eスポーツの普及と関連産業の進行を目的としたイベント「東京eスポーツフェスタ2023」。2023年1月27日(金)〜29日(日)の3日間、東京ビッグサイトで開催される。
11月16日に行われたそのPRプレイベントは、お笑いコンビ・見取り図の公式アンバサダー就任発表などの第1部と、「eスポーツ×教育」「eスポーツビジネスの可能性と課題」と題した第2部の2部構成となっていた。今回は、その第2部の内容をお届けしたい。
プレゼンテーションのひとつ目を報告したのは、朋優学院高等学校 eスポーツ部HYeC顧問の岸波禎人先生だ。

朋優学院は95%以上が大学へ進学し、2022年は東京大学、京都大学をはじめ、早稲田大学、慶應大学や、国立の北海道大学、東北大学などの進路実績を持つ名門校。部活が許されているのは週4日で、ダンス部やヒーローショーを行うアトラクション部なども有名な、学業と部活動を両立している学校だ。
そんな同校がeスポーツ同好会を立ち上げたのは2018年のこと。「全国高校eスポーツ選手権」の開催と、「高校eスポーツ部支援プログラム」の案内が届いたことがきっかけだった。ガレリアが実施するこの支援プログラムでは、ゲーミングPCを無償貸与してくれる仕組みとなっていた。学校としては予算を抑えつつ、参加したいという学生もいたことから、同好会としてスタートした。

2019年時点で早くももうひとつの高校生大会「STAGE:0」の関東ブロックで優勝、全国ベスト8という好成績を残した。その後も活動を続け、晴れて正式なeスポーツ部として認められたのは2020年だった。
立ち上げにあたって苦労した点は、やはりPCなどの資材、学校内のネット環境、さらには教育施設特有の接続制限など。個人の家庭や企業と比べて、学校でeスポーツのオンラインゲームをプレイするハードルは非常に高いのが現実だ。しかしそれらも支援プログラムや、2年間の活動実績により認めてもらうところまで持って行けたという。
eスポーツ部の活動の良かった点としては、2020年頃からの新型コロナウイルスによる在宅学習などもあったという。野球やサッカーといった多くの部活動が実質的に休止に追い込まれてしまう中で、自宅にPCがある生徒たちはいつもと変わらずオンラインで練習ができた。学生時代の数カ月は非常に貴重な時間。それを無駄にせず、活動を続けられたのは、eスポーツだからこそ、とも言える。

大会での実力も申し分ない朋優学院だが、学生の本分はあくまで勉強だ。eスポーツ部の活動もあくまで部活動の一環であり、岸波先生も指導者としての立場は崩さない。そのことは学生たちも同様で、eスポーツに一生をかけたい、というわけではなく「学業とeスポーツの両立」という思いは明確だった。
一方で、学生たちの自主性も尊重されており、学業をおろそかにしなければ家庭での活動は自由。しかしゲームに夢中になって依存してしまうような生徒はおらず、将来を見据えた学業にも同時に取り組んでいた。学校の教育理念である「自立と共生」がうまく体現された例でもある。

また、学生たちが取り組むタイトル『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のゲーム性から学べることもあった。5対5のチーム戦ならではの情報共有、意思統一などのコミュニケーション能力が不可欠であることや、展開の推測や作戦の決定といった主体的な決定力の向上、意見をすり合わせるディベート力の向上、さらにミスや失敗を支え合う人間関係の構築などにも役立っていると感じたという。

「ゲーム」と聞くと、深夜まで遊んでしまって勉強がおろそかになったり、時間を無駄に使ってしまうといった不安の声もよく質問されるというが、それらは朋優学院に関しては一切なかったという。すでに初期メンバーは卒業し、世代交代もしているが、先輩から後輩への技術や部活動の継承も行われている。

「ゲームがうまくなる」ということだけを考えれば、一定のレベルまではプレイした時間に比例する面もあるだろう。しかし、あくまで高校生活の課外活動としてのeスポーツ部は、広い意味での教育の一環でもある。3年間の高校生活の中で、生徒たちが切磋琢磨したり協力したりして、実りある3年間とするためのツールがeスポーツであるといういい例と言える。
中には、部活動などの自分の活動時間が作りやすい通信高校や、eスポーツやゲーム自体をカリキュラムに取り入れた高校などもある。しかし、それらの学校は通う生徒側もeスポーツなどの業界に関わりたいという将来の夢を持っており、ゲームに打ち込む時間も姿勢も違うのは当然のことだ。
しかし、日本の多くの高校は朋優学院のように、学業と部活動の両立が必要となっている。そして、部活動による豊かな高校生活を過ごすために、学校も教員も日夜尽力している
岸波先生としては、「朋優学院での取り組みをeスポーツ部の設立を検討している学校のロールモデルとして生かしていきたい」と語っている。

2つ目のテーマは、「eスポーツビジネスの可能性と課題」ということで、東京eスポーツ連合会長の筧誠一郎氏が登壇した。

まず最初に示したのは、eスポーツファン増加の傾向。うなぎ上りで、今後も拡大していくと考えられている。

一方、リアルスポーツの例として、プロ野球とサッカーのファン人口がこちら。eスポーツファンの増加に反して、年々下がってきている。

筧氏が注目するのは、eスポーツ人気を牽引するのが「Z世代」と呼ばれる1990年台〜2000年台に生まれた世代だということ。そして、Z世代が集まっている業界というかたちで、スポンサー企業の多くがeスポーツに投資していると分析する。
2022年のeスポーツにかかわるトピックを挙げてみても、オフライン大会での観客動員数の多さや、大手企業によるeスポーツ大会やチームへの協賛、さらに記憶に新しいeスポーツ事業を主に手がけるウェルプレイド・ライゼストの東証一部上場といった話題があった。

さらに、eスポーツは教育分野にも関わり始めている。専門学校の学部が作られたり、小学校から大学まで幅広くeスポーツに関係する催しなどが増えた。

反対に、シニア層に関してもeスポーツの活用事例が増えている。秋田県の「マタギスナイパーズ」は65歳以上のメンバーがプロとして活動している。自治体単位や、福祉施設でのリハビリ、交流のためのツールとして、eスポーツが活用されているという。

さらに、eスポーツを手軽に楽しめる施設の登場もポイントだという。韓国では「PCバン」と呼ばれるインターネットカフェのような場所が普及し、国民的な「スポーツ」として発展していった経緯があるが、その普及に貢献したのがPCバンだった。
ゲーミングPCなどを購入して自宅で楽しめる人は増えたものの、やはりより気軽に試してから、というニーズに応えるにはこうしたeスポーツ施設は欠かせない。課題としては、韓国と比べると圧倒的に利用料が高額なこと。韓国では1時間あたり100円程度から、誰でも気軽に遊べる場所になっていたが、日本ではテナント料の高さなどもあってそこまで安くはできておらず、本来利用してほしい若年層がなかなか利用できないという現実もあるようだ。

そして、これらのeスポーツ施設を安定して運営するには、深夜営業も必須となる。単に利用者の年齢層などから深夜にかけて利用する人が多いということもあるが、時差のある海外の強豪プレイヤーと同時にプレイするためにはどうしても深夜帯になってしまいがち、といった側面もある。新型コロナウイルスの営業も長引き、積極的に深夜営業を行えないという情勢の問題もあるだろう。

ちなみに、これからeスポーツに触れる機会が増えるであろう小学生の親世代に、eスポーツに関する認知度を聞いたアンケートでは、まだまだ「あまり知らない」「全く知らない」という声も多いという。つまり、市場としても決してメジャーではなく、まだまだマイナーな世界と思われているということだ。

最後に紹介されたのは、eスポーツ市場規模の割合。ビジネスとしてはスポンサー費用による大会運営、チーム運営などがメインとなっており、ついで大きいのがメディアなどの著作権関係、つまりゲームメーカーのIP使用料、そしてアイテム課金などとなっている。しかし、2021年にかけてストリーミングが一気に広まり、プロゲーマーからストリーマーへの転向や、プロのまま、アマちゃうのままでのゲーム配信などにも広がりを見せている。

今回は、「東京eスポーツフェスタ2023」のPRイベントというかたちで、若者のeスポーツへの関わり方と、ビジネスとしてのeスポーツの規模が紹介された。
東京eスポーツフェスタは自治体が関係するeスポーツイベントという意味で、参加者や保護者からの信頼も高く、老若男女さまざまな世代が集まっている。また、自治体が主導する産業展示会のコーナーは、普段大きなゲームショウなどには出展できないような小規模の業者にも、eスポーツ分野に対する門戸を広げたとも言える。

自治体が税金を使ってeスポーツやゲームを奨励することに関しての反発の声は、第4回まで続いてきたこのイベントを毎回取材する中でも、ほとんど聞かれなかった。特にこの1年間でのeスポーツの知名度の向上は、肌感としては一気に拡大したとみていいだろう。
ZETA DIVISIONの世界3位や、DetonatioN FocusMeの活躍といった日本のトップチームが世界に伍する姿は、ちょうど昨日11月23日に行われた「2022 FIFA ワールドカップ」での日本代表のドイツに対するジャイアントキリングと同様に、観る者を魅了し、感動と興奮を与えてくれた。
東京という大きな予算と人口がある地域だからこそできる、ということは正しいが間違いでもある。町おこしに、生涯学習に、生きがいに、リハビリにと、あらゆる分野が「eスポーツ」という呼び名を使うことで、子どもの遊びでしかなかった「ゲーム」を社会活動にも活用できるツールへと昇華させることは、どの自治体でも実現できる。
その先駆者として、「東京eスポーツフェスタ2023」がさらに大きな盛り上がりを見せることで、eスポーツの知名度アップ、業界の活性化、さらにまだ見ぬスターの登場にもつながることが期待できるだろう。
東京eスポーツフェスタでは、eスポーツやeスポーツ関連製品・サービスを持つ都内の企業・学校・団体などの展示会を、今回はリアルとオンラインの両方で開催予定。募集は2022年12月9日(金)までとなっている。
募集概要
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービスを有し、 東京都内(島しょを含む)に本社又は主要な拠点を置く 中小企業、 個人事業者、 専門学校、 団体等
【募集数】50社程度
【出展料】75,000円(税込)/小間
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービス、 eスポーツイベントへの協賛実績を有する、あるいは今後予定のある 大企業
【募集数】10社程度
【出展料】150,000円(税込)/小間
【申込期間】2022年11月4日(金曜日)から 2022年12月9日(金曜日)まで
※申込多数の場合は、 期限前に募集を終了させていただく場合があります。
【申込方法】公式WEBサイト内の「出展検討事業者登録フォーム」入力後、 「出展申込書」をダウンロードし、必要事項を記入の上、 展示会運営事務局へメール送信
【出展料に含まれる主なもの】
・リアル会場(東京ビッグサイト南1・2ホール)でのブース出展(3×3m)
・オンライン会場での出展[公式WEBサイト内の出展者ページ]
・競技大会等の動画配信チャンネルでの企業PR動画配信
・出展者交流機会(交流会、 企業対抗戦)、 ピッチイベント参加機会の提供、
出展者プレゼンテーション(サブステージ) 等
朋友学院高等学校:https://www.ho-yu.ed.jp/
東京eスポーツフェスタ2023:https://tokyoesportsfesta.jp/
東京都eスポーツ連合:https://twitter.com/jesu_tokyo
11月16日に行われたそのPRプレイベントは、お笑いコンビ・見取り図の公式アンバサダー就任発表などの第1部と、「eスポーツ×教育」「eスポーツビジネスの可能性と課題」と題した第2部の2部構成となっていた。今回は、その第2部の内容をお届けしたい。
都内有数の進学校はeスポーツ部をどのように立ち上げたのか ─朋優学院高等学校の例
プレゼンテーションのひとつ目を報告したのは、朋優学院高等学校 eスポーツ部HYeC顧問の岸波禎人先生だ。

朋優学院は95%以上が大学へ進学し、2022年は東京大学、京都大学をはじめ、早稲田大学、慶應大学や、国立の北海道大学、東北大学などの進路実績を持つ名門校。部活が許されているのは週4日で、ダンス部やヒーローショーを行うアトラクション部なども有名な、学業と部活動を両立している学校だ。
PCなどの初期費用サポートがあって実現できた
そんな同校がeスポーツ同好会を立ち上げたのは2018年のこと。「全国高校eスポーツ選手権」の開催と、「高校eスポーツ部支援プログラム」の案内が届いたことがきっかけだった。ガレリアが実施するこの支援プログラムでは、ゲーミングPCを無償貸与してくれる仕組みとなっていた。学校としては予算を抑えつつ、参加したいという学生もいたことから、同好会としてスタートした。

2019年時点で早くももうひとつの高校生大会「STAGE:0」の関東ブロックで優勝、全国ベスト8という好成績を残した。その後も活動を続け、晴れて正式なeスポーツ部として認められたのは2020年だった。
立ち上げにあたって苦労した点は、やはりPCなどの資材、学校内のネット環境、さらには教育施設特有の接続制限など。個人の家庭や企業と比べて、学校でeスポーツのオンラインゲームをプレイするハードルは非常に高いのが現実だ。しかしそれらも支援プログラムや、2年間の活動実績により認めてもらうところまで持って行けたという。
eスポーツ部の活動の良かった点としては、2020年頃からの新型コロナウイルスによる在宅学習などもあったという。野球やサッカーといった多くの部活動が実質的に休止に追い込まれてしまう中で、自宅にPCがある生徒たちはいつもと変わらずオンラインで練習ができた。学生時代の数カ月は非常に貴重な時間。それを無駄にせず、活動を続けられたのは、eスポーツだからこそ、とも言える。

学業と部活動の両立は、普通のスポーツとまったく同じ
大会での実力も申し分ない朋優学院だが、学生の本分はあくまで勉強だ。eスポーツ部の活動もあくまで部活動の一環であり、岸波先生も指導者としての立場は崩さない。そのことは学生たちも同様で、eスポーツに一生をかけたい、というわけではなく「学業とeスポーツの両立」という思いは明確だった。
一方で、学生たちの自主性も尊重されており、学業をおろそかにしなければ家庭での活動は自由。しかしゲームに夢中になって依存してしまうような生徒はおらず、将来を見据えた学業にも同時に取り組んでいた。学校の教育理念である「自立と共生」がうまく体現された例でもある。

また、学生たちが取り組むタイトル『リーグ・オブ・レジェンド』(LoL)のゲーム性から学べることもあった。5対5のチーム戦ならではの情報共有、意思統一などのコミュニケーション能力が不可欠であることや、展開の推測や作戦の決定といった主体的な決定力の向上、意見をすり合わせるディベート力の向上、さらにミスや失敗を支え合う人間関係の構築などにも役立っていると感じたという。

「ゲーム」と聞くと、深夜まで遊んでしまって勉強がおろそかになったり、時間を無駄に使ってしまうといった不安の声もよく質問されるというが、それらは朋優学院に関しては一切なかったという。すでに初期メンバーは卒業し、世代交代もしているが、先輩から後輩への技術や部活動の継承も行われている。

朋優学院の事例をロールモデルに
「ゲームがうまくなる」ということだけを考えれば、一定のレベルまではプレイした時間に比例する面もあるだろう。しかし、あくまで高校生活の課外活動としてのeスポーツ部は、広い意味での教育の一環でもある。3年間の高校生活の中で、生徒たちが切磋琢磨したり協力したりして、実りある3年間とするためのツールがeスポーツであるといういい例と言える。
中には、部活動などの自分の活動時間が作りやすい通信高校や、eスポーツやゲーム自体をカリキュラムに取り入れた高校などもある。しかし、それらの学校は通う生徒側もeスポーツなどの業界に関わりたいという将来の夢を持っており、ゲームに打ち込む時間も姿勢も違うのは当然のことだ。
しかし、日本の多くの高校は朋優学院のように、学業と部活動の両立が必要となっている。そして、部活動による豊かな高校生活を過ごすために、学校も教員も日夜尽力している
岸波先生としては、「朋優学院での取り組みをeスポーツ部の設立を検討している学校のロールモデルとして生かしていきたい」と語っている。

「eスポーツビジネス」に必要なものとは ─東京都eスポーツ連合の例
2つ目のテーマは、「eスポーツビジネスの可能性と課題」ということで、東京eスポーツ連合会長の筧誠一郎氏が登壇した。

eスポーツを牽引しているのはZ世代
まず最初に示したのは、eスポーツファン増加の傾向。うなぎ上りで、今後も拡大していくと考えられている。

一方、リアルスポーツの例として、プロ野球とサッカーのファン人口がこちら。eスポーツファンの増加に反して、年々下がってきている。

筧氏が注目するのは、eスポーツ人気を牽引するのが「Z世代」と呼ばれる1990年台〜2000年台に生まれた世代だということ。そして、Z世代が集まっている業界というかたちで、スポンサー企業の多くがeスポーツに投資していると分析する。
2022年のeスポーツにかかわるトピックを挙げてみても、オフライン大会での観客動員数の多さや、大手企業によるeスポーツ大会やチームへの協賛、さらに記憶に新しいeスポーツ事業を主に手がけるウェルプレイド・ライゼストの東証一部上場といった話題があった。

さらに、eスポーツは教育分野にも関わり始めている。専門学校の学部が作られたり、小学校から大学まで幅広くeスポーツに関係する催しなどが増えた。

反対に、シニア層に関してもeスポーツの活用事例が増えている。秋田県の「マタギスナイパーズ」は65歳以上のメンバーがプロとして活動している。自治体単位や、福祉施設でのリハビリ、交流のためのツールとして、eスポーツが活用されているという。

eスポーツをビジネスとして成功させるには
さらに、eスポーツを手軽に楽しめる施設の登場もポイントだという。韓国では「PCバン」と呼ばれるインターネットカフェのような場所が普及し、国民的な「スポーツ」として発展していった経緯があるが、その普及に貢献したのがPCバンだった。
ゲーミングPCなどを購入して自宅で楽しめる人は増えたものの、やはりより気軽に試してから、というニーズに応えるにはこうしたeスポーツ施設は欠かせない。課題としては、韓国と比べると圧倒的に利用料が高額なこと。韓国では1時間あたり100円程度から、誰でも気軽に遊べる場所になっていたが、日本ではテナント料の高さなどもあってそこまで安くはできておらず、本来利用してほしい若年層がなかなか利用できないという現実もあるようだ。

そして、これらのeスポーツ施設を安定して運営するには、深夜営業も必須となる。単に利用者の年齢層などから深夜にかけて利用する人が多いということもあるが、時差のある海外の強豪プレイヤーと同時にプレイするためにはどうしても深夜帯になってしまいがち、といった側面もある。新型コロナウイルスの営業も長引き、積極的に深夜営業を行えないという情勢の問題もあるだろう。

ちなみに、これからeスポーツに触れる機会が増えるであろう小学生の親世代に、eスポーツに関する認知度を聞いたアンケートでは、まだまだ「あまり知らない」「全く知らない」という声も多いという。つまり、市場としても決してメジャーではなく、まだまだマイナーな世界と思われているということだ。

最後に紹介されたのは、eスポーツ市場規模の割合。ビジネスとしてはスポンサー費用による大会運営、チーム運営などがメインとなっており、ついで大きいのがメディアなどの著作権関係、つまりゲームメーカーのIP使用料、そしてアイテム課金などとなっている。しかし、2021年にかけてストリーミングが一気に広まり、プロゲーマーからストリーマーへの転向や、プロのまま、アマちゃうのままでのゲーム配信などにも広がりを見せている。

自治体主導のeスポーツイベント「東京eスポーツフェスタ」の価値
今回は、「東京eスポーツフェスタ2023」のPRイベントというかたちで、若者のeスポーツへの関わり方と、ビジネスとしてのeスポーツの規模が紹介された。
東京eスポーツフェスタは自治体が関係するeスポーツイベントという意味で、参加者や保護者からの信頼も高く、老若男女さまざまな世代が集まっている。また、自治体が主導する産業展示会のコーナーは、普段大きなゲームショウなどには出展できないような小規模の業者にも、eスポーツ分野に対する門戸を広げたとも言える。

自治体が税金を使ってeスポーツやゲームを奨励することに関しての反発の声は、第4回まで続いてきたこのイベントを毎回取材する中でも、ほとんど聞かれなかった。特にこの1年間でのeスポーツの知名度の向上は、肌感としては一気に拡大したとみていいだろう。
ZETA DIVISIONの世界3位や、DetonatioN FocusMeの活躍といった日本のトップチームが世界に伍する姿は、ちょうど昨日11月23日に行われた「2022 FIFA ワールドカップ」での日本代表のドイツに対するジャイアントキリングと同様に、観る者を魅了し、感動と興奮を与えてくれた。
東京という大きな予算と人口がある地域だからこそできる、ということは正しいが間違いでもある。町おこしに、生涯学習に、生きがいに、リハビリにと、あらゆる分野が「eスポーツ」という呼び名を使うことで、子どもの遊びでしかなかった「ゲーム」を社会活動にも活用できるツールへと昇華させることは、どの自治体でも実現できる。
その先駆者として、「東京eスポーツフェスタ2023」がさらに大きな盛り上がりを見せることで、eスポーツの知名度アップ、業界の活性化、さらにまだ見ぬスターの登場にもつながることが期待できるだろう。
産業展示会の出展者も募集中
東京eスポーツフェスタでは、eスポーツやeスポーツ関連製品・サービスを持つ都内の企業・学校・団体などの展示会を、今回はリアルとオンラインの両方で開催予定。募集は2022年12月9日(金)までとなっている。
募集概要
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービスを有し、 東京都内(島しょを含む)に本社又は主要な拠点を置く 中小企業、 個人事業者、 専門学校、 団体等
【募集数】50社程度
【出展料】75,000円(税込)/小間
【出展対象】eスポーツに関連する製品・サービス、 eスポーツイベントへの協賛実績を有する、あるいは今後予定のある 大企業
【募集数】10社程度
【出展料】150,000円(税込)/小間
【申込期間】2022年11月4日(金曜日)から 2022年12月9日(金曜日)まで
※申込多数の場合は、 期限前に募集を終了させていただく場合があります。
【申込方法】公式WEBサイト内の「出展検討事業者登録フォーム」入力後、 「出展申込書」をダウンロードし、必要事項を記入の上、 展示会運営事務局へメール送信
【出展料に含まれる主なもの】
・リアル会場(東京ビッグサイト南1・2ホール)でのブース出展(3×3m)
・オンライン会場での出展[公式WEBサイト内の出展者ページ]
・競技大会等の動画配信チャンネルでの企業PR動画配信
・出展者交流機会(交流会、 企業対抗戦)、 ピッチイベント参加機会の提供、
出展者プレゼンテーション(サブステージ) 等
朋友学院高等学校:https://www.ho-yu.ed.jp/
東京eスポーツフェスタ2023:https://tokyoesportsfesta.jp/
東京都eスポーツ連合:https://twitter.com/jesu_tokyo
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- 【大会レポート】『レインボーシックス シージ』の国際大会で日本チームCAG OSAKAが準優勝の快挙!——『レインボーシックス シージ エックス』Year 10 ロードマップも公開
- 『レインボーシックス シージ』の国際大会「BLAST Rainbow Six RE:L0:AD 2025」が2025年5月8日(木)~18日(日)にブラジル・リオデジャネイロにて開催。日本代表として出場したのはCAG Osaka、SCARZの2チーム。CAG Osakaがグループステージを勝ち抜き、準優勝を成し遂げた。BLAST Rainbow Six RE:L0:AD 2025(RE:LO:AD 2025)とは『レインボーシックス シージ』の新たな競技シーズンを開幕する国際大会。ブラジル・リオデジャネイロのArena Carioca 1で開催される。世界中から20のトップチームが集結し、総額52万ドルの賞金をかけて競い合う。今大会は、『レインボーシックス シージX』のプロシーン初採用となる新フォーマットで行われる。 本大会では、CAG Osakaに敗れたTeam Liquid Hondaのブラジル人選手が、SNSにて原子爆弾投下映像をポストしたことが注目されてしまったが、日本チームの国際大会ベスト2はレインボーシックス シージ競技シーンにおいて初の快挙である。RE:LO:AD 2025 GLAND FINALLAIR 4-7 LOSEBANK 3-7 LOSEKAFE 3-7 LOSE0-3で負けてしまいました😭世界チャンピオンまであと1歩でした!この長い期間を戦い抜いた選手、コーチ達を誇りに思います💪強くなってまた戻ってきます🔥早朝からシージファンの皆さん応援ありがとうございました🙏… pic.twitter.com/TawBqav08N— CAG OSAKA (@CYCLOPS_OSAKA) May 18, 2025 <以下、ニュースリリースより>タクティカルFPSタイトルで、アジアチームとしても最高順位を記録 ブロードメディア株式会社の子会社であるブロードメディアeスポーツ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:橋本 太郎)は、現地時間2025年5月10日から5月18日にかけてブラジル・リオデジャネイロで開催された『Rainbow Six Siege』の世界大会「RE:L0:AD 2025」で、当社が運営するプロeスポーツチーム「CAG OSAKA(シーエージー・オオサカ)」のレインボーシックス シージ部門が、日本のeスポーツチーム史上初となる決勝戦に進出し、準優勝したことをお知らせいたします。RE:L0:AD 2025について 「RE:L0:AD 2025」はUbisoftおよびBLASTが主催する『レインボーシックス シージ』の世界大会で、2025年度の競技シーンの開幕戦となる今大会は、総額52万ドル(約7,500万円)の賞金が用意され、Ubisoftが展開するパートナープログラム「R6 Share」に加盟するパートナー20チームが出場しました。グループ予選では、従来の大会とは異なり、各チームがブレット(ポイント)を持ってスタートし、試合結果に応じて賭けたブレットが増減する独自のルールで試合が展開されました。グループ予選4試合目、CAG OSAKAは地元ブラジルの強豪Team Liquid相手に一気に14ブレットを賭ける大勝負に挑み、敗北すれば予選敗退のプレッシャーがかかるなか、激闘の末に勝利し、一気にプレーオフ進出を決定させました。 プレーオフは従来のトーナメント戦で行われ、世界大会での有観客試合はCAGシージ部門として初めての経験となりましたが、粘り強い戦いで韓国BNK FEARX、米国Wildcardという強豪を破り、現地ブラジルのファンを沸かせる見事なプレーを見せ、タクティカルFPSタイトルで日本チーム史上初となる世界大会決勝戦への進出を決めました。全世界のFPSファンが注目する決勝戦では世界大会連覇の最強チーム、地元ブラジルのFURIAとの対戦となり、完全アウェイの環境のなかでも素晴らしい戦いぶりで会場を沸かせましたが、惜しくも敗北。しかしながら、日本のみならずアジアのチームとしても歴代最高順位でeスポーツシーンの歴史に名を刻み、準優勝賞金80,000ドルを獲得しました。 2018年のシージ部門結成以来、CAGは日本のプロeスポーツトップチームとして幾多の世界大会に挑戦してまいりました。2024年5月に開催された「BLAST R6 Major Manchester 2024」、2025年2月に行われた世界大会「Six Invitational 2025」でともに世界ベスト12に入り、今回、悲願だった世界大会での決勝戦進出・準優勝を達成しましたが、来月6月15日にはリーグ戦となる「Asia Pacific League 2025 - Stage 1:APAC North」の開幕が控えるなど、新たな挑戦が続きます。「Esports World Cup 2025」や「Six Invitational 2026」といった大規模世界大会への出場を目標に、引き続きベストを尽くして戦ってまいります。 今後とも、CAG OSAKAの応援をよろしくお願いいたします。CAG出場選手:BlackRay、Anitun、ちびす、ShuReap、Arcully、DDCAG OSAKAとは CAG OSAKAは、大阪を活動拠点とするプロeスポーツチーム。国内外の大会で実績を積み、成長を続けている。格闘ゲーム部門では、「DRAGON BALL FighterZ World Tour 2022/2023」で世界一に輝き、今夏開幕する「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025」にも参戦。人気と実力あるチームとしてファンを多数抱えている。PUBG MOBILE部門は2024年の国内リーグで春夏連覇するなど圧倒的な戦績を残し、2024年夏にサウジアラビアで開催された「2024 Esports World Cup」にも出場。レインボーシックス シージ部門は「Rainbow Six Japan League 2021」で無敗優勝し、2023年までの3年間「Six Invitational」に日本勢として唯一参戦。2024年5月に開催された「BLAST R6 Major Manchester 2024」、2025年2月に開催された「Six Invitational 2025」ともに世界ベスト12に入り、2025年5月に開催された「RE:L0:AD 2025」では日本のチーム史上初の決勝戦進出・準優勝を達成。各部門で高い結果を上げ、eスポーツ業界の発展に寄与している。■関連サイト:CAG OSAKA公式サイト: https://cyclops-osaka.jp/CAG OSAKA公式X:https://x.com/cyclops_osakaeスポーツ世界大会にて日本チームCAG OSAKAが準優勝の快挙! ブラジル・リオデジャネイロにてeスポーツ世界大会「BLAST Rainbow Six RE:L0:AD 2025」が開催されました。日本チームのCAG OSAKAが数々の強豪チームを制してグランドファイナルに進出、優勝を賭けてブラジルチームFURIAと対戦しました。今回はFURIAに勝利を譲ったものの、日本チームの国際大会ベスト2は『レインボーシックス シージ』競技シーンにおいて初の快挙で、APACチームとしても過去最高の成績を打ち立てました。今後開催が予定されている世界大会の詳細についても発表され、『レインボーシックス シージ エックス』としての新たな始まりを彩る大会となりました。RE:L0:AD 2025 グランドファイナル URL:https://www.youtube.com/live/EI7oJwM31so?si=8eFfFT3IgqQLzehd■BLAST R6 Major開催地:ミュンヘン日程:11月8日 – 16日有観客開催:11月14日 – 16日 (BMW Park Arena)■Six Invitational 2026開催地:パリ日程:2026年2月2日 – 15日有観客開催:2月13日 – 15日『レインボーシックス シージ エックス』 6月10日(※1)に『レインボーシックス シージ』の新たな時代が幕を開けます。『シージ エックス』の配信開始と共に、フリーアクセス、デュアルフロント(6対6の新モード)、刷新されたマップ、破壊可能オブジェクト、進化したラペリング、オーディオの刷新といった広範なアップグレード、改良、洗練が実施されます。『レインボーシックス シージ エックス』は『レインボーシックス シージ』をお持ちの方全員が無料アップグレードとしてお楽しみいただけます。また、無料アクセスが登場し、クイックプレー、アンランク、デュアルフロントが誰でも無料でプレーできるようになります。まずは6月10日には、ライティング、影や解像度が刷新された5つのマップが登場し、各シーズンで3つのマップが対象となる予定です。またオーディオも改良がくわえられ、周囲の情報収集に役立ちます。新たなコミュニケーションホイールで仲間との効果的な連携が可能になり、武器の確認機能でスタイリッシュさのアピールも行えるようになります。さらに、ゲーム内の「Eスポーツ」タブが追加されることが発表されました。このタブでは世界中の注目マッチを簡単に追いかけることができます。新登場のビギナーチャレンジとチュートリアルフローでは、熱心な初心者にゲーム内リワードが提供され、熟練プレーヤーは新たなXPカーブでクリアランスレベルを素早く上げることができます。新登場のキャリア統計データを確認すれば、プレーリストごとの戦績を追跡できます。これにはEスポーツファンの間でプロプレーの測定基準として有名なK.O.S.T.データも含まれます。新プレーリストの「エンリステッド」と「フィールドトレーニング」は新規プレーヤーと復帰プレーヤーそれぞれに向いています。カスタマイズ可能な練習用アリーナとして、本物のプレーヤーの行動を学習したAIボットを相手にフルマップで戦いましょう。ソロでトレーニングするにしても、他のプレーヤーと対戦するにしても、オペレーターの声が以前より頻繁に聞こえるはずです。新たに追加される雑談機能により、キャラクターの性格やキャラクターの関係性が浮かび上がる新規の台詞を聞くことができます。PCプレーヤーは、6月10日の配信に先駆けて実施されるテストサーバーセッションで『シージ エックス』をひと足早く体験できます。このセッションはPC版『レインボーシックス シージ』をお持ちの全プレーヤーが参加可能です。Ubisoft Connectのライブラリに自動的に表示される「テストサーバー」タイルよりご参加いただけます。Year 10シーズン2 「Operation Daybreak」『レインボーシックス シージ エックス』の配信と同時に、Year 10シーズン2「Operation Daybreak」も開幕します。今シーズンにはさまざまなオペレーターのバランス調整、電気ダメージと手足へのダメージに関する変更、CLASHのリマスターなどが登場します。「R6 Shieldguard」および迷惑行為対策今年導入された「R6 Shieldguard」はゲームのセキュリティおよびチート対策ツールが統合されたもので、すべてのプレーヤーが公平にゲームを楽しめるよう「レインボーシックス シージ」チームが開発したものです。シーズン1にて登場した新しいセキュリティハードニング技術により、チート使用者のBAN処分数が増加してチート行為の報告は減少傾向にあります。シーズン2では大規模なセキュリティアップデートを実施予定です。正式稼働した評価システムでは、ネガティブな行動の減少が認められました。これには攻撃的な発言が含まれますが、ゲーム内でのポジティブな行動の増加報告と共に、テキストチャットの使用量は増加しています。シーズン3および4でもこれらの取り組みを継続し、ボイスチャットのモデレーション、評価システムの新アクション、プライバシー設定の改良、放棄ペナルティ、ゲーム内の報告機能などが登場予定です。シーズン3 & 4シーズン3では「ナイトヘイヴン」、「アジト」、「領事館」の3つのマップの刷新版が登場予定です。また、新オペレーターの物語と関連したデュアルフロントの任務変更も行われます。スイス出身のこの防衛オペレーターは、新たな武器を携えてゲームに加わります。シーズン4で『レインボーシックス シージ』は10周年を迎えるため、記念スペシャルイベントを開催予定です。このシーズンではさらに、攻撃オペレーター1名のリマスターと新たな武器が登場します。この武器はリリース時から複数のオペレーターが使用できる初めての武器となります。また、「テーマパーク」と「高層ビル」の刷新に加え、さらにもう1マップの全面見直しも予定されています。 シーズン3および4の詳細は、年内後半にお知らせ予定です。(※1)ヨーロッパ中央時間©2025 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Tom Clancys, Rainbow Six, the Soldier Icon, Ubisoft, and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the U S and/or other countries.
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- 【大会レポート】最年少小学生選手と無冠の帝王が激突!——タイピング日本一を決めるeスポーツ大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025」
- 東プレ主催の国内最大規模の競技タイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025(RTC 2025)」の決勝ステージが4月26日(土)に開催された。▲RTCは2017年から始まり、今年で第6回目の開催となる 総勢9,668名が参加した本大会。予選はウェブ上でタイピング練習が楽しめる「e-typing」を用いて計4回行われ、その中から成績上位者の8名が決勝ステージに選抜される形だ。▲「e-typing」は誰でもプレーできるタイピング練習ができるウェブサイト。期間内なら何度でも予選に挑戦できるというのもRTCならではのレギュレーションだ(https://www.e-typing.ne.jp) 決勝ステージは例年有観客オフライン開催となっているが、今年は競技選手がよりタイピングに集中しやすい環境ということで無観客開催となった。▲会場を盛り上げてくれたのは5名の出演者。左から順に実況解説の篠原光さん、隅野貴裕さん、ゲストの貴島明日香さん、シュウペイさん、寺太勇さん 基本的な競技ルールは下記の通り。特筆すべきはRTC独自ルールの「正確性」だろう。どちらかが正確性95%を下回るかどうかで、戦法も試合展開も全く違ったものになる。タイピングスピードだけでは勝てないのがRTCの妙なのだ。▲トーナメント形式はシングルエリミネーション。正確性によっては速く入力しても負けてしまうことがあるのがRTCの面白いところ。ただ速く入力できればいいという訳ではないのだ 最年少は小学校5年生!個性あふれる8人の選手たち 決勝に進出したのは下記の8名。ベテラン選手から本大会初出場となる期待の若手選手など、個性あふれる選手がそろった。▲決勝ステージのトーナメント表 ▲ゆたゆた選手:小学5年生でありながら優勝候補の一角。今回がRTC初出場だ ▲める選手:若手期待のかな入力戦士。こちらも初出場 ▲まるくん選手:こちらも若手プレーヤー。スピード勝負が得意。RTC初出場となる選手だ ▲Y-i選手:幼い時代から競技タイパーとして活躍したベテラン。3年連続の出場 ▲くわな選手:前回大会2位のベテランタイパー。今大会の優勝候補。『VALORANT』では上位ランク“イモータル2”の実力を持つマルチプレーヤー ▲mulelr選手:大会皆勤賞で上位常連のベテランかな入力使い。今大会の優勝候補 ▲goe選手:前回大会3位でタイピングソフト「寿司打」の3冠王プレーヤー ▲ゆーくん選手:初出場ながら、第2回予選1位に輝いた期待のルーキー そんな強豪ひしめくRTC 2025の大会レポートをお届けしよう。準々決勝:第1試合目から盛り上がりをみせる注目カード 準々決勝となる第1試合から目が離せない対戦カードとなったRTC 2025。特筆すべきは最年少となる小学五年生のゆたゆた選手 vs かな入力の使い手める選手。▲ゆたゆた選手は予選1位通過の優勝候補。対するめる選手は現役の学生でありながら、かな入力の使い手という稀有なプレーヤーである 試合内容は終始ゆたゆた選手が押す形となった。kpm換算(一分間に打ち込む文字数)で1400以上を叩きだす瞬間もあり、実況の篠原さんも思わず舌を巻くような勢いで駆け抜けていく。安定した高速タイピングによってストレート勝ちを決めたゆたゆた選手。今大会が初出場ではあるものの、優勝候補として盤石な雄姿を会場に見せつけた。▲恐ろしいスピードで表示された文章を入力していく両選手。入力が早すぎてお題の文章が読めないレベルだ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=1368s) もうひとつ目が離せない対戦カードは第3試合のくわな選手 vs muller選手。両者ともに優勝候補なため、決勝戦と言われてもおかしくないマッチアップである。▲ローマ字入力 vs かな入力という入力方式の違いも注目ポイントだ 先制を獲ったのはくわな選手。RTC独自ルールである正確性を突く形で、かな入力使いのmuller選手を手玉に取った形だ。その後もくわな選手は正確性を重視した戦法を貫き、2本目も連取していく。しかし3ラウンド目ではくわな選手が正確性を崩してしまい、その隙を突いたmuller選手が1本を返す展開に。ここでくわな選手は戦法をシフト。正確性を敢えて捨て、タイピングスピード主体の戦い方に変えていく。▲4ラウンド目から一変したくわな選手に虚を突かれたのはmuller選手か。正確性を無視したノーガードな戦いに翻弄(ほんろう)され、くわな選手に軍配が上がるシーンが増えてきた(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=4071s) 最終的には4:1でくわな選手が勝利をもぎとったものの、事前予想通りの激しい駆け引きとなった。試合後のインタビューでは「緊張していた割にはお互いに正確性の高い試合が多くて、かなりプレッシャーのかかる内容でした。muller選手が選ぶげんきワード(ワードテーマ)では、かな入力のスピードに歯が立たないと予想していたので、正確性の部分で勝とうという作戦でした」とくわな選手は回答した。くわな選手の柔軟性と、muller選手への対策が光った試合内容となった。なお、第2試合のY-i選手 vs まるくん選手は、途中でY-i選手が返すシーンもあったが4:1でまるくん選手の勝利。第4試合のgoe選手 vs ゆーくん選手は、3、4ラウンドともにデッドヒート。僅差でgoe選手が打ち勝ち、最終的には4:0ストレートで終了となった。▲準々決勝戦後のトーナメント表。上記4名が準決勝戦に駒を進めた 準決勝:三位決定戦までのダイジェスト 準決勝第1試合はゆたゆた選手 vs まるくん選手という初出場同士の対決となった。1500kpmを記録する豪速タイパー同士の戦いは、最終的には4:1でゆたゆた選手が勝利。第2試合は前回大会2位のくわな選手 vs 前回大会3位のgoe選手が激突。第一試合目とは対照的に、正確性も混ぜ合わせた変則的な戦いが繰り広げられ、4:1でくわな選手が勝利した。敗者同士で行われた3位決定戦はルーキー vs ベテラン対決。一体どちらに軍配が上がるのか注目されたマッチアップだったが、いざ始まるとgoe選手が圧巻のパフォーマンスを発揮。まさかの4:0で、goe選手のストレート勝利という結果となった。決勝戦:モンスター小学生と無冠の帝王が躍動 遂にやってきた決勝戦。初出場にて決勝の舞台まで駒を進めたモンスター小学生ゆたゆた選手と、常に優勝候補として奮戦し続けてきた無冠の帝王くわな選手が並び立った。決勝戦はBo9(5本先取)と長丁場な戦いとなるため、より集中力や正確性が求められるのも注目だ。▲全力を出し切りたいと語るゆたゆた選手 ▲今まで超えられなかった決勝戦の壁を越えたいと語るくわな選手 まずは先手を取ったのはゆたゆた選手。シンプルなスピード勝負に持ち込んだことで怒涛の2連取を達成。好調な出だしとなった。▲若さあふれるスピーディーな入力で無冠の帝王に立ちはだかるゆたゆた選手(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=11285s) このままゆたゆた選手が勝利をもぎ取るのかと思いきや、3ラウンド目になって潮目が変わる。くわな選手の持ち味である柔軟性が発揮され、正確性重視の試合運びにシフトする。スピードは相変わらずの速度を誇っていたゆたゆた選手だが、堅実に95%以上をキープしたくわな選手が徐々に返していく展開に。▲怒濤の追い上げでマッチポイントを迎えたくわな選手。7ラウンド目では今大会最速に近い1569kpmを叩きだすシーンも(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=GyuwBshab5nPq-3C&t=11981) 結果は5:2と一気にギアを上げたくわな選手の逆転勝利となった。▲3年来の悲願をついに達成したくわな選手。感無量の表情が画面越しからも伝わる 試合終了直後のインタビューでくわな選手は「何も考えられなくて——無我夢中で目の前のワードと向き合っていました」と決勝戦での心情を吐露し「実感が湧いてなくて、不思議な感じです」と自身の優勝に関してもまだ身に沁み切っていない様子だった。興奮冷めやらないとは正にこのことか。身体に溜まり切った熱を放出するかのように、何度も天を仰いでいた。一方で決勝戦については「緊張しました」と語るゆたゆた選手。初出場のRTCに関しても「楽しめた」と返答し、「正確性が少し低いので、もっと正確性を高くする練習をしたいです」と、さっそく現状の改善点と今後の練習内容についてもふれていた。これには解説の隅野さんも「来年が怖いですね」と満面の笑み。将来有望なモンスター小学生。負けてなお天晴れな受け答えであった。くわな選手、ゆたゆた選手のショートインタビューをお届け 最後に、試合を終えた両選手にインタビューを実施したので、その様子をお届けしよう。準優勝:ゆたゆた選手 ショートインタビュー ▲優勝はできなかったものの、晴れやかな表情のゆたゆた選手 ——準優勝おめでとうございます! 今のご気分はいかがですか?ゆたゆた:うれしいです。——初出場で準優勝しましたが、普段は何時間ほど練習をしているのでしょうか。ゆたゆた:あまり意識はしてないですが、いつもは2〜3時間くらいタイピング練習をしてます。土日は多分8時間くらいやっています。——普段の練習ではどのようなソフトを使っているのでしょうか。ゆたゆた:タイピングチューブ、ポップタイピング、打鍵トレーナーなどを使っています。——RTC 2025は素晴らしい結果となりましたが、来年も参加しますか?ゆたゆた:はい、来年も出たいです——ゆたゆた選手、ありがとうございました!優勝 くわな選手 ショートインタビュー ▲優勝トロフィーである黄金のキーボードを掲げるくわな選手 ——優勝おめでとうございます。今大会に向けてどのような練習を実践してきましたか?くわな:大会直前の期間だと、平日は多くても3時間ほど練習していました。休日はなかなか体力も持たないこともあって6時間が限度でした。——競技タイピングを始めたのは大体何歳の頃からでしょうか?くわな:小学校2年生の頃から競技としてタイピングをさわり続けているので、20年ほど続けています。——20年も続けているんですね!大会での優勝経験はRTC2025が初となるのでしょうか。くわな:学生の頃は年齢別タイピング大会で優勝経験などもあったんですけれど、社会人になってからは今回のRTC 2025が初めての優勝になります。——くわな選手自身の強みはどのような所にあると思いますか?くわな:自分の強みは相手を分析して戦い方を変えられることです。普段は『VALORANT』というゲームをプレーしているんですが、そちらの方では相手の弱点を突くようにプレーしているので、そういった思考法をタイピング競技でも応用してます。——今回RTC優勝を達成しましたが、来年以降の目標などはあったりしますか?くわな:実は正直迷っていて……。年齢的にもかなり限界に近付いているので、来年以降についてはまだ決めてはいません。だからこそ今回の優勝はうれしくてたまらなかったですね。——インタビューありがとうございました!まとめ これにてRTC 2025は閉幕となった。振り返ってみると今期のRTCは、転換点ともいえる大会だったかもしれない。RCTといってまず思い浮かぶ選手は4連覇を達成したmiri選手、そして2024年度に優勝した三八木選手だろう。これらの歴代チャンピオンがRTC 2025では不参加となってしまったのだが、だからこそ初出場者だらけの新風吹き荒れるRTCになったともいえる。また今回は一般向けの観戦者を入れずにスタジオ内で大会を開催した。こういった形式も今までのRTCとは異なっている。よりフォーマルな大会として、番組制作を意識した座組になっているといえよう。そして途中のエキシビションマッチもしかり、猫麦とろろさんの登場もしかり、より広い層に大会の面白さを伝えたいという制作側の強い想いを感じる。RTCも時勢の波に合わせて変化・進化していくしかない。そういった意味では今年のRTCはまず間違いなく成功した年なのではないだろうか。こうなってくると来年のRTCにも同様の期待を抱かざるを得ない。どういった変化をもってタイピング競技の裾野を広げ、拡張していくのか。来年もまた注目の年になりそうだ。【番外編】裾野を広げるエキシビションマッチ実は本大会ではゲスト同士がタイピングで戦うエキシビションマッチも開催された。選手たちのすごさやタイピングの面白さを実感するために、司会陣4人が肌を脱いだ形だ。こういった大会で司会陣全員がプレーヤーとして参加するのはなかなか珍しい試みかもしれないが、RTCの裾野を広げる上では重要な試みともいえる。▲スペシャルマッチとしてしっかりとトーナメント形式で実施されたエキシビションマッチ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=7811s) ちなみに解説の隅野さんは別格の存在なので、このエキシビションマッチではプレーヤーとしては参加せず解説に徹した。▲観戦枠には特別ゲストとしてVTuberの猫麦とろろさんも参加 観戦者からの野次にたじたじな様子の篠原さんだったが、どうにか優勝。終始和やかな雰囲気の中、エキシビションマッチは終了した。▲決勝戦はタイピング歴のある貴島明日香さんと篠原さんの対決。試合中ヤジが飛ぶという前代未聞の環境に篠原さんもたじたじ。こういった遊び心があるのもエキシビションマッチならでは(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=8852s) 試合中に「なぜテレビ局を辞めたのですか?」という野次には動揺を隠せず「それっ、結構クリティカルなやつっ!」と思わず言葉に詰まったシーンも(笑)。こういった遊び心を持ちつつも、知名度向上にも目を向けているのがRTC 2025のスタイルだ。 ■関連リンクREALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025 アーカイブ:https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=TzzR-LfyQW9f-2VLREALFORCE 公式ウェブサイト:https://www.realforce.co.jpREALFORCE 公式X:https://x.com/TOPRE_REALFORCE撮影:gappo3編集:いのかわゆうgappo3 プロフィール『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。X:https://x.com/gappo3gappo3
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- 【大会レポート】最年少小学生選手と無冠の帝王が激突!——タイピング日本一を決めるeスポーツ大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025」
- 東プレ主催の国内最大規模の競技タイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025(RTC 2025)」の決勝ステージが4月26日(土)に開催された。▲RTCは2017年から始まり、今年で第6回目の開催となる 総勢9,668名が参加した本大会。予選はウェブ上でタイピング練習が楽しめる「e-typing」を用いて計4回行われ、その中から成績上位者の8名が決勝ステージに選抜される形だ。▲「e-typing」は誰でもプレーできるタイピング練習ができるウェブサイト。期間内なら何度でも予選に挑戦できるというのもRTCならではのレギュレーションだ(https://www.e-typing.ne.jp) 決勝ステージは例年有観客オフライン開催となっているが、今年は競技選手がよりタイピングに集中しやすい環境ということで無観客開催となった。▲会場を盛り上げてくれたのは5名の出演者。左から順に実況解説の篠原光さん、隅野貴裕さん、ゲストの貴島明日香さん、シュウペイさん、寺太勇さん 基本的な競技ルールは下記の通り。特筆すべきはRTC独自ルールの「正確性」だろう。どちらかが正確性95%を下回るかどうかで、戦法も試合展開も全く違ったものになる。タイピングスピードだけでは勝てないのがRTCの妙なのだ。▲トーナメント形式はシングルエリミネーション。正確性によっては速く入力しても負けてしまうことがあるのがRTCの面白いところ。ただ速く入力できればいいという訳ではないのだ 最年少は小学校5年生!個性あふれる8人の選手たち 決勝に進出したのは下記の8名。ベテラン選手から本大会初出場となる期待の若手選手など、個性あふれる選手がそろった。▲決勝ステージのトーナメント表 ▲ゆたゆた選手:小学5年生でありながら優勝候補の一角。今回がRTC初出場だ ▲める選手:若手期待のかな入力戦士。こちらも初出場 ▲まるくん選手:こちらも若手プレーヤー。スピード勝負が得意。RTC初出場となる選手だ ▲Y-i選手:幼い時代から競技タイパーとして活躍したベテラン。3年連続の出場 ▲くわな選手:前回大会2位のベテランタイパー。今大会の優勝候補。『VALORANT』では上位ランク“イモータル2”の実力を持つマルチプレーヤー ▲mulelr選手:大会皆勤賞で上位常連のベテランかな入力使い。今大会の優勝候補 ▲goe選手:前回大会3位でタイピングソフト「寿司打」の3冠王プレーヤー ▲ゆーくん選手:初出場ながら、第2回予選1位に輝いた期待のルーキー そんな強豪ひしめくRTC 2025の大会レポートをお届けしよう。準々決勝:第1試合目から盛り上がりをみせる注目カード 準々決勝となる第1試合から目が離せない対戦カードとなったRTC 2025。特筆すべきは最年少となる小学五年生のゆたゆた選手 vs かな入力の使い手める選手。▲ゆたゆた選手は予選1位通過の優勝候補。対するめる選手は現役の学生でありながら、かな入力の使い手という稀有なプレーヤーである 試合内容は終始ゆたゆた選手が押す形となった。kpm換算(一分間に打ち込む文字数)で1400以上を叩きだす瞬間もあり、実況の篠原さんも思わず舌を巻くような勢いで駆け抜けていく。安定した高速タイピングによってストレート勝ちを決めたゆたゆた選手。今大会が初出場ではあるものの、優勝候補として盤石な雄姿を会場に見せつけた。▲恐ろしいスピードで表示された文章を入力していく両選手。入力が早すぎてお題の文章が読めないレベルだ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=1368s) もうひとつ目が離せない対戦カードは第3試合のくわな選手 vs muller選手。両者ともに優勝候補なため、決勝戦と言われてもおかしくないマッチアップである。▲ローマ字入力 vs かな入力という入力方式の違いも注目ポイントだ 先制を獲ったのはくわな選手。RTC独自ルールである正確性を突く形で、かな入力使いのmuller選手を手玉に取った形だ。その後もくわな選手は正確性を重視した戦法を貫き、2本目も連取していく。しかし3ラウンド目ではくわな選手が正確性を崩してしまい、その隙を突いたmuller選手が1本を返す展開に。ここでくわな選手は戦法をシフト。正確性を敢えて捨て、タイピングスピード主体の戦い方に変えていく。▲4ラウンド目から一変したくわな選手に虚を突かれたのはmuller選手か。正確性を無視したノーガードな戦いに翻弄(ほんろう)され、くわな選手に軍配が上がるシーンが増えてきた(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=4071s) 最終的には4:1でくわな選手が勝利をもぎとったものの、事前予想通りの激しい駆け引きとなった。試合後のインタビューでは「緊張していた割にはお互いに正確性の高い試合が多くて、かなりプレッシャーのかかる内容でした。muller選手が選ぶげんきワード(ワードテーマ)では、かな入力のスピードに歯が立たないと予想していたので、正確性の部分で勝とうという作戦でした」とくわな選手は回答した。くわな選手の柔軟性と、muller選手への対策が光った試合内容となった。なお、第2試合のY-i選手 vs まるくん選手は、途中でY-i選手が返すシーンもあったが4:1でまるくん選手の勝利。第4試合のgoe選手 vs ゆーくん選手は、3、4ラウンドともにデッドヒート。僅差でgoe選手が打ち勝ち、最終的には4:0ストレートで終了となった。▲準々決勝戦後のトーナメント表。上記4名が準決勝戦に駒を進めた 準決勝:三位決定戦までのダイジェスト 準決勝第1試合はゆたゆた選手 vs まるくん選手という初出場同士の対決となった。1500kpmを記録する豪速タイパー同士の戦いは、最終的には4:1でゆたゆた選手が勝利。第2試合は前回大会2位のくわな選手 vs 前回大会3位のgoe選手が激突。第一試合目とは対照的に、正確性も混ぜ合わせた変則的な戦いが繰り広げられ、4:1でくわな選手が勝利した。敗者同士で行われた3位決定戦はルーキー vs ベテラン対決。一体どちらに軍配が上がるのか注目されたマッチアップだったが、いざ始まるとgoe選手が圧巻のパフォーマンスを発揮。まさかの4:0で、goe選手のストレート勝利という結果となった。決勝戦:モンスター小学生と無冠の帝王が躍動 遂にやってきた決勝戦。初出場にて決勝の舞台まで駒を進めたモンスター小学生ゆたゆた選手と、常に優勝候補として奮戦し続けてきた無冠の帝王くわな選手が並び立った。決勝戦はBo9(5本先取)と長丁場な戦いとなるため、より集中力や正確性が求められるのも注目だ。▲全力を出し切りたいと語るゆたゆた選手 ▲今まで超えられなかった決勝戦の壁を越えたいと語るくわな選手 まずは先手を取ったのはゆたゆた選手。シンプルなスピード勝負に持ち込んだことで怒涛の2連取を達成。好調な出だしとなった。▲若さあふれるスピーディーな入力で無冠の帝王に立ちはだかるゆたゆた選手(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=11285s) このままゆたゆた選手が勝利をもぎ取るのかと思いきや、3ラウンド目になって潮目が変わる。くわな選手の持ち味である柔軟性が発揮され、正確性重視の試合運びにシフトする。スピードは相変わらずの速度を誇っていたゆたゆた選手だが、堅実に95%以上をキープしたくわな選手が徐々に返していく展開に。▲怒濤の追い上げでマッチポイントを迎えたくわな選手。7ラウンド目では今大会最速に近い1569kpmを叩きだすシーンも(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=GyuwBshab5nPq-3C&t=11981) 結果は5:2と一気にギアを上げたくわな選手の逆転勝利となった。▲3年来の悲願をついに達成したくわな選手。感無量の表情が画面越しからも伝わる 試合終了直後のインタビューでくわな選手は「何も考えられなくて——無我夢中で目の前のワードと向き合っていました」と決勝戦での心情を吐露し「実感が湧いてなくて、不思議な感じです」と自身の優勝に関してもまだ身に沁み切っていない様子だった。興奮冷めやらないとは正にこのことか。身体に溜まり切った熱を放出するかのように、何度も天を仰いでいた。一方で決勝戦については「緊張しました」と語るゆたゆた選手。初出場のRTCに関しても「楽しめた」と返答し、「正確性が少し低いので、もっと正確性を高くする練習をしたいです」と、さっそく現状の改善点と今後の練習内容についてもふれていた。これには解説の隅野さんも「来年が怖いですね」と満面の笑み。将来有望なモンスター小学生。負けてなお天晴れな受け答えであった。くわな選手、ゆたゆた選手のショートインタビューをお届け 最後に、試合を終えた両選手にインタビューを実施したので、その様子をお届けしよう。準優勝:ゆたゆた選手 ショートインタビュー ▲優勝はできなかったものの、晴れやかな表情のゆたゆた選手 ——準優勝おめでとうございます! 今のご気分はいかがですか?ゆたゆた:うれしいです。——初出場で準優勝しましたが、普段は何時間ほど練習をしているのでしょうか。ゆたゆた:あまり意識はしてないですが、いつもは2〜3時間くらいタイピング練習をしてます。土日は多分8時間くらいやっています。——普段の練習ではどのようなソフトを使っているのでしょうか。ゆたゆた:タイピングチューブ、ポップタイピング、打鍵トレーナーなどを使っています。——RTC 2025は素晴らしい結果となりましたが、来年も参加しますか?ゆたゆた:はい、来年も出たいです——ゆたゆた選手、ありがとうございました!優勝 くわな選手 ショートインタビュー ▲優勝トロフィーである黄金のキーボードを掲げるくわな選手 ——優勝おめでとうございます。今大会に向けてどのような練習を実践してきましたか?くわな:大会直前の期間だと、平日は多くても3時間ほど練習していました。休日はなかなか体力も持たないこともあって6時間が限度でした。——競技タイピングを始めたのは大体何歳の頃からでしょうか?くわな:小学校2年生の頃から競技としてタイピングをさわり続けているので、20年ほど続けています。——20年も続けているんですね!大会での優勝経験はRTC2025が初となるのでしょうか。くわな:学生の頃は年齢別タイピング大会で優勝経験などもあったんですけれど、社会人になってからは今回のRTC 2025が初めての優勝になります。——くわな選手自身の強みはどのような所にあると思いますか?くわな:自分の強みは相手を分析して戦い方を変えられることです。普段は『VALORANT』というゲームをプレーしているんですが、そちらの方では相手の弱点を突くようにプレーしているので、そういった思考法をタイピング競技でも応用してます。——今回RTC優勝を達成しましたが、来年以降の目標などはあったりしますか?くわな:実は正直迷っていて……。年齢的にもかなり限界に近付いているので、来年以降についてはまだ決めてはいません。だからこそ今回の優勝はうれしくてたまらなかったですね。——インタビューありがとうございました!まとめ これにてRTC 2025は閉幕となった。振り返ってみると今期のRTCは、転換点ともいえる大会だったかもしれない。RCTといってまず思い浮かぶ選手は4連覇を達成したmiri選手、そして2024年度に優勝した三八木選手だろう。これらの歴代チャンピオンがRTC 2025では不参加となってしまったのだが、だからこそ初出場者だらけの新風吹き荒れるRTCになったともいえる。また今回は一般向けの観戦者を入れずにスタジオ内で大会を開催した。こういった形式も今までのRTCとは異なっている。よりフォーマルな大会として、番組制作を意識した座組になっているといえよう。そして途中のエキシビションマッチもしかり、猫麦とろろさんの登場もしかり、より広い層に大会の面白さを伝えたいという制作側の強い想いを感じる。RTCも時勢の波に合わせて変化・進化していくしかない。そういった意味では今年のRTCはまず間違いなく成功した年なのではないだろうか。こうなってくると来年のRTCにも同様の期待を抱かざるを得ない。どういった変化をもってタイピング競技の裾野を広げ、拡張していくのか。来年もまた注目の年になりそうだ。【番外編】裾野を広げるエキシビションマッチ実は本大会ではゲスト同士がタイピングで戦うエキシビションマッチも開催された。選手たちのすごさやタイピングの面白さを実感するために、司会陣4人が肌を脱いだ形だ。こういった大会で司会陣全員がプレーヤーとして参加するのはなかなか珍しい試みかもしれないが、RTCの裾野を広げる上では重要な試みともいえる。▲スペシャルマッチとしてしっかりとトーナメント形式で実施されたエキシビションマッチ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=7811s) ちなみに解説の隅野さんは別格の存在なので、このエキシビションマッチではプレーヤーとしては参加せず解説に徹した。▲観戦枠には特別ゲストとしてVTuberの猫麦とろろさんも参加 観戦者からの野次にたじたじな様子の篠原さんだったが、どうにか優勝。終始和やかな雰囲気の中、エキシビションマッチは終了した。▲決勝戦はタイピング歴のある貴島明日香さんと篠原さんの対決。試合中ヤジが飛ぶという前代未聞の環境に篠原さんもたじたじ。こういった遊び心があるのもエキシビションマッチならでは(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=8852s) 試合中に「なぜテレビ局を辞めたのですか?」という野次には動揺を隠せず「それっ、結構クリティカルなやつっ!」と思わず言葉に詰まったシーンも(笑)。こういった遊び心を持ちつつも、知名度向上にも目を向けているのがRTC 2025のスタイルだ。 ■関連リンクREALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025 アーカイブ:https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=TzzR-LfyQW9f-2VLREALFORCE 公式ウェブサイト:https://www.realforce.co.jpREALFORCE 公式X:https://x.com/TOPRE_REALFORCE撮影:gappo3編集:いのかわゆうgappo3 プロフィール『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。X:https://x.com/gappo3gappo3
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- 【結果速報 5月18日】「Asian Champions League 2025」優勝はときど! 2位のひぐち、3位のもけがEWC出場権獲得!
- 中国・上海で開催中の「Asian Champions League 2025」ストリートファイター6部門のDAY2が2025年5月18日(日)に開催され、ときど選手(REJECT ROATZ!)がひぐち選手(ZETA DIVISION)を3-1で下し優勝を果たした。「Asian Champions League 2025」はDreamHack Shanghai内で行われたeスポーツ大会。上位2名まで「Esports World Cup」への出場権もかかっている。18日(日)はトップ8によるダブルエリミネーショントーナメントが行われ、ウイナーズサイドから勝ち続けたときど選手が優勝を果たした。なお、「EWC」への出場権は上位2名までだが、ときど選手は「CAPCOM CUP 11」の戦績によりすでに出場権を持っていることから、2位のひぐち選手に加えて、3位のもけ選手が繰り下がりで出場権を獲得することとなった。Asian Champions League 2025 ストリートファイター6部門 最終結果 順位 選手(チーム) 賞金・賞品 優勝 ときど(REJECT RHOATZ!) 3万ドル 2位 ひぐち(ZETA DIVISION) 6000ドル+EWC出場権 3位 もけ(FAV gaming) 4500ドル+EWC出場権 4位 Jr.(RIDDLE ORDER) 3000ドル 5位 Rainpro 1800ドル 5位 ヒカル(ZETA DIVISION) 1800ドル 7位 CABA(BANDITS) 450ドル 7位 やまぐち(ZETA DIVISION) 450ドル ※ときど選手はEWC出場権を獲得しているため、権利が繰り下がって適用された ©CAPCOM■配信URLDay1 日本時間 5月17日(土)11:45~YouTube:https://youtube.com/live/NlXfEdieKoQTwitch:https://www.twitch.tv/capcomfighters_jpDay2(決勝) 日本時間 5月18日(日)11:45~YouTube:https://youtube.com/live/2h701TmYy80Twitch:https://www.twitch.tv/capcomfighters_jp※大会の進行状況によっては配信開始時間が前後する可能性あり【リンク】START.GG:https://www.start.gg/tournament/hero-esports-asian-champions-league-2/event/street-fighter-6-ewc-qualifier/overviewACL ストリートファイター6 トーナメントルール:https://www.esportsacl.com/rule-regulations?id=1000023&type=0DreamHack Shanghai:https://dreamhack.com/dreamhack-shanghai/