『VALORANT』のオフシーズンイベント「Red Bull Home Ground」が、11月3日(金)〜5日(日)にかけて、相撲の聖地である東京・両国国技館でが開催された。
国内外の6つの招待チームと、日本・EMEA地域の各予選を勝ち上がった2チームが、優勝トロフィーをかけて競い合う、両国国技館全体をeスポーツの会場にしてしまうという史上初の試みだ。そんな斬新な本大会の様子を、余すところなくレポートしよう。

■スケジュール
11月3日(金):スイスドロー予選
11月4日(土):トーナメント①
11月5日(日):トーナメント②(準決勝・決勝)
■出場チーム ※()は略称
🇬🇧FNATIC(FNC)
🇺🇸Cloud9(C9)
🇰🇷DRX(DRX)
🇯🇵ZETA DIVISION(ZETA)
🇯🇵SCARZ(SZ)
🇺🇸100 Thieves(100T)
🇯🇵FENNEL(FL)― 日本予選勝者
🇹🇷FUT Esports(FUT)― EMEA予選勝者

ご存じの通り、今回の大会会場は両国国技館。言わずと知れた、大相撲の本拠地だ。話を聞いてみると選手・観客ともに、国技館に初めて訪れたという人も多かった。かくいう筆者もここに来るのはまったくの初めてだ。
まさか、人生初の国技館が『VALORANT』の大会になるとは思いもしなかったのだが、「eスポーツ×相撲」という前代未聞の組み合わせが生み出す独特な雰囲気には思わず息を吞んだ。
会場内には、当然だが相撲に関係する掲示や演出が盛りだくさん。会場をぶらぶらと歩くだけでも、新鮮な気持ちになれる。


入口には、屋台のようにずらりと並ぶチームブースと、大会のロゴが大きく描かれたパネル。チームによって内容はさまざまだが、グッズの販売が行われていたり、選手が登場して交流会を行ったりするなど、さまざまな催しが行われる。パネルは絶好の写真撮影スポットで、観客の方は足を止めて記念撮影を楽しんでいた。




国技館×eスポーツ
国技館といえば、大迫力で大相撲が観戦できるタマリ席に、ゆっくりとくつろげるマス席、俯瞰で全体を見渡せる2階席など、さまざまな座席があるのが特徴。もちろん「Red Bull Home Ground」でもその名残は健在だ。
ステージの周囲をぐるっと囲むように配置されたアリーナ席は、選手の会話や叫び声が生で聞こえてくる特等席だ。ただしステージ上部に用意された大型スクリーンは、アリーナ席の真上付近にあるため、かなり見上げないと見えない。そんなアリーナ席に用意されたのが前方にある数枚のモニター。アリーナ席でも普段のように試合を見届けることができたのはうれしい配慮だ。

アリーナ席では、選手の名前の声がかなり聞こえ、会場の中でも最も熱狂したエリアだっただろう。選手入場の花道に近い席では、選手とのハイタッチもできる。多くの観客が食い入るようにモニターを見つめており、しっかりと鑑賞したい人には最高の席だったともいえる。

ちなみにアリーナ席は1日7,000円。選手に近い席なだけに価格も高めだ。
マス席は、四角く区切られたスペースに座布団を敷いて観戦する、大相撲ではおなじみの座席。「Red Bull Home Ground」でも、座布団が用意されたマス席は健在だ。

マス席は席単位でチケットを購入するため、ひとりでも最大の4人でも価格は変わらない。1席24,000円で、4人で利用すればひとりあたり6,000円の価格となる。3人以下だとかなりゆったりとできる印象で、足を伸ばしてくつろいでいる人や、寝転んで観戦している人もいて、アリーナ席などの椅子席とは違った観戦ができるのが魅力だ。

複数日程で来場した方は、1日目は升席、2日目はアリーナ席といった感じで、その日ごとに座席の種類を変えているようだった。ゆったりと見るか、しっかりと見るか、その席ごとに観戦スタイルが異なっていて、新鮮な気分を味わえることは間違いない。
会場を全体で楽しめるのが2階席の醍醐味。肉眼で選手の表情を確認するのは難しいが、それでも全体的な熱量を感じ取ることができるのはうれしいポイント。

2階席は1席6,000円〜7,000円とアリーナ席とあまり変わらない。こうしてみると「Red Bull Home Ground」では座席による価格差はあまりないようにも感じられた。
選手が突然登場!
会場の至るところ、特に選手たちが出入りする関係者入り口の付近で、ゲリラ的なファンミーティングが頻繁に行われていた。突如として現れた選手たちに、偶然居合わせた観客たちは歓喜。選手の後ろに列をつくり、順番に写真撮影やサインなどを楽しんでいた。


チームブースでも選手との交流会が定期的に行われた。各チームのX(旧Twitter)で開催が告知され、その時間のかなり前から既に列が形成されていた。

ここからは会場内の雰囲気をお伝えしていこう。会場ではうっすらとスモークが焚かれていて、照らされるスポットライトの道筋がしっかりと見える。赤と青を基調にした照明に加え、試合中、特に選手が活躍したときには、スポットライトが会場全体を照らす。言葉よりも実際に写真を見てもらったほうがわかりやすいだろうが、ひと言で表すなら「神秘的」だ。

2日目には、ラッパーのOZworld(オズワルド)によるスペシャルライブが行われた。少し前まで選手が立っていたステージは、ライブ会場に様変わり。後方のマス席では、その華麗な歌声に文字通り飛び跳ねてノッている観客もいた。

最後の楽曲「NINOKUNI」では、OZworldが「自分の持っている光でこの暗闇を照らしてもらえますか」と観客に問いかける。ポツポツとスマホのライトが少しずつ灯り始め、暗い会場全体に星空が生まれた。


3日目に行われた決勝戦では、🇺🇸C9 vs 🇬🇧FNCの一戦が行われた。BO5で行われた本試合は、ご存知の通り、最終的に🇬🇧FNCの勝利で幕を閉じた。

最終的なスコアは3:2で、正直どちらに転んでもおかしくなかっただろう。どのマップでも両チームの高度な駆け引きが光り、オフシーズン大会かとは思えないほどの完成度だ。まだ試合を観ていないという方も、この決勝戦だけはぜひ観ていただきたい。



日本のファンも多い🇬🇧FNCということもあり、会場は比較的🇬🇧FNCがホーム、🇺🇸C9がアウェイという雰囲気だった。選手たちがスーパープレイを見せると、どよめきと拍手が会場に広がる。さまざまな応援グッズを持参するファンもおり、その“推し”への愛も印象的だ。中には、扇子のような日本風の応援ボードもあり、観客たちのセンスが光るところだろう。



第一線で活躍するプロチームが出場し、多くのチームがさまざまな新ロスターで挑んだ「Red Bull Home Ground」。オフシーズンイベントということもあり、実験的な構成で挑んだチームもそれなりにいたことだろう。だがそんなことを感じられないほど、若手の選手やスタンドインの選手すらも大きく活躍し、高度な駆け引きと繊細なエイムが見られた。
そんなハイレベルな大会であるということもあり、『VALORANT』の競技シーンが好きな観客が非常に多くいた印象だった。当然といえば当然かもしれないが、スーパープレイが起きたときは、自身が応援しているチーム以外でも、それを称える雰囲気があった。
両国国技館という日本を象徴するような会場において、そのような雰囲気で選手を出迎えられたことは、とても誇らしく感じる。『VALORANT』の競技シーンに対する熱は、このオフシーズン期間でもまったく衰えてないことは明らかだ。
ちなみにだが、見事優勝した🇬🇧FNCに対し、合同インタビューが行われた。20分程度という短い時間ではあったものの、優勝直後の生の声を聞くことができた。まだご覧になっていない方は、ぜひこちらも併せて読んでいただきたい。
参考:
【優勝インタビュー】🇬🇧FNATICが🇺🇸Cloud9を制し優勝! 日本で2連覇を成し遂げた秘訣とは?——『VALORANT』オフシーズンイベント「Red Bull Home Ground」
撮影:まいる
編集:いのかわゆう
国内外の6つの招待チームと、日本・EMEA地域の各予選を勝ち上がった2チームが、優勝トロフィーをかけて競い合う、両国国技館全体をeスポーツの会場にしてしまうという史上初の試みだ。そんな斬新な本大会の様子を、余すところなくレポートしよう。

■スケジュール
11月3日(金):スイスドロー予選
11月4日(土):トーナメント①
11月5日(日):トーナメント②(準決勝・決勝)
■出場チーム ※()は略称
🇬🇧FNATIC(FNC)
🇺🇸Cloud9(C9)
🇰🇷DRX(DRX)
🇯🇵ZETA DIVISION(ZETA)
🇯🇵SCARZ(SZ)
🇺🇸100 Thieves(100T)
🇯🇵FENNEL(FL)― 日本予選勝者
🇹🇷FUT Esports(FUT)― EMEA予選勝者
相撲の聖地「両国国技館」がeスポーツ大会の会場に!

▲いつもは相撲ファンでひしめき合う両国国技館の正面玄関。この日ばかりはeスポーツファンが集結(©Suguru Saito / Red Bull Content Pool)
ご存じの通り、今回の大会会場は両国国技館。言わずと知れた、大相撲の本拠地だ。話を聞いてみると選手・観客ともに、国技館に初めて訪れたという人も多かった。かくいう筆者もここに来るのはまったくの初めてだ。
まさか、人生初の国技館が『VALORANT』の大会になるとは思いもしなかったのだが、「eスポーツ×相撲」という前代未聞の組み合わせが生み出す独特な雰囲気には思わず息を吞んだ。
会場内には、当然だが相撲に関係する掲示や演出が盛りだくさん。会場をぶらぶらと歩くだけでも、新鮮な気持ちになれる。

▲窓には満面の笑みの力士。いつも通りの国技館の姿が垣間見える

▲外ののぼりには「是餌多出威美慈四(ZETA DIVISION)」や「噴那手威付驅(FNATIC)」のような四股名風の当て字でチーム名が書かれている
入口には、屋台のようにずらりと並ぶチームブースと、大会のロゴが大きく描かれたパネル。チームによって内容はさまざまだが、グッズの販売が行われていたり、選手が登場して交流会を行ったりするなど、さまざまな催しが行われる。パネルは絶好の写真撮影スポットで、観客の方は足を止めて記念撮影を楽しんでいた。

▲開場直後の入り口の様子。手荷物検査を待つ人の列でごった返す

▲入口から入るとチームブースが左右に並ぶ。ここでグッズやドリンクなどが販売されたり、選手との交流会が実施されたりしていた

▲パネルの前で記念撮影

▲会場内を売り子が巡回しており、いつでも缶のレッドブルを買うことができる(もちろん席でも)
国技館×eスポーツ
さまざまな観戦スタイルで『VALORANT』を楽しむ
国技館といえば、大迫力で大相撲が観戦できるタマリ席に、ゆっくりとくつろげるマス席、俯瞰で全体を見渡せる2階席など、さまざまな座席があるのが特徴。もちろん「Red Bull Home Ground」でもその名残は健在だ。
選手の息づかいが感じられる最前列のアリーナ席
ステージの周囲をぐるっと囲むように配置されたアリーナ席は、選手の会話や叫び声が生で聞こえてくる特等席だ。ただしステージ上部に用意された大型スクリーンは、アリーナ席の真上付近にあるため、かなり見上げないと見えない。そんなアリーナ席に用意されたのが前方にある数枚のモニター。アリーナ席でも普段のように試合を見届けることができたのはうれしい配慮だ。

▲アリーナ席は選手に最も近づける座席。選手たちのアツイ臨場感を楽しみながら、前方には大型のモニターで試合が観戦できる
アリーナ席では、選手の名前の声がかなり聞こえ、会場の中でも最も熱狂したエリアだっただろう。選手入場の花道に近い席では、選手とのハイタッチもできる。多くの観客が食い入るようにモニターを見つめており、しっかりと鑑賞したい人には最高の席だったともいえる。

▲固唾をのんで試合を見届けるアリーナ席の観客
ちなみにアリーナ席は1日7,000円。選手に近い席なだけに価格も高めだ。
目玉はなんといってもマス席!座布団に座ってeスポーツ観戦
マス席は、四角く区切られたスペースに座布団を敷いて観戦する、大相撲ではおなじみの座席。「Red Bull Home Ground」でも、座布団が用意されたマス席は健在だ。

▲4人で座るとちょっと窮屈にも感じるが、だがそれがいい。靴を脱いでくつろげるマス席は大相撲の醍醐味ともいえるのだ
マス席は席単位でチケットを購入するため、ひとりでも最大の4人でも価格は変わらない。1席24,000円で、4人で利用すればひとりあたり6,000円の価格となる。3人以下だとかなりゆったりとできる印象で、足を伸ばしてくつろいでいる人や、寝転んで観戦している人もいて、アリーナ席などの椅子席とは違った観戦ができるのが魅力だ。

▲ふたりで座ればゆったりとしたパーソナルスペースが確保できる
複数日程で来場した方は、1日目は升席、2日目はアリーナ席といった感じで、その日ごとに座席の種類を変えているようだった。ゆったりと見るか、しっかりと見るか、その席ごとに観戦スタイルが異なっていて、新鮮な気分を味わえることは間違いない。
会場の雰囲気を俯瞰で楽しむ2階席
会場を全体で楽しめるのが2階席の醍醐味。肉眼で選手の表情を確認するのは難しいが、それでも全体的な熱量を感じ取ることができるのはうれしいポイント。

▲全体を一望できる2階席は圧巻。ある意味神視点ともいえる(© Stephanie Lindgren / Red Bull Content Pool)
2階席は1席6,000円〜7,000円とアリーナ席とあまり変わらない。こうしてみると「Red Bull Home Ground」では座席による価格差はあまりないようにも感じられた。
選手が突然登場!
ゲリラファンミーティングが会場のいたるところで開催
会場の至るところ、特に選手たちが出入りする関係者入り口の付近で、ゲリラ的なファンミーティングが頻繁に行われていた。突如として現れた選手たちに、偶然居合わせた観客たちは歓喜。選手の後ろに列をつくり、順番に写真撮影やサインなどを楽しんでいた。

▲🇺🇸100TのCryo(くらいお)選手

▲🇹🇷FUTのyetujey(いぇとぅじぇい)選手。選手側がスマホで撮影してくれるっていう構図がなんともステキ
チームブースでも選手との交流会が定期的に行われた。各チームのX(旧Twitter)で開催が告知され、その時間のかなり前から既に列が形成されていた。

▲🇯🇵ZETAの選手交流会に並ぶ人々。特に人気のあるチームでは、あまりの混雑に列は早々と打ち切られ、フェンスで囲われるなどした。早い者勝ちである以上、いかに情報を見逃さないかが重要になっていた
色とりどりの照明はまるで海の底のよう
ここからは会場内の雰囲気をお伝えしていこう。会場ではうっすらとスモークが焚かれていて、照らされるスポットライトの道筋がしっかりと見える。赤と青を基調にした照明に加え、試合中、特に選手が活躍したときには、スポットライトが会場全体を照らす。言葉よりも実際に写真を見てもらったほうがわかりやすいだろうが、ひと言で表すなら「神秘的」だ。

▲選手がクラッチをすると、無数のスポットライトが網目状に伸びる演出が起きる。それに併せて観客の声援が国技館を包み込む!
ラッパー「OZworld」のスペシャルライブ
2日目には、ラッパーのOZworld(オズワルド)によるスペシャルライブが行われた。少し前まで選手が立っていたステージは、ライブ会場に様変わり。後方のマス席では、その華麗な歌声に文字通り飛び跳ねてノッている観客もいた。

▲OZworld(オズワルド)のスペシャルライブ。「eスポーツ大会とは思えない演出!」という表現はもはや時代遅れなのかもしれない(©Jason Halayko / Red Bull Content Pool)
最後の楽曲「NINOKUNI」では、OZworldが「自分の持っている光でこの暗闇を照らしてもらえますか」と観客に問いかける。ポツポツとスマホのライトが少しずつ灯り始め、暗い会場全体に星空が生まれた。

▲観客席に灯る光。白熱の試合中とはウラハラに幻想的な演出がファンを魅了していた

▲えっ、コンサート? いえいえeスポーツの大会です
オフシーズンだとは思えないハイレベルな激闘は競技シーンさながら
3日目に行われた決勝戦では、🇺🇸C9 vs 🇬🇧FNCの一戦が行われた。BO5で行われた本試合は、ご存知の通り、最終的に🇬🇧FNCの勝利で幕を閉じた。

最終的なスコアは3:2で、正直どちらに転んでもおかしくなかっただろう。どのマップでも両チームの高度な駆け引きが光り、オフシーズン大会かとは思えないほどの完成度だ。まだ試合を観ていないという方も、この決勝戦だけはぜひ観ていただきたい。

▲ちょっとした駆け引きでも、さすがプロと関心してしまうシーンも! アーカイブで試合を見直すのもありだ(https://www.twitch.tv/videos/1969071039?t=03h41m45s)

▲最終試合の前に再び現れた星空。決勝戦の演出もなかなかエモい

▲機材セッティング中のBoaster(ぼーすたー)選手。カメラに気づきポーズをくれた!
日本のファンも多い🇬🇧FNCということもあり、会場は比較的🇬🇧FNCがホーム、🇺🇸C9がアウェイという雰囲気だった。選手たちがスーパープレイを見せると、どよめきと拍手が会場に広がる。さまざまな応援グッズを持参するファンもおり、その“推し”への愛も印象的だ。中には、扇子のような日本風の応援ボードもあり、観客たちのセンスが光るところだろう。

▲🇺🇸C9のユニフォームと応援旗を持つファンの方

▲VCT英語配信のコメンテーターで、Boaster選手のガールフレンドでもあるYinsu(いんす)。会場全体に🇬🇧FNCコールを巻き起こすほどの声量で応援していた

▲Derke(だーく)選手の巻物風の応援ボードを掲げるファン
まとめ
第一線で活躍するプロチームが出場し、多くのチームがさまざまな新ロスターで挑んだ「Red Bull Home Ground」。オフシーズンイベントということもあり、実験的な構成で挑んだチームもそれなりにいたことだろう。だがそんなことを感じられないほど、若手の選手やスタンドインの選手すらも大きく活躍し、高度な駆け引きと繊細なエイムが見られた。
そんなハイレベルな大会であるということもあり、『VALORANT』の競技シーンが好きな観客が非常に多くいた印象だった。当然といえば当然かもしれないが、スーパープレイが起きたときは、自身が応援しているチーム以外でも、それを称える雰囲気があった。
両国国技館という日本を象徴するような会場において、そのような雰囲気で選手を出迎えられたことは、とても誇らしく感じる。『VALORANT』の競技シーンに対する熱は、このオフシーズン期間でもまったく衰えてないことは明らかだ。
ちなみにだが、見事優勝した🇬🇧FNCに対し、合同インタビューが行われた。20分程度という短い時間ではあったものの、優勝直後の生の声を聞くことができた。まだご覧になっていない方は、ぜひこちらも併せて読んでいただきたい。
参考:
【優勝インタビュー】🇬🇧FNATICが🇺🇸Cloud9を制し優勝! 日本で2連覇を成し遂げた秘訣とは?——『VALORANT』オフシーズンイベント「Red Bull Home Ground」
撮影:まいる
編集:いのかわゆう
【まいるプロフィール】
関西を拠点にする男性コスプレイヤー。イベントや大会によくコスプレ姿で出没する。2021年頃から『VALORANT』にハマり、競技シーンを追い続ける。現在の推しチームは「CREST GAMING」。Twitter:@mlunias(Photo by Subaru.F.)

関連記事
-
- 【大会レポート】最年少小学生選手と無冠の帝王が激突!——タイピング日本一を決めるeスポーツ大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025」
- 東プレ主催の国内最大規模の競技タイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025(RTC 2025)」の決勝ステージが4月26日(土)に開催された。▲RTCは2017年から始まり、今年で第6回目の開催となる 総勢9,668名が参加した本大会。予選はウェブ上でタイピング練習が楽しめる「e-typing」を用いて計4回行われ、その中から成績上位者の8名が決勝ステージに選抜される形だ。▲「e-typing」は誰でもプレーできるタイピング練習ができるウェブサイト。期間内なら何度でも予選に挑戦できるというのもRTCならではのレギュレーションだ(https://www.e-typing.ne.jp) 決勝ステージは例年有観客オフライン開催となっているが、今年は競技選手がよりタイピングに集中しやすい環境ということで無観客開催となった。▲会場を盛り上げてくれたのは5名の出演者。左から順に実況解説の篠原光さん、隅野貴裕さん、ゲストの貴島明日香さん、シュウペイさん、寺太勇さん 基本的な競技ルールは下記の通り。特筆すべきはRTC独自ルールの「正確性」だろう。どちらかが正確性95%を下回るかどうかで、戦法も試合展開も全く違ったものになる。タイピングスピードだけでは勝てないのがRTCの妙なのだ。▲トーナメント形式はシングルエリミネーション。正確性によっては速く入力しても負けてしまうことがあるのがRTCの面白いところ。ただ速く入力できればいいという訳ではないのだ 最年少は小学校5年生!個性あふれる8人の選手たち 決勝に進出したのは下記の8名。ベテラン選手から本大会初出場となる期待の若手選手など、個性あふれる選手がそろった。▲決勝ステージのトーナメント表 ▲ゆたゆた選手:小学5年生でありながら優勝候補の一角。今回がRTC初出場だ ▲める選手:若手期待のかな入力戦士。こちらも初出場 ▲まるくん選手:こちらも若手プレーヤー。スピード勝負が得意。RTC初出場となる選手だ ▲Y-i選手:幼い時代から競技タイパーとして活躍したベテラン。3年連続の出場 ▲くわな選手:前回大会2位のベテランタイパー。今大会の優勝候補。『VALORANT』では上位ランク“イモータル2”の実力を持つマルチプレーヤー ▲mulelr選手:大会皆勤賞で上位常連のベテランかな入力使い。今大会の優勝候補 ▲goe選手:前回大会3位でタイピングソフト「寿司打」の3冠王プレーヤー ▲ゆーくん選手:初出場ながら、第2回予選1位に輝いた期待のルーキー そんな強豪ひしめくRTC 2025の大会レポートをお届けしよう。準々決勝:第1試合目から盛り上がりをみせる注目カード 準々決勝となる第1試合から目が離せない対戦カードとなったRTC 2025。特筆すべきは最年少となる小学五年生のゆたゆた選手 vs かな入力の使い手める選手。▲ゆたゆた選手は予選1位通過の優勝候補。対するめる選手は現役の学生でありながら、かな入力の使い手という稀有なプレーヤーである 試合内容は終始ゆたゆた選手が押す形となった。kpm換算(一分間に打ち込む文字数)で1400以上を叩きだす瞬間もあり、実況の篠原さんも思わず舌を巻くような勢いで駆け抜けていく。安定した高速タイピングによってストレート勝ちを決めたゆたゆた選手。今大会が初出場ではあるものの、優勝候補として盤石な雄姿を会場に見せつけた。▲恐ろしいスピードで表示された文章を入力していく両選手。入力が早すぎてお題の文章が読めないレベルだ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=1368s) もうひとつ目が離せない対戦カードは第3試合のくわな選手 vs muller選手。両者ともに優勝候補なため、決勝戦と言われてもおかしくないマッチアップである。▲ローマ字入力 vs かな入力という入力方式の違いも注目ポイントだ 先制を獲ったのはくわな選手。RTC独自ルールである正確性を突く形で、かな入力使いのmuller選手を手玉に取った形だ。その後もくわな選手は正確性を重視した戦法を貫き、2本目も連取していく。しかし3ラウンド目ではくわな選手が正確性を崩してしまい、その隙を突いたmuller選手が1本を返す展開に。ここでくわな選手は戦法をシフト。正確性を敢えて捨て、タイピングスピード主体の戦い方に変えていく。▲4ラウンド目から一変したくわな選手に虚を突かれたのはmuller選手か。正確性を無視したノーガードな戦いに翻弄(ほんろう)され、くわな選手に軍配が上がるシーンが増えてきた(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=4071s) 最終的には4:1でくわな選手が勝利をもぎとったものの、事前予想通りの激しい駆け引きとなった。試合後のインタビューでは「緊張していた割にはお互いに正確性の高い試合が多くて、かなりプレッシャーのかかる内容でした。muller選手が選ぶげんきワード(ワードテーマ)では、かな入力のスピードに歯が立たないと予想していたので、正確性の部分で勝とうという作戦でした」とくわな選手は回答した。くわな選手の柔軟性と、muller選手への対策が光った試合内容となった。なお、第2試合のY-i選手 vs まるくん選手は、途中でY-i選手が返すシーンもあったが4:1でまるくん選手の勝利。第4試合のgoe選手 vs ゆーくん選手は、3、4ラウンドともにデッドヒート。僅差でgoe選手が打ち勝ち、最終的には4:0ストレートで終了となった。▲準々決勝戦後のトーナメント表。上記4名が準決勝戦に駒を進めた 準決勝:三位決定戦までのダイジェスト 準決勝第1試合はゆたゆた選手 vs まるくん選手という初出場同士の対決となった。1500kpmを記録する豪速タイパー同士の戦いは、最終的には4:1でゆたゆた選手が勝利。第2試合は前回大会2位のくわな選手 vs 前回大会3位のgoe選手が激突。第一試合目とは対照的に、正確性も混ぜ合わせた変則的な戦いが繰り広げられ、4:1でくわな選手が勝利した。敗者同士で行われた3位決定戦はルーキー vs ベテラン対決。一体どちらに軍配が上がるのか注目されたマッチアップだったが、いざ始まるとgoe選手が圧巻のパフォーマンスを発揮。まさかの4:0で、goe選手のストレート勝利という結果となった。決勝戦:モンスター小学生と無冠の帝王が躍動 遂にやってきた決勝戦。初出場にて決勝の舞台まで駒を進めたモンスター小学生ゆたゆた選手と、常に優勝候補として奮戦し続けてきた無冠の帝王くわな選手が並び立った。決勝戦はBo9(5本先取)と長丁場な戦いとなるため、より集中力や正確性が求められるのも注目だ。▲全力を出し切りたいと語るゆたゆた選手 ▲今まで超えられなかった決勝戦の壁を越えたいと語るくわな選手 まずは先手を取ったのはゆたゆた選手。シンプルなスピード勝負に持ち込んだことで怒涛の2連取を達成。好調な出だしとなった。▲若さあふれるスピーディーな入力で無冠の帝王に立ちはだかるゆたゆた選手(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=11285s) このままゆたゆた選手が勝利をもぎ取るのかと思いきや、3ラウンド目になって潮目が変わる。くわな選手の持ち味である柔軟性が発揮され、正確性重視の試合運びにシフトする。スピードは相変わらずの速度を誇っていたゆたゆた選手だが、堅実に95%以上をキープしたくわな選手が徐々に返していく展開に。▲怒濤の追い上げでマッチポイントを迎えたくわな選手。7ラウンド目では今大会最速に近い1569kpmを叩きだすシーンも(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=GyuwBshab5nPq-3C&t=11981) 結果は5:2と一気にギアを上げたくわな選手の逆転勝利となった。▲3年来の悲願をついに達成したくわな選手。感無量の表情が画面越しからも伝わる 試合終了直後のインタビューでくわな選手は「何も考えられなくて——無我夢中で目の前のワードと向き合っていました」と決勝戦での心情を吐露し「実感が湧いてなくて、不思議な感じです」と自身の優勝に関してもまだ身に沁み切っていない様子だった。興奮冷めやらないとは正にこのことか。身体に溜まり切った熱を放出するかのように、何度も天を仰いでいた。一方で決勝戦については「緊張しました」と語るゆたゆた選手。初出場のRTCに関しても「楽しめた」と返答し、「正確性が少し低いので、もっと正確性を高くする練習をしたいです」と、さっそく現状の改善点と今後の練習内容についてもふれていた。これには解説の隅野さんも「来年が怖いですね」と満面の笑み。将来有望なモンスター小学生。負けてなお天晴れな受け答えであった。くわな選手、ゆたゆた選手のショートインタビューをお届け 最後に、試合を終えた両選手にインタビューを実施したので、その様子をお届けしよう。準優勝:ゆたゆた選手 ショートインタビュー ▲優勝はできなかったものの、晴れやかな表情のゆたゆた選手 ——準優勝おめでとうございます! 今のご気分はいかがですか?ゆたゆた:うれしいです。——初出場で準優勝しましたが、普段は何時間ほど練習をしているのでしょうか。ゆたゆた:あまり意識はしてないですが、いつもは2〜3時間くらいタイピング練習をしてます。土日は多分8時間くらいやっています。——普段の練習ではどのようなソフトを使っているのでしょうか。ゆたゆた:タイピングチューブ、ポップタイピング、打鍵トレーナーなどを使っています。——RTC 2025は素晴らしい結果となりましたが、来年も参加しますか?ゆたゆた:はい、来年も出たいです——ゆたゆた選手、ありがとうございました!優勝 くわな選手 ショートインタビュー ▲優勝トロフィーである黄金のキーボードを掲げるくわな選手 ——優勝おめでとうございます。今大会に向けてどのような練習を実践してきましたか?くわな:大会直前の期間だと、平日は多くても3時間ほど練習していました。休日はなかなか体力も持たないこともあって6時間が限度でした。——競技タイピングを始めたのは大体何歳の頃からでしょうか?くわな:小学校2年生の頃から競技としてタイピングをさわり続けているので、20年ほど続けています。——20年も続けているんですね!大会での優勝経験はRTC2025が初となるのでしょうか。くわな:学生の頃は年齢別タイピング大会で優勝経験などもあったんですけれど、社会人になってからは今回のRTC 2025が初めての優勝になります。——くわな選手自身の強みはどのような所にあると思いますか?くわな:自分の強みは相手を分析して戦い方を変えられることです。普段は『VALORANT』というゲームをプレーしているんですが、そちらの方では相手の弱点を突くようにプレーしているので、そういった思考法をタイピング競技でも応用してます。——今回RTC優勝を達成しましたが、来年以降の目標などはあったりしますか?くわな:実は正直迷っていて……。年齢的にもかなり限界に近付いているので、来年以降についてはまだ決めてはいません。だからこそ今回の優勝はうれしくてたまらなかったですね。——インタビューありがとうございました!まとめ これにてRTC 2025は閉幕となった。振り返ってみると今期のRTCは、転換点ともいえる大会だったかもしれない。RCTといってまず思い浮かぶ選手は4連覇を達成したmiri選手、そして2024年度に優勝した三八木選手だろう。これらの歴代チャンピオンがRTC 2025では不参加となってしまったのだが、だからこそ初出場者だらけの新風吹き荒れるRTCになったともいえる。また今回は一般向けの観戦者を入れずにスタジオ内で大会を開催した。こういった形式も今までのRTCとは異なっている。よりフォーマルな大会として、番組制作を意識した座組になっているといえよう。そして途中のエキシビションマッチもしかり、猫麦とろろさんの登場もしかり、より広い層に大会の面白さを伝えたいという制作側の強い想いを感じる。RTCも時勢の波に合わせて変化・進化していくしかない。そういった意味では今年のRTCはまず間違いなく成功した年なのではないだろうか。こうなってくると来年のRTCにも同様の期待を抱かざるを得ない。どういった変化をもってタイピング競技の裾野を広げ、拡張していくのか。来年もまた注目の年になりそうだ。【番外編】裾野を広げるエキシビションマッチ実は本大会ではゲスト同士がタイピングで戦うエキシビションマッチも開催された。選手たちのすごさやタイピングの面白さを実感するために、司会陣4人が肌を脱いだ形だ。こういった大会で司会陣全員がプレーヤーとして参加するのはなかなか珍しい試みかもしれないが、RTCの裾野を広げる上では重要な試みともいえる。▲スペシャルマッチとしてしっかりとトーナメント形式で実施されたエキシビションマッチ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=7811s) ちなみに解説の隅野さんは別格の存在なので、このエキシビションマッチではプレーヤーとしては参加せず解説に徹した。▲観戦枠には特別ゲストとしてVTuberの猫麦とろろさんも参加 観戦者からの野次にたじたじな様子の篠原さんだったが、どうにか優勝。終始和やかな雰囲気の中、エキシビションマッチは終了した。▲決勝戦はタイピング歴のある貴島明日香さんと篠原さんの対決。試合中ヤジが飛ぶという前代未聞の環境に篠原さんもたじたじ。こういった遊び心があるのもエキシビションマッチならでは(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=8852s) 試合中に「なぜテレビ局を辞めたのですか?」という野次には動揺を隠せず「それっ、結構クリティカルなやつっ!」と思わず言葉に詰まったシーンも(笑)。こういった遊び心を持ちつつも、知名度向上にも目を向けているのがRTC 2025のスタイルだ。 ■関連リンクREALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025 アーカイブ:https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=TzzR-LfyQW9f-2VLREALFORCE 公式ウェブサイト:https://www.realforce.co.jpREALFORCE 公式X:https://x.com/TOPRE_REALFORCE撮影:gappo3編集:いのかわゆうgappo3 プロフィール『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。X:https://x.com/gappo3gappo3
-
- 【大会レポート】最年少小学生選手と無冠の帝王が激突!——タイピング日本一を決めるeスポーツ大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025」
- 東プレ主催の国内最大規模の競技タイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025(RTC 2025)」の決勝ステージが4月26日(土)に開催された。▲RTCは2017年から始まり、今年で第6回目の開催となる 総勢9,668名が参加した本大会。予選はウェブ上でタイピング練習が楽しめる「e-typing」を用いて計4回行われ、その中から成績上位者の8名が決勝ステージに選抜される形だ。▲「e-typing」は誰でもプレーできるタイピング練習ができるウェブサイト。期間内なら何度でも予選に挑戦できるというのもRTCならではのレギュレーションだ(https://www.e-typing.ne.jp) 決勝ステージは例年有観客オフライン開催となっているが、今年は競技選手がよりタイピングに集中しやすい環境ということで無観客開催となった。▲会場を盛り上げてくれたのは5名の出演者。左から順に実況解説の篠原光さん、隅野貴裕さん、ゲストの貴島明日香さん、シュウペイさん、寺太勇さん 基本的な競技ルールは下記の通り。特筆すべきはRTC独自ルールの「正確性」だろう。どちらかが正確性95%を下回るかどうかで、戦法も試合展開も全く違ったものになる。タイピングスピードだけでは勝てないのがRTCの妙なのだ。▲トーナメント形式はシングルエリミネーション。正確性によっては速く入力しても負けてしまうことがあるのがRTCの面白いところ。ただ速く入力できればいいという訳ではないのだ 最年少は小学校5年生!個性あふれる8人の選手たち 決勝に進出したのは下記の8名。ベテラン選手から本大会初出場となる期待の若手選手など、個性あふれる選手がそろった。▲決勝ステージのトーナメント表 ▲ゆたゆた選手:小学5年生でありながら優勝候補の一角。今回がRTC初出場だ ▲める選手:若手期待のかな入力戦士。こちらも初出場 ▲まるくん選手:こちらも若手プレーヤー。スピード勝負が得意。RTC初出場となる選手だ ▲Y-i選手:幼い時代から競技タイパーとして活躍したベテラン。3年連続の出場 ▲くわな選手:前回大会2位のベテランタイパー。今大会の優勝候補。『VALORANT』では上位ランク“イモータル2”の実力を持つマルチプレーヤー ▲mulelr選手:大会皆勤賞で上位常連のベテランかな入力使い。今大会の優勝候補 ▲goe選手:前回大会3位でタイピングソフト「寿司打」の3冠王プレーヤー ▲ゆーくん選手:初出場ながら、第2回予選1位に輝いた期待のルーキー そんな強豪ひしめくRTC 2025の大会レポートをお届けしよう。準々決勝:第1試合目から盛り上がりをみせる注目カード 準々決勝となる第1試合から目が離せない対戦カードとなったRTC 2025。特筆すべきは最年少となる小学五年生のゆたゆた選手 vs かな入力の使い手める選手。▲ゆたゆた選手は予選1位通過の優勝候補。対するめる選手は現役の学生でありながら、かな入力の使い手という稀有なプレーヤーである 試合内容は終始ゆたゆた選手が押す形となった。kpm換算(一分間に打ち込む文字数)で1400以上を叩きだす瞬間もあり、実況の篠原さんも思わず舌を巻くような勢いで駆け抜けていく。安定した高速タイピングによってストレート勝ちを決めたゆたゆた選手。今大会が初出場ではあるものの、優勝候補として盤石な雄姿を会場に見せつけた。▲恐ろしいスピードで表示された文章を入力していく両選手。入力が早すぎてお題の文章が読めないレベルだ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=1368s) もうひとつ目が離せない対戦カードは第3試合のくわな選手 vs muller選手。両者ともに優勝候補なため、決勝戦と言われてもおかしくないマッチアップである。▲ローマ字入力 vs かな入力という入力方式の違いも注目ポイントだ 先制を獲ったのはくわな選手。RTC独自ルールである正確性を突く形で、かな入力使いのmuller選手を手玉に取った形だ。その後もくわな選手は正確性を重視した戦法を貫き、2本目も連取していく。しかし3ラウンド目ではくわな選手が正確性を崩してしまい、その隙を突いたmuller選手が1本を返す展開に。ここでくわな選手は戦法をシフト。正確性を敢えて捨て、タイピングスピード主体の戦い方に変えていく。▲4ラウンド目から一変したくわな選手に虚を突かれたのはmuller選手か。正確性を無視したノーガードな戦いに翻弄(ほんろう)され、くわな選手に軍配が上がるシーンが増えてきた(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=4071s) 最終的には4:1でくわな選手が勝利をもぎとったものの、事前予想通りの激しい駆け引きとなった。試合後のインタビューでは「緊張していた割にはお互いに正確性の高い試合が多くて、かなりプレッシャーのかかる内容でした。muller選手が選ぶげんきワード(ワードテーマ)では、かな入力のスピードに歯が立たないと予想していたので、正確性の部分で勝とうという作戦でした」とくわな選手は回答した。くわな選手の柔軟性と、muller選手への対策が光った試合内容となった。なお、第2試合のY-i選手 vs まるくん選手は、途中でY-i選手が返すシーンもあったが4:1でまるくん選手の勝利。第4試合のgoe選手 vs ゆーくん選手は、3、4ラウンドともにデッドヒート。僅差でgoe選手が打ち勝ち、最終的には4:0ストレートで終了となった。▲準々決勝戦後のトーナメント表。上記4名が準決勝戦に駒を進めた 準決勝:三位決定戦までのダイジェスト 準決勝第1試合はゆたゆた選手 vs まるくん選手という初出場同士の対決となった。1500kpmを記録する豪速タイパー同士の戦いは、最終的には4:1でゆたゆた選手が勝利。第2試合は前回大会2位のくわな選手 vs 前回大会3位のgoe選手が激突。第一試合目とは対照的に、正確性も混ぜ合わせた変則的な戦いが繰り広げられ、4:1でくわな選手が勝利した。敗者同士で行われた3位決定戦はルーキー vs ベテラン対決。一体どちらに軍配が上がるのか注目されたマッチアップだったが、いざ始まるとgoe選手が圧巻のパフォーマンスを発揮。まさかの4:0で、goe選手のストレート勝利という結果となった。決勝戦:モンスター小学生と無冠の帝王が躍動 遂にやってきた決勝戦。初出場にて決勝の舞台まで駒を進めたモンスター小学生ゆたゆた選手と、常に優勝候補として奮戦し続けてきた無冠の帝王くわな選手が並び立った。決勝戦はBo9(5本先取)と長丁場な戦いとなるため、より集中力や正確性が求められるのも注目だ。▲全力を出し切りたいと語るゆたゆた選手 ▲今まで超えられなかった決勝戦の壁を越えたいと語るくわな選手 まずは先手を取ったのはゆたゆた選手。シンプルなスピード勝負に持ち込んだことで怒涛の2連取を達成。好調な出だしとなった。▲若さあふれるスピーディーな入力で無冠の帝王に立ちはだかるゆたゆた選手(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=11285s) このままゆたゆた選手が勝利をもぎ取るのかと思いきや、3ラウンド目になって潮目が変わる。くわな選手の持ち味である柔軟性が発揮され、正確性重視の試合運びにシフトする。スピードは相変わらずの速度を誇っていたゆたゆた選手だが、堅実に95%以上をキープしたくわな選手が徐々に返していく展開に。▲怒濤の追い上げでマッチポイントを迎えたくわな選手。7ラウンド目では今大会最速に近い1569kpmを叩きだすシーンも(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=GyuwBshab5nPq-3C&t=11981) 結果は5:2と一気にギアを上げたくわな選手の逆転勝利となった。▲3年来の悲願をついに達成したくわな選手。感無量の表情が画面越しからも伝わる 試合終了直後のインタビューでくわな選手は「何も考えられなくて——無我夢中で目の前のワードと向き合っていました」と決勝戦での心情を吐露し「実感が湧いてなくて、不思議な感じです」と自身の優勝に関してもまだ身に沁み切っていない様子だった。興奮冷めやらないとは正にこのことか。身体に溜まり切った熱を放出するかのように、何度も天を仰いでいた。一方で決勝戦については「緊張しました」と語るゆたゆた選手。初出場のRTCに関しても「楽しめた」と返答し、「正確性が少し低いので、もっと正確性を高くする練習をしたいです」と、さっそく現状の改善点と今後の練習内容についてもふれていた。これには解説の隅野さんも「来年が怖いですね」と満面の笑み。将来有望なモンスター小学生。負けてなお天晴れな受け答えであった。くわな選手、ゆたゆた選手のショートインタビューをお届け 最後に、試合を終えた両選手にインタビューを実施したので、その様子をお届けしよう。準優勝:ゆたゆた選手 ショートインタビュー ▲優勝はできなかったものの、晴れやかな表情のゆたゆた選手 ——準優勝おめでとうございます! 今のご気分はいかがですか?ゆたゆた:うれしいです。——初出場で準優勝しましたが、普段は何時間ほど練習をしているのでしょうか。ゆたゆた:あまり意識はしてないですが、いつもは2〜3時間くらいタイピング練習をしてます。土日は多分8時間くらいやっています。——普段の練習ではどのようなソフトを使っているのでしょうか。ゆたゆた:タイピングチューブ、ポップタイピング、打鍵トレーナーなどを使っています。——RTC 2025は素晴らしい結果となりましたが、来年も参加しますか?ゆたゆた:はい、来年も出たいです——ゆたゆた選手、ありがとうございました!優勝 くわな選手 ショートインタビュー ▲優勝トロフィーである黄金のキーボードを掲げるくわな選手 ——優勝おめでとうございます。今大会に向けてどのような練習を実践してきましたか?くわな:大会直前の期間だと、平日は多くても3時間ほど練習していました。休日はなかなか体力も持たないこともあって6時間が限度でした。——競技タイピングを始めたのは大体何歳の頃からでしょうか?くわな:小学校2年生の頃から競技としてタイピングをさわり続けているので、20年ほど続けています。——20年も続けているんですね!大会での優勝経験はRTC2025が初となるのでしょうか。くわな:学生の頃は年齢別タイピング大会で優勝経験などもあったんですけれど、社会人になってからは今回のRTC 2025が初めての優勝になります。——くわな選手自身の強みはどのような所にあると思いますか?くわな:自分の強みは相手を分析して戦い方を変えられることです。普段は『VALORANT』というゲームをプレーしているんですが、そちらの方では相手の弱点を突くようにプレーしているので、そういった思考法をタイピング競技でも応用してます。——今回RTC優勝を達成しましたが、来年以降の目標などはあったりしますか?くわな:実は正直迷っていて……。年齢的にもかなり限界に近付いているので、来年以降についてはまだ決めてはいません。だからこそ今回の優勝はうれしくてたまらなかったですね。——インタビューありがとうございました!まとめ これにてRTC 2025は閉幕となった。振り返ってみると今期のRTCは、転換点ともいえる大会だったかもしれない。RCTといってまず思い浮かぶ選手は4連覇を達成したmiri選手、そして2024年度に優勝した三八木選手だろう。これらの歴代チャンピオンがRTC 2025では不参加となってしまったのだが、だからこそ初出場者だらけの新風吹き荒れるRTCになったともいえる。また今回は一般向けの観戦者を入れずにスタジオ内で大会を開催した。こういった形式も今までのRTCとは異なっている。よりフォーマルな大会として、番組制作を意識した座組になっているといえよう。そして途中のエキシビションマッチもしかり、猫麦とろろさんの登場もしかり、より広い層に大会の面白さを伝えたいという制作側の強い想いを感じる。RTCも時勢の波に合わせて変化・進化していくしかない。そういった意味では今年のRTCはまず間違いなく成功した年なのではないだろうか。こうなってくると来年のRTCにも同様の期待を抱かざるを得ない。どういった変化をもってタイピング競技の裾野を広げ、拡張していくのか。来年もまた注目の年になりそうだ。【番外編】裾野を広げるエキシビションマッチ実は本大会ではゲスト同士がタイピングで戦うエキシビションマッチも開催された。選手たちのすごさやタイピングの面白さを実感するために、司会陣4人が肌を脱いだ形だ。こういった大会で司会陣全員がプレーヤーとして参加するのはなかなか珍しい試みかもしれないが、RTCの裾野を広げる上では重要な試みともいえる。▲スペシャルマッチとしてしっかりとトーナメント形式で実施されたエキシビションマッチ(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=7811s) ちなみに解説の隅野さんは別格の存在なので、このエキシビションマッチではプレーヤーとしては参加せず解説に徹した。▲観戦枠には特別ゲストとしてVTuberの猫麦とろろさんも参加 観戦者からの野次にたじたじな様子の篠原さんだったが、どうにか優勝。終始和やかな雰囲気の中、エキシビションマッチは終了した。▲決勝戦はタイピング歴のある貴島明日香さんと篠原さんの対決。試合中ヤジが飛ぶという前代未聞の環境に篠原さんもたじたじ。こういった遊び心があるのもエキシビションマッチならでは(https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?t=8852s) 試合中に「なぜテレビ局を辞めたのですか?」という野次には動揺を隠せず「それっ、結構クリティカルなやつっ!」と思わず言葉に詰まったシーンも(笑)。こういった遊び心を持ちつつも、知名度向上にも目を向けているのがRTC 2025のスタイルだ。 ■関連リンクREALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2025 アーカイブ:https://www.youtube.com/live/7sR6diUkWao?si=TzzR-LfyQW9f-2VLREALFORCE 公式ウェブサイト:https://www.realforce.co.jpREALFORCE 公式X:https://x.com/TOPRE_REALFORCE撮影:gappo3編集:いのかわゆうgappo3 プロフィール『オーバーウォッチ 2』のプロリーグ「Overwatch League」公式日本語配信の解説担当。初代『オーバーウォッチ』にて創設されたプロゲーミングチーム「Green Leaves」での活動を基盤に、2017年からライター業を開始。eスポーツ中心のインタビュー記事やコラム記事を数多く手がけてきた。X:https://x.com/gappo3gappo3
-
- 【結果速報 5月18日】「Asian Champions League 2025」優勝はときど! 2位のひぐち、3位のもけがEWC出場権獲得!
- 中国・上海で開催中の「Asian Champions League 2025」ストリートファイター6部門のDAY2が2025年5月18日(日)に開催され、ときど選手(REJECT ROATZ!)がひぐち選手(ZETA DIVISION)を3-1で下し優勝を果たした。「Asian Champions League 2025」はDreamHack Shanghai内で行われたeスポーツ大会。上位2名まで「Esports World Cup」への出場権もかかっている。18日(日)はトップ8によるダブルエリミネーショントーナメントが行われ、ウイナーズサイドから勝ち続けたときど選手が優勝を果たした。なお、「EWC」への出場権は上位2名までだが、ときど選手は「CAPCOM CUP 11」の戦績によりすでに出場権を持っていることから、2位のひぐち選手に加えて、3位のもけ選手が繰り下がりで出場権を獲得することとなった。Asian Champions League 2025 ストリートファイター6部門 最終結果 順位 選手(チーム) 賞金・賞品 優勝 ときど(REJECT RHOATZ!) 3万ドル 2位 ひぐち(ZETA DIVISION) 6000ドル+EWC出場権 3位 もけ(FAV gaming) 4500ドル+EWC出場権 4位 Jr.(RIDDLE ORDER) 3000ドル 5位 Rainpro 1800ドル 5位 ヒカル(ZETA DIVISION) 1800ドル 7位 CABA(BANDITS) 450ドル 7位 やまぐち(ZETA DIVISION) 450ドル ※ときど選手はEWC出場権を獲得しているため、権利が繰り下がって適用された ©CAPCOM■配信URLDay1 日本時間 5月17日(土)11:45~YouTube:https://youtube.com/live/NlXfEdieKoQTwitch:https://www.twitch.tv/capcomfighters_jpDay2(決勝) 日本時間 5月18日(日)11:45~YouTube:https://youtube.com/live/2h701TmYy80Twitch:https://www.twitch.tv/capcomfighters_jp※大会の進行状況によっては配信開始時間が前後する可能性あり【リンク】START.GG:https://www.start.gg/tournament/hero-esports-asian-champions-league-2/event/street-fighter-6-ewc-qualifier/overviewACL ストリートファイター6 トーナメントルール:https://www.esportsacl.com/rule-regulations?id=1000023&type=0DreamHack Shanghai:https://dreamhack.com/dreamhack-shanghai/
-
- 【結果速報 5月18日】VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff Finals DAY 2
- 『VALORANT』の2025年の日本リーグ「VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2」のPlayoff Finalsが2025年5月17日(土)~18日(日)にかけて幕張メッセイベントホールで開催された。DAY 2の18日(日)はいよいよ優勝を決めるGrand Finals。RIDDLE ORDER vs FENNELの試合が行われた。MATCH 1:RIDDLE ORDER vs FENNEL ■マップ選択■結果2-0 RIDDLE ORDER 勝利1マップ目 フラクチャー(RIDピック)7:13 RID 勝利2マップ目 アセント(FLピック)16:18 RID 勝利3マップ目 スプリット(RIDピック)6:13 RID勝利本日の試合結果により、18日(日)のGrand FinalsはRIDDLE ORDER vs FENNELに決定した。試合はBo5(3試合先取)で行われる。VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff Finals リザルト 順位 チーム名 サーキットポイント 賞金 優勝 RIDDLE ORDER 90 200万円 2位 FENNEL 70 100万円 3位 QT DIG∞ 50 30万円 4位 NOEZ FOXX 50 30万円 5位 MURASH GAMING 20 10万円 6位 REJECT 20 10万円 7位 ZETA DIVISION ACADEMY - 5万円 8位 DetonatioN FocusMe Academy - 5万円 Split 2終了時点サーキットポイント順位 Split 1 Split 2 Split 3 合計ポイント(Split 2終了時点) 1位 RID 50 RID 90 80 RID 140 2位 RC 35 FL 70 70 FL 90 3位 NFX 25 FNX 50 60 NFX 75 4位 FL 20 QTD 50 50 QTD 65 5位 SZ 15 RC 20 40 RC 55 6位 QTD 15 MRSH 20 30 MRSH 30 7位 CGZ 10 ZETA AC - 20 SZ 15 8位 MRSH 10 DFM AC - 10 IGZ 5 9位 IGZ 5 BCS 5 10位 BCS 5 11位 DFM AC - 12位 ZETA AC - © 2024 Riot Games, Inc. Used With Permission■関連SNSVALORANT Challengers Japan:https://x.com/valesportscl_jp■配信URLTwitch:https://www.twitch.tv/valorant_jpnYouTube:https://youtube.com/@VALORANTjp