【現地レポート+インタビュー】ceros「スト6もLoLにも共通点がある」——セコンドシステムを導入したRAGE初の『スト6』公式大会は別ゲー出身プレーヤーが大健闘!
提供元: eSports World
別タイトル出身のプレーヤーが大活躍!
参加するのは赤見かるび選手、天鬼ぷるる選手、ありけん選手、XQQ選手、おぼ選手、如月れん選手、ザクレイ選手、SHAKA選手、しんじ選手、ceros選手、Zerost選手、たいじ選手、高木選手、蛇足選手、ドンピシャ選手、よしなま選手と、いずれも『スト6』をやりこんだ猛者ぞろいです。
すべての選手が注目選手ともいえますが、その中でもピックアップしたいのが、少し前まで他のタイトルのプロゲーマーやコーチをしていた転向組です。XQQ選手はZETA DIVISIONの『VALORANT』部門で昨年までコーチをしていました。
ceros選手はDetonatioN FocusMeの『League of Legends(LoL)』部門で選手、コーチを10年以上続けていました。
転向というわけではないですが、『大乱闘スマッシュブラザーズ』のトッププレーヤーであるザクレイ選手も『スト6』がメインストリームではないことを考えると他ゲー出身者としての実力が期待されます。
しかも、この3人はこれまで『スト6』界隈では目立った活躍はなく、いきなり登場した感もあるので、その実力の高さがどの程度であるのかが気になります。前情報としてceros選手が最高位であるMasterランクのみのランキングであるマスターレートが2000を超えており、さらにマスターランクの上位数パーセントの人にしか与えられない特別称号のLegendを取得しているとのことなので、初登場ながらいきなり優勝候補と言える存在です。
大会はダブルエリミネーショントーナメントとなっていますが、会場には3つの対戦ステージを用意。ベスト6まではブルーステージとレッドステージのふたつで同時に試合が行われ、好きなステージの周りに移動して観戦するスタイルを取っています。総合格闘技のオクタゴンリングの周りに観客が集まるような感じになっており、より近くで選手を応援することができます。
TOP6以降はメインステージでの対戦となります。ここからいわゆるオフライン大会と同じような観戦形式となるわけです。また、レッドステージとブルーステージのどちらかが配信されており、会場内でもメインステージの大型スクリーンに映し出されており、試合をよりじっくり観たい人はメインステージのスクリーンで観戦できるようになっています。
試合中にプロ選手がコーチするセコンドシステムは大成功
今回の特殊なルールとしては、セコンドをつけられること。ストリーマーが『スト6』を練習する際によくプロ選手がコーチをすることがありますが、今回は試合中に横に座ることができ、適時アドバイスをすることができます。ストリートファイターリーグなどでも、インターバルを取ることができ、仲間からアドバイスが受けられるようになっており、セコンドシステムはかなり重要なシステムだといえます。当事者が気づきにくい客観的なアドバイスをすることで、不利な状況を打破する可能性は十分にあるわけです。
試合はウイナーズサイドでceros選手とたいじ選手が順当に勝ち上がり、ウイナーズファイナルを迎えます。たいじ選手はストリーマーの中でも屈指の実力者として認められた存在です。先に行われたイベント「ときどNURO光で生対戦」でも、ときど選手にあと一歩まで追い詰めるなど、プロゲーマー界隈でも話題の選手です。
また、転向組の話がありましたが、たいじ選手は『スプラトゥーン2』で日本一となり、『実況パワフルプロ野球』の「eBASEBALL プロリーグ」では読売ジャイアンツの一員として、これまた日本一を経験しています。まさにどのタイトルをプレーさせても実績を残す腕前を持っています。
マスターレート的にはceros選手の方が上ですが、大会などの実戦経験はたいじ選手が上です。アグレッシブなcerosラシードを徐々に対応していったたいじJPが勝利します。
ルーザーズサイドではありけん選手、ドンピシャ選手、おぼ選手、ザクレイ選手がceros選手の待つルーザーズファイナルを目指します。ここで勝ち抜けたのはありけんダルシム。レアキャラダルシムを駆使し、数々の強豪を打ち倒し、ルーザーズファイナルまで駆け上りました。しかし、そこで待つのはcerosラシード。ダルシムにとってラシードは苦手な相手。ceros選手とのレート差もあり、ceros選手が勝利し、再びたいじ選手との対戦となりました。
グランドファイナルはcerosラシードのCA2の「イウサール」がことごとく機能し、なんと3:0のストレートでリセットを果たします。勢いに乗るceros選手がこのままグランドファイナルリセットも取り切るかと思いましたが、たいじ選手が相手の攻撃の起点であるラッシュを止めるなど、さまざまな対応を見せ、今度は3:0ストレートで取り返しました。これでたいじ選手が優勝です。
ceros選手インタビュー
最後に、今回、惜しくも準優勝となりましたが、大会を盛り上げ、『スト6』の新たなプレーヤーとしての存在感を示したceros選手に話を聞いてきました。
——準優勝おめでとうございます。ceros選手といえば、『LoL』のトッププレーヤーとして長年君臨してきたわけですが、『LoL』以外のタイトルを始めようとしたきっかけはなんでしょうか。
ceros:格闘ゲーム自体は『ストリートファイターIV(ストIV)』の頃からプレーしていました。その当時は2~3日に1回、1~2時間程度やっていただけで、本格的にやりこむと言うよりは単純にゲームを楽しんでいました。
『ストIV』をプレーしたきっかけは、チームメートのゆたぽんがやっていたことですね。『ストIV』時代はプレーよりも大会を観る方が楽しみでした。『ストIV』としての最後のCAPCOM CUPのウメハラ選手とかずのこ選手の対戦が印象的で今でも覚えています。
『ストリートファイターV(ストV)』になって、『ストIV』時代よりやりこみはしましたが、それでもダイヤ帯に到達したくらいでしたね。
本格的に始めたのは『スト6』からです。その頃、いろんなタイトルをさわってみていて、『スト6』はすごく盛り上がっていたので、やってみようかと。『スト6』は格ゲーの仕組みが良くわかる作りでしたし、ランクマッチのシステムも良くできており、うまくなるための環境が斬新でしたね。これまで取り組んでいた『LoL』はチーム戦だったので、ソロゲーであるところも新鮮な気持ちで取り組めました。
——プロ選手時代から格ゲーにはふれていたんですね。格ゲーが『LoL』に与えた影響とか、またその逆はありましたでしょうか。
ceros:そうですね。人と対戦するというところは当然共通点としてありました。そこは『LoL』も『スト6』も似通った部分があると思います。プロ選手時代に格ゲーにさわっていたことで『LoL』に生かせたのは、時間間隔ですね。
格ゲーってフレームが重要じゃないですか。反撃していいとか、ガードした方がいいとか、どっちが有利とか。『LoL』でも、このチャンピオンの攻撃は見てから避けることができるから、しっかり見ようとか、この攻撃は見てから避けるのは無理だから、ある程度、読みや予測で動こうとか、そういう感じで対処できるようになりました。
——『スト6』でLegendの称号を得るのは、上位勢でもトップクラスにいないとできないですが、その腕前を持って『スト6』の競技シーンを目指していくのでしょうか。
ceros:現状ではプロを目指します!と大手を振っていえることはできませんが、機会があれば、公式のオープントーナメントには出てみたいですね。
今はストリーマーとして活動しているので、『スト6』をプレーするモチベーションは高いんですけど、それ1本だけでやっていくというわけにはいかないですね。個人的にもいろいろやって行きたいと思っています。『LoL』の解説動画も続けて欲しいという声もあり、求められていることには応えていきたいですね。
——個人戦の格ゲーだと、一度引退した選手や他のゲームで活躍した選手が活躍して注目を浴びやすいですが、チーム戦だとほぼ復帰できない状況にあるといえます。チーム戦でも復帰しやすくなるにはどうしたらいいでしょうか。
ceros:オープントーナメントで実績を作れば、プロシーンも行けると思います。チーム戦だとプロリーグに参加しているチームでないとプロゲーマーとして活動できるチャンスはないですので、認められるチャンスは少ないかもですが、それでもランクマッチでレートが高いプレーヤーであることなど、実力を示せることができれば、目にとまるのではないでしょうか。
——今回、セコンドシステムが導入されましたが、これについては体験してみて、どう感じましたでしょうか。
ceros:いいですね。コーチングの面からいうと、これまで独学でプレーしてきたので、プロがより明確なアドバイスをくれるのは大きいですね。
試合中のセコンドとしては、いろいろなタイプがいると思います。私についてくれた竹内ジョン選手はセコンドについた時は放任主義で基本的に任せてくれました。人によってはセットごとにアドバイスする人もいましたね。試合中はヘッドセットをしているので、セコンドの声は基本的に届かないんですけど、選手の中にはヘッドセットを片耳外して、試合中もセコンドの声を聞こえるようにしていました。
——ありがとうございました。
———
今回はストリーマーのみの大会ながら、本気度の高い大会でした。それもこれも、『スト6』をプレーしているストリーマーの多くが『スト6』に真剣に取り組み、勝ちたいと言う意思を全面に押し出していたからだと思います。今後もストリーマーNo.1を目指す大会としてRAGEが存在する可能性はあります。ともすれば、芸能人No.1や女性プレーヤーNo.1など、さまざまな限定大会としてRAGEが開催してくれるかも知れません。
■関連リンク
RAGE STREET FIGHTER公式:
https://rage-esports.jp/street-fighter/2024/
公式X:
https://twitter.com/SF6_RAGE
配信アーカイブ:
https://www.youtube.com/watch?v=NDL-h2z-L5U
撮影:岡安学
編集:いのかわゆう
【岡安学 プロフィール】
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)
X:@digiyas
eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。さまざまなゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)
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