稼ぎをしたりという作戦もあり得る。撃破数や敵への与ダメージ量が勝敗とは直接的には関係しないルールを採用したことで、エイムの腕前よりも、戦略や戦術といった作戦の比重が高いゲームになっている。
▲仲間が敵をひきつけているところに、少し離れたところから射撃。これも立派な作戦だ
作戦を遂行するために活かす、極端な12種類のモビルスーツ
今回のベータテストで登場した12機のモビルスーツは、どれも極端な性能を持っている。「どのモビルスーツが強いか」を議論するのではなく、どのモビルスーツをどんな用途で運用し、どのモビルスーツがどんなサポートを行うかの作戦こそが、勝敗の鍵を握る。ここではモビルスーツ選択画面の左から順に、それぞれの注目ポイントを説明しよう。
▲ガンタンクも、性能を上手く活かすことで強力なモビルスーツとして運用できる
ペイルライダー
「ハンド・グレネード」「EMPグレネード」という、まとまっている複数の敵を同時に攻撃できる武器を持っている。また、味方のHPを回復させる「リペアポッド」を設置できるので、味方が複数固まっている場所のサポートに向いている。
ガンダム
基本兵器はお馴染みのビーム・ライフル。しかし、それ以外の武器は、ファンならニヤリとさせられてしまうもの揃い。
TV版の第1話で、アムロの言葉でのみ登場した「スーパー・ナパーム」は、投げた後一定時間で爆発する爆弾。「ハイパー・ハンマー」は、劇中ではゴッグに受け止められてしまったガンダムハンマーの強化版。ゲーム内では敵に当てればガード不可のスタン効果で、床や壁に当たっても周囲に攻撃判定が発生するという、強力な近接武器。
不安な防御面は、ガンダム・シールドを構えて接近できるので、強引な攻め込みが期待できる。
▲原点にして頂点とも言うべき、初代ガンダム。兵装は「わかってる感」満載のマニア装備が中心
ザクII
基本兵器はザク・マシンガンだが、注目すべきはスモーク・ディスチャージャー。『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』第6話で使われた煙幕をモチーフにしたと思われるが、煙幕の展開中は何と無敵。ブーストゲージも回復するという高性能ぶり。敵を撃墜しなくても、撃墜「されにくい」性能は、制圧任務に向いている。
ガンダム・バルバトス
全12機いるモビルスーツの中で、唯一射撃兵器を装備していない、バリバリの近接タイプ。メイン兵器のメイス(薙ぎ払い)で敵を殴るとノックバックさせられるほか、メイス(叩きつけ)は敵の近くに振り下ろすだけでダメージを与え、スタンさせる効果がある。
特筆すべきはブーストジャンプ。前方に大きくジャンプしつつ敵を攻撃する技だが、技のクールダウン中に敵を撃破すると、クールダウンが一気に終了。敵弾を喰らわずに接近さえできれば、前線をかき乱す暴れん坊となる。
▲本作の中ではもっとも新しい作品から1機だけ登場することになった、ガンダム・バルバトス。射撃兵装なしの近接のみという漢らしさ
サザビー
ビーム・ショット・ライフルはショートレンジの近距離用。ただし、リーチの短さを補うのが索敵性能。前方にいる敵を探し出してくれるため、見つけた敵の位置をボイスチャットなどで仲間に伝えられれば有利になる。また、ファンネルは一定時間、自動で敵を攻撃してくるため、これも索敵の一種として使える。
▲自動車撃してくれるファンネルに加え、敵を探し出す索敵性能まで備えたサザビー。ただし、飛び道具の射程は短い
メタス
『機動戦士Zガンダム』劇中で百式のハイパー・メガ・ランチャーへエネルギーを供給したように、本作内では仲間のモビルスーツとエネルギーケーブルを接続。接続した仲間の攻撃力や防御力を一定時間UPさせるというバフをかけられる。それに加えて、少しでもHPが減ったモビルスーツがいたら、そのHPを回復させる「リペアケーブル」という技も備えているなど、チームのサポート役として1機はいてほしい存在。
当然のことながら攻撃性能は低く、HPも低いが、メタスはモビルアーマー形態へ変形する機能を備えている。このためリスポーンしてから前線へ復帰するまでのスピードが早いほか、離れた拠点へ駆けつけるのも得意。チーム内に上手いメタスがいるかどうかが、勝敗の鍵を握るような印象。
余談だが、モビルアーマー形態で飛行中のみ、TPS視点になる。
ジム・スナイパーII
遠距離射撃が得意な機体。スコープを覗いて、遠く離れた敵モビルスーツも狙い撃てる。自分のほか味方も利用できるジャンプ・ブースターというジャンプ台を設置し、空中からセンサー・バイザーを起動。この技を発動中は空中でのホバリング中が延長されるほか、空中でスコープを覗き込み、離れた敵を狙えるようになる。こちらは空中にいるため、敵から狙われづらいのが有利に働く。
中破した仲間を、少し離れた場所から修理してあげられるリカバリーガンも、地味に嬉しい技だ。
▲全12MS中、唯一スコープで遠距離を狙えるモビルスーツ。狙っている間に自分が狙われないよう、空中から狙い撃つのが強い
アッシマー
メタスと同じ可変モビルアーマーなので、メタスと同様の運用もできる。しかしメタスとの違いは、メタスが仲間のモビルスーツをサポートする技を備えているのに対して、アッシマーは敵を倒すための攻撃性能が秀でている。
大型ビーム・ライフルによる射撃はもちろんのこと、特筆すべきはパンチ。シンプルな名前だが、TV版『機動戦士Zガンダム』第14話「アムロ再び」で、百式に左ストレートを食らわせたアッシマーの活躍に注目した技だと思われる。パンチの技モーション中、正面からの射撃はすべて無効化するばかりか、触れた敵すべてにダメージとノックバック。クリーンヒットした相手はスタン効果も加わる。
メタスの後方支援では満足できない、ブラン・ブルタークばかりの暴れん坊プレイヤーにお勧め。
ドムトルーパー
HPもやや高く、初心者向けの機体。スクリーニングニンバスで正面からの射撃を無効化しつつ突進し、敵にガード不可のダメージを与える強引な突進攻撃を備える。これで敵陣に踏み込み、感知式吸着地雷を設置するのもドムトルーパーの役割。
スクリーニングニンバス発動時には、近くにいる味方の防御力と移動能力が一定時間向上。さらに、アーマーガンを使うと仲間にアーマーを付与できるなど、サポート機としての役割も持っている。
▲知名度が高い「黒い三連星」のドムではなく、「マチルダさんが眼帯をつけたような」ヒルダ・ハーケン(もとザフトの赤服)搭乗機のほう
∀ガンダム
∀ガンダムの特徴は、敵に向かって突進していき、敵に接触すると巴投げをするという「投げ技」を持っていること。投げた相手は大ダメージに加えてスタン効果を与えるため非常に強い技ではあるが、ガンダム・バルバトス以外すべてのモビルスーツが射撃武器を持っているこのゲームで、投げを狙えるチャンスは少ない。だが、それだけに使いたくなる技の筆頭だ。
もうひとつの特徴は、ナノスキンという自己再生能力。作中では、∀ガンダムの装甲はナノマシンの集合体であり、自己再生能力を持つという設定が反映されたもの。
ガンタンク
主兵装は両腕に装着しているボップ・ミサイルと、両肩に装備しているキャノン砲。ボップ・ミサイルは攻撃力は低いものの、なんと自動照準で複数の敵に向けて弾をばら撒く。微力ながら敵には着実にダメージを与えられるので最後の止めにも使えるし、食らった側はどこから撃たれたのかがわからず、とりあえず物陰に隠れるという行動を取るだろう。そこを仲間が狙いに行くなど、連携攻撃をしやすい。
キャノン砲は遠くまで届く範囲攻撃なので、チラリとでも敵が見えたら雑に射撃しておくといい。いつの間にか撃墜数が増えているはずだ。
マニアに嬉しい技は「コア・ファイター射出」。TV版21話「激闘は憎しみ深く」で、ガンタンクのパイロットであるリュウ・ホセイがガンタンクからコア・ファイターを分離させ、ガンダムを狙っていたマゼラトップへ体当たりしたエピソードが元ネタと思われる。
ジム
HPが低い上に連続ステップができず、ビーム・スプレーガンの射程も短いジムは、モビルスーツ同士の戦闘では不利になる。しかし、設置後に敵を自動追尾する地雷のホーミングマインや、起爆タイミングを調整できる起爆型爆弾といった設置型武器に秀でている。また、中破している仲間を中間距離から修理できるリペアグレネードなど、仲間をサポートする機能も備えている。
FPSのファンはもちろん、ガンダムファンがFPSデビューするのにも適した作品
本作の操作は一般的なPC用FPSと共通しており、マウスで視点変更とエイムを行い、キーボードのWASDで移動、ジャンプはスペースキーで行うため、PCのFPSゲーマーはすんなり遊べるはず。
一方でFPSは未経験のプレイヤーからすると敷居が高いジャンルのゲームだ。だが『ガンダム』好きなら、自分の推しのモビルスーツを使って活躍したいと思うはず。
一人ひとりの実力ではなく、モビルスーツごとの性能を活かしたトータルな試合運びができれば、大番狂わせもあり得る。それがこの『GUNDAM EVOLUTION』の特徴だ。
▲立体的なマップを利用し、敵の死角から射撃。反撃されたら前後ではなく、左右に避ける。これがFPS初歩の初歩だ
©︎創通・サンライズ
©創通・サンライズ・MBS
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- 魅せるデザインが◎—ガラスパネルでメンテナンスもしやすいMSIのハイエンドゲーミングPCの使用感をLully選手が深掘り!
- 提供:エムエスアイコンピュータージャパン PCパーツメーカーでおなじみのMSIは、いわゆるゲーミングPCといった既製品だけでなく、マザーボードやビデオカード、PCケースなどさまざまなパーツも個別で展開している。 今回は、そんなMSIのパーツで構成されたハイエンドゲーミングPCの使用感を、GHS ProfessionalのApex Legends部門に所属しているLully選手のインプレッションとともにお届けしよう。 ▲Lully選手。FPS歴14年のプロプレーヤー。元々は『コール オブ デューティ』シリーズで活躍していたが、現在は『Apex Legends』に舞台を移し、eスポーツチーム「GHS Professional」で活動中 プロ選手をも唸る圧倒的存在感とポテンシャル まずは今回紹介するPCのスペックを紹介しよう。 CPU:AMD Ryzen7 7950X3D マザーボード:MAG X670E TOMAHAWK WIFI メモリー:CP24G60C48U5 24GB x2 水冷クーラー:MAG CORELIQUID E240 ビデオカード:GeForce RTX4070Ti GAMING X TRIO 12G 電源:MPG A850G PCIE5 ケース:MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW CPUはゲームに特化したAMDのRyzen7 7950X3Dを採用。CPUとメモリ以外はMSI製でそろえたハイエンドモデルとなっている。スペックを見たLully選手が「あー、最強ね!」と、プロをも納得させるパーツ構成になっている。 また、「特に気に入っているのは、見た目のかっこよさです。今までPCの見た目にはこだわりを持っていましたが、トップレベルでかっこいいと思いました」とLully選手。性能面だけでなくデザイン面も高く評価している。 ▲サイドはガラスパネルを採用。ファンや水冷キットなど、LEDが光り輝くすっきりとしたデザインが印象的だ また全方位対応のグラフィックスカードホルダーも必見。昨今のビデオカードは高性能が故に重量も増加傾向に。そんなビデオカード傾き問題を解決してくれるのが、グラフィックスカードホルダーだ。 ▲ビデオカードを支える棚的な役割を持つグラフィックスカードホルダー。スライド式になっているため、ビデオカードの種類を問わず使用できるのが魅力。実はこれ特許取得のギミックなのだとか さらに付属のモジュール式PCIEブラケットと別売のライザーケーブルを使用すれば、ビデオカードを縦置きにすることもできる。 ▲ビデオカードを縦置きにする際に使用するモジュール式PCIEブラケットは背面の2カ所の手締めネジで簡単に換装できる 縦置きしやすいスペースが確保されていたり、モジュール式PCIEブラケットでケーブルの取り回しもしやすかったりしている。ただしビデオカードの縦置きは非常に難易度が高いため、自作PCの組み立てになれている人向け。 また今回使用している「MPG GUNGNIR 300R AIRFLOW」は、裏面配線がしやすいケースでもあるので、ガラスパネル越しに見える内部は非常にスッキリしている。また、裏面には3.5インチHDDを収納できるスペースが確保されているので、動画やゲームデータといった大容量のファイルを別ストレージで保存しておきたい人は活用するといいだろう。 ▲裏面下部にスライド式のHDDケージがある。ここには3.5インチのHDDを2基、また背面部分には2.5インチのSSDやHDDを収納できるスペースが4カ所あるため、拡張性もバッチリ Apex Legendsで240fps張り付き!ゲーミングモニターの性能を遺憾なく発揮! ビデオカードはGeForce RTX4070Ti GAMING X TRIO 12Gを採用。オリジナルクーラーの3連ファンは静音性が高くビデオカードの性能を最大限に発揮できるのが魅力だ。 自宅で240Hz+FHD(1980×1080)のモニターを使用しているLully選手も、「Apex Legendsをプレーしていていも240fps張り付きなので快適にプレーできた」とコメント。FPSタイトルの中でも、割に高負荷なタイトルでもある『Apex Legends』でも十分にパフォーマンスが出せていることが確認できた。 ▲FHD環境なら『Apex Legends』でも240fpsを確認。『VALORANT』ならば600fps以上出せるので、360Hzや540Hzといった超高リフレッシュレートモニターのポテンシャルも最大限に発揮できるはずだ また、特筆すべきは静音性。CPUは水冷クーラーを採用していることもあり、高負荷時でもファンの音はそこまで気にならない。音楽や映画を再生しているときなど負荷が低い時は、GPUのファンは回転しないため、ほぼ無音といってもいいくらい静かなのもうれしいポイントだ。 ▲ケース内にはフロント3基、リア1基、CPU水冷クーラー用にトップ2基の合計6基のファンが内蔵されている。またフロントやトップ部分はメッシュ加工がされているため、通気性が良く発熱効率が非常に高い ▲トップのメッシュ部分はマグネット式になっているので簡単に取り外すことができる。メンテナンスのしやすさも初心者におすすめのポイント 一方で、高負荷のタイトルの4K画質になるとやや力不足に感じる場面も。3Dゲームを最高画質で楽しみたいのであれば、ビデオカードを4080、4090シリーズに換装するのも手だ。ビデオカードを簡単に交換できるのも、パーツ買いできるデスクトップPCならではの魅力といえる。 ドライバーを一括管理できるMSI Centerが優秀 自作PCで面倒な部分は、各パーツのドライバーのインストールやアップデートだ。昨今ではWindowsのOS側でインストールしてくれるようにはなってきているが、そうでない場合は各メーカーのサイトからパーツにあったドライバーを探してインストールするといった作業を強いられる。 今回のようにパーツを1メーカーで統一することで、専用アプリを使ってドライバーを一括インストール+アップデートできるようになる。MSI製の場合は、MSI Centerというアプリを使用することで、さまざまな項目を管理できるようになる。 ▲MSI Center起動画面。画面上部のサポートから、Live Updateを選択すれば、各パーツのドライバーをスキャンして最新版を一括でインストールできる ▲Hardware Monitoringは、CPUやGPUのクロック数やファンの回転数、温度などさまざまな項目が監視できる ▲Mystic Lightは、各種パーツのLEDのライティングを設定できる。パーツごと別々に設定したり、各パーツを連動させるように一括で設定したりできる。自分好みにカスタマイズして自分だけのライティングを楽しもう ゲームだけでなく配信でも真価を発揮するMSIのハイエンドゲーミングPC。「ゲームをしながら配信をしていても、ゲームが重くなったり配信が途切れたりすることもありませんでした。デュアルモニター環境でもカクつくことなくプレーできるのはうれしい。クリップなど動画編集もサクサクで快適だった」と Lully選手。今後は複数のサイトでの配信や長時間の配信もしてみたいと語っていた。 ▲ゲームプレイしながらの配信にも全くストレスがない 今回紹介したPCで採用されているケースは、ブラックのほかにホワイトカラーもあり、価格帯は2万円台とハイエンドなPCケースの中ではお手軽価格となっている。 今回は紹介していないが、ビデオカードを縦置きする際に空気の流れを良くするための追加ファン装着用のパーツが付属しているなど、かゆいところに手が届く機能が満載なので、これから自作PCを作ってみたいという初心者はもちろん、今のケースから乗り換えたいという自作PCユーザーにもおすすめしたい。
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- MSIの34インチ湾曲モニター「MAG 345CQR」で知るその利便性をチェック! ウルトラワイドモニターがもたらす恩恵はゲームだけではない!!
- 提供:エムエスアイコンピュータージャパン 一般的なモニターよりも横幅が広い「ウルトラワイドモニター」は、レースゲームやシューティングゲームなど、没入感の高まりがゲームの楽しさを増幅させるタイトルに向くとされている。実際にそれは間違いないが、一方でテレワークなどのビジネスユースでもその真価を発揮してくれる。普段のモニターとして、ゲーム用途として、二つの使い方で便利なものであるというわけだ。 本稿では、MSIの34インチ湾曲モニター「MAG 345CQR」を実際に筆者が使ってみたインプレッションをお届けする。 没入感高まる湾曲ウルトラワイドモニター 34インチでUWQHD(3,440 × 1,440)のMAG 345CQRは、横幅約798 × 奥行き333 × 高さ519(mm)であり、足周りを含めても一般的なモニターと比較して(当然だが)かなり大きいサイズ感となる。導入する際には自身の環境に合っているかどうか確認してほしい。 また、画面サイズが広いため目とモニターの距離は一般的なモニターよりもやや広くとる必要がある。ゲームをするときにはちょっと近づけたいな……というユーザーもいると思われるが、付属のスペーサーネジによってVESA(100)規格に対応するため、モニターアームを導入するというのも手だ。 前面はシンプルなデザインだが、背面にはLEDライトと首の部分に赤いワンポイントがあり、ゲーミングらしさも兼ね備えている(消すことも可能)。ボタン類は右下の電源ボタンと、左下背面にあるジョイスティックの2つがあり、ジョイスティックでは上下左右と押し込みで後述の機能の設定などが可能だ。 アスペクト比は21:9で、湾曲率1000Rのパネルが採用されている。この数値は人間の視野とほぼ同等の湾曲率であるそうで、視界がちょうどよくモニターに支配されるイメージとなっており、自然な没入感が得られる。とくにレーシングゲームなどでは表示領域が広くなることで、サイドミラーに自然に目をやることで後方を確認など、その恩恵は大きい。また、横に広いウルトラワイドモニターでも画面の左右端がみやすい効果もある。映画やドラマなどの視聴にも適している。 なお、21:9へ対応しているゲームタイトルは限られるので、事前に確認していく必要があるほか、家庭用ゲーム機では原則として対応していないので注意してほしい。 端子類はHDMI 2.0b ×2、DisplayPort 1.4a ×1、ヘッドホン出力 ×1であり、複数のPCをついだり、家庭用ゲーム機を繋いだりする場合にも(アスペクト比は通常の16:9となる)便利だ。 また、リフレッシュレートが180Hz(DP接続時)と高いものになっている。これは1秒間に描画する画像の枚数のようなものを示す数値であり、この値が大きいほど映像がよりヌルヌルと動く。FPSなどのジャンルでは敵の動きをより鮮明にとらえることができるため重宝されるほか、一度高いリフレッシュレートに慣れてしまうともう後戻りできないほどだ。シューティングゲームをより快適にプレイできる。 ウルトラワイドモニターならではの情報量 ウルトラワイドモニターの利便性についてはゲームにおける没入感だけでなく、普段使いでも強く感じることができる。言ってしまえば画面を横に並べるマルチモニターを1枚で実現しているようなものなので、作業効率に与える影響は大きい。 例えば、ブラウザを参照しながらテキスト入力をしたい際などはそれぞれのウィンドウを大きなサイズで横並びにしても、ひとつひとつが窮屈にならずに快適にそれぞれのウィンドウをしっかりと視認することができる。Web会議中に相手の顔をみつつ資料を広々と参照したり、 Windows11ではウィンドウを画面上部に持って行くことで画面分割をスムーズに行うスナップ機能も強化されているため、より活用しやすいだろう。 また、シンプルに高い解像度(3,440 × 1,440)がより多くの情報を表示してくれるため、クリエイティブ作業でも有用だ。フルスクリーンでは冗談かと思うほど大量のファイルを表示することが可能で、膨大な数からお目当てのものが見つけやすい。 そのほか、たくさんのゲーマーを支援する機能も搭載している。残像間を抑えるアンチモーションブラー、チラつきを防止するアンチフリッカー、画面のズレやかくつきを抑えるFreeSync Premiumなど、映像をより快適に楽しめる機能のほか、暗い場所の視認性を向上させるナイトビジョンや、映像のシーンに合わせてコントラスト・明るさ・彩度を自動で調整してくれる「AIビジョン」、さらにはブルーライトカット機能まで搭載している。 ここまで述べてきた通り、ゲーミングウルトラワイドモニターはゲームへの没入感を高めるだけでなく、ビジネスユースなどの普段使いにも適しているモニターと言える。 なかでもMAG 345CQRは、高いリフレッシュレートやゲーマーを支援する機能を搭載することで基本的なスペックが高く、2つの用途で利便性をしっかりと与えてくれる。もしゲームをしっかり楽しみつつ作業効率をあげたいモニターを探しているのなら、有力な選択肢のひとつとなるだろう。 G274QPF E2製品ページ ゲーミングモニター:MAG 345CQR https://jp.msi.com/Monitor/MAG-345CQR