eスポーツの普及と関連産業の進行を目的としたイベント「東京eスポーツフェスタ2023」。2023年1月27日(金)〜29日(日)の3日間、東京ビッグサイトで開催される。
11月16日に行われたそのPRプレイベントは、お笑いコンビ・見取り図の公式アンバサダー就任発表などの第1部と、「eスポーツ×教育」「eスポーツビジネスの可能性と課題」と題した第2部の2部構成となっていた。今回は、その第2部の内容をお届けしたい。
プレゼンテーションのひとつ目を報告したのは、朋優学院高等学校 eスポーツ部HYeC顧問の岸波禎人先生だ。

朋優学院は95%以上が大学へ進学し、2022年は東京大学、京都大学をはじめ、早稲田大学、慶應大学や、国立の北海道大学、東北大学などの進路実績を持つ名門校。部活が許されているのは週4日で、ダンス部やヒーローショーを行うアトラクション部なども有名な、学業と部活動を両立している学校だ。
そんな同校がeスポーツ同好会を立ち上げたのは2018年のこと。「全国高校eスポーツ選手権」の開催と、「高校eスポーツ部支援プログラム」の案内が届いたことがきっかけだった。ガレリアが実施するこの支援プログラムでは、ゲーミングPCを無償貸与してくれる仕組みとなっていた。学校としては予算を抑えつつ、参加したいという学生もいたことから、同好会としてスタートした。

2019年時点で早くももうひとつの高校生大会「STAGE:0」の関東ブロックで優勝、全国ベスト8という好成績を残した。その後も活動を続け、晴れて正式なeスポーツ部として認められたのは2020年だった。
立ち上げにあたって苦労した点は、やはりPCなどの資材、学校内のネット環境、さらには教育施設特有の接続制限など。個人の家庭や企業と比べて、学校でeスポーツのオンラインゲームをプレイするハードルは非常に高いのが現実だ。しかしそれらも支援プログラムや、2年間の活動実績により認めてもらうところまで持って行けたという。
eスポーツ部の活動の良かった点としては、2020年頃からの新型コロナウイルスによる在宅学習などもあったという。野球やサッカーといった多くの部活動が実質的に休止に追い込まれてしまう中で、自宅にPCがある生徒たちはいつもと変わらずオンラインで練習ができた。学生時代の数カ月は非常に貴重な時間。それを無駄にせず、活動を続けられたのは、eスポーツだからこそ、とも言える。

大会での実力も申し分ない朋優学院だが、学生の本分はあくまで勉強だ。eスポーツ部の活動もあくまで部活動の一環であり、岸波先生も指導者としての立場は崩さない。そのことは学生たちも同様で、eスポーツに一生をかけたい、というわけではなく「学業とeスポーツの両立」という思いは明確だった。
一方で、学生たちの自主性も尊重されており、学業をおろそかにしなければ家庭での活動は自由。しかしゲームに夢中になって依存してしまうような生徒はおらず、将来を見据えた学業にも同時に取り組んでいた。学校の教育理念である「自立と共生」がうまく体現された例でもある。

また、学生たちが取り組むタイトル『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のゲーム性から学べることもあった。5対5のチーム戦ならではの情報共有、意思統一などのコミュニケーション能力が不可欠であることや、展開の推測や作戦の決定といった主体的な決定力の向上、意見をすり合わせるディベート力の向上、さらにミスや失敗を支え合う人間関係の構築などにも役立っていると感じたという。

「ゲーム」と聞くと、深夜まで遊んでしまって勉強がおろそかになったり、時間を無駄に使ってしまうといった不安の声もよく質問されるというが、それらは朋優学院に関しては一切なかったという。すでに初期メンバーは卒業し、世代交代もしているが、先輩から後輩への技術や部活動の継承も行われている。

「ゲームがうまくなる」ということだけを考えれば、一定のレベルまではプレイした時間に比例する面もあるだろう。しかし、あくまで高校生活の課外活動としてのeスポーツ部は、広い意味での教育の一環でもある。3年間の高校生活の中で、生徒たちが切磋琢磨したり協力したりして、実りある3年間とするためのツールがeスポーツであるといういい例と言える。
中には、部活動などの自分の活動時間が作りやすい通信高校や、eスポーツやゲーム自体をカリキュラムに取り入れた高校などもある。しかし、それらの学校は通う生徒側もeスポーツなどの業界に関わりたいという将来の夢を持っており、ゲームに打ち込む時間も姿勢も違うのは当然のことだ。
しかし、日本の多くの高校は朋優学院のように、学業と部活動の両立が必要となっている。そして、部活動による豊かな高校生活を過ごすために、学校も教員も日夜尽力している
岸波先生としては、「朋優学院での取り組みをeスポーツ部の設立を検討している学校のロールモデルとして生かしていきたい」と語っている。

2つ目のテーマは、「eスポーツビジネスの可能性と課題」ということで、東京eスポーツ連合会長の筧誠一郎氏が登壇した。

まず最初に示したのは、eスポーツファン増加の傾向。うなぎ上りで、今後も拡大していくと考えられている。

一方、リアルスポーツの例として、プロ野球とサッカーのファン人口がこちら。eスポーツファンの増加に反して、年々下がってきている。

筧氏が注目するのは、eスポーツ人気を牽引するのが「Z世代」と呼ばれる1990年台〜2000年台に生まれた世代だということ。そして、Z世代が集まっている業界というかたちで、スポンサー企業の多くがeスポーツに投資していると分析する。
2022年のeスポーツにかかわるトピックを挙げてみても、オフライン大会での観客動員数の多さや、大手企業によるeスポーツ大会やチームへの協賛、さらに記憶に新しいeスポーツ事業を主に手がけるウェルプレイド・ライゼストの東証一部上場といった話題があった。

さらに、eスポーツは教育分野にも関わり始めている。専門学校の学部が作られたり、小学校から大学まで幅広くeスポーツに関係する催しなどが増えた。

反対に、シニア層に関してもeスポーツの活用事例が増えている。秋田県の「マタギスナイパーズ」は65歳以上のメンバーがプロとして活動している。自治体単位や、福祉施設でのリハビリ、交流のためのツールとして、eスポーツが活用されているという。

さらに、eスポーツを手軽に楽しめる施設の登場もポイントだという。韓国では「PCバン」と呼ばれるインターネットカフェのような場所が普及し、国民的な「スポーツ」として発展していった経緯があるが、その普及に貢献したのがPCバンだった。
ゲーミングPCなどを購入して自宅で楽しめる人は増えたものの、やはりより気軽に試してから、というニーズに応えるにはこうしたeスポーツ施設は欠かせない。課題としては、韓国と比べると圧倒的に利用料が高額なこと。韓国では1時間あたり100円程度から、誰でも気軽に遊べる場所になっていたが、日本ではテナント料の高さなどもあってそこまで安くはできておらず、本来利用してほしい若年層がなかなか利用できないという現実もあるようだ。

そして、これらのeスポーツ施設を安定して運営するには、深夜営業も必須となる。単に利用者の年齢層などから深夜にかけて利用する人が多いということもあるが、時差のある海外の強豪プレイヤーと同時にプレイするためにはどうしても深夜帯になってしまいがち、といった側面もある。新型コロナウイルスの営業も長引き、積極的に深夜営業を行えないという情勢の問題もあるだろう。

ちなみに、これからeスポーツに触れる機会が増えるであろう小学生の親世代に、eスポーツに関する認知度を聞いたアンケートでは、まだまだ「あまり知らない」「全く知らない」という声も多いという。つまり、市場としても決してメジャーではなく、まだまだマイナーな世界と思われているということだ。

最後に紹介されたのは、eスポーツ市場規模の割合。ビジネスとしてはスポンサー費用による大会運営、チーム運営などがメインとなっており、ついで大きいのがメディアなどの著作権関係、つまりゲームメーカーのIP使用料、そしてアイテム課金などとなっている。しかし、2021年にかけてストリーミングが一気に広まり、プロゲーマーからストリーマーへの転向や、プロのまま、アマちゃうのままでのゲーム配信などにも広がりを見せている。

今回は、「東京eスポーツフェスタ2023」のPRイベントというかたちで、若者のeスポーツへの関わり方と、ビジネスとしてのeスポーツの規模が紹介された。
東京eスポーツフェスタは自治体が関係するeスポーツイベントという意味で、参加者や保護者からの信頼も高く、老若男女さまざまな世代が集まっている。また、自治体が主導する産業展示会のコーナーは、普段大きなゲームショウなどには出展できないような小規模の業者にも、eスポーツ分野に対する門戸を広げたとも言える。

自治体が税金を使ってeスポーツやゲームを奨励することに関しての反発の声は、第4回まで続いてきたこのイベントを毎回取材する中でも、ほとんど聞かれなかった。特にこの1年間でのeスポーツの知名度の向上は、肌感としては一気に拡大したとみていいだろう。
ZETA DIVISIONの世界3位や、DetonatioN FocusMeの活躍といった日本のトップチームが世界に伍する姿は、ちょうど昨日11月23日に行われた「2022 FIFA ワールドカップ」での日本代表のドイツに対するジャイアントキリングと同様に、観る者を魅了し、感動と興奮を与えてくれた。
東京という大きな予算と人口がある地域だからこそできる、ということは正しいが間違いでもある。町おこしに、生涯学習に、生きがいに、リハビリにと、あらゆる分野が「eスポーツ」という呼び名を使うことで、子どもの遊びでしかなかった「ゲーム」を社会活動にも活用できるツールへと昇華させることは、どの自治体でも実現できる。
その先駆者として、「東京eスポーツフェスタ2023」がさらに大きな盛り上がりを見せることで、eスポーツの知名度アップ、業界の活性化、さらにまだ見ぬスターの登場にもつながることが期待できるだろう。
東京eスポーツフェスタでは、eスポーツやeスポーツ関連製品・サービスを持つ都内の企業・学校・団体などの展示会を、今回はリアルとオンラインの両方で開催予定。募集は2022年12月9日(金)までとなっている。
募集概要
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービスを有し、 東京都内(島しょを含む)に本社又は主要な拠点を置く 中小企業、 個人事業者、 専門学校、 団体等
【募集数】50社程度
【出展料】75,000円(税込)/小間
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービス、 eスポーツイベントへの協賛実績を有する、あるいは今後予定のある 大企業
【募集数】10社程度
【出展料】150,000円(税込)/小間
【申込期間】2022年11月4日(金曜日)から 2022年12月9日(金曜日)まで
※申込多数の場合は、 期限前に募集を終了させていただく場合があります。
【申込方法】公式WEBサイト内の「出展検討事業者登録フォーム」入力後、 「出展申込書」をダウンロードし、必要事項を記入の上、 展示会運営事務局へメール送信
【出展料に含まれる主なもの】
・リアル会場(東京ビッグサイト南1・2ホール)でのブース出展(3×3m)
・オンライン会場での出展[公式WEBサイト内の出展者ページ]
・競技大会等の動画配信チャンネルでの企業PR動画配信
・出展者交流機会(交流会、 企業対抗戦)、 ピッチイベント参加機会の提供、
出展者プレゼンテーション(サブステージ) 等
朋友学院高等学校:https://www.ho-yu.ed.jp/
東京eスポーツフェスタ2023:https://tokyoesportsfesta.jp/
東京都eスポーツ連合:https://twitter.com/jesu_tokyo
11月16日に行われたそのPRプレイベントは、お笑いコンビ・見取り図の公式アンバサダー就任発表などの第1部と、「eスポーツ×教育」「eスポーツビジネスの可能性と課題」と題した第2部の2部構成となっていた。今回は、その第2部の内容をお届けしたい。
都内有数の進学校はeスポーツ部をどのように立ち上げたのか ─朋優学院高等学校の例
プレゼンテーションのひとつ目を報告したのは、朋優学院高等学校 eスポーツ部HYeC顧問の岸波禎人先生だ。

朋優学院は95%以上が大学へ進学し、2022年は東京大学、京都大学をはじめ、早稲田大学、慶應大学や、国立の北海道大学、東北大学などの進路実績を持つ名門校。部活が許されているのは週4日で、ダンス部やヒーローショーを行うアトラクション部なども有名な、学業と部活動を両立している学校だ。
PCなどの初期費用サポートがあって実現できた
そんな同校がeスポーツ同好会を立ち上げたのは2018年のこと。「全国高校eスポーツ選手権」の開催と、「高校eスポーツ部支援プログラム」の案内が届いたことがきっかけだった。ガレリアが実施するこの支援プログラムでは、ゲーミングPCを無償貸与してくれる仕組みとなっていた。学校としては予算を抑えつつ、参加したいという学生もいたことから、同好会としてスタートした。

2019年時点で早くももうひとつの高校生大会「STAGE:0」の関東ブロックで優勝、全国ベスト8という好成績を残した。その後も活動を続け、晴れて正式なeスポーツ部として認められたのは2020年だった。
立ち上げにあたって苦労した点は、やはりPCなどの資材、学校内のネット環境、さらには教育施設特有の接続制限など。個人の家庭や企業と比べて、学校でeスポーツのオンラインゲームをプレイするハードルは非常に高いのが現実だ。しかしそれらも支援プログラムや、2年間の活動実績により認めてもらうところまで持って行けたという。
eスポーツ部の活動の良かった点としては、2020年頃からの新型コロナウイルスによる在宅学習などもあったという。野球やサッカーといった多くの部活動が実質的に休止に追い込まれてしまう中で、自宅にPCがある生徒たちはいつもと変わらずオンラインで練習ができた。学生時代の数カ月は非常に貴重な時間。それを無駄にせず、活動を続けられたのは、eスポーツだからこそ、とも言える。

学業と部活動の両立は、普通のスポーツとまったく同じ
大会での実力も申し分ない朋優学院だが、学生の本分はあくまで勉強だ。eスポーツ部の活動もあくまで部活動の一環であり、岸波先生も指導者としての立場は崩さない。そのことは学生たちも同様で、eスポーツに一生をかけたい、というわけではなく「学業とeスポーツの両立」という思いは明確だった。
一方で、学生たちの自主性も尊重されており、学業をおろそかにしなければ家庭での活動は自由。しかしゲームに夢中になって依存してしまうような生徒はおらず、将来を見据えた学業にも同時に取り組んでいた。学校の教育理念である「自立と共生」がうまく体現された例でもある。

また、学生たちが取り組むタイトル『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のゲーム性から学べることもあった。5対5のチーム戦ならではの情報共有、意思統一などのコミュニケーション能力が不可欠であることや、展開の推測や作戦の決定といった主体的な決定力の向上、意見をすり合わせるディベート力の向上、さらにミスや失敗を支え合う人間関係の構築などにも役立っていると感じたという。

「ゲーム」と聞くと、深夜まで遊んでしまって勉強がおろそかになったり、時間を無駄に使ってしまうといった不安の声もよく質問されるというが、それらは朋優学院に関しては一切なかったという。すでに初期メンバーは卒業し、世代交代もしているが、先輩から後輩への技術や部活動の継承も行われている。

朋優学院の事例をロールモデルに
「ゲームがうまくなる」ということだけを考えれば、一定のレベルまではプレイした時間に比例する面もあるだろう。しかし、あくまで高校生活の課外活動としてのeスポーツ部は、広い意味での教育の一環でもある。3年間の高校生活の中で、生徒たちが切磋琢磨したり協力したりして、実りある3年間とするためのツールがeスポーツであるといういい例と言える。
中には、部活動などの自分の活動時間が作りやすい通信高校や、eスポーツやゲーム自体をカリキュラムに取り入れた高校などもある。しかし、それらの学校は通う生徒側もeスポーツなどの業界に関わりたいという将来の夢を持っており、ゲームに打ち込む時間も姿勢も違うのは当然のことだ。
しかし、日本の多くの高校は朋優学院のように、学業と部活動の両立が必要となっている。そして、部活動による豊かな高校生活を過ごすために、学校も教員も日夜尽力している
岸波先生としては、「朋優学院での取り組みをeスポーツ部の設立を検討している学校のロールモデルとして生かしていきたい」と語っている。

「eスポーツビジネス」に必要なものとは ─東京都eスポーツ連合の例
2つ目のテーマは、「eスポーツビジネスの可能性と課題」ということで、東京eスポーツ連合会長の筧誠一郎氏が登壇した。

eスポーツを牽引しているのはZ世代
まず最初に示したのは、eスポーツファン増加の傾向。うなぎ上りで、今後も拡大していくと考えられている。

一方、リアルスポーツの例として、プロ野球とサッカーのファン人口がこちら。eスポーツファンの増加に反して、年々下がってきている。

筧氏が注目するのは、eスポーツ人気を牽引するのが「Z世代」と呼ばれる1990年台〜2000年台に生まれた世代だということ。そして、Z世代が集まっている業界というかたちで、スポンサー企業の多くがeスポーツに投資していると分析する。
2022年のeスポーツにかかわるトピックを挙げてみても、オフライン大会での観客動員数の多さや、大手企業によるeスポーツ大会やチームへの協賛、さらに記憶に新しいeスポーツ事業を主に手がけるウェルプレイド・ライゼストの東証一部上場といった話題があった。

さらに、eスポーツは教育分野にも関わり始めている。専門学校の学部が作られたり、小学校から大学まで幅広くeスポーツに関係する催しなどが増えた。

反対に、シニア層に関してもeスポーツの活用事例が増えている。秋田県の「マタギスナイパーズ」は65歳以上のメンバーがプロとして活動している。自治体単位や、福祉施設でのリハビリ、交流のためのツールとして、eスポーツが活用されているという。

eスポーツをビジネスとして成功させるには
さらに、eスポーツを手軽に楽しめる施設の登場もポイントだという。韓国では「PCバン」と呼ばれるインターネットカフェのような場所が普及し、国民的な「スポーツ」として発展していった経緯があるが、その普及に貢献したのがPCバンだった。
ゲーミングPCなどを購入して自宅で楽しめる人は増えたものの、やはりより気軽に試してから、というニーズに応えるにはこうしたeスポーツ施設は欠かせない。課題としては、韓国と比べると圧倒的に利用料が高額なこと。韓国では1時間あたり100円程度から、誰でも気軽に遊べる場所になっていたが、日本ではテナント料の高さなどもあってそこまで安くはできておらず、本来利用してほしい若年層がなかなか利用できないという現実もあるようだ。

そして、これらのeスポーツ施設を安定して運営するには、深夜営業も必須となる。単に利用者の年齢層などから深夜にかけて利用する人が多いということもあるが、時差のある海外の強豪プレイヤーと同時にプレイするためにはどうしても深夜帯になってしまいがち、といった側面もある。新型コロナウイルスの営業も長引き、積極的に深夜営業を行えないという情勢の問題もあるだろう。

ちなみに、これからeスポーツに触れる機会が増えるであろう小学生の親世代に、eスポーツに関する認知度を聞いたアンケートでは、まだまだ「あまり知らない」「全く知らない」という声も多いという。つまり、市場としても決してメジャーではなく、まだまだマイナーな世界と思われているということだ。

最後に紹介されたのは、eスポーツ市場規模の割合。ビジネスとしてはスポンサー費用による大会運営、チーム運営などがメインとなっており、ついで大きいのがメディアなどの著作権関係、つまりゲームメーカーのIP使用料、そしてアイテム課金などとなっている。しかし、2021年にかけてストリーミングが一気に広まり、プロゲーマーからストリーマーへの転向や、プロのまま、アマちゃうのままでのゲーム配信などにも広がりを見せている。

自治体主導のeスポーツイベント「東京eスポーツフェスタ」の価値
今回は、「東京eスポーツフェスタ2023」のPRイベントというかたちで、若者のeスポーツへの関わり方と、ビジネスとしてのeスポーツの規模が紹介された。
東京eスポーツフェスタは自治体が関係するeスポーツイベントという意味で、参加者や保護者からの信頼も高く、老若男女さまざまな世代が集まっている。また、自治体が主導する産業展示会のコーナーは、普段大きなゲームショウなどには出展できないような小規模の業者にも、eスポーツ分野に対する門戸を広げたとも言える。

自治体が税金を使ってeスポーツやゲームを奨励することに関しての反発の声は、第4回まで続いてきたこのイベントを毎回取材する中でも、ほとんど聞かれなかった。特にこの1年間でのeスポーツの知名度の向上は、肌感としては一気に拡大したとみていいだろう。
ZETA DIVISIONの世界3位や、DetonatioN FocusMeの活躍といった日本のトップチームが世界に伍する姿は、ちょうど昨日11月23日に行われた「2022 FIFA ワールドカップ」での日本代表のドイツに対するジャイアントキリングと同様に、観る者を魅了し、感動と興奮を与えてくれた。
東京という大きな予算と人口がある地域だからこそできる、ということは正しいが間違いでもある。町おこしに、生涯学習に、生きがいに、リハビリにと、あらゆる分野が「eスポーツ」という呼び名を使うことで、子どもの遊びでしかなかった「ゲーム」を社会活動にも活用できるツールへと昇華させることは、どの自治体でも実現できる。
その先駆者として、「東京eスポーツフェスタ2023」がさらに大きな盛り上がりを見せることで、eスポーツの知名度アップ、業界の活性化、さらにまだ見ぬスターの登場にもつながることが期待できるだろう。
産業展示会の出展者も募集中
東京eスポーツフェスタでは、eスポーツやeスポーツ関連製品・サービスを持つ都内の企業・学校・団体などの展示会を、今回はリアルとオンラインの両方で開催予定。募集は2022年12月9日(金)までとなっている。
募集概要
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービスを有し、 東京都内(島しょを含む)に本社又は主要な拠点を置く 中小企業、 個人事業者、 専門学校、 団体等
【募集数】50社程度
【出展料】75,000円(税込)/小間
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービス、 eスポーツイベントへの協賛実績を有する、あるいは今後予定のある 大企業
【募集数】10社程度
【出展料】150,000円(税込)/小間
【申込期間】2022年11月4日(金曜日)から 2022年12月9日(金曜日)まで
※申込多数の場合は、 期限前に募集を終了させていただく場合があります。
【申込方法】公式WEBサイト内の「出展検討事業者登録フォーム」入力後、 「出展申込書」をダウンロードし、必要事項を記入の上、 展示会運営事務局へメール送信
【出展料に含まれる主なもの】
・リアル会場(東京ビッグサイト南1・2ホール)でのブース出展(3×3m)
・オンライン会場での出展[公式WEBサイト内の出展者ページ]
・競技大会等の動画配信チャンネルでの企業PR動画配信
・出展者交流機会(交流会、 企業対抗戦)、 ピッチイベント参加機会の提供、
出展者プレゼンテーション(サブステージ) 等
朋友学院高等学校:https://www.ho-yu.ed.jp/
東京eスポーツフェスタ2023:https://tokyoesportsfesta.jp/
東京都eスポーツ連合:https://twitter.com/jesu_tokyo
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- 【大会レポート】優勝賞金100万円のタイトルも!——大学生のeスポーツ大会「マイナビeカレ〜esports全国大学選手権 2025〜」は近畿大学×日本大学が優勝!
- 全国の大学生を対象にしたeスポーツ大会「マイナビeカレ〜esports全国大学選手権 2025〜」の決勝大会が3月26日(水)〜27日(木)に開催。ストリートファイター6部門では日本大学が、Apex Legends部門では近畿大学が優勝した。<以下、ニュースリリースより>全国のeスポーツ大学生166大学657人が参戦! 株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)は、eスポーツを楽しむすべての大学生を対象としたesports選手権『マイナビeカレ~esports全国大学選手権 2025~』(以下マイナビeカレ)の決勝大会を2025年3月26日(水)~27日(木)に開催しました(3月26日はストリートファイター6、3月27日はApex Legends)。 マイナビでは、eスポーツに学生生活を懸けた大学生が、キャリア形成において他のスポーツや音楽などと同様に、胸を張ってアピールすることのできる環境づくりの一助となるべく2023年から本大会を開催しており、今年で3回目の開催となります。 本大会の採用ゲームタイトルは「ストリートファイター6」と「Apex Legends」。総勢657名が予選に参加し、大学生対象のeスポーツ大会としては国内最大級となりました。 オフラインで開催された「Apex Legends」大学対抗部門の決勝大会には予選を勝ち抜いた20校60人が会場に集結し、本タイトルエントリー総数74チームの頂点を競いました。2025年大会で見事優勝を手にしたのは近畿大学となり、優勝賞金100万円が贈呈されました。 各チームの応援アンバサダーとのコラボレーション企画であるエキシビションマッチを開催した後、頂点を決める決勝大会を開催し、熱い戦いが繰り広げられました。なお、大会の様子は以下アーカイブよりご覧いただけます。 ・ストリートファイター6:https://www.youtube.com/live/5EPjNVRFWCo ・Apex Legends:https://www.youtube.com/live/TFgAgT0CFWQ優勝チームのコメント ■[Apex Legends]大学対抗部門優勝 近畿大学 決勝開催形式:オフライン 出場チーム:74チーム<コメント> ※()内は読み方・Takabon_q選手 (たかぽん) 5試合通して一度もチャンピオンを取れていないことから、正直に言うと後味はあまり良くなかったです。ただ優勝はとにかくうれしいです! レベルの高い大会に同じ大学の友人と一緒に出場し、1位を目指して頑張るのはすごく充実した時間で、とてもいい機会に恵まれたと感じています。・Yuri_WM_0選手 (みーとぼーるきんぐ) 昨年は14位だったなか優勝を勝ち取ることができ本当にうれしいです。個人的には来月末に開催される世界大会が控えていますが、そこでも優勝を目指し、頑張ります!・FREEA_APEX選手 (ふりーえ) 悔しい思いをした1年前から、もし来年もeカレがあるのであればその時は頑張りたい、と思い期待して鍛錬した1年でした。チームとして苦しい場面もありましたが、とにかくやるときはやる、という気持ちで必死に乗り越えました。いい結果を残すことができて良かったです。■[Apex Legends]フレンド部門優勝 コーナーレジェンズ 決勝開催形式:オンライン 出場チーム:59チーム<コメント>・ステカセキング選手 大逆転優勝ができて気持ちいいです! チームメンバーとは6年くらいの付き合いでよく食事に行くなど、とても仲がいいため、今回共に出場して優勝することができてうれしいです。賞金30万円の使い道としては、まずはメンバーで美味しいものを食べに行きたいです。・fu選手 周囲も競合がそろう中でチームメンバーとは2位になれたらいい、と話していました。勝てるとは思っていなかったため、逆転優勝の実感が湧かないです。チームメンバーと過ごしてきた6年間の中で一番の思い出になりました。・Muramasa選手 本当に、言葉に表せないくらいうれしいです。終盤は勝ちを確信しつつ気を抜けない状況が続き、ドキドキが止まらなかったです。メンバーとは、学校は違えど、休みの日やスケジュールの合う日には、必ず会うようにしているほど仲が良く、この最高のメンバーで優勝できたことは感激です。■[ストリートファイター6] 大学対抗部門優勝 日本大学 決勝開催形式:オンライン 出場チーム:50チーム<コメント>・寝ることは大事選手 優勝ができ、本当にうれしいです。チームメンバーのタンタンメン選手は負けない安心感があり、レスリングは無敵だ選手は結果こそ振るわなかったものの格上の相手を引き付けるようなプレーをしてくれて、優勝は全員で勝ち取ったものだと感じています。・タンタンメン265twitch選手 別のオフラインの大会で一度だけ優勝経験があったものの、今回のような賞金のある大規模な大会での優勝は初めてで、かつチーム戦で勝てたのがとてもうれしいです。始まる前のエキシビションマッチ後には、(アンバサダーの)Shutoさんから「ネガティブなことを考えずに試合内容のことだけを考えよう。勝てる筋だけを考え、ミスしても落ち込まない。」というメンタル面のアドバイスをもらい、背中を押された気持ちでした。いただいた賞金は、今後自身でオフラインイベントを開催する際に活用したいです。・レスリングは無敵だ選手 まずはチームメイトと(アンバサダーの)Shutoさんにありがとう、と伝えたいです。自分自身は結果が振るわなかったもののチームメイトの2人がすべて勝利してくれて、救われました。とはいえ、格上の相手に自分も勝ちたかったという想いはあります。チームとして大学日本一を勝ち取ったことは特別な思い出になると思うので、この結果を胸に今後も練習に励みたいと思います。■[ストリートファイター6]フレンド部門優勝 ソニックスラッシャー 決勝開催形式:オンライン 出場チーム:52チーム<コメント>・れれれれれ~げん選手 味方2人に本当に助けてもらい、チームメンバーに恵まれて優勝できたと感じています。今回のチームメンバーは本大会から初めてご一緒しますが、大会出場が決まって以降は対戦会に一緒に出たり、ご飯に行ったりして仲を深めてきました。試合については、普段ミスをしないようなところでミスをしてしまう場面もあり、プレッシャーのある内容でしたがチームとして優勝できてよかったです。・レオン/つじまろ選手 今回対戦した雄次郎選手とはこれまで何度か大会で戦ったことがあり、ほとんど負けていました。しかし今回は無事勝利を手にすることができ、チームで優勝できて本当にうれしいです。・シュウジ選手 決勝の対戦相手はこれまでもかなり苦戦してきた方だったので、最終的に優勝できて本当にうれしいです。自分が大将として勝たなくてはいけない中で、チームメンバーの動きも素晴らしく逆に緊張しましたが、何とか勝ち抜くことができて良かったです。キャストからのコメント ■実況 平岩康佑氏 eスポーツサークルや、格闘ゲームサークルなど、大学の仲間でeスポーツに取り組むことのできる環境が徐々に拡大しています。大学生活では仲間で楽しくサークル活動を行うことが多い中、eスポーツは真剣に勝負に取り組むことができるため、より大学生活が充実したものになると感じます。 大学時代にハイレベルなeスポーツ大会で切磋琢磨した経験を、今後のキャリアを考える上で、ぜひ生かしていただきたいと思います。■実況 大和周平氏 近年は、大学生の中でもeスポーツがかなりの盛り上がりを見せていて、大学対抗戦というのは、大会の場がさまざまな方と知り合うきっかけになるというお話はよく聞きます。将来的にプロプレーヤーになった際に仲が続いているというのはすごくうれしいことだと思っています。惜しくも敗れてしまったチームの皆さんも学生ながら、素晴らしい選手だと思っていますので、今後の活躍を期待しています。■解説 Alelu氏 有名どころから地方に至るまで、幅広く大学が並び同年代で実力を争うことのできる本大会には、他の大会にはないような魅力を感じます。私が大学生だった当時は、大学生向けの大会がなかったためマイナビeカレのように大学生対象の大規模な大会があると明確に実力を確かめる機会になり、自分の学生時代にもあったら良かったなと思います。私自身は、大学4年生の就職活動が終わった後の期間にApexの大会に出場したところ、日本1位を獲得し世界大会に出場することになりました。その際、Apexでキャリアを築くことを決めました。多くの学生たちがeスポーツに夢中になり、よりスポーツとしての盛り上がりが広がるといいなと思います。■解説 ハイタニ氏 私は10代のころから格闘ゲームに取り組んでいましたが、当時はゲームをプレーするにはゲームセンターに足を運ぶ必要がありました。今は、学校で仲間とともに取り組み、真剣に打ち込める場があることは、本当にいい時代になったと感じます。 ゲームは「遊び」ではなく、真剣に向き合い、挑戦できるものになったと思っています。eスポーツを通じてゲームの理解を深め、課題をどう乗り越えるかを考え抜く力が養われるだけでなく、チームでの協力やコミュニケーションを通して、将来にも活きるスキルが自然と身についていくと感じています。私自身も大会の運営に携わることがありますが、出場経験やイベントへの参加経験がある方と一緒に仕事をすると、非常に頼もしく感じる場面が多くあります。eスポーツの大会を通じて得られる経験は、仕事の現場でもしっかりと生きています。スポーツとして取り組んでいなくても、ゲームが好きな方同士であれば、それが共通言語になり、大いに盛り上がることができます。ゲームやeスポーツに興味がある方には、ぜひ一歩踏み込んでその世界を体験してみてほしいです。大会概要 【大会概要】 イベント名:マイナビeカレ ~esports全国大学選手権 2025~ 開催日: 2025年3月26日(水)~27日(木) 会場:EBiS303(東京都渋谷区) タイトル:Apex Legends/ストリートファイター6【部門】 1.大学対抗部門(同じ大学の仲間と3人1組で参加可能) 2.フレンド部門(大学生なら誰とでも3人1組で参加可能) ※決勝大会は、ストリートファイター6は両部門ともオンライン開催、 Apex Legends は大学対抗部門がオフライン、フレンド部門がオンライン開催となります。【出演者・アンバサダー】 [ストリートファイター6] キャスト:平岩 康佑/大和 周平/ハイタニ アンバサダー:板橋ザンギエフ/Shuto/かずのこ/なるお [Apex Legends] キャスト:大和 周平/平岩 康佑/Alelu アンバサダー:1tappy/cheeky/shomaru7/でっぷ/AlphaAzur/Dizzy/Taida/えでん/Hesiko/saku/すでたき/dtto./Ftyan/PRiZE/UmichanLoveti/バーチャルゴリラ/まさのりch/うぉっか/みこだよ/栗原【主催】 株式会社マイナビ【協賛】 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)、はごろもフーズ株式会社、株式会社ディスコ、レノボ・ジャパン合同会社 結果の詳細はHP(https://esports-college.jp/)をご覧ください。(3/31以降に公開予定) マイナビは今後も、パーパスである「一人ひとりの可能性と向き合い、未来が見える世界をつくる。」を体現すべく、その理念に共感するさまざまな取り組みを実施してまいります。
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- 【大会レポート】こく兄たちが目隠しで『スト6』に挑戦!——学生主体の企画「傀儡杯 Powered by NURO 光」でeスポーツに新しい可能性を
- 2025年3月21日(金)に『ストリートファイター6』(スト6)のeスポーツイベント「傀儡杯 Powered by NURO 光」が開催された。本イベントの特徴は、なんといってもプレーヤーが目隠しをして対戦をするというもの。▲目隠しプレーをするのは、REJECT所属のストリーマーこく兄をはじめとする、Sasatikk、桃井ルナといった人気ストリーマーたち そして、彼らの目となり指示役となるのが、千羽黒乃、乾伸一郎、dtto.といったVTuberだ。この斬新でありながら『スト6』の可能性を感じるイベントを立案したのは、「福岡デザイン&テクノロジー専門学校」や「神戸・甲陽デザイン&テクノロジー専門学校」に通う学生たち。▲「傀儡杯」の発表をする神戸・甲陽デザイン&テクノロジー専門学校1年生の中島氏。企画をプレゼンし、ほかの学生に興味を持ってもらうところからスタートした 企画の発端は、本大会を企画した神戸・甲陽デザイン&テクノロジー専門学校1年生の中島氏が、「何が視聴者にとって面白いか」、「ゲームコミュニティにどう貢献できるか」から着想を得たアイデアだったとか。▲イベントの開催までの流れもすべて学生主導で行われた 本大会の台本作成やクリエイティブデザインを含めた準備も学生が担当。企業側も学生の成長をサポートしながらイベントを具現化した。大会はeスポーツチームREJECTの公式YouTubeチャンネルで生配信され、再生数は現時点で7.6万回を超え高評価を得ている。 それでは、本大会のレポートを見どころをサクッと紹介していこう。やはりネックは聴覚情報のラグか 目隠しでプレーするというプレースタイルだけで見れば、全盲プレーヤーが真っ先に浮かぶだろう。バリアフリーeスポーツユニットePARA所属のNaoya選手は、全盲でありながら『スト6』をプレーしている。▲視覚障害がありながらも『スト6』がプレーできるのは、ePARA所属の彼らがサウンドアクセシビリティの改善に協力していたのも要因のひとつ。障害者が主導となってさまざまな機能が追加されたことで、より多くの視覚障害者が格闘ゲームをプレーできるようになった しかし健常者は視覚情報で状況を判断するのが大半。彼らのように聴覚情報だけで状況を把握するのはかなり難しい。しかも、今回はサウンドアクセシビリティの機能を活用するというよりは、指示役による声を頼りにプレーするといったコンセプトなので、指示役の的確な現状報告がかなり重要視されるようだ。▲こく兄の練習風景。やはりネックは通話アプリ(Discord)によるラグ。ドライブインパクトを打たれたことを報告するも、画面ではすでにインパクトを食らってしまっている。こういったラグを考慮した指示が重要になってくると感じる瞬間だ(https://www.youtube.com/live/L1h3DkUBuNE?si=MnHMs7W-h2v65skj&t=1024) つまり自身が今どこにいるのかといった状況を先手で伝えるのが重要そう。特にドライブインパクトを食らいやすい画面端にいるのかいないのかだけでも早めに知らせられれば……といった具合だ。▲試合前のインタビューで、本大会のレギュレーションについて語るSasatikk。「このルールって、結局指示役の責任が大きいと思うんで……負けたら乾のせいなんで」といった発言に、指示役の乾伸一郎は「傀儡の性能の差が結構あるかなって思うんですよね。今回は結構低スペの機体を引いちゃったなって」と責任転嫁でバチバチになるシーンも(笑)(https://www.youtube.com/live/L1h3DkUBuNE?t=1725s) ルールは1先総当たりで、キャラクターの選択は自由とかなりカジュアルでありながら一発勝負感のある内容となっている。▲3チームによる総当たり戦なので上記のような組み合わせの3試合が行われた こく兄が奮闘!——見えてるんじゃないかと思うほどのコンボで勝つ! 実際の試合を見てみると、やはり指示役の状況判断がかなり重要視されている印象だ。特に、簡単なワードで状況を解説しなければならないという点では、普段からトーク力に長けているVTuberにとって腕の見せ所となるポイントだ。そんな中、第一試合目でいきなり配信を沸かせたのは、こく兄×千羽黒乃のペア。まるで状況が見えているかのような華麗なコンボで勝利を勝ち取った瞬間、配信のコメントも大盛り上がり!▲中足のヒットからのドライブラッシュを絡めたコンボで体力を奪っていくこく兄。「こく兄、見えてるだろ」とコメントされるくらい正確なコンボを入れ込んだ(https://www.youtube.com/live/L1h3DkUBuNE?si=6b8WVHtX-aseWFK2&t=2774) 一方、試合前からバチバチの空気感を出していたSasatikk×乾伸一郎ペア。ビッグマウスだった乾伸一郎は、なぜか、「左、左、右、右」と状況を説明するだけの状況解説モードに。▲「ん〜、コンボされてる。右……インパクトパナしてあげて。投げられてるっ、死んでるっ」と、ただただ状況をなぞるだけの乾伸一郎。これにはコメントでも「乾殿感想w」や「乾殿実況?」といった疑問のコメントであふれた(https://www.youtube.com/live/L1h3DkUBuNE?si=SacRdptAeWUdmGI_&t=3511) あまりに指示役が指示役になっていない状況に、実況解説陣も「乾殿、まじでトロール(チームメートの邪魔をする行為)の可能性があるな」と吐露。いかに指示役が難しいかが垣間見える瞬間でもあった。やはり格ゲー歴の長さ、そしてケンという飛び道具持ちのポテンシャルも相まって、こく兄×千羽黒乃ペアが見事優勝。無敗という圧倒的な実力で勝利を収めた。▲随所に細かいテクニックを見せていたのがこく兄。相手を昇龍拳でダウンさせてからの中足セットプレーで、起き上がりに投げを重ねるなど、見えなくてもできるテクを実践に取り入れていた(https://www.youtube.com/live/L1h3DkUBuNE?t=4245s) まとめ 学生のふとしたアイデアが形となった「傀儡杯 Powered by NURO 光」。操作するプレーヤーだけでなく、指示役との信頼関係やコミュニケーションによって勝敗が左右されるのは、面白い企画だと感じた。やはり難しいポイントは指示役と操作役の一体感。操作している側が今知りたい情報をどれだけ的確に、簡潔に伝えられるかが勝利の鍵となる。また、見えない相手対策ならではのキャラクター選択も重要となってくるというのが今回の大会で明るみになったのではないだろうか。こういった特殊なレギュレーションでの大会は、煮詰めると穴が見えてしらけてしまうパターンもあるだけに、第二回、第三回と続く過程で、視聴者が楽しめるルール作りも課題になりそうだ。例えば、完全にゲームの音をなくすとか、音の情報を絞るとか、実際にオフラインで遅延のない状態で指示するとか、より指示役と操作役のそれぞれが頼らなければ成立しない状況を作るのもありかもしれない。eスポーツは考えひとつで同じタイトルでも全く違った競技シーンを作り出すことができると感じた本イベント。学生にとっても、eスポーツの新しい可能性を感じたのではないだろうか。■配信アーカイブ傀儡杯 Powered by NURO 光https://www.youtube.com/live/L1h3DkUBuNE■関連リンク福岡デザイン&テクノロジー専門学校:https://www.fca.ac.jp/神戸・甲陽デザイン&テクノロジー専門学校:https://www.kobe-tech.ac.jp/REJECT:https://reject.jp©CAPCOM
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- 【大会レポート】『ポケモン ユナイト』の国際大会「PUACL2025」で日本代表のINSOMNIAがアジア王者に!
- 『ポケモン ユナイト』の国際大会「PUACL2025」の決勝大会が3月29日(土)〜30日(日)に新宿三角広場にて開催。日本チームのINSOMNIAがアジア王者に輝いた。Pokémon UNITE Asia Champions League(PUACL)とは『ポケモンユナイト』 の国際大会で、アジア各地域から強豪チームが集結し、アジア王者を決める大会。日本代表は、招待された8つのチームで戦う「Japan League」と、オープン参加形式の「Winter Tournament」のふたつの大会で決定する。https://www.pokemonunite.jp/ja/news/279/ <以下、ニュースリリースより>『Pokémon UNITE(ポケモンユナイト)』PUACL2025 FINALS決着! ポケットモンスターをプロデュースする株式会社ポケモン(本社:東京都港区六本木 代表取締役社長:石原恒和)は、好評配信中のダウンロードソフト『Pokemon UNITE』(以下『ポケモンユナイト』)について、以下のとおりお知らせいたします。PUACL2025 FINALSがついに決着!アジア王者に輝いたのは「INSOMNIA」! 新宿で開催された「PUACL 2025 FINALS」の会場の盛り上がりをお届け! ポケモンユナイトに次に登場するポケモンは「アローラライチュウ」!4月17日に参戦! PUACL2025 FINALSがついに決着!アジア王者に輝いたのは「INSOMNIA」! 3月29日(土)、30日(日)に新宿で開催された「Pokemon UNITE Asia Champions League 2025 FINALS(以下、PUACL2025 FINALS)」にて、ついにアジア王者となるチームが決定! 世界の強豪チームに勝利し、アジア王者の栄冠を得たのはチーム「INSOMNIA」! チーム「INSOMNIA」は日本リーグの開催当初こそ7位からスタートだったものの、その後リーグを進めるごとに成長を遂げ、日本リーグを3位突破。そしてPUACL2025 FINALSの舞台でも快進撃を続け、ついに決勝ではPUACL2023覇者である「Alter Ego」に激闘の末勝利を収め、アジア王者の座に輝きました。 チーム「INSOMNIA」、そして応援してくれていたすべてのトレーナーやファンの皆さま、おめでとうございます!! 2024年11月からアジア各地域でリーグが開催され、そこから勝ち上がった世界の強豪16チームが新宿に集い、アジア王者の座をかけて競いました。この4カ月以上にわたる長い期間を戦い抜き、大会をおおいに盛り上げてくれたすべての参加チームと、応援し支えてくれたすべてのファンの皆さまに心より感謝を申し上げます。 ポケモンユナイトの大会シーンは4月からポケモンワールドチャンピオンシップス2025(ポケモンWCS2025)へ向けたシーズンに入ります。これからも盛り上がり続けるポケモンユナイトをよろしくお願いいたします。 ■激闘と感動のPUACL2025 FINALS はこちらから DAY1: DAY2: PUACL2025 FINALS 優勝 アジア王者「INSOMNIA」/JP ・Obuyan ・USAKAZU ・Luuna ・TsunTsun ・sSlime (左から)PUACL2025を優勝した「INSOMNIA」はポケモンWCS2025の出場権も獲得 最終試合後もお互いに健闘を称えるINSOMNIA:Obuyan選手とAlter Ego:ZzzRay選手 各順位と日本代表チームの結果 PUACL2025 FINALS 準優勝 「Alter Ego」/AP-W ・77chin ・ZzzRay ・Shingdi ・94 ・Ice ・ikura (左から)PUACL2025 FINALS 3位 「Luminosity Gaming」/NA ・DimLitSkies ・TrainerLGC ・kyriaos ・Overlord ・slash ・Otter (左から)PUACL2025 FINALS 4位 「ZETA DIVISION」/JP ・Vitoppo ・iamTomato ・Rom ・Wajiro ・1LevUP ・Cocoatta (左から)PUACL2025 FINALS 5位 「名古屋OJA」/JP ・HotarunoKen ・syu ・Aporo ・Iroas ・Holly ・Yama (左から)PUACL2025 FINALS 7位 「IGZIST」/JP ・b1 ・Tomy ・kaki ・ore ・Saikyomanji (左から)PUACL2025 FINALS DAY1 グループB 3位 「FENNEL」/JP ・Mashio ・Serata ・TONGG ・pyi ・yume ・Lucapo (左から)新宿で開催された「PUACL 2025 FINALS」の会場の盛り上がりをお届け! PUACL2025 FINALSの会場となった新宿三角広場には約10,000人が来場し、大きな歓声と共に各チームの応援で盛り上がりを見せました。メインステージ横で行われたポケモンユナイト対戦会にも約5,000人が参加。その他にもポケモングリーティングやティーチングイベント、抽選会など、さまざまなサイドイベントを通して多くの来場者がポケモンとのふれあいやユナイトバトルを楽しみました。ポケモンユナイトに次に登場するポケモンは「アローラライチュウ」!4月17日に参戦! PUACL2025後に新たに参戦するポケモンは「アローラライチュウ」! 2月27日のPokemonDAYで参戦が発表されていましたが、4月17日に参戦が決定しています。 アローラライチュウは足を止めずに通常攻撃できたり、わざを使用したときにダッシュで移動することができて、相手との距離を自在にコントロールしながら戦うことができます。 陸サーファーの異名を持つアタック型のポケモンがエオス島に登場!お楽しみに!『ポケモンユナイト』とは 『ポケモンユナイト』は、ほかのプレーヤーとチームを組み、時間内に得点を競うチーム戦略バトルゲームです。基本プレー無料(※一部ゲーム内課金あり)で遊ぶことができます。 Nintendo Switchとスマートフォンの両方に対応しており、どちらの端末を使っていても、いっしょにポケモンのチーム戦略バトルをお楽しみいただけます。 App Store: https://apps.apple.com/app/id1512321575 Google Play: https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.pokemon.pokemonunite ※『ポケモンユナイト』をプレーするためには、インターネット通信が必須です。 ※Nintendo Switch版をプレーする際に、Nintendo Switch Online(有料)への加入は不要です。 ■商品情報 ● タイトル 『Pokemon UNITE』 ● 対応機種 スマートフォン(iOS/Android対応)、Nintendo Switch ● 販売価格 基本プレー無料 ※一部ゲーム内課金あり。 ● 販売形態 ダウンロード専用 ● CERO A ● ジャンル チーム戦略バトル ● 配信日 スマートフォン版・Nintendo Switch版 好評配信中 ● 対応言語 日本語、英語、韓国語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)、 フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、インドネシア語 タイ語、トルコ語、ブラジルポルトガル語、ロシア語、ヒンディー語 ● 発売・販売 株式会社ポケモン<公式Webサイト>https://www.pokemonunite.jp<公式X(旧Twitter)アカウント>https://twitter.com/poke_unite_jp ©2021 Pokemon. ©1995-2021 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ©2021 Tencent. ポケットモンスター・ポケモン・Pokemonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。 Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。